Review60 今日は、先生を休みます
午後四時三十二分。
放課後。
空き教室。
「今日は」
高瀬。
ホワイトボード。
前。
「一回」
「整理しよう」
「何を」
結良。
「ここ最近」
「色々」
「ありすぎた」
「……」
白石。
「また」
「会議?」
「違う」
「整理」
「会議でしょ」
「違う!」
「何が」
「名前!」
ナオ。
小さく。
「先生」
「それ」
「会議です」
「ナオまで!」
真壁。
「多数決」
「取ります?」
「やめろ!」
藤原。
少し。
笑う。
「高瀬先生」
「はい」
「今日は」
「会議」
「やめません?」
「……」
高瀬。
止まる。
「何で」
「みんな」
「最近」
「ずっと」
「考えてます」
「……」
「Review0」
「SYSTEM」
「69」
「自分」
「役割」
「……」
「今日くらい」
「何も」
「考えない時間」
「作っても」
「いいと思います」
「……」
高瀬。
少し。
眉。
寄せる。
「でも」
「今」
「68%」
「……」
結良。
「先生」
「何」
「その顔」
「もう」
「病気」
「何が!」
「数字」
「見たら」
「考え始める病」
「……」
白石。
「重症」
「お前まで!」
◇
「じゃあ」
高瀬。
「何する」
「……」
全員。
少し。
黙る。
「ほら!」
「何も」
「案」
「ない!」
「先生」
結良。
「今」
「嬉しそう」
「何で」
「自分が」
「仕切れるから」
「……」
高瀬。
完全に。
止まる。
「違う」
「顔」
「言ってる」
「今日」
「顔」
「禁止!」
◇
佐伯。
「普通に」
「何か」
「食べます?」
「……」
高瀬。
「食べる?」
「はい」
「学校で?」
「何か」
「買って」
「……」
白石。
「お菓子?」
ナオ。
「いい」
真壁。
「甘いもの」
「……」
高瀬。
「お前」
「甘口カレー」
「好きだもんな」
「それ」
「いつまで」
「言う?」
「一生」
「やめて」
藤原。
「じゃあ」
「コンビニ」
「行きます?」
「誰が」
「高瀬先生以外」
「……」
高瀬。
「何で!」
結良。
「先生」
「今日」
「何もしない日」
「……」
「いつ」
「決まった?」
「今」
「勝手!」
「多数決」
白石。
「やります?」
「やめろ!」
◇
でも。
結局。
全員。
手。
上がる。
高瀬。
一人。
反対。
「……」
高瀬。
全員。
見る。
「裏切り者」
「全員」
真壁。
「裏切ってるなら」
「多数派」
「お前」
「最近」
「冷たい!」
「普通です」
「白石化!?」
「何で俺」
白石。
少し。
笑う。
「じゃあ」
藤原。
「決まり」
「今日は」
「高瀬先生」
「何もしない」
「……」
「俺」
「帰っていい?」
「それは」
結良。
「ダメ」
「何で!」
「参加」
「してください」
「何もしないで」
「参加って」
「難しくない!?」
◇
十分後。
コンビニ組。
藤原。
佐伯。
白石。
結良。
四人。
残り。
高瀬。
真壁。
ナオ。
二人の桐谷。
沙耶。
「……」
空き教室。
妙に。
静か。
「何」
高瀬。
「この」
「気まずい時間」
「先生」
ナオ。
「何もしない日」
「ですよ」
「今」
「喋るのも」
「何か?」
「それは」
「いいと思う」
「曖昧!」
桐谷。
「高瀬」
「何」
「黙るの」
「苦手だろ」
「めちゃくちゃ」
「……」
玲司。
「俺も」
「知ってる」
「何で」
「二人とも」
「俺の」
「嫌な情報」
「共有してるの」
「同じ過去」
「便利だな!」
◇
数秒。
高瀬。
机。
指。
叩く。
「……」
真壁。
「先生」
「何」
「今」
「何か」
「始めようとしてる?」
「……」
「してない」
「今」
「三回」
「机」
「叩いた」
「癖?」
「考える時」
「やる」
「……」
高瀬。
自分。
手。
見る。
「俺」
「そんな」
「分かりやすい?」
「かなり」
全員。
「うるさい!」
