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この人生、採点中  作者: 夜凪 灯
第一章 『あなたは、あなたを何点にしますか』

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62/117

Review62 姉である前に

 午前七時四十六分。


 高瀬は。


 職員室。


 入って。


 机の上。


 小さな。


 紙袋。


 見つけた。


「……?」


 持つ。


 軽い。


 付箋。



『朝ごはん。』



「……」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


 字。


 知ってる。


「沙耶」


 袋。


 開ける。


 パン。


 二つ。


 クリーム。


 あん。


「……」


「何で」


「二個」


「食べると思ったから」


「うわっ!」


 後ろ。


 沙耶。


「姉も」


「後ろから来るの!?」


「普通に」


「歩いてきた」


「それ」


「みんな」


「言う!」


 沙耶。


 少し。


 笑う。


「ちゃんと」


「食べて」


「最近」


「昼だけじゃなく」


「朝まで」


「監視?」


「弟が」


「昔から」


「食べないから」


「……」


 高瀬。


 袋。


 見る。


「どっち」


「俺の?」


「両方」


「マジ?」


「食べすぎなら」


「一個」


「誰かに」


「あげて」


「……」


 高瀬。


「沙耶」


「何」


「クリーム」


「食う?」


「自分で」


「食べる」


「……」


「何で」


「聞いた」


「一緒に」


「食べようかなって」


「……」


 沙耶。


 一瞬。


 顔。


 柔らかくなる。


「じゃあ」


「あん」


「もらう」


「そっち?」


「何」


「クリーム」


「嫌い?」


「好き」


「じゃあ」


「何で」


「悠介が」


「クリーム」


「好きだった」


「……」


 高瀬。


 少し。


 止まる。


「だった?」


「昔から」


「……」


「今も」


「好き」


「じゃあ」


「それで」


「いいじゃん」


 沙耶。


 あんパン。


 取る。


「姉」


「強い」


「何が」


「食べ物」


「迷わない」


「そこ?」


◇



 二人。


 職員室。


 端。


 パン。


 食べる。


「……」


 高瀬。


 クリーム。


 一口。


「うま」


 沙耶。


「普通」


「最近」


「普通」


「褒め言葉に」


「なってる?」


「なってる」


「……」


 沙耶。


 少し。


 笑う。


「悠介」


「何」


「最近」


「前より」


「よく笑う」


「……」


 高瀬。


 手。


 少し。


 止まる。


「そう?」


「うん」


「……」


「何で」


「分かる」


「姉だから」


「……」


 高瀬。


 少し。


 顔。


 しかめる。


「それ」


「便利」


「何が」


「姉だからって」


「何でも」


「分かる感じ」


「……」


 沙耶。


 少し。


 眉。


 動く。


「分かってないよ」


「え」


「……」


「私」


「悠介のこと」


「分かってるつもりだった」


「……」


「でも」


 一度。


 視線。


 下。


「三年前」


「全然」


「分かってなかった」


「……」


 高瀬。


 パン。


 置く。


「何が」


「悠介」


「自分のこと」


「どうでもいいって」


「思ってた」


「……」


 胸。


 少し。


 痛い。


「No.18にも」


「言われた」


「……」


 沙耶。


 顔。


 少し。


 変わる。


「そっか」


「うん」


「……」


「姉なのに」


 その言葉。


 小さい。


 高瀬。


 すぐ。


 反応する。


「それ」


「やめよ」


「何」


「姉なのに」


「……」


 沙耶。


 高瀬。


 見る。


「姉でも」


「分からんこと」


「あるだろ」


「……」


「俺」


「言ってないし」


「……」


「隠してた」


「うん」


「……」


「じゃあ」


「分かれって」


「無理じゃん」


「……」


 沙耶。


 少し。


 笑う。


「悠介」


「何」


「今日」


