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この人生、採点中  作者: 夜凪 灯
第一章 『あなたは、あなたを何点にしますか』

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56/117

Review56 俺は、残りたい

 翌朝。


 午前七時四十二分。


 真壁は。


 いつもより。


 少し。


 早く。


 学校にいた。


 職員室。


 まだ。


 人。


 少ない。


 パソコン。


 開く。


 でも。


 仕事。


 始めない。


「……」


 スマートフォン。


 画面。



━━━━━━━━━━━━


観測深度


29%

━━━━━━━━━━━━



 昨日。


 見えた。


 未来。



━━━━━━━━━━━━


観測者


真壁透


統合率


71%

━━━━━━━━━━━━



 さらに。


 声。



『観測者は』


『不要になる』



「……」


 真壁。


 スマートフォン。


 伏せる。


「不要」


 小さく。


 呟く。


 前にも。


 言われた。


『真壁透という個別人格は不要』


 あの時は。


 腹が立った。


 怖かった。


 でも。


 今。


 少し。


 違う。


 怖い。


 それ以上に。


「……嫌だな」


 言葉。


 出る。


「何が」


「……っ」


 真壁。


 顔。


 上げる。


 佐伯。


 コーヒー。


 持っている。


「おはようございます」


「おはようございます」


「今」


「嫌だなって」


「……」


 真壁。


 少し。


 目。


 逸らす。


「独り言」


「聞こえました」


「忘れてください」


「……」


 佐伯。


 少し。


 笑う。


「分かりました」


「……」


 真壁。


 一瞬。


 意外そうに。


 佐伯を見る。


「聞かないんですね」


「聞いてほしい?」


「……」


 止まる。


「分からない」


「じゃあ」


「今は」


「聞かない」


「……」


 佐伯。


 自分の席。


 向かう。


「でも」


 一度。


 振り返る。


「言いたくなったら」


「聞きます」


「……」


 真壁。


 少し。


 笑う。


「最近」


「みんな」


「それ」


「言う」


「流行ってる?」


「高瀬先生の周りだけ」


「それ」


「嫌だな」


「何で」


「高瀬先生由来みたい」


「……」


 佐伯。


 吹き出す。


「本人に」


「言ったら」


「喜びますよ」


「だから」


「言わない」


◇


 午前八時十七分。


 高瀬。


 職員室。


「おはよう」


「おはようございます」


 真壁。


 いつも通り。


 返す。


 高瀬。


 一度。


 通り過ぎる。


 でも。


 三歩。


 戻る。


「……」


 真壁。


「何ですか」


「いや」


「今」


「普通だった」


「……」


「それ」


「褒めてる?」


「半分」


「朝から」


「やめて」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


 でも。


 真壁の。


 机。


 横。


 立ったまま。


「昨日」


「俺」


「任せるって」


「言った」


「はい」


「……」


「今日」


「聞かない」


「……」


 真壁。


 少し。


 顔。


 上げる。


「何を」


「未来」


「……」


 高瀬。


「でも」


「一個だけ」


「聞いていい?」


「内容じゃ」


「ない?」


「うん」


「……」


「今」


「怖い?」


「……」


 真壁。


 少し。


 長く。


 黙る。


「はい」


「……」


「かなり?」


「かなり」


「……」


 高瀬。


 少し。


 息。


 吐く。


「そっか」


「……」


「それだけ?」


「うん」


「……」


 真壁。


 少し。


 眉。


 寄る。


「高瀬先生」


「何」


「今」


「何か」


「言いたい?」


「ある」


「何」


「大丈夫」


「って」


「言いたい」


「……」


「でも」


「大丈夫か」


「分からんから」


「言わない」


「……」


 真壁。


 少し。


 笑う。


「それ」


「前なら」


「絶対」


「言ってました」


「うん」


「……」


「最近」


「言葉」


「減りましたね」


「俺?」


「はい」


「……」


「悪い?」


「いや」


 一度。


 真壁。


 少し。


 目。


 細くなる。


「今の方が」


「話しやすい」


「……」


 高瀬。


「それ」


「嬉しい」


「全部?」


「全部」


「そこは」


「全部使うんですね」


「使いたい時は」


「使う!」


◇


 午前十一時四分。


 空き教室。


 真壁。


 一人。


 スマートフォン。


 Review0。



『今日は、


何したい?』



「……」


 昨日。


 答え。


 書かなかった。


 今日は。


 画面。


 開いている。