◇
沙耶。
少し。
笑う。
「悠平」
「何」
「昔も」
「こういう日」
「苦手だった」
「……」
「何も」
「予定ない日?」
「うん」
「……」
「休みの日」
「朝から」
「何する」
「決めてた」
「……」
高瀬。
「それ」
「今も」
「ある」
「でしょ」
「……」
沙耶。
少し。
懐かしそう。
「何もしないと」
「損した気」
「してた」
「……」
高瀬。
少し。
目。
細くなる。
「今」
「めっちゃ」
「分かる」
「だから」
「今日」
「いいんじゃない」
「何が」
「損した気」
「する日」
「……」
「それ」
「いいの?」
「いいでしょ」
「何で」
「何も」
「得しなくても」
「一日」
「終わるから」
「……」
高瀬。
少し。
笑う。
「怖い」
「何が」
「一日」
「何も」
「得ない」
「……」
玲司。
「本当に」
「病気だな」
「お前!」
◇
扉。
開く。
「戻りました」
藤原。
「遅い!」
「先生」
結良。
「何」
「今」
「待ってた?」
「待ってた!」
「何もしない日なのに」
「人」
「待ってる」
「それ」
「別!」
白石。
袋。
机。
置く。
「買ってきました」
「何」
「いっぱい」
「見れば」
「分かる」
「真壁化!」
「何で」
「今日」
「みんな」
「感染してくの!?」
◇
袋。
開く。
ポテトチップス。
チョコ。
グミ。
プリン。
シュークリーム。
アイス。
カップスープ。
「……」
高瀬。
「買いすぎ」
「先生」
藤原。
「何」
「文句」
「禁止」
「何で!」
「何もしない」
「だから」
「文句は」
「していいだろ!」
「それは」
結良。
「したいこと?」
「……」
高瀬。
止まる。
「今」
「めっちゃ」
「文句」
「言いたい」
「じゃあ」
「どうぞ」
「……」
「買いすぎ!」
「はい」
「スッキリした?」
「少し」
「じゃあ」
「いいじゃん」
「何か」
「Review0」
「みたいに」
「なってる!」
◇
みんな。
適当に。
取る。
高瀬。
手。
伸ばす。
止まる。
「……」
結良。
「先生」
「何」
「今」
「何食べたい」
「って」
「考えた?」
「うん」
「……」
「何」
「プリン」
沙耶。
少し。
顔。
上げる。
「……」
高瀬。
気付く。
「何」
「いや」
「昔」
「好きだったって」
「言ってたなって」
「うん」
「……」
高瀬。
プリン。
手。
取る。
「じゃあ」
「食う」
「誰かの」
「影響?」
真壁。
「多分」
「でも」
高瀬。
蓋。
開ける。
「今」
「俺が」
「食いたい」
「……」
結良。
少し。
笑う。
「百点」
「採点!」
「今の」
「忘れて」
「遅い!」
◇
白石。
ポテトチップス。
ナオ。
グミ。
真壁。
シュークリーム。
「……」
高瀬。
真壁を見る。
「甘党じゃん」
「何が」
「昨日」
「甘口カレー」
「今日」
「シュークリーム」
「……」
「普通」
「普通の」
「甘党」
「認めた!」
藤原。
チョコ。
「真壁先生」
「私も」
「甘いもの」
「好きです」
「……」
真壁。
少し。
笑う。
「じゃあ」
「普通」
「ですね」
「はい」
高瀬。
「何」
「その」
「仲間感」
「先生」
「味噌」
「食べてて」
「そこに」
「いて」
「何で!」
◇
二人の桐谷。
同じ。
ポテトチップス。
手。
伸ばす。
同時。
「……」
二人。
止まる。
「譲れ」
「そっちが」
「……」
高瀬。
吹き出す。
「やっぱ」
「同じ!」
玲司。
「違う」
「何が」
「俺」
「のり塩」
現実側桐谷。
「俺」
「コンソメ」
「……」
全員。
少し。
止まる。
「お」
高瀬。
「分かれた!」
「そこ」
桐谷。
「喜ぶ?」
「大事!」
玲司。
「じゃあ」
「先生」
「何」
「俺」
「今日」
「のり塩」
「選んだ」
「うん」
「昨日まで」
「コンソメ」
「好きだった」
「……」
「急」
