17話 クラゲの生態
クラゲの生態
そのうち、なにかの役に立つのかさえも考えることが面倒になってきた、今日の春男の質問は、いつものように変わったものだった。
「クラゲって、淡水でも生きられるの?」
本を読みながら、作品が上がるのを待っていたオレは、本から目を離して考えた。食べることができるのは知っているし、大きなクラゲが海に大量に出回っていることも知っていたが、淡水で生きられるのかはわからない。
「は?クラゲ?いや、知らん。なんでだ?」
作品に影響するのではないかという、思いが常に頭に浮かんでしまう。
「いや、今日、友人からメールをもらってさぁ。でもわからなくて。そうか、洋介でもわからないか。」
そんなことを知らなくても困らないのはオレだけじゃあるまい。
「じゃ、メル友に聞いてみるよ。」
オレは目を丸くした。
「メル友?お前に?」
はっきりいって、春男は社交的とは絶対にいえないほうだ。いつのまに、メル友を作ったのだろう。
「うん。最近できたんだ。なかなかおもしろい考え方の人だよ。」
春男に面白いと言われるとは、それはそれでちょっと気になった。
「どんな人なんだ?」
「よくわからない。」
オレはため息をついた。
「オレには理解できない。」
ただでさえ、時間のないオレには理解できる日は遠そうだ。時間と暇のあった学生時代ならまだしも、社会人になってまで必要なものだろうか。
まぁ、春男は別だ。作家なのだから、大抵はパソコンの前にいる。しかし、なにも、メールをしなくても、自分でインターネットで調べれば良いだけの話ではないかと思ったが、言わないでおいた。春男が検索している時間がもったいない。
「誰が聞いてきたんだ?」
オレは春男意外に、そんなことを考えるやつがいるのかということが気になった。
「この間、会っただろう、沖縄フェアでお面の事を教えてくれた子だよ。」
オレは記憶をさかのぼった。たしかに会ったことがある。ついでに、類は友を呼ぶと言う言葉が頭をよぎったことを思い出した。
「なんで、その子はクラゲのことなんか、調べているんだ?」
「さぁ?」
春男は、メル友に送るメールの作成で頭がいっぱいのようで、質問の意味については、関心さえもないようだ。そんなことでいいのかなぁと、細かいことが気なるオレだった。
「お前の作品には影響しないんだな?」
「わからない。」
その数日後、主人公の友人のペットがクラゲになっていた。どうやら、飼えるらしい。しかし、感心している場合じゃない。さっそく春男に抗議の電話をかけた。
「クラゲをペットにするやつがどこにいるんだ!」
「結構、いるみたいだよ。隠れたマニアが。僕じゃ、面倒になりそうだけどね。結構手間がかかるみたいだよ。とりあえず、そのままにしておいてよ、クラゲが好きな人が本を買ってくれるかもしれないから。じゃあね。」
「おい。」
オレは、声をかけたが、電話は切られていた。ついため息をついた。
「これ以上、マニアなファンを増やしてどうするつもりなんだ……。」