 何したい。


 仕事。


 授業。


 未来を。


 言わない。


 観測深度を。


 上げない。


 高瀬を。


 助ける。


 69。


 全部。


 頭。


 浮かぶ。


「……」


 でも。


 何したい。


 自分。


 何したい。


「……分からない」


 入力。


 しようと。


 する。


 止まる。


 消す。


 また。


 考える。


『未来を見たくない』


 打つ。


 止まる。


 消す。


「……」


 違う。


 見たくない。


 じゃない。


 見える。


 それ自体は。


 もう。


 止められない。


 でも。


 自分。


 どうしたい。


「……」


 指。


 動く。



『俺として


残りたい。』



 真壁。


 自分で。


 打った文字。


 見る。


 胸。


 少し。


 鳴る。


「俺として」


 もう一度。


 小さく。


 読む。


 送信。


 数秒。


 Review0。



『うん。』



「……」


 それだけ。


 真壁。


 少し。


 笑う。


「相変わらず」


「何も」


「言わないな」


 でも。


 その方が。


 いい。


◇


 昼。


 中庭。


 真壁。


 一人。


 パン。


 食べている。


「真壁先生」


「……」


 結良。


「一人?」


「見れば」


「分かる」


「何食べてる」


「パン」


「それも」


「見れば」


「分かる」


「何パン」


「……」


 真壁。


 袋。


 見る。


「焼きカレーパン」


「お」


「何」


「意外」


「何が」


「真壁先生」


「甘いパン」


「食べそう」


「どういう」


「偏見」


「静かな人」


「甘いパン」


「意味分からない」


 結良。


 少し。


 笑う。


「座っていい?」


「どうぞ」


 隣。


 座る。


「……」


 二人。


 少し。


 静か。


「結良さん」


「何」


「今日」


「ピアノ」


「弾く?」


「多分」


「……」


「多分?」


「今」


「弾きたいか」


「まだ」


「分かんない」


「……」


 真壁。


「それで」


「いいんじゃない」


「うん」


「真壁先生は」


「何」


「今日」


「何したい」


「……」


 真壁。


 一瞬。


 止まる。


「Review0?」


「うん」


「……」


「言わなくて」


「いいんじゃない?」


「……」


 結良。


 少し。


 笑う。


「先生」


「学習してる」


「それ」


「高瀬先生に」


「言うやつ」


「うつった」


「やめて」


 少し。


 笑い。


「でも」


 結良。


「一個だけ」


「言っていい?」


「何」


「今日」


「真壁先生」


「ちょっと」


「怖そう」


「……」


 真壁。


 顔。


 動かない。


「顔?」


「違う」


「……」


「何となく」


「……」


 真壁。


 少し。


 空。


 見る。


「みんな」


「何となく」


「当ててくる」


「何」


「嫌?」


「……」


 一度。


 考える。


「前なら」


「嫌だった」


「今は?」


「……」


「少し」


「安心する」


「……」


 結良。


 少し。


 笑う。


「じゃあ」


「それ」


「言えばいい」


「誰に」


「怖いって」


「……」


 真壁。


 少し。


 黙る。


「高瀬先生?」


「別に」


「誰でも」


「……」


「私でも」


「……」


 真壁。


 結良を見る。


「怖い」


「……」


 結良。


 一瞬。


 目。


 大きくなる。


 でも。


 すぐ。


「うん」


「……」


「それだけ?」


「何て」


「言ってほしい」


「……」


 真壁。


 少し。


 笑う。


「分からない」


「じゃあ」


「怖いんだ」


「で」


「終わり」


「……」


 真壁。


 少し。


 肩。


 力。


 抜ける。


「それ」


「楽」


「でしょ」


◇


 午後二時四十八分。


 真壁。


 階段。


 降りる。


 途中。


 視界。


 揺れる。


「……」


 壁。


 手。


 つく。


 未来。


 来る。


◇


 白い。


 教室。


 高瀬。


 No.18。


 結良。


 藤原。


 佐伯。


 ナオ。


 白石。


 二人の桐谷。


 沙耶。


 そして。


 真壁。


 自分。


 少し。


 離れている。


『真壁先生』


 No.18。


 声。


『どうしたい?』


「……」


 未来の。


 自分。


 答える。


『分からない』


『じゃあ』


『分からないまま』


『決めて』


「……」


 真壁。


 顔。


 歪む。


『無理』


 次。


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


観測者統合


開始。

━━━━━━━━━━━━



『真壁!』


 高瀬。


 走ろうと。


 する。


『来るな!』


 未来の。


