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この人生、採点中  作者: 夜凪 灯
第一章 『あなたは、あなたを何点にしますか』

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59/118

Review59 普通でいる

 午前七時四十八分。


 白石悠真は。


 昇降口で。


 靴を履き替えながら。


 欠伸をした。


「……眠」


 大きい。


 完全に。


 大きい。


「悠真」


「何」


 横。


 ナオ。


「今」


「口」


「すごかった」


「見んな」


「見えた」


「じゃあ」


「忘れろ」


「無理」


「……」


 白石。


 少し。


 笑う。


「お前」


「朝から」


「元気」


「普通」


「昨日」


「小説」


「書けたから?」


「……」


 ナオ。


 一瞬。


 止まる。


「二行」


「二行も」


「書いた」


「……」


「そこ」


「“も”なんだ」


「お前が」


「書いたなら」


「も」


「……」


 ナオ。


 少し。


 笑う。


「ありがと」


「何が」


「分かんない」


「じゃあ」


「言うな」


 二人。


 並んで。


 廊下。


 歩く。


 いつもと。


 同じ。


 でも。


 ナオが。


 いなくなった時。


 この。


 いつも。


 なくなった。


 だから。


 白石。


 今。


 少し。


 分かる。


 普通。


 かなり。


 大事。



◇



 午前八時二十分。


 教室。


 白石。


 席。


 鞄。


 置く。


 スマートフォン。


 Review0。



『今日は、


何したい?』



「……」


 白石。


 少し。


 画面。


 見る。


「何したい」


 授業。


 終わる。


 昼飯。


 食う。


 帰る。


 ゲーム。


 寝る。


「……」


 全部。


 普通。


 でも。


 入力。



『特にない。』



 送信。


 すぐ。



『そっか。』



「……」


 白石。


 画面。


 じっと。


 見る。


「本当に」


「それだけなんだ」


 少し。


 笑う。



◇



 午前十時五分。


 休み時間。


 ナオ。


 青いノート。


 開く。


「悠真」


「何」


「見て」


「……」


 白石。


 ノート。


 覗く。



『少年は、扉を開けた。』



 その下。


 新しい。


 一行。



『向こうには、


誰もいなかった。』



「……」


 白石。


「怖」


「何が」


「せっかく」


「開けたのに」


「誰も」


「いない」


「うん」


「悲しくない?」


「少し」


「……」


「じゃあ」


「誰か」


「出せば」


「……」


 ナオ。


 少し。


 黙る。


「それ」


「悠真が」


「出したい?」


「俺?」


「うん」


「知らん」


「……」


「じゃあ」


「誰も」


「いなくていい?」


「それも」


「お前が」


「決めろよ」


「……」


 ナオ。


 白石を見る。


「最近」


「それ」


「多い」


「何が」


「僕に」


「決めろって」


「……」


「悪い?」


「違う」


 ナオ。


 少し。


 笑う。


「嬉しい」


「……」


 白石。


 少し。


 目。


 逸らす。


「何で」


「僕」


「前」


「何でも」


「悠真に」


「聞いてた」


「うん」


「……」


「でも」


「悠真」


「答え」


「くれない」


「……」


「冷たい?」


「少し」


「おい」


 ナオ。


 笑う。


「でも」


「今」


「僕」


「自分で」


「書いてる」


「……」


 白石。


 ノート。


 見る。


「なら」


「いいじゃん」


「うん」


◇



 ナオ。


 ペン。


 持つ。


「じゃあ」


「誰も」


「いない」


「うん」


「少年」


「どうする」


「知らん」


「……」


「帰る?」


「知らん」


「進む?」


「知らん」


「何か」


「考えて」


「俺の小説」


「じゃない!」


「……」


 ナオ。


 笑う。


 白石も。


 笑う。


 そして。


 ナオ。


 少し。


 考える。


 書く。



『少年は、


誰もいない部屋に


入った。』



「入った」


「うん」


「怖くない?」


「怖い」


「でも」


「入った」


「……」


 白石。


 少し。