「変わった?」
「分からん」
「でも」
「今」
「のり塩」
「……」
高瀬。
少し。
笑う。
「それでいい」
「……」
桐谷。
「それ」
「俺も」
「思う」
◇
藤原。
少し。
全員。
見る。
誰も。
仕切ってない。
話。
バラバラ。
結良。
プリン。
狙ってる。
高瀬。
守ってる。
「それ」
「俺の!」
「先生」
「一口」
「一口が」
「でかい!」
「ケチ!」
ナオ。
白石。
グミ。
「それ」
「何味」
「ぶどう」
「一個」
「どうぞ」
「……」
「何」
「今日は」
「優しい」
「いつも」
「優しい」
「自分で」
「言う?」
佐伯。
カップスープ。
「熱」
「……」
沙耶。
「真由ちゃん」
「猫舌?」
「少し」
「初めて」
「知った」
「……」
佐伯。
少し。
笑う。
「今日」
「増えましたね」
「何が」
「私」
「……」
沙耶。
少し。
笑う。
「うん」
◇
十分。
二十分。
誰も。
SYSTEM。
話さない。
69。
話さない。
役割。
話さない。
ただ。
お菓子。
食べる。
結良。
プリン。
結局。
高瀬から。
一口。
取る。
「でか!」
「一口!」
「それ」
「一口じゃない!」
「先生」
「細かい」
「俺の」
「プリン!」
白石。
「もう一個」
「ある」
「え」
「……」
高瀬。
袋。
見る。
本当に。
ある。
「何で」
「二個」
「買ったの」
「結良さん」
「絶対」
「取ると思った」
「……」
全員。
結良。
見る。
「何」
「私」
「そんな」
「信用」
「ない?」
「ある」
白石。
「逆に」
「取るという」
「信用」
「ひど!」
笑い。
広がる。
◇
その時。
高瀬。
笑いながら。
ふと。
気付く。
「……」
藤原。
「何」
「いや」
「今日」
「誰も」
「まとめてない」
「……」
藤原。
一瞬。
止まる。
教室。
見る。
「本当」
「……」
高瀬。
「困ってない」
「……」
藤原。
少し。
笑う。
「そうですね」
「……」
「俺も」
「何も」
「してない」
「結構」
「喋ってます」
「それは」
「していい!」
「でも」
「進行」
「してない」
「……」
真壁。
「必要なかった」
「うん」
高瀬。
少し。
嬉しそう。
「俺」
「何もしなくても」
「みんな」
「普通に」
「喋るんだな」
結良。
「当たり前」
「……」
「先生」
「今まで」
「何だと」
「思ってた?」
「俺が」
「何か」
「しないと」
「……」
「止まる?」
「少し」
「……」
結良。
プリン。
食べながら。
「自意識過剰」
「言い方!」
でも。
高瀬。
否定。
できない。
「……」
「ちょっと」
「そうだったかも」
「ちょっと?」
全員。
「そこ」
「揃う!?」
◇
藤原。
少し。
笑う。
「高瀬先生」
「何」
「今日」
「何もしない日」
「どう」
「……」
高瀬。
少し。
考える。
「最初」
「苦痛」
「……」
「今」
「ちょっと」
「楽」
「……」
「何で」
「みんな」
「勝手に」
「喋るし」
「勝手に」
「食うし」
「……」
「勝手に」
「笑う」
「……」
一度。
少し。
目。
細くなる。
「俺」
「いなくても」
「この時間」
「成立する」
「……」
藤原。
少し。
静か。
「それ」
「寂しい?」
「……」
高瀬。
考える。
「少し」
「……」
「でも」
笑う。
「かなり」
「嬉しい」
「……」
藤原。
「両方」
「うん」
「最近」
「それ」
「便利」
「便利って」
「言わない!」
◇
突然。
Review0。
全員。
同時。
震える。
「……」
白石。
「来た」
「今日」
「何も」
「起きないって」
「思ったのに」
高瀬。
「フラグ」
「立てるな!」
でも。
画面。
━━━━━━━━━━━━
本日の自己記録
自動収集
停止中。
━━━━━━━━━━━━
「……」
結良。
「停止?」
真壁。
「何で」
次.