 自分。


 叫ぶ。


 高瀬。


 止まる。


「……」


 その瞬間。


 真壁。


 現実。


 戻る。


「……っ」


 呼吸。


 浅い。


 階段。


 手すり。


 強く。


 握る。


 スマートフォン。



━━━━━━━━━━━━


観測深度


34%

━━━━━━━━━━━━



「……」


 一回。


 五。


 上がった。


「来るな」


 自分。


 言った。


 高瀬に。


「……」


 怖い。


 でも。


 少し。


 分かった。


 未来の。


 自分。


 助けてほしい。


 だけじゃ。


 ない。


◇


 午後三時三十六分。


 職員室。


「真壁」


「……」


 高瀬。


 すぐ。


 気付く。


「今」


「見た?」


「……」


 真壁。


 椅子。


 座る。


 顔。


 少し。


 青い。


「はい」


「……」


 高瀬。


 口。


 開く。


 閉じる。


「水」


「……」


「何」


「水」


「飲む?」


「……」


 真壁。


 一瞬。


 笑う。


「未来じゃなく」


「水?」


「今」


「顔」


「悪いから」


「……」


「飲む」


 高瀬。


 ペットボトル。


 渡す。


 真壁。


 一口。


 飲む。


「……」


「少し」


「落ち着いた?」


「はい」


「……」


 高瀬。


 横。


 椅子。


 座る。


「言う?」


「……」


 真壁。


 少し。


 考える。


「一部」


「……」


「いい?」


「はい」


「未来の」


「内容」


「全部じゃない」


「うん」


「……」


「俺」


 真壁。


 ペットボトル。


 両手。


 持つ。


「高瀬先生に」


「来るなって」


「言ってた」


「……」


 高瀬。


 表情。


 変わる。


「何が」


「起きてた」


「そこは」


「言わない」


「……」


 高瀬。


 少し。


 唇。


 噛む。


「分かった」


「……」


「それで」


 真壁。


「その未来の俺」


「……」


「助けてほしくない」


「って」


「感じじゃなかった」


「……」


「じゃあ」


「何」


「分からない」


「……」


「でも」


 一度。


 目。


 閉じる。


「自分で」


「何か」


「やりたかった」


「……」


 高瀬。


 少し。


 顔。


 上げる。


「だから」


「俺に」


「来るな?」


「多分」


「……」


 高瀬。


 胸。


 重い。


「真壁」


「はい」


「もし」


「その時」


「本当に」


「来るなって」


「言われたら」


「……」


「俺」


「止まれるかな」


「……」


 真壁。


 高瀬を見る。


「止まって」


「……」


 高瀬。


 目。


 少し。


 大きくなる。


「今」


「お願い?」


「はい」


「……」


「未来」


「じゃない」


「今の俺が」


「言ってる」


「……」


 高瀬。


 しばらく。


 黙る。


「分かった」


「……」


「絶対?」


 真壁。


 少し。


 笑う。


 高瀬。


 考える。


「……」


「その時」


「もう一回」


「聞く」


「……」


「来るなって」


「本当に」


「今も」


「思ってるか」


「……」


「それでも」


「来るなって」


「言ったら」


 一度。


 息。


「止まる」


「……」


 真壁。


 目。


 少し。


 潤む。


「それで」


「いい」


◇


「真壁」


 高瀬。


「何」


「俺からも」


「一個」


「聞いていい?」


「内容以外」


「うん」


「……」


「お前」


「未来」


「見えなくなりたい?」


「……」


 真壁。


 完全に。


 止まる。


 今まで。


 誰にも。


 聞かれなかった。


 未来。


 見える。


 便利。


 危険。


 能力。


 役割。


 観測者。


 でも。


「……」


 真壁。


 少し。


 下.


 見る。


「分からない」


「……」


「嫌?」


「怖い」


「……」


「でも」


「見えたから」


「助かったことも」


「ある」


「……」


「みんなに」


「伝えられたこと」


「ある」


「……」


「じゃあ」


「残したい?」


「……」


 長い。


 沈黙.


「能力は」


「分からない」


「……」


 真壁.


 顔.


 上げる.


「でも」


「俺は」


「残りたい」


「……」


 高瀬.


 胸.


 強く.


 鳴る.


「真壁透として?」


「はい」


「……」


「観測者とか」


「004とか」


「そういうのじゃなく」


「……」


「俺」


「として」


「……」


 高瀬.


 少し.


 笑う.


「それ」


「聞けて」


「よかった」


「何で」


「その時」


「来るなって」


「言われても」


「……」


「真壁が」


「残りたいって」


「言ったこと」


「覚えてられる」


「……」


 真壁.


 目.