 笑う。


「お前」


「最近」


「扉」


「開けるの」


「好きだな」


「多分」


「……」


「悠真は?」


「何が」


「扉」


「……」


 白石。


 少し。


 考える。


「開ける前に」


「鍵」


「確認する」


「現実的」


「大事だろ!」


◇



 昼。


 食堂。


 白石。


 ナオ。


 二人。


 並ぶ。


「何食う」


「カレー」


「昨日」


「真壁先生」


「甘口」


「好きって」


「言ってた」


「……」


 白石。


 振り返る。


「何で」


「知ってる」


「高瀬先生が」


「言ってた」


「情報」


「早」


「……」


 ナオ。


 少し。


 笑う。


「悠真」


「何」


「辛口?」


「中辛」


「普通」


「悪い?」


「別に」


「……」


 白石。


 少し。


 眉。


 寄る。


「最近」


「普通って」


「言われると」


「ちょっと」


「気になる」


「何で」


「分からん」


「……」


 二人。


 席。


 座る。


◇



「ナオ」


「何」


「俺」


「普通?」


「……」


 ナオ。


 スプーン。


 止まる。


「急」


「いいから」


「……」


 少し。


 考える。


「普通」


「……」


 白石。


「即答」


「嫌?」


「……」


「分からん」


「じゃあ」


「何で」


「聞いた」


「分からん」


「……」


 ナオ。


 白石。


 見る。


「悠真」


「何」


「最近」


「みんな」


「何か」


「ある」


「……」


「高瀬先生」


「Review」


「篠宮さん」


「Review0」


「真壁先生」


「未来」


「佐伯先生」


「三年前」


「藤原先生」


「支える人」


「桐谷先生」


「二人」


「……」


 白石。


「最後」


「雑」


「でも」


 ナオ。


「悠真」


「何も」


「ない」


「……」


 白石。


 少し。


 笑う。


「やっぱ」


「そうだよな」


「……」


 ナオ。


 顔。


 少し。


 変わる。


「嫌?」


「……」


 白石。


 カレー。


 一口。


 食べる。


「分からん」


「……」


「でも」


 少し。


 声。


 小さく。


「俺」


「何で」


「ここに」


「いるんだろって」


「たまに」


「思う」


「……」


 ナオ。


 完全に。


 手。


 止まる。


「悠真」


「何」


「それ」


「初めて」


「言った」


「……」


 白石。


 少し。


 気まずそう。


「今」


「言ったから」


「初めて」


「当たり前」


「……」


 ナオ。


 少し。


 笑う。


 でも。


 目。


 真剣。


「僕のため?」


「……」


 白石。


 すぐ。


 答えない。


「最初は」


「多分」


「うん」


「……」


「お前」


「消えた」


「……」


「戻したかった」


「……」


「だから」


「ここまで」


「来た」


「……」


 ナオ。


「今は?」


「……」


 白石。


 少し。


 困る。


「今?」


「僕」


「戻った」


「……」


「じゃあ」


「悠真」


「もう」


「ここに」


「いる理由」


「ない?」


「……」


 白石。


 胸。


 少し。


 ざわつく。


「それ」


「何か」


「嫌だな」


「何が」


「用事」


「終わったから」


「帰る」


「みたい」


「……」


「ナオ」


「俺」


「お前」


「戻したから」


「終わり」


「じゃないだろ」


「……」


 ナオ。


 少し。


 笑う。


「じゃあ」


「何」


「知らん」


「また」


「知らん」


「……」


「でも」


 白石。


 ナオ。


 見る。


「普通に」


「ここに」


「いたい」


「……」


 ナオ。


 少し。


 目。


 大きくなる。


「僕の隣?」


「……」


 白石。


 顔。


 少し。


 しかめる。


「そういう」


「言い方」


「キモい」


「ひど」


「でも」


 一度。


 笑う。


「まあ」


「近い」


「……」


 ナオ。


 少し。


 嬉しそうに。


「じゃあ」


「それで」


「いいんじゃない」


「何が」


「悠真」


「ここにいる理由」


「……」


 白石。


 少し。


 黙る。


「普通に」


「いたいから」


「いる」


「うん」


「……」


「それ」


