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28話 春男の資料

 春男の資料


 春男の家の中は、基本的に夏はクーラーで寒くて、夏は暖房が効いていて暑い。ずっと家の中にいるせいか、あまり調節がうまくないようだ。しかも、父親がやっていないせいか、まだ冬服に変わっていない。へたすると、このまま半そでで冬を乗りきるんじゃないだろうか。

 当然のことながら、めったに窓が開いていることはない。風でも吹いて資料の紙が飛びでもしたら大変なことになる。

 そして、今日はいい天気ではあったが、天気予報で言われるくらいに風が吹いていた。春男の家のドアを開けるなりオレは目を丸くした。

「春男ー。うわっ。なんだ、これ。」

春男の家の中は紙が散らばっていた。奥に春男が突っ立っていた。エアコンのリモコンを持って。

「風でやられた。ちょうど、風が流れるように、向こう側の窓も開けたあとだったんだ。」

げんなりしたように春男が言った。どうやら、さっきやったらしい。

「風?今日は、強いって天気予報でも言っていただろう。」

「見てないんだよ。」

たしかに、外出や洗濯の予定でもなければ、ずっと家にいる春男に天気は関係ないだろう。

「どうしたんだ、窓なんか開けて。」

「カーテンを洗ったんだ。で、いい天気なことだし、外の風で乾かそうと思ったら……。」

「こうなったわけか。」

「そう。」

もうすでにカーテンは窓のそばにつるされていた。いい香りがするから洗い立てなのだろう。オレはため息をついた。足の踏み場さえもない。

とりあえず、足元にある紙から拾ったが……。

「異世界の世界――カーテンの秘密?」

「ああ、面白そうだろう?カーテンのこっち側と向こう側にはそれぞれの世界があって、重なる場所にいる人には幽霊が見えるらしいよ。」

他のを拾ってみると。

「カーテン、特売?」

「今の古いから、買いなおそうかと思って。ブラインドだと、拭くのが面倒だろう。ついでに、カーテンについて、お店の人にあれこれ聞いてこようかと思ってるんだ。」

別の資料。

「カーテンコールについて……。」

「ああ、それはインターネットで引っ張り出したんだ。全部で、五枚あるから番号順にしておいてくれ。どっかにあるはずだ。」

オレはなんだか、げんなりしてきた。

「春男。」

「なに?」

「おまえ、これ、なんの資料だ?」

「カーテンに関して。」

「多すぎだろう!範囲が広すぎだろうが!お前、もしかして、いままでの資料、全部こんな感じなのか?」「そうだよ。」

「そうだよって、多すぎだろうが。よく親父さんなにも言わなかったな!」

「だから、ジャンルじゃなくて、ひらがな順に資料があるんじゃないか。」

確かに、そうなっている。オレはなんだか、いやな予感した。なぜ、この資料が、今、出ているのだろう?「春男、今度の作品にカーテンが出てくるのか?」

「うん、太陽の当たる時間によって色が変わるなんて面白いかなぁと思って。」

 しばらくは、カーテンに悩まされそうだ……。


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