23話 日本人になる
日本人になる
秋といえば、おいしい食べ物がいっぱい。栗だったり、柿だったり。ほかにも、きのこ類や栗などもよく見かける。当然、コンビニの弁当にも差が現れるんだから、一般家庭の食卓にもなにかしらの変化があるのが当然だろう。しかし。
「なんだ、これ。みかんか?」
春男の家でちゃっかり夕食を取っていたオレは顔をしかめた。
「それ?あんず。余っていたんだ。」
「だからって、飯の中に入れることはないだろう!だいたい、これなんだ、この、ぱさぱさの米は。日本米じゃないな?」
「あたり。よくわかったねぇ。」
春男の家の米は、春男の田舎から送られてくる。つまり、大抵の場合は日本国米だ。
「買いに出かけたのか?」
「ううん。ためしに友人にもらった。日本人になるんだって。」
いくら、オレが春男と長く付き合っているといえども、なんでもかんでも理解できるとは限らない。理解できたら、それこそ宇宙人だ。
「まて。じゃ、今は?」
「いまはまだ、アメリカ人。あ、でも、友人はハーフ。」
「まてまて。整頓だ。お前の友人はハーフで、アメリカ人なのか?」
「ううん。日本人。」
「じゃ、誰がアメリカ人なんだ?」
「彼女のだんな。」
「で、誰が日本人になるんだ?」
「だんなさん。でも、彼もハーフなんだよ。」
まだよくわからない。しかし、オレの頭はもういっぱいいっぱいになっていた。
「図にかけ。」
しぶしぶ、春男は図を書き始めた。
「んーと、日本人のお父さんと、アメリカ人のお母さんの間に、旦那さんがいるんだけど、戸籍はアメリカにあるから、日系の二世なんだ。で、僕の友人の彼女もハーフなんだけど、戸籍は日本にあるから、日本人なんだ。」
春男の書いた、図を見つつ、やっと説明でわかった。
「つまり結婚して、なおかつ帰化するんだな?」
「そう。」
最初からそう言え!
「へぇ。帰化ってどうするんだ?」
「話し合うんだって。」
「話し合い?」
「んー。詳しいことはまだだからよくわかんないけど、結構あいまいなもののようだよ。」
「そうなのか?」
「どうだろう?」
よくわからない話になったものだ。それにしても。
「アメリカの米はこんなにパサパサしてないだろう?」
「ああ、これは中国のお米。新婚旅行で行ったんだって。で、杏が余っていたから、入れてみたんだ。おもしろい味だろう?」
オレは、妙に甘いご飯を食べながら、だんだん春男の作る料理が、春男の母親の作るものと似てきたら、本当に、担当をやめようとひそかに心に誓った。