「理由に」


「なる?」


「僕は」


「なると思う」


「……」


 白石。


「じゃあ」


「なるか」


「人に」


「決めてもらった!」


「今の」


「違う!」


 二人。


 笑う。



◇



 午後一時二十九分。


 廊下。


 白石。


 一人。


 高瀬。


 前。


 歩いてる。


「先生」


「ん?」


 高瀬。


 振り返る。


「どうした」


「……」


 白石。


 少し。


 言うか。


 迷う。


「先生」


「何」


「俺」


「普通?」


「……」


 高瀬。


 一瞬。


 真顔。


「また」


「それ?」


「誰かにも」


「聞いた?」


「ナオ」


「……」


「何て」


「普通」


「……」


「高瀬先生は」


「……」


 高瀬。


 白石。


 じっと。


 見る。


「普通」


「……」


 白石。


「先生も」


「即答」


「でも」


 高瀬。


 続ける。


「白石の」


「普通」


「俺」


「結構」


「好き」


「……」


 白石。


 少し。


 眉。


 寄せる。


「何」


「それ」


「お前」


「ナオ」


「いなくなった時」


「めちゃくちゃ」


「探した」


「……」


「でも」


「戻ったあと」


「ずっと」


「ナオに」


「付きっきり」


「でもない」


「……」


「小説」


「書けない時」


「無理に」


「書かせない」


「……」


「書けた時」


「大騒ぎ」


「しない」


「……」


「ただ」


「横に」


「いる」


「……」


 白石。


 少し。


 目。


 逸らす。


「それ」


「普通」


「じゃない?」


「うん」


「……」


「でも」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「俺」


「それ」


「苦手」


「……」


「何が」


「何も」


「しないで」


「横に」


「いる」


「……」


「すぐ」


「何か」


「したくなる」


「……」


 白石。


「先生」


「最近」


「それ」


「直してる」


「うん」


「……」


「だから」


「白石」


「見てると」


「ちょっと」


「勉強になる」


「……」


 白石。


 完全に。


 止まる。


「俺が」


「先生の」


「勉強?」


「うん」


「……」


「やめて」


「何で!」


「重い」


「普通で」


「いさせて」


「……」


 高瀬。


 一瞬。


 止まる。


 そして。


 少し。


 笑う。


「分かった」


「……」


「じゃあ」


「白石」


「何」


「普通で」


「いて」


「……」


 白石。


 少し。


 笑う。


「はい」


「返事」


「普通!」


「今」


「それ」


「言うな!」



◇



 午後三時五十七分。


 図書室。


 白石。


 一人。


 ナオ。


 今日は。


 先生に。


 呼ばれてる。


「……」


 暇。


 スマートフォン。


 触る。


 Review0。



『今日は、


何したい?』



 朝。


『特にない。』


 そう。


 答えた。


「……」


 白石。


 少し。


 考える。


 追記。



『今も


特にない。』



 一度。


 止まる。



『でも


ナオが戻ってきたら


一緒に帰る。』



 送信。


 数秒。



『そっか。』



「……」


 白石。


「やっぱ」


「それだけ」


 笑う。



◇



 その時。


 SYSTEM。


 突然。


 起動。



━━━━━━━━━━━━


対象


白石悠真

━━━━━━━━━━━━



「……」


 白石。


 顔。


 少し。


 変わる。


「俺?」


 今まで。


 SYSTEMから。


 個別。


 名指し。


 ほとんど。


 なかった。


 次.



━━━━━━━━━━━━


役割情報


不足。

━━━━━━━━━━━━



「……」


 白石。


 眉。


 寄せる。


 次.



━━━━━━━━━━━━


能力情報


なし。

━━━━━━━━━━━━



━━━━━━━━━━━━


特殊適性


なし。

━━━━━━━━━━━━



━━━━━━━━━━━━


過去干渉履歴


軽微。

━━━━━━━━━━━━



「……」


 白石。


 少し。


 笑う。


「悪口?」


 次.



━━━━━━━━━━━━


分類困難。

━━━━━━━━━━━━



「何で」


 SYSTEM.