━━━━━━━━━━━━
理由
回答前の
自己状態を
分類できません。
━━━━━━━━━━━━
「……」
高瀬。
「何それ」
SYSTEM。
ではない。
Review0。
次.
━━━━━━━━━━━━
対象
10名
現在状態
複数。
━━━━━━━━━━━━
藤原。
「複数?」
画面.
━━━━━━━━━━━━
高瀬
・楽しい
・少し寂しい
・プリンを取られて腹が立つ
・でも笑っている
・何もしていない
・参加している
━━━━━━━━━━━━
「……」
結良。
吹き出す。
「先生」
「プリン」
「入ってる」
「お前のせい!」
次.
━━━━━━━━━━━━
篠宮結良
・楽しい
・プリンがおいしい
・高瀬に怒られた
・でも気にしていない
・少し眠い
━━━━━━━━━━━━
「最後」
「いる!?」
白石。
「正確」
「やめろ!」
次.
━━━━━━━━━━━━
真壁透
・楽しい
・甘いものがおいしい
・未来を見ていない
・少し安心
・少し不安
━━━━━━━━━━━━
真壁。
「……」
少し。
笑う。
「ちゃんと」
「両方」
次.
━━━━━━━━━━━━
藤原
・何もまとめていない
・少し落ち着かない
・でも楽
・高瀬を一度も止めていない
・それで成立していることが嬉しい
━━━━━━━━━━━━
藤原。
目。
少し。
潤む。
「……」
高瀬。
「藤原」
「何」
「今」
「泣く?」
「泣きません」
「……」
「ちょっと」
「泣きそう」
「はい」
「……」
「そっか」
「それだけ?」
「それだけ」
「……」
藤原。
少し。
笑う。
◇
次。
━━━━━━━━━━━━
白石悠真
・普通
━━━━━━━━━━━━
「……」
全員。
止まる。
白石。
「おい」
次.
━━━━━━━━━━━━
訂正。
・ポテトチップスがおいしい
・眠い
・ナオが隣にいる
・特に困っていない
・普通
━━━━━━━━━━━━
白石。
「最後」
「やっぱ」
「普通」
ナオ。
笑う。
「悠真」
「何」
「最高」
「何が!」
笑い。
また。
広がる。
◇
そして。
SYSTEM。
起動。
━━━━━━━━━━━━
【SYSTEM】
未分類状態を検出。
━━━━━━━━━━━━
「……」
高瀬。
「来た」
次.
━━━━━━━━━━━━
対象群の
行動目的を
特定します。
━━━━━━━━━━━━
「行動目的?」
結良。
「お菓子」
白石。
「食べる」
ナオ。
「話す」
真壁。
「休む」
藤原。
「何もしない」
高瀬。
「……」
SYSTEM.
━━━━━━━━━━━━
目的候補
・情報共有
・問題解決
・戦略立案
・心理安定
・関係維持
━━━━━━━━━━━━
「……」
高瀬。
「全部」
「それっぽく」
「したな」
結良。
「違う」
「……」
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
最適分類
『関係維持行動』
━━━━━━━━━━━━
「……」
白石。
「お菓子」
「食っただけ」
佐伯。
「でも」
「一緒に」
「いた」
SYSTEM.
━━━━━━━━━━━━
関係維持
評価
A
━━━━━━━━━━━━
「……」
教室。
一瞬。
静か。
高瀬。
「また」
「評価」
声。
低くなる。
結良。
「先生」
「うん」
「今日」
「これ」
「違う」
「うん」
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
高評価行動として
保存します。
━━━━━━━━━━━━
結良。
「要らない」
SYSTEM.
