ハグのサンドウィッチです!?
「作戦エリアに到着!魔法少女ユーミリア、行きます!」
実家訪問の翌日、さっそく現れた外界の敵。
同時視聴者数は今回も7桁を突破。
しかし、今日のコメント欄は戦闘に関してのコメントよりも〝ある噂〟に関するコメントばかりだった。
『ちょっと待って、昨日のSNSの目撃情報マジ!?』
『昨日、ユーミリアちゃんのご実家に菓子折り持って入っていく司令官と参謀を見たって書き込みあったけどマジ?』
『え!?マジでご挨拶に行ったの!?何しに!?』
『それもう実質プロポーズでは!?』
飛び交う憶測と投げ銭の嵐。
リスナーの情報網が優秀すぎる…。
ユーミリアは真っ赤になりつつも空中を飛び回り外界の敵に魔法攻撃を繰り出す。
「ユーミリア、動揺するな。リスナーは無視していい」
「アーサー司令官!でもコメント欄がすごいです…」
「隠すことでもねぇ。堂々としてろ。おい、カメラこっちに向けろ」
アーサーはドローンカメラに自ら写り、声を張る。
「お前らの言う通り、昨日ユーミリアの実家に行ってご両親に挨拶は済ませた。『ユーミリアを、俺たちに任せてくれよ』ってな。親公認だ、なんか文句あるか」
画面の向こうで、絶対的カリスマがニヤリと獰猛に笑う。
瞬間、コメント欄が爆発した。
『うおおおおおお!?』
『親公認!?』
『結婚祝いに投げ銭受け取れー!!!』
『国営のオフィスラブ?』
『公式が最大手!!!』
「兄さん、配信で煽りすぎです。まあ、全部事実ですけど」
アルフレッドまでアーサーの煽りに乗っかる。
カオスな配信になるが、一応外界の敵との交戦中である。
「ユーミリアさん、左からの敵は僕が処理しました。あとは目の前の敵を、最高に可愛く滅してください」
「お二人ともこれ以上煽らないで!?行きます、魔法少女ビーム!!!」
ユーミリアが放った大規模魔法で敵はノックアウト。
配信画面では投げ銭が飛び交い、お祝いの花吹雪の代わりにコメントが舞いまくっていた。
「た、ただいま戻りましたぁ…」
過去最高の同時視聴者数を最終的に獲得して、すごい額の投げ銭が飛び交い防衛戦終了。
ユーミリアはフリフリの魔法衣装のまま、防衛省の魔法少女部の執務室に戻る。
戦いが終わった安堵、勝てた高揚、それを凌駕するほどの「親公認発言」への気恥ずかしさ。
全身の血が沸騰したように、体が熱い。
そんなユーミリアを出迎えるのはもちろん、アーサーとアルフレッドである。
「おう、おかえり。ユーミリア、今日も良い動きだったじゃねぇか」
帰ってきたユーミリアを、よくやったと逞しい腕で抱きしめるアーサー。
「ひゃっ!?アーサー司令官!?」
「何動揺してんだ。俺たちはもう親公認だし、お前が俺たちの特別なのはもう配信で言ってあるだろ」
ぎゅうぎゅうと、強すぎない程度に抱きしめられ続ける。
推しに愛されて、ユーミリアのオタク心は爆破寸前である。
「兄さん、独り占めしないで。ユーミリアさん、今日も本当にお疲れ様でした。あなたのおかげで我が国は、今日も外界の敵の素材と投げ銭で黒字続きですよ」
そこへアルフレッドも歩み寄ってくる。
極上の笑みを浮かべ、前から抱きしめるアーサーの逆…後ろからハグをする。
「わわっ…!アルフレッド参謀まで!」
「当然でしょう?あなたが地球を守り抜いて、こうして結果を出したんです。僕たちが労わなくてどうするんですか」
バックハグのまま耳元で甘く囁くアルフレッド。
大好きな二人の最推し上司にサンドウィッチされ、完全に身動きが取れないユーミリア。
幸せすぎて本当に頭が沸騰しそうなユーミリアだが、ラピスラズリ兄弟はそんなことお構いなしである。
「おい、ユーミリア。これだけの戦果だ。国からのボーナスだけじゃ足りねえだろ?俺たちの財布からも、なんか好きなもん買ってやるよ。何が良い?やっぱり指輪か?」
アーサーがニヤリと不敵に笑って、ユーミリアの左手を撫でる。
「兄さん、指輪も贈るにしてもまずはデートからじゃない?ということで、今日は帰りにずっとユーミリアさんが行きたがってたデザート食べ放題のお店に行きましょう。いいですよね?ユーミリアさん」
「は、はいぃ…!!!」
その日は急遽帰りにデザートパーティー(貸切)となり、糖分をダブルの意味で摂取しまくって帰ったユーミリアだった。