「ちょっと」


「まとも」


「何で!」


「弟に」


「慰められるの」


「慣れない」


「失礼!」


◇



 午前十時五十二分。


 空き教室。


 沙耶。


 一人。


 スマートフォン。


 Review0。



『今日は、


何したい?』



「……」


 画面。


 見る。


 少し。


 長く。


 考える。


 悠介。


 見守る。


 結良。


 記憶。


 守る。


 真由。


 気にかける。


 No.18。


 思い出す。


 全部。


 誰か。


「……」


 沙耶。


 指。


 止まる。


 自分。


 何したい。


「……」


 小さく。


「分かんない」


 笑う。


 でも。


 昨日まで。


 この言葉。


 怖かった。


 今日は。


 少し。


 楽。


 入力。



『今日は


自分のことを


一個だけ


思い出したい。』



 止まる。


 送信。



『そっか。』



「……」


 沙耶。


 少し。


 笑う。


「本当に」


「それだけ」


◇



 昼。


 保健室。


 佐伯。


 記録。


 書く。


「真由ちゃん」


「はい」


 沙耶。


 入る。


「寝に来た?」


「それ」


「結良ちゃん」


「専用」


「最近」


「誰にでも」


「言ってる」


「流行ってます」


「何が」


「寝に来た」


「嫌な流行」


 佐伯。


 少し。


 笑う。


「どうしました」


「少し」


「話したい」


「……」


 佐伯。


 ペン。


 置く。


「どうぞ」


◇



 沙耶。


 椅子。


 座る。


「私」


「三年前」


「真由ちゃん」


「助けようと」


「してた」


「……」


「はい」


「でも」


「昨日」


「思い出した」


「……」


「私」


「名前」


「押し付けかけてた」


「……」


 佐伯。


 少し。


 目。


 細くなる。


「それ」


「今日」


「ずっと」


「考えてる?」


「うん」


「……」


「沙耶さん」


「何」


「昨日」


「私」


「ありがとうって」


「言った」


「……」


「うん」


「聞きました?」


「聞いた」


「……」


「なら」


「今日は」


「もう」


「それで」


「よくない?」


「……」


 沙耶。


 少し。


 驚く。


「軽い」


「何が」


「もっと」


「深く」


「反省」


「しないと」


「……」


 佐伯。


 少し。


 笑う。


「沙耶さん」


「何」


「反省」


「好き?」


「……」


「好きでは」


「ない」


「でも」


「得意?」


「……」


「それ」


「嫌」


「でも」


「当たってる」


◇



「私」


 沙耶。


「昔から」


「責任」


「取ろうと」


「する」


「……」


「誰か」


「困ったら」


「自分が」


「何とか」


「……」


「悠介と」


「似てますね」


「言わないで」


「事実」


「それ」


「真壁先生みたい」


「うつります」


 少し。


 笑う。


 でも。


 沙耶。


 すぐ。


 表情。


 戻る。


「真由ちゃん」


「はい」


「私」


「昨日」


「あなたが」


「自分で帰るって」


「決めてたって」


「知った」


「……」


「うん」


「……」


「私」


「助けた」


「つもりだった」


「……」


「でも」


「本当は」


「隣にいただけ」


「……」


 佐伯。


「それ」


「ダメ?」


「……」


 沙耶。


 顔。


 上げる。


「むしろ」


「私は」


「そっちの方が」


「嬉しい」


「……」


「何で」


「私が」


「自分で」


「帰ったって」


「思えるから」


「……」


 沙耶。


 胸。


 少し。


 熱くなる。


「じゃあ」


「私」


「何も」


「してない?」


「してます」


「……」


「どっち」


「いた」


「……」


「名前」


「呼んだ」


「……」


「怖いって」


「言った」


「……」


「一人に」


「しなかった」


「……」


「でも」


「帰るって」


「決めたのは」


「私」


「……」


 沙耶。


 少し。


 笑う。


「その方が」


「いいね」


「はい」


◇



