第二章 九節 頼らなかった理由
遅れてすみません。ではどうぞ。
「別にケンカしたってわけじゃないんだよ?ウズメが勝手に怒ってるだけで……」
「いやいやいや、あれは勝手に怒ってるだけじゃないだろ!?殺しに来てるぞ!??」
ラインはいっこうに目を合わせようとしない。西城はラインの肩を掴み、激しく揺さぶる。
「ほ、本当に知らないの!ウズメとケンカしたことなんてここ最近ないし、怒らすようなこともしてないから!!」
それを聞いた西城はラインを揺さぶるのを止める。揺さぶりが結構激しかったせいか、ラインは頭を抱えてしゃがみ込んだ。
途中、おぇと聞こえたのは気のせいだと信じたい。
「だとしたら一体何に怒っているってんだよ……」
「これは憶測に過ぎないけど、私がウズメを頼らなかったことに怒っているんじゃないかなって思う」
口元を抑えたラインが西城の方を向きながら言った。内容を端折ったラインの言葉に西城は首を傾げる。
「頼らなかったってところを具体的に」
「えっと、私が神に追われてるってことを相談しなかったってこと」
「は?」
西城は呆気を取られた。
西城がラインの立場ならすぐさま天宇受売命に頼るからだ。
相手は神様のうえにその力は未知数である。ならば、まずは自分の味方を集めることから始めるはずだ。
なのに天宇受売命に対してそれをラインはしなかった。
西城は思う。やはりこいつはバカなのではないかと。
「何か理不尽なこと思われてる気がする」
「それは置いといて、なんで相談しなかったんだよ。あの神様がいればもっと早く事が済んでいたはずだぞ」
ラインは西城が差し出した手をとって立ち上がると微笑んだ。
西城が目を白黒させていると、ラインは西城の隣に立って喋り出す。
「確かにウズメに相談してたらもっと違ってたかもしれない。だけどね、私は親友を危険な目に合わせたくなかったの。幸助もそう思わない?」
ラインはそっと西城をのぞき込んだ。西城は腕を組んで悩む。
もし仮に西城が何かの事件に関わったとして、それに親友を巻き込むことはしないだろう。
それを考えれば今回のラインの行動にも納得がいく。
だが、それで真の親友といえるのだろうか。巻き込まれなかった親友は、なぜ相談してくれなかったのかと憤慨するのではないのだろうか。
西城は考えがまとまらないまま、話を進める。
「……それで、天宇受売命に相談しなかったお前はおれのところに来たってわけでいいかの?」




