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この人生、採点中  作者: 夜凪 灯
第一章 『あなたは、あなたを何点にしますか』

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61/118

Review61 どっちも、桐谷

 翌朝。


 午前八時七分。


「……」


 高瀬は。


 職員室の入口で。


 止まった。


 右。


 桐谷。


 左。


 桐谷。


 二人。


 同じような姿勢で。


 パソコンを見ている。


「……」


 高瀬。


 数秒。


 見る。


「何」


 右。


「何だ」


 左。


「いや」


「朝から」


「すごい」


「何が」


「絵面」


 二人。


 同時に。


 眉を寄せる。


「それ」


「それ!」


 高瀬。


 指。


 差す。


「今の!」


「何が」


「何が」


「そこ!」


 藤原。


 後ろ。


「高瀬先生」


「はい」


「朝から」


「うるさいです」


「俺!?」


「二人は」


「普通に仕事してます」


「確かに!」


◇



 高瀬。


 自席。


 座る。


 でも。


 気になる。


 ちら。


 右。


 桐谷。


 コーヒー。


 ブラック。


 ちら。


 左。


 桐谷。


 コーヒー。


 カフェオレ。


「……」


 高瀬。


 目。


 少し。


 大きくなる。


「違う」


「何が」


 現実側桐谷。


「飲み物!」


「朝から」


「人の飲み物」


「見るな」


 戻った玲司。


 カフェオレ。


 一口。


「俺」


「最近」


「ブラック」


「苦い」


「……」


 高瀬。


「前は?」


「飲んでた」


 現実側桐谷。


「俺は」


「今も」


「飲む」


「……」


 高瀬。


 少し。


 嬉しそう。


「また」


「分かれた」


「その」


「研究対象を見る顔」


「やめろ」


「ごめん!」


 でも。


 戻った玲司。


 少し。


 笑った。


「別に」


「俺も」


「最近」


「面白い」


「何が」


「自分と」


「違っていくの」


「……」


 現実側桐谷。


 少し。


 手。


 止める。


「俺は」


「まだ」


「ちょっと」


「気持ち悪い」


「……」


 高瀬。


「何で」


「鏡みたいな顔で」


「違うこと」


「するから」


「それ」


「分かる」


 戻った玲司。


「俺も」


「お前が」


「ブラック飲んでるの」


「何か」


「腹立つ」


「何でだよ」


「知らん」


 高瀬。


 吹き出す。


「お前ら」


「仲いい?」


 二人。


「よくない」


「よくない」


「そこは」


「同じ!」


「うるさい!」



◇



 午前十時三十三分。


 休み時間。


 空き教室。


 結良。


 白石。


 ナオ。


 三人。


「先生」


 結良。


「何」


「今日」


「桐谷先生」


「どっちが」


「どっち?」


「……」


 高瀬。


 止まる。


「それ」


「俺に」


「聞く?」


「だって」


「先生」


「長い」


「付き合い」


「……」


 高瀬。


 少し。


 考える。


「見分けられる」


「マジ?」


 白石。


「結構」


「自信」


「ある?」


「ある」


 ナオ。


「じゃあ」


「やります?」


「何を」


 結良。


 にや。


「どっちが」


「本物の」


「桐谷先生でしょう」


「……」


 高瀬。


「最低の」


「企画名!」


◇



 五分後。


 二人の桐谷。


 呼ばれる。


「何」


 現実側桐谷。


「仕事」


「あるんだけど」


 戻った玲司。


「俺も」


「……」


 結良。


「三分」


「ください」


「嫌な予感」


「あります」


「俺も」


「……」


 高瀬。


 少し。


 申し訳なさそう。


「ごめん」


 現実側桐谷。


「お前」


「もう」


「参加側?」


「止めようと」


「した」


「何秒」


「二」


「短!」


◇



 結良。


「第一問」


「好きな」


「ラーメン」


 二人。


「塩」


「塩」


「同じ!」


「だから」


 桐谷。


「知ってるだろ」


「第二問」


 白石。


「朝」


「強い?」


 二人。


「弱い」


「弱い」


「第三問」


 ナオ。


「犬」


「猫」


 二人。


「犬」


「猫」


「お!」


 全員。


 少し。


 前のめり。


 戻った玲司。


「俺」


「向こうで」


「猫」


「よく見てた」


「何で」


「学校の裏」


「いた」


「……」


 現実側桐谷。


「俺」


「今も」


「犬」


「……」


 高瀬。


 少し。


 嬉しそう。


「違う」


「だから」


「その顔」


「やめろ!」



◇



「第四問」


 結良。