「沙耶さん」


「何」


「じゃあ」


「あなたは」


「何したい」


「……」


 沙耶。


 少し。


 笑う。


「Review0」


「みんな」


「その質問」


「好き」


「嫌い?」


「少し」


「……」


「でも」


 考える。


「今日」


「自分のこと」


「一個」


「思い出したい」


「……」


「誰かとの」


「記憶じゃなく」


「……」


「私の」


「うん」


「……」


 佐伯。


「例えば」


「……」


 沙耶。


「好きなもの」


「……」


「趣味」


「……」


「何か」


「私」


「三年前」


「何好きだった?」


「……」


 佐伯。


 少し。


 考える。


「覚えてない」


「……」


 二人。


 止まる。


 沙耶。


 吹き出す。


「でしょ」


「すみません」


「いや」


「今」


「ちょっと」


「嬉しい」


「何で」


「真由ちゃんも」


「私のこと」


「全部」


「知らない」


「……」


「普通」


「じゃん」


「……」


 二人。


 少し。


 笑う。


◇



 午後一時四十三分。


 職員室。


 高瀬。


 机。


 資料。


 見ている。


 沙耶。


 横。


 立つ。


「悠介」


「何」


「聞いていい」


「うん」


「私」


「昔」


「何好きだった」


「……」


 高瀬。


 完全に。


 止まる。


「何」


「その」


「難問」


「姉の」


「好きなもの」


「……」


「待って」


「今」


「思い出す」


「……」


 沙耶。


「出ない?」


「急かすな!」


「姉なのに」


「それ」


「そっちが」


「言う!?」


 沙耶。


 少し。


 笑う。


「食べ物」


「……」


 高瀬。


 考える。


「辛いもの」


「好き」


「……」


「本当?」


「多分」


「多分!?」


「待って」


「ラーメン」


「何味」


「……」


「辛いやつ」


「雑!」


「担々麺!」


「……」


 沙耶。


 少し。


 目。


 大きくなる。


「担々麺」


「好きだった?」


「一緒に」


「食いに」


「行った」


「……」


 沙耶。


 少し。


 眉。


 寄る。


「いつ」


「大学」


「入ってから」


「……」


「俺」


「辛くて」


「汗」


「やばかった」


「……」


 高瀬。


 自分。


 笑い。


 出る。


「沙耶」


「めっちゃ」


「普通に」


「食ってた」


「……」


 沙耶。


 頭。


 少し。


 痛む。


「……っ」


「沙耶」


「大丈夫」


「何か」


「見えた?」


「……」


 少し。


 記憶。


 店。


 赤い。


 スープ。


 高瀬。


 汗。


 ティッシュ。


「悠平」


『辛いなら』


『頼まなきゃいいのに』


『姉ちゃんが』


『うまいって』


『言うから』


『同じの』


『頼んだ』


『知らない』


『自分で決めたでしょ』


「……」


 沙耶。


 目。


 少し。


 大きくなる。


「思い出した」


「何」


「担々麺」


「……」


 高瀬。


「そこ!?」


「でも」


 沙耶。


 少し。


 笑う。


「私」


「辛いもの」


「好きだった」


「……」


「うん」


「……」


「今」


「食べたい」


「……」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「行く?」


「え」


「今日」


「帰り」


「……」


 沙耶。


 少し。


 驚く。


「いいの」


「何が」


「みんな」


「……」


「今日は」


「みんな」


「集まらん」


「……」


「俺と」


「姉」


「飯」


「それ」


「普通」


「じゃん」


「……」


 沙耶。


 少し。


 目。


 潤む。


「何」


「泣く?」


「泣かない」


「でも」


「ちょっと」


「泣きそう」


「そっか」


「それだけ?」


「それだけ」


「……」


 沙耶。


 笑う。


「最近」


「それ」


「みんな」


「言う」


「流行ってる」


◇



 午後五時四十六分。


 担々麺。


 店。


「辛」


 高瀬。


 水。


 飲む。


 沙耶。


