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デブだと処刑される世界で、カロリー最強の勇者になった件 ~魔物を喰って強くなるぽっちゃり勇者は、食=幸せを取り戻す~  作者: あきかたりれお
第二章マナフィールド

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第14話コブラリベンジグルメ


「マカロン、着いてこいよ。今頃完成してるかもしれねぇ」


「完成?」


草木を掻き分け、元いた場所へマカロンをつれて行く。


「コロネは普通の料理も作れる。それこそ、カロリー控えめで美味い料理をな。だが奴はわざわざ危険な橋を渡り危険な素材を使う。なんでか分かるか?」


「ただのお馬鹿さんでしょう?」


「いーや……」


元々俺たちがコブラを食べていた場所。

そこには、顕微鏡を覗きながら一心不乱にメモ書きを走らせるコロネの姿があった。

それを目にしたマカロンの紫色の瞳が大きく見開かれる。


「コロネは一つでも多く作りたいのさ。美味い美味いって、皆が幸せになる料理をな――」


「po値は185。基準値の10倍。po値10の毒を消すためには魔法硝石が100mlと魔女爪が0.5g、女神の涙が43ml。10倍にするだけじゃだめ。185ピッタリの毒を消す毒消しを作らないといけないから――」


「よ、コブラ飯の進捗はどーだ?」


「鼻の下クソ伸ばし勇者。もう戻ってきたの?」


「伸ばしてねーよ!なんつーあだ名だ?!」


「その女のおっぱい見てデレデレしてたじゃない」


「してねーっつーの。可愛げのねぇ女だなぁ」


「あーらそんなこと言って、コブラ飯がたった今完成しそうなのに」


「コロネさん。アンタは美人だぜ……」


「な、何故ですの?!」


マカロンは胸元で両手を丸めワナワナと震える。


わたくしのフェジョアーダよりこんなゲテモノの方が美味しい?!そんなわけがありませんわ!」


「確かに魔物はゲテモノ料理ね。でもそれは無知からおこる誤った認識」


コロネは液体に漬けていたコブラ肉を鍋へと移す。


「ぽっちゃり勇者。生臭くて苦いって言ってたわね」


「おうよ。食えるけど美味くはねぇな」


「苦味は毒抜き。生臭さは赤ワインでフランベ。デミグラスと赤ワインで煮込めば……コブラのデミ角煮の完成よ!」


「おぉっなんつーいい香り……最初のとは比べ物になんねぇぜ〜」


「こ、これがあの、岩をも溶かす毒を持つ、ポイズンコブラですの?とてもそんな風には……」


角煮の艶めかしさに見とれるマカロン。


「食ってみろ!コロネの飯。お先にいただきまぁす!うま!生臭さ消えて代わりに濃ゆい肉の味がデミと一緒に広がる!パンチ効いた料理だなこりゃぁ!」


「アンタは早いのよ何もかも」


「あんなまじぃ肉をこんなに美味くするなんて、コロネは天才だなぁ。は〜美味い美味い」


「……当然よ」


「これはポイズンコブラ……」


角煮をフォークで突き刺し震えるマカロン。「食べたい」と「死ぬかも」がせめぎ合っているらしい。


「料理人としちゃ、目の前のこんな美味そうな食い物、逃せねぇよなぁ」


「ふ、煽ってくれましたわね……もちろん。わたくしは料理人、マカロン・ローズですのっ」


パクッ


上品な口に蕩けるコブラ肉。マカロンは膝から崩れ落ちた。


「っ……はぁ!なんてエレガント!こんな体中溶けてしまいそうな料理っハジメテですわぁっ」


「無駄に色っぽいな……」


「鼻の下クソ伸ばし勇者」


◇◇◇


コブラ肉はほぼ俺の胃袋に入った。ちなみに40000kcalという高カロリーである。


「コロネ。貴方の料理の腕は認めますわ。ですがそれほどの腕前がありながら何故魔物食を?美味しい顔を見たければ、わたくしのようにカロリー抑制エキスをお使いになればいいのに」


「そうね。アンタのエキスは、"美味しい"が失われてくこの世界では救世主かもね。でも、素材の味をめいっぱい活かすのが一流の料理人ってヤツでしょ?料理に関して妥協しない。私は料理に嘘はつかない」


「例えそれで、命を落としても?」


「えぇ。勿論よ」


コロネの言葉には淀みがない。マカロンはため息を零すと黒髪を手で靡かせた。


「今回はわたくしの負けですわね。タイガ様のことは諦めますわ。けれど、この先もっと美味しい料理を作り、必ずやタイガ様の胃袋を掴んでみせますの!お覚悟はよろしくて?」


「いつでも受けて立つわ。負ける気がしないもの」


「うむ。俺もいつでも審査員をする準備はできている。安心してくれ」


「タイガ様は食べたいだけですわね……」


「そういう男よ」


「ではまた会う日まで、死なないでくださいましね」


マカロンはウインクをすると立ち去った。


「なんか嵐みたいなやつだったなー」


「そうね。さぁ、夕飯のためにもう一狩りするわよ…………た、タイガ」


俺は空を眺めてボケーッとする。ポイズンコブラを食べたことによる糖質疲労の影響だ。


「あ?わりぃ、なんか言ったか?夕飯のメニューか?」


往復ビンタされた。解せぬ。


「さっさと行くわよ!ぽっちゃり勇者!」


マナフィールド制覇の旅は続く。


◇◇◇


マカロンは入江にある洞窟へと戻っていた。


「おーぃおぃおぃおぃおぃおぃおぃマカロンちゃぁん。何を手ぶらで戻ってきてんだィ〜?」


筋骨隆々な黄色のパイナップル頭。


「おぃが多すぎてウザイです。ブランさん」


傍に控えるは、茶色に白のインナーが入ったウルフカットの男だ。


「ブラン様、ミルフィ様。タイガというあの男ですが、ポイズンコブラを一撃で仕留めるパワーと食に対する強いこだわりがありますわ。仲間に引き込むのは不可能――」


「うんうんうんうんうんじゃあさじゃぁさぁあソイツの仲間人質に取って、従うまで指切り落とせばよくねぇ?楽じゃね〜?」


「うんが多すぎてキモイです。女の方は料理人。ボクらで半殺しにできますね」


「デブ奴隷、ゲットしちゃおっかなぁあ〜」


南国の入江にて不気味な笑い声が響く。


パーティの料理人であるマカロンは静かに唇を噛み締めた。


















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