━━━━━━━━━━━━


重要行動の


大半が


低強度。

━━━━━━━━━━━━



「……」


 白石。


「低強度」


 次.



━━━━━━━━━━━━


例


・隣に座る


・話を聞く


・待つ


・一緒に帰る


・何もしない

━━━━━━━━━━━━



「……」


 白石。


 その文字。


 じっと。


 見る。


「何もしない」


 少し。


 腹立つ。


「何もしない」


「って」


「……」


 声。


 低くなる。


「何か」


「悪い?」


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


評価不能。

━━━━━━━━━━━━



「……」


 白石。


 少し。


 笑う。


「じゃあ」


「別に」


「いいか」


 スマートフォン。


 閉じる。



◇



 でも。


 数秒後。


 また。


 震える。



━━━━━━━━━━━━


提案。


役割を


設定しますか?

━━━━━━━━━━━━



「……」


 白石。


「いらん」


 即答。


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


推奨役割候補


『同行者』


『補助者』


『保護者』


『固定支援者』

━━━━━━━━━━━━



「……」


 白石。


 顔。


 少し。


 しかめる。


「全部」


「嫌」


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


理由を


入力してください。

━━━━━━━━━━━━



「……」


 白石。


 少し。


 笑う。


「理由」


 入力欄。


 開く。



『ナオの隣にいるけど、


ナオのためだけに


いるわけじゃない。』



 少し。



『誰かを


支えるためだけでもない。』



 止まる。



『俺は


俺として


普通にここにいる。』



 送信。


 SYSTEM。


 数秒。


 反応。



━━━━━━━━━━━━


役割設定


失敗。

━━━━━━━━━━━━



「……」


 白石。


「よし」


 小さく。


 笑う。



◇



 その瞬間。


 Review0。



『いいね。』



「……」


 白石。


 少し。


 目。


 細くなる。



『誰』



 送る。


 返事.



『私。』



「No.18?」


『うん。』



「……」


 白石。


 一瞬。


 身構える。


 今まで。


 No.18と。


 まともに。


 一対一。


 話してない。



『俺


後付けで


名前呼ばれた人だよ』



 送る。


 少し。


 返事.



『まだ気にしてる?』



「……」


 白石。


 吹き出す.



『少し』



『ごめん。』



『また謝った』



『よく言われる。』



「……」


 白石。


 少し。


 笑う.



◇



『白石くん。』



『何』



『ありがとう。』



「……」


 白石。


 表情。


 止まる。



『何が』



 返事.



『尚の隣にいてくれて。』



「……」


 白石。


 指。


 止まる.


 少し.


 胸.


 ざわつく.



『それ


ナオのために


やってるわけじゃない』



 送る.


 返事.



『うん。』



 次.



『だから


ありがとう。』



「……」


 白石。


 少し.


 眉.


 寄せる.



『意味分からん』



 返事.



『尚を助けるために


隣にいる人だったら』



『尚が元気になったら


いなくなるかもしれない。』



「……"



『でも』



『白石くんは』



『一緒にいたいから


いるんでしょ。』



「……」


 白石。


 昼。


 ナオに。


 言った。



『普通にここにいたい』



 胸.


 少し.


 熱くなる.



『多分』



 送る.



『それが


一番嬉しい。』



「……"


 白石。


 しばらく.


 画面.


 見る.



『あんた


ナオのこと


好きだった?』



 送る.


 返事.


 少し.


 遅い.



『好きだよ。』



「……」


 白石.


 目.


 少し.


 細くなる.



『今も?』



『うん。』



『じゃあ


何で


自分で戻ってこない』



「……"


 既読.


 長い.


 少し.


 白石.


 さすがに.


 緊張.



『戻りたい時もある。』



 返事.



『でも』



『まだ


ここにいたい時もある。』



「……"


 白石.


 少し.


 考える.



『両方?』



『うん。』



「……"


 白石.


 少し.


 笑う.



『じゃあ


それでいいんじゃない』



 返事.


 止まる.


 一分.


「……"


 白石.


 少し.


 不安.



『何』



 返事.