━━━━━━━━━━━━
今後
同様行動を
推奨します。
━━━━━━━━━━━━
「……」
高瀬。
「お菓子会」
「推奨?」
白石。
「毎日」
「やる?」
真壁。
「SYSTEM」
「公認」
「最高じゃん」
高瀬。
「いや」
「違う!」
結良。
吹き出す。
「先生」
「そこ」
「真面目に」
「怒る?」
「だって」
「今日」
「楽しかったから」
「明日も」
「同じこと」
「やれば」
「A」
「取れる」
「……」
「それ」
「もう」
「今日じゃない」
「……」
藤原。
少し。
目。
細くなる。
「高瀬先生」
「何」
「今」
「いいこと」
「言いました」
「今日?」
「今日は」
「全部」
「褒めます」
「急!」
◇
SYSTEM.
━━━━━━━━━━━━
意味を
解析できません。
━━━━━━━━━━━━
「……」
真壁。
「高瀬先生」
「今の」
「もう一回」
「何」
「今日」
「楽しかった」
「からって」
「……」
「明日」
「同じこと」
「やって」
「同じように」
「楽しいとは」
「限らない」
「……」
藤原。
「その日の」
「みんな」
「違う」
「うん」
「……」
白石。
「明日」
「ポテトチップス」
「食いたくないかも」
「そこ?」
「大事」
高瀬。
「大事!」
ナオ。
「僕」
「明日」
「グミ」
「嫌かも」
「ほら!」
結良。
「私」
「プリン」
「明日も」
「食べたい」
「お前は」
「食うんかい!」
また。
笑う。
◇
SYSTEM。
数秒。
沈黙。
そして。
━━━━━━━━━━━━
再現性
不足。
━━━━━━━━━━━━
「……」
高瀬。
「そう」
「再現」
「できない」
真壁。
「同じ人」
「同じ場所」
「同じ時間」
「同じ食べ物」
「用意しても」
「……」
「明日」
「同じ感情」
「には」
「ならない」
藤原。
「人が」
「変わるから」
佐伯。
「一日」
「経つから」
沙耶。
「昨日と」
「今日」
「違う」
白石。
「腹減ってるかも」
「お前」
「本当に」
「食べ物」
「強いな!」
◇
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
再現不能行動
有用性
低
━━━━━━━━━━━━
高瀬。
「違う」
即答。
「有用じゃ」
「なくていい」
……。
「今日」
「楽しかった」
「……」
「それで」
「終わり」
結良。
高瀬を見る。
少し。
笑う。
「先生」
「何」
「それ」
「Review0」
「だね」
「……」
高瀬。
少し。
笑う。
「うん」
◇
その瞬間。
SYSTEM。
画面。
大きく。
揺れる。
━━━━━━━━━━━━
既存予測モデル
崩壊率
68%
━━━━━━━━━━━━
「……」
全員。
見る。
でも。
数字。
上がらない。
代わり。
━━━━━━━━━━━━
分類不能対象数
1
━━━━━━━━━━━━
「誰」
真壁。
次.
━━━━━━━━━━━━
対象
集団
━━━━━━━━━━━━
「……」
結良。
「人じゃない?」
次.
━━━━━━━━━━━━
集団状態を
個別評価へ
分解できません。
━━━━━━━━━━━━
高瀬。
少し。
目。
大きくなる。
「何で」
SYSTEM.
━━━━━━━━━━━━
個別行動の
意味が
他者状態によって
継続変化。
━━━━━━━━━━━━
藤原。
「高瀬先生が」
「何もしない」
「……」
「それだけなら」
「ただ」
「何もしない」
「……」
「でも」
「私にとっては」
「任せてくれた」
「……」
真壁。
「俺にとっては」
「未来を」
「聞かれなかった」
「……」
佐伯。
「私にとっては」
「ただ」
「一緒に」
「休んだ」
「……」
白石。
「俺は」
「お菓子」
「食った」
「……」
ナオ。
「僕は」
「悠真が」
「隣」
「いた」
「……」
結良。
「私は」
「プリン」
「奪った」
「そこ」
「反省しろ!」
「嫌」
◇
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
個人単位での
評価処理
限界。
━━━━━━━━━━━━
「……」
真壁。
「初めて」
「SYSTEMが」
「限界」
「認めた」
次.