「高瀬先生」


「面倒?」


 二人。


「かなり」


「かなり」


「おい!」


 白石。


「第五問」


「高瀬先生」


「好き?」


「……」


 教室。


 止まる。


 高瀬。


「何」


「その質問」


 白石。


「何となく」


「……」


 二人の桐谷。


 少し。


 考える。


 現実側。


「好き」


 戻った玲司。


「好き」


「……」


 高瀬。


 止まる。


「え」


「何」


 現実側桐谷。


「気持ち悪い?」


「いや」


「ちょっと」


「嬉しい」


「……」


 戻った玲司。


「でも」


「友達として」


「分かってる!」


 結良。


「先生」


「顔」


「ちょっと」


「赤い」


「うるさい!」


◇



 結良。


「じゃあ」


「最後」


 二人を見る。


「自分が」


「本物の桐谷玲司だと」


「思いますか」


「……」


 空気。


 少し。


 変わる。


 さっきまで。


 笑ってた。


 でも。


 二人。


 すぐには。


 答えない。


 現実側桐谷。


「俺は」


「桐谷玲司」


「うん」


 戻った玲司。


「俺も」


「桐谷玲司」


「……」


 結良。


「じゃあ」


「どっちが」


「本物」


「その質問」


 戻った玲司。


 少し。


 笑う。


「多分」


「もう」


「意味ない」


「……」


 現実側。


 横。


 見る。


 自分と。


 同じ顔。


 でも。


 カフェオレ。


 猫。


 一年分。


 知らない記憶。


「最初」


「こいつ」


「偽物」


「みたいに」


「思ってた」


「……」


 戻った玲司。


「俺も」


「こっちが」


「残った側だから」


「本物」


「なのかって」


「少し」


「思った」


「……」


「でも」


 現実側。


「どっちも」


「俺が」


「覚えてないこと」


「覚えてる」


「……」


「どっちも」


「俺が」


「選んでないもの」


「選んでる」


「……」


 戻った玲司。


「じゃあ」


「もう」


「同じじゃない」


「うん」


「……」


「でも」


「桐谷玲司」


「うん」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「ややこしい」


 二人。


「お前が言うな」


「そこ!」


◇



 その瞬間。


 スマートフォン。


 全員。


 震える。


「……」


 結良。


「来た」


 高瀬。


「絶対」


「今の」


「聞いてた」


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


関係性評価


対象を更新。

━━━━━━━━━━━━



 次。



━━━━━━━━━━━━


比較対象


桐谷玲司


桐谷玲司

━━━━━━━━━━━━



「……」


 戻った玲司。


「最悪」


 現実側。


「同意」


 次.



━━━━━━━━━━━━


真正性比較を


開始します。

━━━━━━━━━━━━



「真正性?」


 白石。


 高瀬。


 顔。


 変わる。


「本物か」


「偽物か」


「決める?」


 SYSTEM.



━━━━━━━━━━━━


YES

━━━━━━━━━━━━



 結良。


「うわ」


「嫌」


 次.



━━━━━━━━━━━━


評価項目


・原記憶一致率

・人格継続率

・行動再現率

・社会的認識率

━━━━━━━━━━━━



 数字。


 並ぶ。


 現実側桐谷。


 見つめる。


 戻った玲司。


 笑顔。


 消える。


「……」


 高瀬。


「見るな」


 二人。


 少し。


 高瀬を見る。


「いや」


「見ても」


「いいけど」


「……」


 高瀬。


 一度。


 言い直す。


「これで」


「自分」


「決めるな」


「……」


 現実側。


「分かってる」


 でも。


 声。


 少し。


 固い。


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


原記憶一致率


現行個体


100%


帰還個体


92%

━━━━━━━━━━━━



「……」


 戻った玲司。


 目。


 少し。


 動く。


 次.



━━━━━━━━━━━━


人格継続率


現行個体


96%


帰還個体


78%

━━━━━━━━━━━━



 教室。


 静か。


「……」


 白石。


「何か」


「嫌だな」


 ナオ。


「うん」


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


総合判定

━━━━━━━━━━━━



 高瀬。


「待て」


 次.



━━━━━━━━━━━━


真正個体


現行桐谷玲司

━━━━━━━━━━━━



「……」


 戻った玲司。


 完全に。


 動かない。


 さらに.