『白石くん』



『本当に』



『普通に言うね。』



「……"


 白石.


「悪い?」


 声.


 出る.



『悪い?』



 送る.



『ううん。』



 次.



『助かる。』



「……"



 白石。


 少し.


 胸.


 温かい.



『じゃあ


よかった』



 送る.



◇



 そこへ。


 ナオ。


 図書室。


 戻る。


「悠真」


「お」


「何してた」


「Review0」


「……」


 ナオ。


 少し。


 身構える。


「誰と」


「No.18」


「……」


 ナオ。


 目。


 少し。


 大きくなる。


「何話した」


 白石。


 止まる。


 昨日までなら。


 普通に。


 全部。


 言ったかもしれない。


 でも。


「……」


「聞いていい?」


 ナオ。


 先に。


 聞く。


 白石。


 少し。


 笑う。


「一部」


「うん」


「……」


「あの人」


「お前のこと」


「好きだって」


「……」


 ナオ。


 完全に。


 止まる。


「……僕?」


「うん」


「何で」


「知らん」


「……」


「それ」


「本人に」


「聞けよ」


「……」


 ナオ。


 少し。


 顔。


 赤い。


「何」


「照れてる?」


「違う」


「照れてる」


「違う!」


「分かった」


「何が!」


 二人。


 笑う。


◇



 少し。


 落ち着く。


「悠真」


「何」


「他」


「何話した」


「……」


 白石。


 少し.


 考える.


「俺が」


「お前の隣」


「いること」


「……」


「ありがとうって」


「言われた」


「……」


 ナオ。


 顔.


 少し.


 柔らかくなる.


「悠真」


「何」


「僕からも」


「言っていい?」


「……」


 白石.


 少し.


 嫌な予感.


「重いの」


「やめて」


「まだ」


「言ってない」


「何」


「……」


 ナオ.


 一度.


 息.


「ありがとう」


「……」


 白石。


 言葉.


 止まる.


「何が」


「いること」


「……」


「それ」


「何も」


「してない」


「うん」


「……」


「なのに?」


「だから」


「……」


 白石。


 目.


 少し.


 逸らす.


「お前ら」


「最近」


「それ」


「好きだな」


「何が」


「何もしない」


「……」


「高瀬先生も」


「最近」


「練習してる」


「先生と」


「一緒に」


「しないで」


「何で!」


 高瀬。


 いない。


 でも。


 二人。


 笑う。


◇



 午後五時二十六分。


 帰り道。


 白石。


 ナオ。


 二人。


 歩く。


「悠真」


「何」


「今日」


「何したい」


「何て書いた」


「……」


「言っていい?」


「うん」


「特にない」


「……」


 ナオ。


 少し。


 笑う。


「朝から?」


「朝から」


「今も?」


「今も」


「……」


「じゃあ」


「今日」


「何も」


「したくなかった?」


「いや」


「違う」


「……」


 白石。


 少し。


 考える。


「したいこと」


「別に」


「決めてなかった」


「……」


「でも」


「今」


「お前と」


「帰ってる」


「うん」


「それ」


「悪くない」


「……」


 ナオ。


 少し。


 笑う.


「じゃあ」


「今日は」


「それで」


「いい?」


「うん」


「……」


 白石。


 少し.


 笑う.


「今日」


「だったし」


「……」


「高瀬先生」


「みたい」


「それ」


「やめろ!」


◇



 信号。


 赤。


 二人。


 止まる。


「悠真」


「何」


「もし」


「僕」


「また」


「消えたら」


「……」


 白石。


 顔.


 少し.


 変わる.


「何で」


「今」


「それ」


「分かんない」


「……」


「でも」


「もし」


 白石。


 信号.


 見る.


 赤.


 車.


 通る.


「探す」


 即答.


 ナオ.


 少し.


 目.


 大きくなる.


「でも」


 白石。


 続ける.


「戻るか」


「どうか」


「お前が」


「決める」


「……」


「俺」


「戻ってほしい」


「それは」


「言う」


「……」


「めちゃくちゃ」


「言う」


「……」


「でも」


「最後」


「決めるの」


「お前」


「……」


 ナオ。


 少し.