 普通。


 食べる。


「悠介」


「何」


「弱くなった?」


「昔も」


「こうだった!」


「そうだっけ」


「思い出したんじゃ」


「ないの!?」


 沙耶。


 少し。


 笑う。


「何」


「その」


「余裕」


「普通」


「腹立つ!」


◇



 高瀬。


 汗。


 すごい。


「姉」


「ティッシュ」


「はい」


「ありがとう」


「昔も」


「これ」


「やった」


「……」


 高瀬。


 少し。


 止まる。


「俺」


「覚えてる」


「……」


「沙耶」


「ティッシュ」


「めっちゃ」


「渡してきた」


「……」


「何枚」


「五」


「多」


「今」


「二」


「成長」


「してる」


「何が!」


 二人。


 笑う。


◇



 少し。


 食べる。


 沙耶。


 ふと。


 箸。


 止める。


「悠介」


「何」


「私」


「姉」


「じゃなかったら」


「……」


 高瀬。


 顔。


 上げる。


「何」


「急に」


「……」


「私」


「何」


「……」


 高瀬。


 すぐ。


 答えない。


「橘沙耶」


「……」


「それだけ?」


「まず」


「それ」


「……」


「でも」


「何が」


「好きで」


「何が」


「嫌いで」


「……」


「どういう」


「人」


「……」


 高瀬。


 少し。


 考える。


「辛いもの」


「好き」


「……」


「弟」


「いじる」


「……」


「責任」


「取りたがる」


「……」


「人」


「心配する」


「……」


「たまに」


「言いすぎる」


「それ」


「悠介も」


「……」


「姉弟!」


「便利!」


 少し。


 笑う。


 でも。


 高瀬。


 続ける。


「あと」


「……」


「何」


「俺」


「沙耶と」


「飯」


「食うの」


「好きだった」


「……」


 沙耶。


 目。


 少し。


 大きくなる。


「姉だから?」


「多分」


「違う」


「……」


「沙耶だから」


「……」


 沙耶。


 完全に。


 動き。


 止まる。


「何」


「その顔」


「今」


「ちょっと」


「ずるい」


「何が!」


「昔」


「そんなこと」


「言わなかった」


「……」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「今」


「言いたかった」


「……」


 沙耶。


 目。


 潤む。


「悠介」


「何」


「辛い」


「担々麺?」


「違う」


「……」


「今」


「泣きそう」


「じゃあ」


「泣けば」


「……」


 沙耶。


 少し。


 笑う。


「雑」


「でも」


「今」


「それで」


「いい気」


「する」


◇



 店。


 出る。


 夜。


 少し。


 風。


 高瀬。


「辛かった」


「おいしかった」


「姉」


「強い」


「何が」


「辛さ」


「普通」


「それ」


「今」


「腹立つ」


 二人。


 少し。


 笑う。


「沙耶」


「何」


「今日」


「自分のこと」


「一個」


「思い出した?」


「うん」


「……」


「辛いもの」


「好き」


「だけ?」


「あと」


 一度。


 少し。


 高瀬を見る。


「弟と」


「ご飯」


「食べるの」


「好き」


「……」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「それ」


「俺も」


◇



 その瞬間。


 Review0。


 沙耶。


 通知。



━━━━━━━━━━━━


対象


橘沙耶


自己記憶


復元率


31%

━━━━━━━━━━━━



「……」


 高瀬。


「上がった?」


「うん」


 次.



━━━━━━━━━━━━


固定役割


『姉』


適合率


94%


↓


72%

━━━━━━━━━━━━



「……」


 沙耶。


 少し。


 笑う。


「下がった」


「姉」


「辞める?」


「それは」


「辞めない」


「即答」


「でも」


 一度。


 自分。


 胸。


「姉」


「だけじゃ」


「ない」


「……」


 高瀬。


「うん」


◇



 次.