━━━━━━━━━━━━


帰還個体


派生人格


複製個体として


再分類。

━━━━━━━━━━━━



「……」


 高瀬。


 スマートフォン。


 握る。


「違う」


 即答。


 SYSTEM。


 無反応。


「違うって」


「……」


 戻った玲司。


「高瀬」


「何」


「いい」


「よくない」


「俺」


「別に」


「……」


 言いながら。


 目。


 少し。


 下がる。


「別に」


「分かってた」


「何を」


「俺」


「戻ってきた側」


「……」


「本来」


「いない」


「……」


「だから」


「複製」


「って」


「言われても」


「……」


 高瀬。


「嫌だろ」


「……」


 玲司。


 止まる。


「……少し」


「じゃあ」


「別にじゃない」


「……」


 玲司。


 高瀬を見る。


「お前」


「最近」


「そこ」


「拾うな」


「拾う」


「何で」


「言ったから」


◇



 現実側桐谷。


 ずっと。


 黙っていた。


「玲司」


「……」


 戻った方。


「何」


「俺」


「真正個体」


「らしい」


「……」


「うん」


「でも」


 一度。


 苦く。


 笑う。


「それ」


「全然」


「嬉しくない」


「……」


 玲司。


 顔。


 上げる。


「何で」


「お前が」


「偽物」


「って」


「言われたから」


「……」


「俺が」


「本物になるには」


「お前が」


「偽物じゃないと」


「ダメなら」


「……」


 少し。


 首。


 振る。


「そんな」


「本物」


「要らん」


「……」


 教室。


 静か。


 結良。


 少し。


 笑う。


「桐谷先生」


「何」


「今」


「結構」


「かっこいい」


「……」


 現実側。


「今?」


「普段は」


「普通」


「おい」


 少し。


 笑い。


 空気。


 ほんの少し。


 戻る。


◇



 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


真正性判定を


確定します。

━━━━━━━━━━━━



 現実側桐谷。


「拒否」


 全員。


 少し。


 見る。


「何」


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


入力を確認。


真正性判定


拒否?

━━━━━━━━━━━━



「拒否」


 もう一度。


 戻った玲司。


「俺も」


「……」


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


判定対象双方の


同意が得られません。

━━━━━━━━━━━━



 次.