 目.


 潤む.


「悠真」


「何」


「それ」


「ずるい」


「何が」


「戻ってほしいって」


「言うのに」


「決めるの」


「僕」


「……」


「そうだよ」


「……」


「それ」


「怖い」


「俺も」


「……」


「でも」


 白石.


 少し.


 ナオを見る.


「お前の人生」


「俺の」


「じゃないから」


「……」


 信号.


 青.


「行くぞ」


「うん」


 二人.


 歩く.



◇



 夜。


 午後十一時十二分。


 白石。


 自室。


 Review0。



『今日の自分を、


自分でどう思う?』



「……」


 入力。



『普通。』



 止まる。


 少し。


 笑う.


 続ける.



『朝


眠かった。』



『カレーは中辛。』



『ナオの小説が


一行増えた。』



『SYSTEMに


役割をつけられそうになって


断った。』



『帰り


ナオと帰った。』



 一度.


 考える.



『特別なことは


多分


何もしてない。』



 指.


 止まる.



『でも』



『今日は


結構好きだった。』



 送信.


 数秒.



『うん。』



 Review0.


 そして.



『白石くん。』



『何』



『それ』



『忘れないでね。』



「……"



『何を』



 返事.



『特別じゃない日を』



『好きだって思えること。』



「……"


 白石.


 少し.


 目.


 細くなる.



『何で』



 長い.


 返事.



『Review69は』



『多分』



『全員にとって』



『特別な日になるから。』



「……"


 胸.


 少し.


 ざわつく.



『だから?』



『特別な日が』



『人生の全部じゃないって』



『誰かが』



『覚えてないといけない。』



「……"


 白石.


 少し.


 考える.



『俺?』



 返事.



『白石くんなら』



『覚えていられる気がする。』



「……"


 白石.


 眉.


 寄せる.



『それ


役割?』



 返事.


 すぐ.



『違う。』



 次.



『お願い。』



「……"


 白石.


 表情.


 少し.


 変わる.


 役割.


 じゃない.


 お願い.


 断っても.


 いいもの.



『嫌なら


断っていい?』



 返事.



『もちろん。』



「……"


 白石.


 少し.


 笑う.


 考える.


 少し.


 長く.


 そして.



『じゃあ


覚えとく』



 送信.



『ありがとう。』



「……"


 白石.


 少し.


 笑う.



『でも


忘れたらごめん』



『その時は』



『思い出せばいい。』



「……"



『普通だな』



『うん。』



 白石.


 スマートフォン.


 置く.


 天井.


 見る.


 普通.


 能力.


 ない.


 特別.


 じゃない.


 役割.


 ない.


 でも.


 今日.


 ナオと.


 飯.


 食った.


 小説.


 一行.


 増えた.


 一緒に.


 帰った.


 それで.


 結構.


 よかった.



◇



 同じ頃。


 SYSTEM。


 静かに。


 更新。



━━━━━━━━━━━━


対象


白石悠真

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役割


未設定。

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特殊能力


なし。

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観測適性


なし。

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固定適性


低。

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 数秒.


 そして.



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重要度


算出不能。

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 さらに.



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理由


日常行動が


他対象の


自己定義に


継続的影響。

━━━━━━━━━━━━



 最後.



━━━━━━━━━━━━


影響量


測定不能。

━━━━━━━━━━━━



 でも.


 白石は.


 その画面を.


 見ていない.



 もう.



 寝ていた.



 明日も.



 多分.



 特別なことは.



 何もない.



 それでも.



 朝になったら.



 学校へ行く.



 ナオがいたら.



 話す.



 いなかったら.



 探す.



 腹が減ったら.



 飯を食う.



 帰る時は.



 一緒に帰るかもしれない.



 それだけ.



 でも.



 それだけで.



 人は。



 誰かの一日に.



 ちゃんと.



 残る.



 白石悠真は.



 特別じゃない.



 だからこそ.



 この世界が.



 最後まで.



 忘れてはいけないものを.



 誰より.



 普通に.



 持っていた。

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