内乱6
長門に戻ります。
長門士官食堂
『ご覧に頂いている通り観艦式は戦艦の砲撃により戦場と化していますッ!』
観艦式を見るためにテレビを点けたがそこに映し出されたのは女性アナウンサーが言うとおり戦場だった。
要人用観覧席は崩れ、見に来ていた一般人たちは声をあげて逃げている。
さらに陸軍部隊が砲撃に続くように近衛部隊と戦闘状態に突入し』
『撮影を止めろ!』
『ちょっ、何するんですか!!』
アナウンサーは二人の陸軍兵に押さえられカメラマンも取り押さえられたのかカメラが地面に落ち、映像は途絶えた。
『えー、現場で撮影班に何かあったようです。ここからはテレビ局よりお伝えします』
テレビ画面は現場からテレビ局に変わりキャスターたちが今ある情報を伝え始める。
「大変なことになった・・・・・」
食堂内で誰かが呟き
「あぁ、これはまるでクーデターだ」
また誰かが呟く。
「笹野参謀」
上城長官の呼び声に「はい」と返事をする笹野参謀。
「午後の訓練予定はすべてキャンセルだ。直ちに呉鎮守府へ帰港する」
「すぐに東京湾に向かわなくて宜しいのですか!?」
「俺たちだけ行っても何もできん。鎮守府に戻り艦隊司令に指示を聞こう」
たった戦艦二隻で行っても相手は六隻。空母も二隻いるところに突っ込んでも袋叩きにあうだけである。
ここは艦隊を集結させ戦力を整えた後向かうのがいい。
「わかりました直ちに伝えます」
笹野参謀は席を立ち食堂を出ようとドアノブに触れようとした瞬間バンッとドアが開き若い士官と水兵四人が手に拳銃を握り入ってきた。
「何ですかあなた達は!?キャッ」
笹野参謀は入ってきた士官たちに取り押さえられる。
「貴様らどういうつもりだ!?気でも狂ったか!!」
「いいえ、我々は正気ですよ」
若い士官が首を振り正気だと言う。
「我々は神州会。この長門及び陸奥はこれより我々の指揮下に入ります」
「何を言って」
反論しようとしたが艦内放送からそれが事実だと知らされた。
『こちら艦橋ッ武装した水兵に制圧されました!』
『機関室ッなんで水兵が武装してくるんだ!?』
『戦闘指揮所、主導権を奪われました・・・』
各部署からの報告に上城らは驚愕した。
艦のほぼすべてが制圧されてしまったのだ。
「神州会とか言ったな。お前らの目的はなんだ」
上城の質問に士官はこう答えた。
「神州会の目的は日本を滅びから救い。そして世界中にある植民地を解放し真の共存共栄を目的とした神州共栄圏の設立です」
上城らは共栄圏と聞いてざわめく。
そんなざわめくを無視して
「さて皆様にはこのままここに待機して頂きます。ですが長官と参謀には自室に待機して頂きますのでこちらへ」
上城と笹野は水兵に連れられ食堂を出ていった。
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