━━━━━━━━━━━━


真正性判定


保留。

━━━━━━━━━━━━



「……」


 高瀬。


 少し。


 息。


 吐く。


 結良。


「保留じゃなく」


「いらない」


 SYSTEM。


 無反応。


「本当」


「融通」


「利かない」


◇



 真壁。


 画面。


 じっと。


 見る。


「一個」


「気になる」


「何」


 高瀬。


「SYSTEM」


「真正性」


「決める時」


「記憶」


「人格」


「行動」


「社会的認識」


「使った」


「うん」


「でも」


「本人の」


「自己認識」


「入ってない」


「……」


 高瀬。


 顔。


 少し。


 変わる。


「本当だ」


 藤原。


「本人が」


「自分を」


「誰だと思うか」


「……」


「SYSTEMには」


「重要じゃない?」


 佐伯。


「だから」


 結良。


「勝手に」


「本物」


「決められる」


「……」


 戻った玲司。


 少し。


 笑う。


「じゃあ」


「書けば」


「何を」


「俺が」


「誰か」


◇



 Review0。


 開く。


 戻った玲司。


 入力。



『俺は


桐谷玲司。』



 止まる。



『一年、


違うところで


生きた。』



『猫が


少し好きになった。』



『ブラックコーヒーが


苦くなった。』



『塩ラーメンは


まだ好き。』



 一度。


 現実側。


 見る。



『こいつと


同じだった。』



『今は


少し違う。』



『でも』



『俺は


誰かのコピーとして


一年を生きたわけじゃない。』



 送信。


 数秒。



『うん。』



 Review0。


 それだけ。


 玲司。


 少し。


 笑う。


「それで」


「いい」


◇



 現実側桐谷。


「俺も」


 入力。



『俺は


桐谷玲司。』



『犬が好き。』



『ブラックコーヒーを飲む。』



『こいつより


朝は少しだけ強い。』



 玲司。


「嘘」


「五分」


「早い」


「誤差」


「じゃあ」


「書くな」


 少し。


 笑い。


 続ける。



『俺は


残った側。』



『でも』



『残ったから


本物なんじゃない。』



『俺が


俺だと思ってるから


俺。』



 送信。



『うん。』



 また。


 それだけ。


◇



 高瀬。


 二人。


 見る。


「じゃあ」


「結論」


「何」


 二人。


「どっちも」


「桐谷玲司」


「……」


 高瀬。


「やっぱ」


「面倒」


 二人。


「お前が」


「一番」


「それ!」


 教室。


 笑う。


◇



 午後五時二十六分。


 話。


 終わった後。


 二人の桐谷。


 自販機。


 前。


「何飲む」


 現実側。


「……」


 戻った玲司。


 ボタン。


 見る。


「カフェオレ」


「また?」


「うん」


「太るぞ」


「一本で?」


「知らん」


「……」


 玲司。


「お前」


「ブラック」


「うん」


「苦くない?」


「うまい」


「……」


 玲司。


 少し。


 笑う。


「やっぱ」


「違うな」


「何が」


「味」


「……」


 現実側。


 ブラック。


 取る。


「でも」


 少し。


 止まる。


「昔」


「同じだったって」


「思うと」


「変」


「……」


 玲司。


 カフェオレ。


 取る。


「嫌?」


「少し」


「……」


「俺も」


「何が」


「お前」


「俺じゃないのに」


「俺の思い出」


「持ってる」


「……」


「でも」


 一口。


 飲む。


「お前しか」


「分からない思い出も」


「ある」


「……」


 現実側。


 少し。


 笑う。


「気持ち悪いな」


「うん」


「……」


「でも」


「悪くない」


「……」


「俺も」


◇



 そこへ。


 高瀬。


 来る。


「お」


「二人で」


「何」


「密談?」


「違う」


「違う」


「そこ」


「まだ」


「揃うんだ」


「帰れ」


「何で!」


 高瀬。


 自販機。


 見る。


「俺」


「何にしよ」


「味噌」


 二人。


「飲み物!」


「味噌汁」


「ある?」


「ない!」


 三人。


 少し。


 笑う。


「高瀬」


 玲司。


「何」


「今日」


「ありがとう」


「……」


 高瀬。


 少し。


 止まる。


「何が」


「偽物じゃないって」


「言った」


「……」


「俺」


「言った?」


「言った」


「……」


「まあ」


 一度。


 高瀬。


 少し。


 考える。


「本当だから」


「……」


 玲司。


 少し。


 笑う。


「それ」


「今」


「かなり」


「普通に」


「言うんだな」


「何が」


「前なら」


「もっと」


「長かった」


「……」


 現実側。


「確かに」


「お前ら」


「俺の成長」


「測るな!」


「SYSTEM化」


「してる」


「それ」


「一番」


「嫌!」


◇



 夜。


 午後十時五十一分。


 高瀬。


 Review0。



『今日の自分を、


自分でどう思う?』



 入力。



『桐谷が


二人とも


桐谷だった。』



 一度。



『文章にすると


意味分からん。』



 送信。


 少し。



『あと』



『本物と偽物を


誰かが


決めるのは


やっぱり嫌だった。』



『本人が


俺は俺だって


言ってるなら』



『それを


聞きたい。』



 送信。


 数秒。



『うん。』



 No.18。


 次.



『先生。』



『何』



『三年前』



『私にも』



『同じこと』



『言ってほしかった。』



「……」


 高瀬。


 表情。


 止まる.



『何を』



 返事.



『私が』



『私だって』



『言った時に』



『それでいいって。』



「……"


 胸.


 重くなる.



『俺


何て言った』



 長い.


 返事.



『今の君は』



『本当の君じゃないって。』



「……"


 高瀬.


 息.


 止まる.


「最悪」


 小さく.


 出る.


 でも.


 すぐ.


 結良の.


 言葉.


 思い出す.


 自分を.


 その一言だけで.


 採点しない.



『何で


俺


そんなこと言った』



 返事.



『私が』



『変わったから。』



「……"



『どう』



『前より』



『笑わなくなった。』



『学校を』



『辞めたいって言った。』



『先生と』



『話したくない日も増えた。』



「……"


 高瀬.


 胸.


 痛い.



『先生は』



『それを』



『私じゃないって』



『思った。』



「……"


 指.


 震える.



『ごめん』



 打つ.


 止まる.


 消す.


 今.


 謝るだけ.


 違う.



『今なら』



『何て言えばいい』



 送る.


 返事.


 少し.



『先生が


考えて。』



「……"


 高瀬.


 少し.


 笑う.


「厳しい」


 でも.


 考える.


 長く.


 そして.



『変わっても


お前はお前。』



 止まる.



『笑わなくても』



『学校を


辞めたくても』



『俺と


話したくない日があっても』



 一度.



『それで


お前じゃなくなるわけじゃない。』



 送信.


 既読.


 長い.


 かなり.


 長い.


 高瀬.


 少し.


 不安.


 そして.



