第二章 一節 つかの間の休息
土手を離れた西城たちは高層ビルが建ち並ぶ街中を歩いていた。
社会人の帰宅時間と重なったため、人がごった返している。
ラインの透けた巫女服は西城の制服をのうえに羽織ることで、何とか人目を防いだ。そのため、西城
の上着はワイシャツである。
「す、透けてないよね?」
西城の背後に隠れながら、ラインは呟いた。
透けてるもなにも西城の背中にくっつくように歩いているだから見えるはずがない。
「そろそろ離れてくれよ。周りの目線が痛い」
すれ違う人たちから時々向けられている生暖かい目に気が付いている西城は顔が引きつっていた。
そんなことなど知らないラインは首を傾げる。
「幸助は嫌なの?」
「うぐッ……」
ラインの上目遣いは西城に効果抜群だった。
西城は顔に手を当てながら、大型デパートへと入っていく。
中にはすでに日は落ちているというのに、学生がちらほらといた。そういう西城も学生なのだが。
「確か、ここにはお食事街ってのがくっついてるはずなんだけど……」
「なにその美味しそうな響き!!」
「迷子になるなよ。って、おい!!早速、目を離したすきに迷子になりかけてる!」
掲示されている地図とにらめっこしていた西城は近くのリーフレットを手に持ち、ラインを追いかける。
鼻をひくひくさせるかよの首根っこを捕まえ、西城は安堵した。この人込みで迷子になられたら流石に面倒だった。
片手にリーフレット、もう片手に巫女という奇妙な構図が出来あがった西城。
周りから見れば不審者に映るらしく、足早に目的地を目指した。
「ふぅ、色々あったけど、たどりついたなお食事街に」
目の前に広がる『ようこそ!!お食事街!』という看板。
騒がしいも笑顔あふれる人々。そして、奥から漂ってくる色とりどりの匂い。
その全てがかよを感化させたのか、目を輝かせて西城を見る。
「はやく行こう!!」
「そう急かすなよ。何もご飯は逃げたりしないから」
満更でもない様子で西城はラインの背中を追った。
ただ、西城は失念していた。今朝、ファミレスで莫大なお金を使ったことを。
「これなんかおいしそう!!」
「よし、じゃあそれ……ん?んん?三千円だと!?」
「どうしたの?」
心配そうな顔になるかよ。その顔がさらに西城の胸を抉ってくる。
苦汁を飲みながら、西城はお金を出した。これから西城は一日一食になるであろう。
空っぽの財布に涙を流しつつ、西城は近くに座る。
対面側ではラインがおいしそうに『新鮮!安心!最高級たこ焼き!!』というパッケージのお好み焼きを食べていた。
「なんでたこ焼きなのに、お好み焼きなんだよ……」
聖都市の食品事情が不安になってくる西城。
そんなのはどうでもいいというようにラインはお好み焼きを食べ進め始めた。




