第3話-前編
◆第三話◆
あなたがくれたきっかけだから
もう一度
逃げずに生きていこうと思った
今更バカみたいだから
素直になんてなれないけど
「ウィル……入ってもいい?」
「あぁ」
短い応えにどぎまぎしながらドア開けた。
そこには執務室の机に頬杖をついて、優しい眼差しで鳥籠を突く幼馴染み_基、国王が座っていた。
鳥籠の中には、自分の髪と同じような色をした小鳥が一羽止まっており、彼が差し出す指に甘えている。
「と、鳥?」
「カナリアだろうな。迷い込んできたんだ」
若干、声が上ずってしまったが、彼は気づいていない。
「なつかれてるのね。珍しい」
「だろ?鳥ってこんなに人懐っこいか?」
そう言いながらも嬉しそうに目を細めた。
「で、どうしたんだ?」
以前目線は鳥籠に落としたまま彼は訊ねた。
知っているだろうに、彼の指がピクリと動いた。
「義眼……つけた、の」
「そうか……。ところでさ、コイツの名前なにがいいと思う?」
話題を変えやがった。
ひどくこざっぱりした態度に少しだけムッとしたので、クロエは顔を背けてぼそりと呟いた。
「……なんでもいいんじゃない?」
するとウィリアムがその反応を予想していたかのように、笑顔で肩をすくめた。
「そうだな。お前がそう言うなら……『クロエ』にする」
「はぁ!?紛らわしい名前つけてんじゃないわよ!!」
楽しそうに訳のわからないことを宣った彼に盛大なツッコミを入れるクロエをよそに、ウィリアムは鳥籠に手をいれると、いとも素直にカナリア――『クロエ』は乗った。
「なんかお前に似てるけど、正反対だから毎日暴言を吐かれてる俺を癒してもらおうと思って。実はもう覚えてるんだよな、『クロエ』」
彼がそう言うと、カナリアは応えるようにピィ、と鳴いた。刷り込み済みとはタチが悪い。
いかにもウィリアムのやり方な感じだ。
「お前は素直だなー」
「……素直じゃなくて悪かったわね」