━━━━━━━━━━━━


新規自己情報


・辛いものが好き

・担々麺が好き

・一人で決めたい時がある

・責任を背負いすぎる

・弟と食事をするのが好き

・橘沙耶として過ごす時間を選択

━━━━━━━━━━━━



「……」


 沙耶。


 最後。


 見る。


「橘沙耶として」


「……」


 高瀬。


「いいじゃん」


「うん」


◇



 夜。


 午後十時五十二分。


 沙耶。


 自宅。


 Review0。



『今日の自分を、


自分でどう思う?』



 入力。



『今日は


担々麺を食べた。』



『辛かった。』



『おいしかった。』



 一度。


 笑う。



『悠介は


相変わらず


辛いの弱かった。』



 続ける。



『私は


弟の姉。』



 止まる。



『でも


それだけじゃない。』



『橘沙耶。』



『辛いものが好き。』



『たまに


自分で


全部やろうとする。』



『人に頼るのは


まだ少し苦手。』



『でも』



『今日は


弟とご飯を食べたかったから


食べた。』



 少し。



『楽しかった。』



 送信。


 数秒。



『うん。』



 No.18。


 次.



『沙耶さん。』



『何』



『担々麺』



『まだ好きなんだね。』



「……」


 沙耶。


 目。


 少し。


 大きくなる.



『知ってた?』



『うん。』



『一緒に


食べたことある?』



 長い.


 少し.



『あるよ。』



「……"



『誰と』



 返事.



『沙耶さんと』



『私と』



『高瀬先生。』



「……"


 沙耶.


 胸.


 強く.


 鳴る.



『いつ』



『三年前。』



 少し.



『Review0を


作り始める


少し前。』



「……"


 記憶.


 一瞬.


 店.


 赤い.


 スープ.


 高瀬.


 汗.


 自分.


 笑う.


 そして.


 向かい.


 女の子.


 制服.


 辛そう.


 水.


 飲んでる.


『無理』


『辛い』


「……"


 沙耶.


 目.


 閉じる.


 声.


 近い.


 No.18.


『沙耶さん』


『何で』


『これ』


『普通に食べられるの』


『普通』


『普通じゃない』


 高瀬.


『俺も』


『そう思う』


『先生』


『味方して』


『してる』


「……"


 沙耶.


 涙.


 少し.


 落ちる.


 こんな.


 普通の.


 記憶.


 あった.


◇



『思い出した』



 送る.



『少し?』



『うん』



『あの子』



 一度.


 指.


 止まる.



『辛いの


苦手だった』



 返事.



『うん。』



 次.



『でも』



『毎回』



『沙耶さんと


同じの頼んだ。』



「……"


 沙耶.


 少し.


 笑う.



『何で』



 返事.



『負けたくなかったから。』



「……"


 沙耶.


 吹き出す.



『子ども』



『当時は


子ども。』



「……"


 少し.


 笑う.


 胸.


 温かい.


◇



 No.18.



『沙耶さん。』



『何』



『私』



『三年前』



『あなたに』



『一回』



『怒った。』



「……"


 沙耶.


 表情.


 止まる.



『何で』



 返事.



『私のこと』



『悠平のために


守ろうとしたから。』



「……"


 胸.


 少し.


 痛い.



『どういう意味』



 返事.



『沙耶さん』



『私が消えそうになった時』



『言った。』



 一度.



『悠平が


悲しむから


消えないでって。』



「……"


 沙耶.


 完全に.


 動けない.



『それで


怒った?』



『うん。』



『何て』



 長い.


 返事.



『私が


消えたら


先生が悲しむからって』



『私の人生を』



『先生のものにしないで。』



「……"


 沙耶.


 胸.


 強く.


 締め付けられる.


 あの子.


 当時から.


 そう.


 言ってた.



『じゃあ


私は


何て』



 返事.



『謝った。』



『すぐ?』



『三日後。』



「……"


 沙耶.


 少し.


 吹き出す.



『遅』



『頑固だったから。』



「……"



『私が?』



『うん。』



『今も。』



「……"


 沙耶.


「腹立つ」


 でも.


 笑う.


◇



『No.18』



『何』



『今なら』



 少し.



『私は


何て言えばいい』



 返事.



『沙耶さんが


考えて。』



「……"


 沙耶.


