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ヘビに転生した俺は、最弱ステータスからスキル補食と進化しながら迷宮を攻略する  作者: 迫力くん
目覚め

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第018話「三叉路の天井」


 今日は右ルートには行かない。


 昨日見た跡が大きく、しかも新しかった。あれを確認した翌日に同じ場所へ踏み込むのは正しくない。代わりに、北西の大型百足が普段通りかどうかを確かめる。あいつに変化があれば、三叉路まで影響が来ている。なければ、異変は右ルート側だけの話だ。確認は早い方がいい。


   ◇ ◇ ◇


 三叉路の手前で熱感知が反応した。


 上だ。


 天井近くの割れ目に、小さな熱源がいくつかぶら下がっていた。ネズミより細い。横に長い。小刻みに揺れている。


 待った。


 一つが外れた。翼を広げて低く滑ってくる。


 蝙蝠だ。


 ……天井か。


 天井にも狩り場があった。


 水を舐めに来たらしい。岩陰で待ち、通り過ぎる瞬間に首の付け根へ噛みつく。体は軽い。巻き付く前に毒が回った。十数秒で止まる。


 初見の相手にしては楽だった。


 食ってみると肉は少ない。骨が細い。温かいのはいい。ただ毛が口の中に残る。飲み込んでからも気になって何度か吐き出した。次は毛の多い部分を先に処理してから飲む順番にする。


 温かい獲物は熱感知で輪郭が取りやすい。背景から浮いて見えるだけで難度が変わる。新しい狩り場を見つけた事実は確かに好ましい。毛さえなければ素直にそう言えた。


 少し待つと二匹目が降りてきた。今度は軌道が読めた。天井の割れ目から池の縁まで一度大きく弧を描く。その先に体を伏せておけば、向こうから来る形になる。


 噛む。落ちる。止まる。


 一匹目の時より短く終わった。新しい相手でも一度やると次は仕事になる。


   ◇ ◇ ◇


 二匹目を食べている時に振動が来た。


 北西の大型百足だ。


 重い。規則的。そこまではいつも通り。違ったのは戻りの速さだった。普段ならまだ奥にいる時間帯なのに、三叉路寄りまで出てきている。しかも進み方が変だった。一定のリズムで流れるのではなく、進む、止まる、少し戻る、また進む。いつもとは別の動き方だ。


 その時、天井の蝙蝠が全部鳴いた。次の瞬間、一斉に飛んだ。黒い影が散って三叉路の奥へ消えていく。


 俺もすぐ岩の陰へ潜った。


 大型百足の振動が入口近くまで来る。以前の巡回より外側だ。熱感知を伸ばす。通路幅を半分以上使う大きな輪郭の端がかすった。向いている先は三叉路ではなく、北西のさらに奥だった。


 止まる。


 十秒。二十秒。長い。


 こちらを探しているのではなかった。奥から来る何かを待っているような止まり方だ。


 ……待っている。


 大型百足が警戒する相手がいる。そう理解した瞬間、背中の鱗が少し浮いた。


 北側の主に近い存在が落ち着きを失っている。その下にいる俺が平気でいられる理由がない。


 やがて振動は北西へ戻った。来た時より速い。


 追われる側の動きに見えた。


   ◇ ◇ ◇


 長居しなかった。


 三叉路の周囲を一周確認し、池側に新しい侵入跡がないことを見てから戻る。安全圏はまだ崩れていない。それだけでも今日の確認には意味があった。


 ただ北西の通路寄りの床に、普段より細かい砂が散っていた。向こうで崩れたものが流れてきたのか、大きいものが壁を擦ったのかは分からない。前日までなかった変化だ。


 池で進化を確認すると41%になっていた。岩蝙蝠二匹と、帰り道で処理した小型百足一匹分だ。


 数字は前進している。今日の本当の収穫はそこではない。


 北西の主が、奥を警戒している。


 夜にもう一度振動感知を流した時、その確信が固まった。北西から戻る重い振動が、途中で一度だけ消えた。完全に消えて、少し遅れてから別の位置で続いた。


 何かを避けた。


 そう考えるのが一番自然だった。


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