表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱ステータスでヘビに転生した俺は、スキル補食と進化をしながら迷宮を攻略する  作者: 迫力くん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/135

第112話「森の手前」

 西の道は、里を出て少し行くと細くなる。


 左は低い斜面、右は太い木が何本も寄っていて、でかい猪が二体並ぶには狭い。


 西の道の細い場所なら、柵の前よりずっといい。


 里の中でぶつけられたら、家まで割れる。だがここなら、抜けられても一体ずつだ。


 後ろで、カイルが村の連中へ声を飛ばしていた。


 「前に出すぎるな! 柵の内側で待て!」


 リーナは道の右の木へ上がっている。マルトは少し後ろで、怪我をした時にすぐ触れる位置を取った。


 こっちからも森が見える。


 森から出てくるやつも、ここを避けにくい。


 西の森から出てくるなら、まずここだ。


   ◇ ◇ ◇


 最初に出てきたのは狼型の牙獣だった。


 先頭に一体出た。


 次に二体続く。


 その後ろで、土を削る音が重なる。猪もいる。


 数はさっきより多い。


 だが、ばらけていない。道の細い場所へまとめて入ってくる。


 まとめて来る方が止めやすい。


 先頭の一体が、俺を見た瞬間に飛んだ。


 前より速い。


 だが、横へ振らない。まっすぐ飛びかかってきた。


 右へ半歩ずれ、前脚へ雷纏を流す。そのまま横面を叩くと、火花と一緒に牙獣の頭がぶれた。首が折れきる前に地面へ落ち、滑って止まる。


 後ろの二体がそこで開いた。


 左右から来るつもりだ。


 右へ回った一体の肩へ、上から矢が刺さる。


 リーナだ。


 動きが鈍ったところへ、カイルが前へ出た。剣が首の横へ深く入り、そのまま牙獣を道の端へ蹴り落とす。


 左の一体は、俺が前へ出て噛んだ。


 喉へ牙が入る。血が熱い。振り回される前に首の横へもう一度爪を入れると、体がそのまま横へ倒れた。


 よし。


 狼はこれで三体。


   ◇ ◇ ◇


 次に猪が来た。


 正面から一体。


 少し遅れて、後ろにもう一体いる。


 前の猪が頭を下げる。


 柵の前じゃない分、狙いは読みやすい。こいつは道をこじ開けるつもりで真っすぐ来る。


 俺は真正面へ出た。


 前脚へ雷纏を流し、胸と肩には竜鱗装甲を寄せる。


 ぶつかる。


 前脚から胸へ衝撃が抜けて、肩の骨まで痺れた。


 だが、里の柵で受けるよりずっとましだ。


 牙が腹へ入る前に、左前脚を顔の横へ引っかける。そのまま体を斜めに入れて押すと、猪の頭が少しだけ外へ流れた。


 頭が外へ流れたところへもう一度、右前脚を叩き込む。


 火花が散る。


 猪の足がもつれ、斜面側へ肩から突っ込んだ。土と石が崩れ、でかい体がそこで止まる。


 後ろの猪は、その死角で一瞬だけ詰まった。


 その一瞬で十分だ。


 リーナの矢が目の横へ入る。


 猪が頭を振ったところへ、俺が牙の内側へ潜り込む。喉の下へ爪を入れて押し上げると、巨体がぐらついた。


 カイルが横から脚を斬る。


 マルトが後ろから叫ぶ。


 「カイル、右は浅い! まだ行ける!」


 猪は二歩だけ粘ったが、そのまま膝を折った。


   ◇ ◇ ◇


 道の前が、ようやく空く。


 後ろを振り返る。


 柵は無事だ。


 家も無事だ。


 村の連中は、さっきみたいに猪が目の前まで来る前に、ちゃんと柵の内側へ下がれている。


 これなら里の前まで入られる前に、数を減らせる。


 カイルもそれが分かったらしい。剣の血を払うより先に、西の道の先を見た。


 「まだ来るか」


 「来る」


 今度は俺も短く返した。


 土の揺れが消えていない。


 狼も猪もまだ残っている。


 だが、その奥にある揺れは別だった。


   ◇ ◇ ◇


 揺れが大きい。


 足音の主がでかい。


 四つ脚が一歩ずつ近づくたび、細い道の土が小さく跳ねる。狼や猪が走る揺れとは違う。前から押し寄せるんじゃない。一つの大きい塊が、そのままこっちへ来る。


 狼型の牙獣が二体、森の縁から飛び出しかけて、そこで止まった。


 次の瞬間、左右へ割れる。


 道を空けた。


 カイルが息を止める音がした。


 リーナも木の上で動かない。


 西の森の奥、暗い木の間で、低い位置に二つの目が止まった。


 距離がある。まだ鑑定は届かない。


 さっきまでの群れとは違う。


 群れの後ろにいたやつが、ようやく前へ出てきた。


 次はこれか。


 俺は西の道の真ん中で、前脚を開いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