25話 ミステリー(後編)
ミステリー(後半)
「春男……。」
「ちょっと詳しい話をお聞きしたいので、署まできてもらえますか?」
オレはぼんやりしながら、そこにいた警官につれていった。気がつけば、椅子に座り、あれこれ聞かれていた。仕事の内容、春男との関係、恨まれていないかなどなど、いろいろなことだ。
「それにしても、あなたはたびたび彼に向かって怒鳴っていたそうですね?」
「え、あ、まぁ仕事のことで。」
「もめていた?」
「もめるというほどの事でもありませんが。たまに、怒鳴る事はあります。」
「そうですか。」
やけにのんびりした口調で刑事は言った。なんだか、心配になってきた。
「あの、春男を刺したのは、誰なんでしょう?」
「それなんですが、凶器の包丁にあなたの指紋がついていますが?」
「え?」
「これです。」
透明なビニールに詰まられていた包丁。
「あ、それ、春男の家にあったものですよね?」
「よくご存知ですね。」
「昨日の夜、使ったので。」
「ほう!昨日の夜!何時ごろですか?」
「七時だと思います。夕食を作ったので。反対側にして、肉を叩いたんです。やわらかくなるそうなので。」
「その二時間後、亡くなっています。」
俺は呆然として言葉を失った。
「ところで、あなたは彼の家の鍵を持っていますね?」
「え、ええ。お互いに一人暮らしなので、なにかあったらいけないので。」
「実は、家の鍵が閉まっていましてね?」
ん?もしかして、それって……。
「オレ、疑われていますか?」
「いえいえ。関係者に聞いているだけですよ。でもこれを差し上げます。」
カチャ。手に手錠がはめられた。
「嘘だ!」
大きな自分の声で目が覚めた。汗だらけ。どこからユメだったのだろう。
慌てて、時計を見ると、夜中だ。部屋が暗いせいか、どうも感覚が鈍い。日付もよくわからない。慌てて春男の家に電話にかけると、春男は寝ていた。寝ぼけているような声がした。生きている!
「なにぃー?こんな時間に。」
「お前、ミステリーの話、したか?」
「ん?あれ、明日言おうと思ってなんだよ。なんで、知っているのさ?」
「いや、いや、また明日聞く。」
オレは電話を切った。
「ああ、怖かった……。」
手の回りをさすってももちろんそこには何もない。ん?
「明日、話す?」
ん?
オレはどこから夢を見ていたのだろう。どこからどこまで、現実のなのか。とりあえず、着替えてからまた寝た。明日考えよう……。