 少し.


 笑う.


「みんな」


「それ」


「言う」


 でも.


 考える.


 長く.


 そして.



『あなたが


消えたら』



 止まる.


 消す.


 違う.



『私は


あなたに


消えてほしくない。』



 一度.



『悠介が


悲しむからじゃない。』



『私が』



『嫌だから。』



 送信.


 長い.


 既読.


 返事.


 来ない.


 沙耶.


 少し.


 不安.


 そして.



『うん。』



 次.



『それが』



『聞きたかった。』



「……"


 沙耶.


 涙.


 落ちる.


 でも.


 笑う.


 姉.


 として.


 じゃない.


 高瀬のため.


 じゃない.


 Review0のため.


 じゃない.


 自分が.


 その人に.


 いてほしい.


 それだけ.



◇



 No.18.



『沙耶さん。』



『何』



『69で』



『先生が


自分を消そうとしたら』



 沙耶.


 少し.


 身構える.



『止めたい?』



 指.


 迷わない.



『止めたい』



『悠介だから?』



 沙耶.


 少し.


 止まる.


 考える.


 そして.



『ううん』



『私が』



『弟に


消えてほしくないから』



 返事.



『うん。』



 次.



『それでいい。』



「……"


 沙耶.


 少し.


 目.


 閉じる.


 姉だから.


 守る.


 じゃない.


 自分が.


 いてほしいと.


 思うから.


 言う.



 残って。



 でも.



 最後は.



 悠介が.



 選ぶ.



 その時.



 自分の気持ちも.



 ちゃんと.



 言っていい.



 それを.



 沙耶は.



 少しずつ.



 分かり始めていた.



◇



 最後。


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


対象


橘沙耶


他者中心自己定義率


81%


↓


59%

━━━━━━━━━━━━



 次.



━━━━━━━━━━━━


新規自己定義


『橘沙耶』

━━━━━━━━━━━━



 その下.



━━━━━━━━━━━━


関係情報


高瀬悠介


姉弟

━━━━━━━━━━━━


依存関係


算出不能

━━━━━━━━━━━━



「……"


 沙耶.


 少し.


 笑う.


「それで」


「いい」


 姉弟.


 それ以上.


 何点.


 何%.


 健全.


 不健全.


 そんなもの.


 要らない.



 弟が。



 辛いものに。



 弱い。



 自分は。



 強い。



 一緒に。



 ご飯を食べると。



 楽しい。



 それくらいで。



 十分だった.



◇



 そして。


 Review0。


 最後の通知.



『62。』



 沙耶.


 数字.


 見る.



『あと7』



『うん。』



 少し.



『沙耶さん。』



『何』



『69までに』



『一つだけ』



『お願いしていい?』



 沙耶.


 少し.


 身構える.



『何』



 返事.



『先生の姉でいる時間とは


別に』



『橘沙耶でいる時間を


少し増やして。』



「……"



『何で』



 返事.



『69のあとも』



『あなたの人生は


続くから。』



「……"


 沙耶.


 完全に.


 動きを.


 止める.


 69.


 そこまで.


 ずっと.


 誰かの.


 運命.


 考えてきた.


 でも.


 そのあと.


 自分の.


 人生.



『何すればいい』



 送る.


 返事.



『それを』



『今から


探して。』



「……"


 沙耶.


 少し.


 笑う.



『難しい』



『うん。』



 次.



『でも』



『担々麺からでも


いいと思う。』



「……"


 沙耶.


 吹き出す.


「小さ」


 でも.


 嫌じゃない.



 担々麺。



 辛いもの。



 弟と食べる。



 一人でも食べる。



 次は。



 何を。



 好きになる。



 何を。



 したいと思う.



 そんな.



 小さな.



 自分を.



 増やしていく.



 Review69まで。



 あと七。



 でも。



 橘沙耶の人生は。



 69で。



 終わらない。



 そのことを.



 沙耶は.



 初めて.



 少しだけ.



 楽しみに思った。

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