━━━━━━━━━━━━
評価対象を
変更します。
━━━━━━━━━━━━
「何に」
高瀬。
画面.
━━━━━━━━━━━━
個人
↓
関係
━━━━━━━━━━━━
「……」
教室。
完全に。
静か。
「関係」
藤原。
次.
━━━━━━━━━━━━
関係性評価を
開始します。
━━━━━━━━━━━━
「待て」
結良。
「それ」
「もっと」
「嫌」
高瀬。
「うん」
個人。
評価。
できない。
だから。
今度は。
関係。
採点する?
「……」
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
例
高瀬 ― 藤原
依存度
82%
━━━━━━━━━━━━
「……」
藤原。
顔。
少し。
変わる。
次.
━━━━━━━━━━━━
高瀬 ― 真壁
介入傾向
76%
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
白石 ― 水城
相互依存
89%
━━━━━━━━━━━━
「……」
白石。
「は?」
ナオ。
顔。
強張る。
次.
━━━━━━━━━━━━
佐伯 ― 橘
保護依存
74%
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
高瀬 ― 篠宮
教育依存
91%
━━━━━━━━━━━━
「……」
結良。
「何これ」
声。
低い。
高瀬。
胸。
嫌な。
感じ。
さっきまで。
笑ってた。
空気。
一瞬で。
変わる。
「やめろ」
SYSTEM。
反応。
なし。
━━━━━━━━━━━━
関係性の
健全度を
算出します。
━━━━━━━━━━━━
「やめろって」
高瀬。
今度は。
強く。
言う。
結良。
画面。
睨む。
「先生」
「何」
「これ」
「私」
「嫌」
「うん」
「めちゃくちゃ」
「嫌」
「……」
高瀬。
全員。
見る。
さっき。
笑っていた。
関係。
それを。
依存。
保護。
教育。
数値。
一つの。
名前。
そこへ。
押し込む。
「……」
高瀬。
スマートフォン。
取る。
でも。
何か。
操作。
しない。
「先生?」
藤原。
「今日」
「俺」
「何もしない日」
「……」
「うん」
「だから」
一度。
深く。
息。
「俺」
「決めない」
「……」
結良。
少し。
顔。
上げる。
「じゃあ」
「何する」
「……」
高瀬。
全員。
見る。
「みんな」
「これ」
「どうしたい」
◇
数秒。
誰も。
すぐ。
答えない。
高瀬。
待つ。
真壁。
「俺は」
「消したい」
藤原。
「私も」
佐伯。
「はい」
ナオ。
「僕も」
白石。
「俺も」
結良。
「当然」
二人の桐谷。
「同じ」
「俺も」
沙耶。
「消したい」
「……」
高瀬。
頷く。
「じゃあ」
「消す方法」
「探す?」
真壁。
「それは」
「必要」
藤原。
「でも」
「今日」
「今すぐ」
「やる?」
「……」
全員。
少し。
止まる。
結良。
机。
上。
プリン。
空。
見る。
「私」
「今日は」
「もう」
「やりたくない」
「……」
高瀬。
「何を」
「SYSTEM」
「……」
「せっかく」
「楽しかったのに」
「……」
白石。
「俺も」
「……」
「明日」
「で」
「よくない?」
ナオ。
「うん」
真壁。
少し。
考える。
「緊急性」
「今」
「ない」
藤原。
「じゃあ」
「今日は」
「やめる?」
「……」
高瀬。
少し。
笑う。
「やめよ」
◇
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
関係性評価
継続中。
━━━━━━━━━━━━
高瀬。
画面。
伏せる。
「知らん」
結良。
「強」
白石。
「無視」
「最強」
ナオ。
「悠真」
「仲間」
「高瀬先生」
「白石化」
「してる」