『うん。』



 次.



『三年前』



『それが』



『聞きたかった。』



「……"


 高瀬.


 目.


 少し.


 熱くなる.


◇



『No.18』



『何』



『今のお前』



 少し.



『三年前と


変わった?』



 返事.



『変わったよ。』



『どこ』



『いっぱい。』



 少し.



『前より


怖がりになった。』



『前より


諦めるのが


上手くなった。』



『前より


人を信じるのが


怖くなった。』



「……"


 胸.


 痛い.



『でも』



 続く.



『前より』



『帰りたいって


思う日も増えた。』



「……"


 高瀬.


 目.


 大きくなる.



『帰りたい?』



 すぐ.


 送る.


 既読.


 少し.



『今日はね。』



「……"


 高瀬.


 指.


 止まる.


 54話.


 彼女.


 言った.


 帰るか.


 残るか.


 69の.


 その時に.


 聞いて.


 今日.


 今.


 帰りたい.


 でも.


 それが.


 69でも.


 同じとは.


 限らない.



『そっか』



 送る.


 それだけ.


 聞き返さない.


 約束.


 させない.


 帰ってくるよな.


 言わない.


 No.18.



『先生。』



『何』



『今』



『帰ってこいって


言わないんだ。』



「……"



『言いたい』



 正直.



『めちゃくちゃ』



『じゃあ何で』



 高瀬.


 少し.


 考える.



『今日の


お前の答えだから。』



『69の


お前には


また聞く。』



 長い.


 既読.


 そして.



『うん。』



 次.



『それでいい。』



◇



 SYSTEM.


 静かに.


 起動.



━━━━━━━━━━━━


対象


桐谷玲司


真正性判定


未確定。

━━━━━━━━━━━━



 次.



━━━━━━━━━━━━


自己定義競合を


検出できません。

━━━━━━━━━━━━



「……"


 高瀬.


 眉.


 寄せる.



━━━━━━━━━━━━


理由


両対象が


自己を


同一名称で定義しつつ


相互存在を否定していません。

━━━━━━━━━━━━



「……"


 少し.


 笑う.



━━━━━━━━━━━━


既存分類


『本物/複製』


適用不能。

━━━━━━━━━━━━



 そして.



━━━━━━━━━━━━


新規分類を


要求します。

━━━━━━━━━━━━



 高瀬.


「要らん」


 声.


 出る.


 画面.



━━━━━━━━━━━━


入力してください。

━━━━━━━━━━━━



 高瀬.


 少し.


 考える.


 でも.


 今日は.


 自分が.


 決めることじゃない.


 桐谷二人.


 グループ.


 メッセージ.



『SYSTEMが


二人の分類名


決めろって


言ってる』



 すぐ.


 現実側.



『いらん』



 戻った玲司.



『同じく』



 高瀬.


 笑う.


 SYSTEM.



『不要』



 入力.


 送信.



━━━━━━━━━━━━


分類


不要

━━━━━━━━━━━━



 一秒.



━━━━━━━━━━━━


登録しました。

━━━━━━━━━━━━



「……"


 高瀬.


 完全に.


 止まる.


「登録するんかい!」


 夜.


 一人.


 声.


 響く.


 その直後.


 Review0.



『ふふ。』



「……"


 高瀬.



『笑った?』



『ちょっと。』



『珍しい』



『失礼。』



 高瀬.


 少し.


 笑う.


◇



 最後.


 No.18.



『61。』



「……"


 高瀬.


 数字.


 見る.



『あと8』



『うん。』



 次.



『先生。』



『何』



『69までに』



『一つだけ』



『覚えておいて。』



「……"



『何』



 返事.



『人は』



『変わったからって』



『偽物にはならない。』



「……"


 高瀬.


 胸.


 少し.


 痛い.


 No.18.



『三年前の私も。』



『今の私も。』



『69の私も。』



「……"



『全部』



『私。』



 高瀬.


 画面.


 見つめる.


 それは.


 桐谷二人の.


 話だけでは.


 なかった.


 69で.


 会う彼女.


 三年前の.


 記憶の中の.


 少女と.


 違うかもしれない.


 笑わないかもしれない.


 怖がるかもしれない.


 帰りたいと.


 言うかもしれない.


 残りたいと.


 言うかもしれない.



 それでも.



 その時の。



 彼女を。



 過去と比べて。



 偽物にしない。



 高瀬は。



 まだ見えない。



 彼女の顔を。



 思い浮かべながら。



 小さく。



「うん」



 と。



 答えた。



 Review69まで。



 あと八。

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