第5話「マナト・ナナセ」
アカツキファミリーの拠点に身を寄せた初日。
夕食後に自室で過去の資料等を整理しているとミナが勢いよく部屋へ入ってきた。
その後ろから落ち着いた感じでヨールズも入ってきて・・・
「マナト!聞きたいことがあるの!!」
「ん?」
「マナトって何者?」
「へ?」
「マナトさんがそこらの人とは違うというのはわかります。ですがそれ以上に素性が知れないのです。」
「お爺ちゃんと古くからの知り合いって話だったし、普通に長生きしすぎ!」
「それでマナトさんに直接聞いたらいいんじゃないかという事になりまして・・」
成程ね。まぁ、確かに気にはなるか・・・。
「・・・そんなに面白い話じゃないぞ?」
「あと、他言無用な?秘密にしてるって訳じゃないが広まってほしいとは思ってないんでな」
「は~い!」
「わかりました」
さて、どこから話したもんか・・・。
「まず名前からわかると思うけどこの国の人間じゃない」
「日本ていう国の生まれだ」
「ニホン・・?」
「え?古代に存在していた国の一つですよね?」
「よく覚えてたな。そうだその日本だ」
「・・・でその国で一回死んでるんだ」
「へ?」
「え?」
「ちょ、ちょっと、じゃぁ目の前にいるマナトってゾンビ?」
「んなわけあるかい!先に言うと俺、不死身なんだ」
「・・・・」
二人が無言になる。ちょっと視線が胡散臭さを帯びているのは気のせいか・・?
「まぁ、信じられないのも無理ないな。俺も最初そうだった」
そう言いながら一度目の死の際の光景を思い出した。今でも鮮明に思い出せるから不思議だ。
「死んで・・・次に目を覚ましたのはこの大陸の端っこだったな」
「それで起き上がると隣に一人の女性が立ってたんだ」
ガタタッ
女性と聞いた途端、勢いよく二人が立って迫ってきた。
「その人誰!恋人?!」
「ちょ、いきなり何だ??」
「違うから!なんでそうなるんだ?!落ち着けミナ、ヨールズも・・・今話すから!」
そう言ってミナ達を再び座らせるとその女性について軽く説明した。
その女性はマナトを地下から救い出し蘇生した恩人でマナトは不老不滅の存在であることを教えてくれた。
女性自身は名前を持っていなかった為、マナトが名付けを行った事。
「それが大体・・・何年前だっけか?数百年はもう経ってると思うが・・・」
「数百・・・」
「すごいお爺ちゃんじゃん・・・・」
「だからジジイっつったろ?」
「どうだ?言った通り面白くもない話だったろ?」
「なんというか・・・ぶっ飛びすぎてワケわかんない・・」
「あ・・・そういえばその女性とは今も連絡は取れるんですよね?」
「ん?あぁ、取れるが・・・呼ぼうか?」
「え?呼べるの?」
「あぁ、呼べるぞ?テラース、聞こえるか?ちょっと来てくれ」
「え?テラース・・?」
そうヨールズが言ったのと同時に俺の隣に荘厳な雰囲気を漂わせた女性が現れた。
その姿を見たヨールズがガタガタと震えてこう言った。
「テラース様?!」
「え?あの宗教の?」
「はい・・・そのように人々からは呼ばれています」
「私はこの星の人型端末ですが、マナトから名付けてもらって以来テラースと名乗っています」
「・・?」
「人型端末?」
「テラース、今の人々は端末と言われてもピンとこないからそのくだりは言わない方が良いってこの間も話したじゃないか」
「あら、そうでしたね・・・失念してました・・・」
「二人とも、俺らが住むこの星は地球ってのは認識してるよな?」
「その星も生きてて俺らに意思を伝える為に創られたのがテラースってわけ」
「で、前々からその相方となるべく人間側にもコンタクトを取れる人物をと用意したのが俺って訳だ」
「・・・ってことは夫婦?」
「ちゃうわ!」
と、ミナに鋭い手刀を食らわせつつツッコミを入れるとさっきからカタカタ震えながら放心状態にあるヨールズを見やる。
まぁ、自分の宗派の神ご本人登場じゃ仕方ないがそろそろ起きてもらおう。
「ヨーーールズ!」
「はいぃぃ」
「どうだ?落ち着いたか?」
「あ・・・ありがとうございます・・・」
と、一旦落ち着いた視線がテラースに向くと
「ほあぁぁ・・・テラース様に会えるなんて・・・聖女しててよかった・・・」
今度は感極まって泣き出した・・・本人は幸せそうで何より・・。
「ところで、私は何故ここに呼ばれたのです?」
「あぁ、この二人に俺の経歴を聞かれたんでな、その流れでテラースに会いたいってなってな」
「そうでしたか・・・あらあら、そんなに泣かないで~?」
「デラーズざばぁぁぁ、お会いでぎでごうえいでずぅぅぅ」
ヨールズさん、色々と駄々洩れてます・・・
「あらあら、どうしましょう・・・?あら?」
「どうしたテラース?」
「この子、マナの流れが滞ってますね?」
「ん?どこだ?」
「ほら、両手首」
「ん~~、あ、ホントだ気付かなかった」
「どしたの二人とも?ヨルちゃんどっか悪いの?」
「びえ?」
ミナがヨールズの顔を拭きつつ聞いてきた。
「いや、そういうわけじゃないんだが時々あるんだ」
「人は体内のマナを循環させて魔法を使うんだが無理をすると流れが滞って100%の力が出せなくなるんだ」
「ヨールズは大分前から自己流で光魔法を使っていたようだからその影響だろうな」
「じゃあ、その淀みを無くせば・・?」
「マナの総量の割に初級しか使えなかったのもこれで合点がいったよ」
「中級から上級まで光魔法が使えるようになるやもしれん」
「では、処置しますね」
「・・・はい、終わりました」
「「え?」」
ほんの一瞬で終わった事でミナとヨールズが同時に驚きの声を上げる。
「よし、ヨールズ、ちょっと集中してみてくれ」
「分かりました・・」
そういい両手を胸の前に出して集中し始めた。
「?!すごい!こんなマナの高まりは初めて!!」
「おー、ヨルちゃんすごい!」
ヨールズの周辺に高まったマナが渦巻いている。
「処置は成功だな」
「当然です」
テラースが自慢げに胸を張る。
「じゃあ、試しに魔法使ってみますね!」
「「「え?」」」
嫌な予感がした俺は目を瞑ったが他の二人は様子を伺っている。
「初級光魔法!ライト!!」
「ぎゃぁぁぁ目がぁぁぁぁ」
「目ぇぇぇ」
実はトールの診療所でも似たような事があったんだ。
だから今回は避けられたんだけど・・・・
(二人とも・・・南無・・・)
心の中で合掌しつつ光が収まるのを待つのだった。




