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世界はこんなにも  作者: 流民
旅立ち
5/25

5話




どれくらい寝ていたのか、どうやら目的の駅はもうすぐそこまで来ていた。

「あっぶな~い、もうすぐ着いちゃうじゃん。よかった眼が覚めて」

ちょっと大きな声を出したことに自分で気づき、周りを見渡した。

「よかった、ほとんど人が乗ってなくて」と一人呟く。

それから降りる準備をして、準備が終わるとちょうど目的の駅に到着した。

それから電車を降り、駅の前の観光案内の前で立ち尽くす。

「ほんとに何もなさそうな所ね……見誤ったかしら……」

観光案内板は、ほとんど観光案内の役目を果さないくらいの地図、その場で少し呆然と立ち尽くす綾芽。

「まいっか、川沿いなんか歩いてると気分よさそうだし、とりあえず行ってみるか」

そう思い直し、気分を変えて歩き出した。

しばらく歩くと川があり、その川沿いに歩いていると、遠くで誰かが焚火をしてご飯を炊いているのが見えた。

「良いな、飯盒炊飯……お腹減った……もう少し歩いたら私もご飯にしよ」

そう言ってそれから二十分程歩いたところで、景色の良い場所にたどり着いた綾芽は

「やっぱりこういう所でご飯食べないとね」

そう言って、朝、お母さんに作ってもらったお弁当をバックパックの中から取り出した。

「いただきます」

それから景色を眺めつつ弁当をぱくつく。

そしてご飯を食べ終わり、一息ついてこれからの予定を地図を見ながら考えた。

「ここから次の駅までは……だいたい五キロくらいかな」

旅慣れた綾芽は地図を見るのにも慣れており、大体の予想を立てた。

「あんまり山道はしんどいからな~……でもまぁ、景色も良いしこの駅まで歩いて行くか」

そういうとバックパックを背負い再び歩き始めた。

真夏の暑さも山の中では気持ちいい、そう思いながらも黙々と寂れた国道沿いを歩いて行く綾芽。

国道は夏の太陽に照らされ、その熱を自分の体に蓄え、容赦なく綾芽の身体を焼き付けた。

それから2時間近く山間の寂れた国道歩き、ようやく目的の駅にたどり着いた綾芽は

駅員に切符を見せ、再び電車に乗り込む。

「やっぱりこれが旅の醍醐味よね、しかし山の中とは言えかなり暑かったな」

などと呟き、車窓を流れる景色をぼんやりと眺めていた。

ふと気が付くといつの間にか日は傾き、今日の目的の駅まであと少しの所まで来ていた。

「やだ、また寝てたみたい……」

そう言ってきょろきょろと周りの様子を見てみた。

いくつか駅を通りすぎるのを確認して、本当に目的の駅が近いとわかると、急いで電車を降りる準備を始めた。

それから数分後、目的の駅にたどり着くと電車を降り改札を出た。

その町はそれなりに大きな街ではあったが、やはり田舎と思う程小さな街だった。

駅の案内板に行き、幾つかホテルがあったので、その中で一番安そうで小奇麗なホテルに電話をしてみた。

少しの発信音の後、若い女性の声が聞こえた。

「お電話ありがとうございます」

「あの、今日そちらに泊まる事はできますか?」

「ご予約の方ですか?」

「いえ、そうじゃないんですけど」

「少々お待ちください。予約状況を確認いたしますね」

そういうと、受付の女性の声は一度途切れ待ち受け音が流れた。そして再び女性の声。

「大変申し訳ありません、少し前に満室になってしまいました」

「え~……そうなんですか……解りました、ありがとうございます」

「大変申し訳ありません。またのご利用をお待ちしております」

残念そうに電話を切り、ほかのホテルに電話をすることにした。

何軒か同じ事を繰り返し、ようやく今日の宿を見つけた。

見つけたホテルは、駅からはそんなに離れておらず、金額もそれほど高くなかった。

早速ホテルに向かい、ロビーで受け付けを済まし部屋に入った。

「さ~て、今日は何を食べようかな!」

部屋に荷物を置くとすぐに部屋を出て、またロビーに向かいホテル周辺の地図を取り、ホテル周辺の飲食店やそのほかの施設を確認する。

しかしさすがに地図だけではどのお店がよいのか分らず、綾芽はロビーにいる受付のお姉さんに話しかける。

「すいません、この辺りで安くて美味しい物が食べられるお店はありませんか?」

突然話しかけられたフロントのお姉さんは、少し迷いながら答えた。

「そうですね……このお店なんかどうでしょう」

と、地図の場所を指差した。

「安くて、この辺りの郷土料理を出してくれますよ」

「ありがとうございます。今から行ってみます」

そういうと、綾芽はホテルを出て教えられた店に行った。

教えられた店はほんとに美味しく、料金も安く満足した。

それから店を出て少しの間町を散策して歩いていると、何処からともなく祭りの音が聞こえてくる。

「どこかでお祭りかしら?」

音のする方向に足を進めるうちに綾芽はどんどん早足になり、しまいにはほぼ小走りになっていた。

たどり着いた神社はそれほど大きくなかったが、境内には沢山の出店が出ておりかなりの賑わいを見せていた。

「やっぱりお祭りだ!ついてる、お祭りの時に来れるなんて」

そういいながら、境内に足を踏み入れた。

金魚すくい、綿あめ、リンゴ飴等、出店をいろいろ見て歩いて、一つリンゴ飴を買いかじりながら歩いていると、境内の一番奥では奉納演舞がちょうど行われるところだった。

リンゴ飴をかじりながら、綾芽は演舞を見続ける。

演武は三十分程続き、それを見終わって満足して綾芽はホテルへの道を引き返していった。

ホテルに着くと、フロントにはお店を教えてくれたお姉さんがまだ仕事をしていた。

それをみた綾芽は彼女に声を掛けた。

「あのお店本当に安くて美味しかったです。ありがとうございました」

「そうですか!それはよかったです」

 そう言ってフロントのお姉さんは微笑んだ。

「じゃあ、おやすみなさい」

「お休みなさいませ」

そういって、綾芽はエレベーターに乗り自分の部屋に戻っていった。

そしてシャワーを浴び、今日一日の汗を流してベッドに入った。

「明日はどこに行こうかな……」そんな事を思いながら、ゆっくりと眠りに入っていった。



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