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最弱ステータスでヘビに転生した俺は、スキル補食と進化をしながら迷宮を攻略する  作者: 迫力くん


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113/135

第113話「王の爪」

 狼型の牙獣が左右へ割れたあと、木の間からそいつが出てきた。


 そいつの体は猪より高い。


 肩が盛り上がっている。首のまわりの毛は長く、土と血で固まっていた。顔はライオンに近いが、前へ出た牙が長い。前脚も太い。爪は半分だけ地面へ出ていて、一歩進むたびに土が浅く裂ける。


 あれが押してた本体か。


 距離が詰まった。今なら鑑定が届く。


 反射で鑑定をかける。


――――――――――――――――――――

名前:獅牙王レオガルド

種族:獣牙獅子

Lv:20

【スキル】

 牙撃 Lv3 / 爪撃 Lv3 / 剛毛皮 Lv3

 咆哮 Lv2 / 跳躍 Lv2 / 群導 Lv3

 獣王因子

――――――――――――――――――――


 王だ。Lvも高い。しかも獣王因子持ち。


 さっきまでの群れと同じつもりで受けたら潰される。けど、ここで止めるしかない。


   ◇ ◇ ◇


 レオガルドは、俺を見ても急がなかった。


 黄色い目だけが細くなる。


 「龍宮の匂いか」


 レオガルドの声も低い。


 次の一歩で、急に距離が縮んだ。でかいくせに、踏み込みが短い。


 右へ跳ぶ。


 その瞬間、さっきまで俺がいた場所を前脚が裂いた。土が大きくめくれ、爪の跡が四本残る。まともに受けてたら、胸から腹まで持っていかれていた。


 空振りした前脚の横へ潜り込み、肩口へ雷纏を流した前脚を叩き込む。


 火花が散る。傷は浅い。だが、ちゃんと入った。


 レオガルドの肩の毛が焦げ、皮膚が一本だけ赤く裂ける。


 浅くても傷が入るなら、まだ手はある。


   ◇ ◇ ◇


 けれど、レオガルドは肩を揺らしただけで、もうこっちを見ていた。前脚がもう一度来る。今度は避けきれない。


 胸と肩へ竜鱗装甲を寄せ、前脚を合わせて受ける。


 前脚の骨が軋み、衝撃が首まで抜けた。受けたはずなのに、そのまま体が横へ流される。


 喉は遠い。だから顔を狙う。


 右へ回り、鼻先の横へ爪を引く。


 今度はさっきより深い。鼻の横に赤い線が走る。


 レオガルドの口元が歪んだ。


 笑ったみたいに見えた。


   ◇ ◇ ◇


 次の瞬間、下から牙が来た。


 首を引く。完全には抜けない。


 牙の先が肩をかすった。鱗の上を嫌な音で削り、そのまま血が薄く流れる。


 傷は浅い。けど、軽くはない。


 そのまま前脚がもう一度振り下ろされる。


 今度は受けずに、喉の奥へ熱を集めた。


 竜息だ。まだ細い。けど、今ある手の中じゃ一番でかい。


 口を開く。


 青白い息が短く走った。


 レオガルドは頭を振って外す。


 全部は当たらない。


 けれど、避け切れてもいない。首の横の毛が焼け、焦げた匂いが上がる。


 それでも、首の横の毛を焼いたくらいではレオガルドの足は止まらない。


 頭を一度振っただけで、次の前脚がもう来ていた。


   ◇ ◇ ◇


 レオガルドは止まったままじゃなかった。


 爪が土へ入る。


 次の一歩が、そのまま前へ出る。


 鼻先の傷も、肩の焦げも、足を止める理由になっていない。


 浅い傷は入る。


 けれど、傷が入るだけだ。


 肩を焼いても、鼻先を裂いても、前へ出てくる足が鈍らない。


 このまま真正面でやったら、押し切られる。


 それでも俺が西門の前で退いたら、そのまま里へ入られる。


 西の道の真ん中で、レオガルドは焼けた毛を揺らしただけで前へ出てくる。


 前脚を開き直す。


 だが、その時点でもう俺の反応が一手遅れていた。


 次の踏み込みに合わせる前に、レオガルドの影が目の前まで来る。


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