4話
その日、綾芽の目覚めは早かった。
今日から夏休み、何をしようと一カ月と数日は自由だ!という気持ちからか、朝から妙にハイテンションで眼が覚めた。
時計はまだ六時を少し過ぎたくらいで、いつもならまだ寝ていてもおかしくないような時間だった。
窓から外を見ると、夏の朝はもう眼をさまし、今日一日の生活が少しづつ動き出していく所だった。
部屋を出てキッチンに行くと、もうお母さんは起きており朝の準備に追われている様子だった。
「おはよう母さん」
「あら、もう起きたの?いつもはもっと寝ているのに」
「なんだか夏休みだと思うと気持ちが妙にあせっちゃって、眼がさめちゃった」
「本当に昔からあんたはそうよね……いつもこれ位早く目が覚めてくれるといいんだけど……」
これ以上続けるとお母さんの小言が始まりそうなので、綾芽は急いで話題を変えた。
「それより母さん、私今日からちょっと旅行に行ってくるからね」
突然そんな話題を振られたお母さんだったが、たいして驚いた様子も見せずに答えた。
「あなたまた?もう、ほんとにいつも突然なんだから……で、今度はどこまで行くの?」
また始まった、というような感じでお母さんは問いかけた。
「う~ん……まだ何にも決めてない……風の吹くままってやつ、は、は、は、は、」
笑ってごまかした綾芽にさすがに呆れたお母さんは、
「あんたもう少し計画性を持って動きなさいって、いつも言ってるでしょ?もぅほんとに誰に似たのかしらねぇ……」
最後の方は殆ど独り言のような言葉を呟き、更に付け加えた。
「ちゃんと携帯持っていくのよ。それと毎日電話すること!いいわね?」
やはり少しは心配なのだろうか、そんな事を考えながらも、綾芽は上の空に答えた。
「は~い、ちゃんと分ってますよ」
もう頭の中では、綾芽の旅は始まっていた。
それから家族と朝食をとり、準備を済ませ家を出る。
「ほんとにちゃんと電話しなさいよ」
「分かってるって。じゃあ行ってきま~す。お土産買ってくるからね~」
と言って駅の方に駆け出していく綾芽を見送りながら、またお母さんは呟く。
「ほんとに誰に似たんだか・・・」
駅に着いた綾芽は、予ねてから用意しておいた切符を取り出し、駅員に見せホームで電車を待っていた。
数分後電車は着き、それに乗り込み席に座った。
少し落ち着いたところで地図を開き、今回の目的地に思いを馳せた。
「前回は南に行ったから今回はやっぱり北よね……さて今日の目的地はっと……よしここね!」
地図には山の中の小さな町が見られた。
「ここなら、途中ここで下車してこの辺りを見て回っても十分にたどり着けるし、後はどこの駅で下車しようかな……」
少し悩んで「よし決めた、ここの駅で下車!ここなら山間のきれいな川で休憩出来て、美味しく昼ごはん食べれそうだし」
そう決めると、少し落ち着いたのか眠気がしてきた綾芽は、一人呟いた。
「今日は朝が早かったからな~……ちょっと寝よ……」そう言って眠りに落ちた。