「何で俺が」
少し。
笑い。
また。
戻る。
完全には。
戻らない。
でも。
少しずつ。
◇
「じゃあ」
高瀬。
「残り」
「食う?」
「先生」
藤原。
「何」
「今」
「仕切った」
「……」
高瀬。
固まる。
「無意識!」
結良。
大笑い。
「もう」
「治らない」
「努力中!」
沙耶。
「悠平」
「何」
「プリン」
「もう一個」
「……」
見る。
「ある」
「食べる?」
「うん」
「……」
結良。
手。
伸ばす。
「待て!」
「一口!」
「絶対」
「ダメ!」
教室。
また。
笑う。
◇
午後六時十二分。
片付け。
終わる。
「ゴミ」
高瀬。
袋。
持つ。
藤原。
「先生」
「何」
「今日」
「何もしない日」
「……」
「ゴミ捨て」
「くらい」
「させて!」
「じゃあ」
「お願いします」
「許可制!?」
結良。
「先生」
「今日」
「どうだった」
「……」
高瀬。
袋。
持ったまま。
少し。
考える。
「何も」
「してない」
「嘘」
「何が」
「プリン」
「守った」
「守れてない!」
「半分」
「取った」
「お前!」
少し。
笑う。
でも。
高瀬。
続ける。
「……」
「何も」
「解決」
「してない」
「……」
「69」
「進んでない」
「……」
「SYSTEM」
「むしろ」
「新しいこと」
「始めた」
「……」
「なのに」
少し。
笑う。
「今日」
「めっちゃ」
「楽しかった」
「……」
結良。
「じゃあ」
「いいじゃん」
「うん」
「……」
「今日」
「それで」
「いい」
◇
その夜。
午後十一時十八分。
高瀬。
ベッド。
Review0。
『今日の自分を、
自分でどう思う?』
「……」
高瀬。
入力。
『今日は
何もしないって
言われた。』
『最初は
めちゃくちゃ
嫌だった。』
『でも』
『みんなが
勝手に喋って、
勝手に笑って、
勝手にお菓子食べてた。』
一度。
笑う。
『篠宮に
プリン取られた。』
『かなり腹立った。』
止まる。
『でも
楽しかった。』
『何も解決してない。』
『何も進んでない。』
少し.
『でも』
『今日を
無駄だったとは
思わない。』
送信。
数秒。
『うん。』
No.18。
次.
『先生。』
『何』
『今日』
『楽しそうだったね。』
「……」
高瀬。
少し。
笑う.
『見てた?』
『うん。』
『プリンの件も?』
『うん。』
『篠宮に言っといて』
『自分で言って。』
「……」
高瀬。
吹き出す.
『冷たい』
『先生が』
『自分で言う練習。』
『そこまで
成長課題にするな』
『ごめん。』
「また」
高瀬。
笑う。
◇
『No.18』
『何』
『今日みたいな日』
『三年前にもあった?』
長い.
少し.
返事.
『あったよ。』
「……"
『何した』
『何も。』
高瀬.
少し.
目.
細くなる.
『本当に?』
『うん。』
『放課後』
『みんなで』
『音楽室にいた。』
「……"
『誰』
返事.
『結良。』
『沙耶さん。』
『真由先生。』
一度.
『私。』
少し.
『先生。』
「……"
胸.
強く.
鳴る.
『何してた』
返事.
『結良が
ピアノ弾いて。』
『沙耶さんが
お菓子食べて。』
『真由先生が
寝てて。』
『先生が
ずっと喋ってた。』
「……"
高瀬.
笑う.
『俺
今と変わらん』
『うん。』
次.
『私』
『あの日が』
『好きだった。』
「……"
高瀬.
胸.
少し.
痛い.
『何で』
返事.
『何も』
『起きなかったから。』
「……"
次.
『当時は』
『何も起きない日が』
『すごく』
『少なかった。』
「……"
高瀬.
表情.
少し.
変わる.
『だから』
『今日』
『少し』
『懐かしかった。』
「……"
高瀬.
画面.
見つめる.
No.18.
今.
Review69.
一人.
待ってる.
でも.
今日.
こっち.
みんな.
笑ってた.
それを.
見てた.