 少し.


 細くなる.


「それ」


「使って」


「止める?」


「違う」


「……」


「確認する」


「……」


「その時も」


「残りたいか」


「……」


 真壁.


 少し.


 笑う.


「はい」


「何回でも」


「聞いて」


「しつこい」


「得意」


「知ってる」


 二人.


 少し.


 笑う.


◇


 午後五時二十三分。


 空き教室.


 今日は.


 全員.


 ではない.


 高瀬.


 真壁.


 藤原.


 佐伯.


 四人.


「珍しい」


 藤原.


「何が」


 高瀬.


「少人数」


「最近」


「多すぎました」


「確かに」


 佐伯.


 少し.


 笑う.


「真壁先生」


「自分で」


「話したいこと」


「あるって」


「……」


 真壁.


 少し.


 緊張.


「はい」


「珍しい?」


 高瀬.


「言うな」


「ごめん」


◇


 真壁.


 少し.


 息.


 吸う.


「俺」


「未来」


「見えます」


「うん」


「……」


「でも」


「最近」


「それ」


「自分の」


「一番大事なことみたいに」


「なってた」


「……」


「真壁透」


「より」


「未来を見る人」


「……」


「それ」


「嫌です」


「……」


 藤原.


 静かに.


 聞く.


「だから」


 真壁.


「これから」


「未来」


「見えても」


「必要なら」


「言う」


「……」


「必要じゃないって」


「俺が」


「思ったら」


「言わない」


「……」


「でも」


「それ以上に」


「未来以外の」


「話」


「したい」


「……」


 高瀬.


 少し.


 目.


 大きくなる.


「例えば」


「……」


 真壁.


 少し.


 困る.


「それ」


「今」


「聞く?」


「いや」


「話したいって」


「言ったから」


「……」


 真壁.


 少し.


 笑う.


「最近」


「コーヒー」


「変えました」


「……」


 三人.


 少し.


 止まる.


「何」


 高瀬.


「その顔」


「いや」


「普通すぎて」


「いいんでしょ」


「……」


 藤原.


 笑う.


「何に」


「変えたんですか」


「ブラック」


「前は」


「微糖」


「……」


 高瀬.


「大人になった?」


「それ」


「勝手に」


「成長扱い」


「やめて」


「篠宮に」


「言われたやつ!」


「学習してください」


 少し.


 笑い.


「あと」


 真壁.


「何」


「カレー」


「甘口」


「……」


 高瀬.


「え」


「何」


「意外」


「何で」


「真壁」


「辛口」


「食べそう」


「今日」


「二人目」


「同じ偏見」


「誰」


「結良さん」


「……」


「高瀬先生」


「何」


「俺」


「今日」


「人の食べ物で」


「傷ついてる」


「大げさ!」


◇


 そんな.


 くだらない.


 話.


 十分.


 続く.


 未来.


 一度も.


 出ない.


 観測者.


 出ない.


 004.


 出ない.


 真壁透.


 ただ.


 コーヒー.


 甘口カレー.


 最近.


 眠い.


 朝.


 苦手.


 犬より.


 猫.


「猫?」


 高瀬.


「はい」


「飼ってる?」


「飼ってない」


「じゃあ」


「何で」


「好き」


「動画」


「……」


 高瀬.


「真壁」


「何」


「それ」


「今まで」


「一個も」


「知らなかった」


「……」


 真壁.


 少し.


 笑う.


「でしょうね」


「何で」


「言わなかった」


「聞かれなかった」


「……」


 高瀬.


 止まる.


「確かに」


「未来のこと」


「ばっか」


「聞いてた」


「……」


「はい」


「……」


「ごめん」


「謝らなくて」


「いい」


「……」


「じゃあ」


「今」


「聞く」


「何」


「猫」


「どんなの」


「そこ?」


「大事!」


 四人.


 笑う.


◇


 その瞬間.


 真壁.


 スマートフォン.


 震える.


「……」


 全員.


 少し.


 止まる.


 SYSTEM.



━━━━━━━━━━━━


対象


真壁透

━━━━━━━━━━━━


自己定義情報


増加。

━━━━━━━━━━━━



「……」


 真壁.


 少し.


 笑う.


「また」


 次.



━━━━━━━━━━━━


観測者適合率


82%


↓


67%

━━━━━━━━━━━━



「下がった」


 藤原.


「何で」


 佐伯.


「未来じゃない」


「情報」


「増えたから?」


 SYSTEM.



━━━━━━━━━━━━


単一役割への


固定


困難。

━━━━━━━━━━━━



「……」


 高瀬.


