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騎士団


「ルー!駄目だ!皆私の声が通じなくなっている!」

ミュリエルが、精一杯の声でルーへ伝える。


ミュリエルの元へは、かつて自分の配下だった騎士団員たちが、剣を持って押し寄せている。


その様相は、さながら獲物に群がるハイエナのようだった…


ハイエナたちは


「殺せ…」「裏切り者…」「魔王の手下…」


同じことを繰り返し唱え続けている。


今までの忠誠が、嘘のようだ。




―――その時だった。




ミュリエルが、剣を捨てた。


「最早これまで・・・」


ミュリエルは思い詰めていた。


見ず知らずの住民が殺されるところを見て、心が折れかけたミュリエル。


そのミュリエルが、かつての仲間に手をかけることが果たしてあるだろうか。




「馬鹿な奴め」


ほくそ笑むアザゼル。


騎士団員のひとりが、容赦なくミュリエルへと斬りかかる。


ミュリエルはとっさに後ろへ下がるが、そこにはもう一人の騎士団員がいた。


反応しようとするミュリエル。


遅かった。


かわそうとするミュリエルだったが、脚に剣撃を受けてしまう。


「うっ・・・」


苦痛に顔を歪めるミュリエル。



・・・だが、そこにはルーという絶大な力を持つ元魔王がいた。


「ミュリエル、騎士団員たちには申し訳ないが、いっとき苦痛を与えるやも知れん」


ルーは、騎士団員たちに向かってデバフ魔法「グラビティ・プレス」を放つ。


この魔法はその名の通り、重力によって敵を地面へと押さえつけるものだ。


あらゆるモノを地面へとひれ伏せさせる、元魔王らしい魔法だった。




戦況が少し打開された。


あとは、ミュリエルの声がかつての仲間たちへと通るかどうかだが・・・



その時、戦況を見守ろうと地に降り立っていたアザゼルの元で声がした。


――リアンだった。


「俺のことも忘れてもらっちゃ困るんだがな!」


勇者としてのカンを取り戻しつつあった、リアン。


足の早さも、敵の隙をつくカンも、抜群だった。


「おらああぁぁぁぁぁぁ」


だが、アザゼルは身を躱さなかった。


そのかわり、リアンの剣撃は、空を斬った。


「・・・?」


リアンは咄嗟のことに声も出ない。


そこには――


――分身し、複数体となったアザゼルの姿があった。


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