『寂しかった?』
送る.
返事.
少し.
『うん。』
次.
『でも』
『嬉しかった。』
「……"
『両方?』
『両方。』
高瀬.
少し.
笑う.
『じゃあ
それでいいな』
『うん。』
◇
少し.
間.
No.18.
『先生。』
『何』
『今日』
『一個』
『すごく大事なこと』
『起きたよ。』
「……"
高瀬.
眉.
寄せる.
『何も
進んでないって
言ったけど?』
返事.
『ううん。』
『進んだ。』
「……"
『何が』
数秒.
『先生が』
『自分がいなくても』
『みんなは笑えるって』
『知った。』
「……"
高瀬.
身体.
止まる.
『それ』
『69に必要?』
長い.
少し.
そして.
『一番。』
「……"
胸.
強く.
鳴る.
『何で』
返事.
『先生が』
『自分を残すため。』
「……"
No.18.
さらに.
『先生は』
『ずっと』
『自分がいなくなったら』
『誰かが困るって』
『思ってた。』
「……"
『だから』
『自分が消える代わりに』
『誰かを助ける選択が』
『できた。』
「……"
高瀬.
息.
浅くなる.
『でも今日』
『先生が何もしなくても』
『みんな』
『笑ってた。』
「……"
次.
『それは』
『先生がいらないって』
『意味じゃない。』
高瀬.
目.
少し.
熱くなる.
『先生が』
『いなくならなくてもいいって』
『意味。』
「……"
高瀬.
何も.
打てない.
胸.
痛い.
でも.
温かい.
自分が.
いないと.
困る.
だから.
残る.
じゃない.
自分が.
いなくても.
みんな.
生きる.
笑う.
それでも.
自分は.
ここにいていい.
◇
No.18.
『先生。』
『何』
『今日』
『ちゃんと』
『休めた?』
高瀬.
少し.
笑う.
『半分』
返事.
『十分。』
『採点?』
送る.
『感想。』
「……"
高瀬.
吹き出す.
そして.
その瞬間.
SYSTEM.
通知.
━━━━━━━━━━━━
対象
高瀬
固定役割
『中心人物』
適合率
96%
↓
71%
━━━━━━━━━━━━
「……"
高瀬.
目.
少し.
大きくなる.
中心人物.
自分.
ずっと.
そう.
扱われてた?
次.
━━━━━━━━━━━━
新規自己情報
・何もしない日がある
・他者に任せる
・場の中心でなくても参加可能
・楽しいことを目的なく選択
・プリンが好き
━━━━━━━━━━━━
「……"
高瀬.
最後.
見る.
『プリンが好き』
少し.
笑う.
「そこ」
「大事なんだな」
そして.
もう一つ.
━━━━━━━━━━━━
他者不在時
世界継続予測
98.7%
━━━━━━━━━━━━
「……"
高瀬.
胸.
止まりそうになる.
自分が.
いなくても.
世界.
続く.
当たり前.
なのに.
怖かった.
ずっと.
でも.
その数字を見て.
今日だけは.
少し.
安心した.
◇
最後。
Review0。
No.18。
『60。』
「……"
高瀬.
表情.
止まる.
『今
60って
言った?』
既読.
少し.
『うん。』
「……"
『あと9』
返事.
『うん。』
高瀬.
胸.
強く.
鳴る.
でも.
前みたいに.
すぐ.
質問.
打たない.
No.18.
『先生。』
『何』
『ここから』
『少しだけ』
『楽しい日も』
『増やしてね。』
「……"
『何で』
返事.
『69で』
『ちゃんと』
『帰ってきたくなるように。』
「……"
高瀬.
完全に.
動きを.
止める.
帰ってきたくなる.
場所.
人.
時間.
くだらない.
会話.
プリン.
ラーメン.
昼飯.
アイス.
猫.
甘口カレー.
全部.
そんな.
小さなもの.
でも。
人が。
戻りたいと。
思う理由は。
案外。
そういうものなのかもしれない.
Review69まで。
あと九。
高瀬は。
初めて。
その数字を見ても。
急がなかった.