 真壁を見る.


「猫」


「強い」


「そこ?」


「甘口カレーも」


「高瀬先生」


「今」


「全部」


「食べ物と猫」


「功績にする?」


 少し.


 笑い.


 でも.


 真壁.


 画面.


 見ながら.


 静かに.


「俺」


「これ」


「好き」


「何が」


「観測者適合率」


「下がった」


「……」


「未来」


「見えなくなるかも」


「……」


 高瀬.


「嫌?」


「……」


 真壁.


 少し.


 考える.


「今は」


「怖い」


「……」


「でも」


「嬉しい」


「……」


 高瀬.


 少し.


 笑う.


「両方」


「はい」


「それで」


「いい」


◇


 夜.


 午後十時五十九分.


 真壁.


 自宅.


 Review0.



『今日の自分を、


自分でどう思う?』



「……」


 入力.



『怖かった。』



 少し.



『未来を見た。』



『言わなかった。』



『でも』



『高瀬先生に』


『残りたいって言った。』



 止まる.



『俺として。』



 少し.



『あと』



『甘口カレーが好きって』



『初めて言った。』



 真壁.


 少し.


 笑う.



『猫も。』



 送信.


 数秒.



『うん。』



 No.18?



 いや.


 Review0.



 次.



『真壁先生。』



「……」


 真壁.


 少し.


 身構える.



『何』



 返事.



『私』



『昔のあなたと』



『あまり話したことない。』



「……」


 真壁.


 目.


 少し.


 大きくなる.


『知ってるんじゃないの』



『知ってる。』



『でも』



『話してない。』



「……」


『何で』



 長い.


 少し.



『あなた』



『いつも』



『高瀬先生の少し後ろにいたから。』



「……」


 真壁.


 胸.


 少し.


 ざわつく.



『悪い意味?』



『違う。』



『でも』



『自分の話』



『全然しなかった。』



「……」


 今も.


 同じ.


 だった.


 少し前まで.



『じゃあ』



 真壁.


 入力.



『今日の俺は』



『昔より』



『少し前に出た?』



 送る.


 返事.



『うん。』



 少し.



『でも』



『前とか後ろとか』



『別にどうでもいい。』



「……」


 真壁.


 少し.


 笑う.



『じゃあ何』



 返事.



『真壁先生が』



『自分でいるなら。』



「……」


 胸.


 少し.


 熱い.


◇


 その時.


 SYSTEM.


 割り込む.



━━━━━━━━━━━━


警告。


観測者適合率


低下。

━━━━━━━━━━━━



 次.



━━━━━━━━━━━━


67%


↓


61%

━━━━━━━━━━━━



「……」


 真壁.


 画面.


 見る.


 さらに.



━━━━━━━━━━━━


60%未満で


観測情報の


取得精度が


低下します。

━━━━━━━━━━━━



「……」


 未来.


 見えなくなる.


 可能性.


 高くなる.


 今まで.


 それなら.


 困る.


 そう.


 思った.


 でも.


 今日.



『俺として残りたい。』



 自分で.


 書いた.


 真壁.


 指.



『それでいい』



 Review0へ.


 送る.


 返事.



『何が?』



「……」


 真壁.


 少し.


 笑う.



『未来が』



『前より見えなくなっても』



『俺が俺なら』



 少し.


 止まる.



『それでいい。』



 送信.


 長い.


 返事.



『うん。』



 そして.



『それ』



『69でも』



『忘れないで。』



「……」


 真壁.


 胸.


 強く.


 鳴る.


『俺』



『69で』



『何がある』



 打つ.


 止まる.


 消す.


 聞かない.


 今は.


 未来より.


 自分.



『分かった』



 送る.


 その瞬間.


 SYSTEM.



━━━━━━━━━━━━


観測者適合率


61%


↓


58%

━━━━━━━━━━━━



「……」


 境界.


 下回る.


 次.



━━━━━━━━━━━━


観測情報


取得精度


低下。

━━━━━━━━━━━━



 真壁.


 しばらく.


 画面.


 見る.


 そして.


 少し.


 笑う.


「見えなく」


「なってきた」


 怖い.


 でも.


 その怖さの.


 奥.


 少しだけ.


 軽い.



 未来を。



 見られることが。



 真壁透の。



 全部じゃない.



 明日。



 コーヒー。



 ブラック。



 昼。



 甘口カレー。



 帰ったら。



 猫の動画.



 そんな.



 どうでもいい.



 小さな.



 自分が.



 未来より.



 少しずつ.



 増えていた.

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