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22話 夏の終わり

 夏の終わり


「さむぅー。」

 オレは春男の家に上がりこむなり、なにも断ることなく、クーラーを切った。

「ただの除湿なのに。」

「今日の外が涼しいんだよ。」

 オレはとりあえず、ソファに座った。春男の髪はまだ、あっちこっち結んだまま、伸びてきている。相当邪魔のようだ。

「やっぱり、親父さん、来ないのか?」

 春男はパソコンに向かったままで言った。

「うん。リフォーム後の荷物を取りに来たけど、バザーの準備で忙しいんだって。」

「バザぁー?」

 洋介は思い出した。そういえば、前回に会ったときにそんなことを言っていた気がする。

「そう。二十日だけど、暇?」

「忙しい。」

 オレは即答した。暇だといって、よかったことなどない。

「デートと仕事以外の予定なら却下だけど。予定内容は?」

 ……負けた。家で寝ている予定だったのに。

 その日は晴れた。

 かなり広いスペースで、服やらレースの編物などがあった。商品を並べながら、春男の父親は言った。

「いやぁ、悪いねぇ。君にまで手伝ってもらって。」

「いえ。この、商品は、みんな?」

「そう、手作り。」

「あの、こんなに大勢のいるところで売っていてもいいんですか?」

「いいんだよ、母さんも来るし。」

「え?」

 オレは目を丸くして、春男のほうに目を向けると、春男の背後に、マキさんが見えた。

「ホントだ。」

「ん?ああ、母さんこっち。」

 春男が手を振ると、彼女もにっこりと微笑んで見せた。オレは全部が明らかになったのだろうか?それにしては平和なような?どういうことなんだろう?と、いろいろなことが一気に頭の中でぐるぐる回った。

「あら、たしか、佐々木君よね?」

「は、はい。」

 まさか、一回会っただけの息子の担当の顔や名前を覚えているとは思わなかった。春男と大違いだ!

「手伝いに来てもらったんだ。母さんもなにか買っていく?」

「あとで、私から贈るから、ダメだ。」

 さっきのようなうきうきした声ではなく、落ち着いた厳格があるような声で春男の父親は言った。

「はいはい、楽しみにしているわ。それじゃあね。」

 忙しそうに春男の母親はにこやかに去っていった。しらないうちに緊張していたのかもしれない、マキさんがいなくなると、体の力を抜いた。

「なんで、お前のお袋さんが知っているんだよ?」

「父さんの友人のバザーなんだ。もうすぐ来るけど。一緒に売っているんだよ。母さんは、これ、全部、その人たちのものだと思っているんだ。」

「なるほど。ん?その人たちは真実を知っているの?」

「本人はね。奥さんは知らない。あ、来たよ。」

 春男は向こうからやってくる夫婦に手を振って見せた。なんだか、たいした理由もないのに、やけに、肩がこった一日だった……。


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