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第1話「イーストウィッチの聖女」

私の名はフレイ。首都ウェルミンスターの東に位置するここイーストウィッチの学園に通う学生だ。

この街の中心には大通りが通っており、そこを教会に向かって一人の少女を中心に移動する一団がある。

その少女こそ、この街で聖女と呼ばれついこの間まで一緒に遊んでいたヨル姉だ。

ヨル姉を取り囲んで歩いているのは護衛・・・にしてはガラの悪い人たちで時折近づいてくる人を威圧的に追い払っている。

私はこいつらが嫌いだ・・・。


ヨル姉ことヨールズは近所に住んでいて幼馴染。

私が15で彼女は18歳な為、姉のように慕っていて親しみを込めて「ヨル姉」って呼んでた。

それが先日の新領主の就任でがらりと状況が変わってしまった。


ヨル姉は光魔法の適性を持っていた。と、言っても軽度の出血を伴う傷を治癒できるくらいの軽い物だった。

とは言え、貴重な光属性だけあって新領主は金になると思ったんだろう。

彼女を教会所属の聖女に認定し、ゴロツキを雇って街を練り歩き、怪我してる人を治療しては高いお布施を集めている。

なんだったらそのごろつき数名で怪我させてから・・・なんてのを見たことある。

けど表向きにはその治癒の光を見せつけて市民の信仰を集めていたから質が悪い。

本来聖女の認定にはウェルミンスターにあるテラース教本部で厳正な審査が必要なはずなんだけど、領主が認定って時点でおかしいし・・教会もグルってこと・・?


こんなことを考えながらヨル姉を見ていると、様子がおかしいことに気付いた。

何か辛そう・・?そう思った次の瞬間、彼女がふらっと前のめりに倒れた。

「聖女様?!」

人々が悲鳴染みた声を上げる。

彼女の周囲の男どもは若干面倒くさそうに早く立つよう催促しているようだ。

その様子を見て我慢できなくなって気が付いたらヨル姉の傍にいた。


身体が熱い・・・息も苦しそうで早くお医者様のとこに連れて行かなきゃ・・・

そう思って体を支えようとしたとき取り巻きの男に突き飛ばされた。


「聖女様に気安く触るんじゃぁねぇ!」


「早くお医者様に見せないと彼女死んじゃう!」


「はぁ?何言ってんだ?聖女様は病気なんかにかからんのだ?知らんのか?」


え・・?こいつこそ何言ってるの・・?


「よく見てよ!明らかに体調悪そうじゃない!」


「大丈夫だ、教会で休めばすぐ体調は戻る。そうに決まってる。領主様がそう言ってるんだ。」


そう言って男らは彼女を無理やり立たせて歩かせようとした。

「ダメだよヨル姉!無理しちゃ!」


「大丈夫よフレイ・・・お姉ちゃんは大丈夫・・・」

そう無理やり笑顔を作りながら言った直後、今度は膝をついて動かなくなった。

・・・気を失っている。

やはりお医者様のところに連れて行かなきゃ!

そう思い再びヨル姉のもとへ駆け寄る。

が、やはり男たちに行く手を阻まれてしまう。


「聖女様に近づくなと言っている。」

「これ以上邪魔するなら手荒な手段を使わないといけねぇなぁ?」

「領主様からもある程度までなら許可貰ってるしなぁ」


男どもが下卑た笑いを含ませながら言ってくる・・・。

ヨル姉が連れてかれちゃう・・・このままだと死んじゃう・・・。

嫌!そんなの嫌っ!!

私は泣きながら叫んだ。

「誰かっ!誰かヨル姉を助けてぇぇ!!」


「ぐっ」

「なんだお前ぇ・・」

「なん・・がはっ」


「・・・久しぶりに来てみれば・・・どうにもきな臭いことになってんなぁ」


「・・・え?」


目を開けると一人の青年がヨル姉を抱えてこう言った。


「君!医者の所に案内してくれ!」

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