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この人生、採点中  作者: 夜凪 灯
第一章 『あなたは、あなたを何点にしますか』

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54/118

Review54 助けるって、何だ

 翌朝。


 午前七時五十六分。


 高瀬は。


 職員室の自席で。


 昨夜の画面を。


 また。


 見ていた。



『Review69は』


『私を助ける回じゃない。』


『高瀬先生が』


『初めて』


『誰も助けない回。』



「……」


 何度。


 見ても。


 意味。


 分からない。


「誰も」


「助けない」


 高瀬。


 小さく。


 呟く。


「そんな回」


「いる?」


「何がですか」


「うわっ」


 佐伯。


 隣。


 立っている。


「佐伯先生」


「はい」


「いつから」


「今です」


「最近」


「みんな」


「忍者?」


「高瀬先生が」


「考え事してる時」


「周り見えてないだけです」


「……」


「それ」


「かなり」


「ありそう」


 佐伯。


 少し。


 笑う。


「何」


「見てたんですか」


「……」


 高瀬。


 一瞬。


 迷う。


 でも。


「これ」


 スマートフォン。


 見せる。


「……」


 佐伯。


 読む。


 表情。


 少し。


 変わる。


「誰も」


「助けない」


「うん」


「どう思う」


「……」


 佐伯。


 すぐ。


 答えない。


「高瀬先生」


「何」


「助けるの」


「好きですよね」


「……」


「好きって」


「言い方」


「変じゃない?」


「でも」


「人が困ってたら」


「すぐ」


「何とかしようとする」


「……」


「それ」


「悪い?」


「悪くないです」


「……」


「ただ」


 一度。


 佐伯。


 目。


 細くなる。


「高瀬先生」


「助ける時」


「相手に」


「聞いてます?」


「……」


 高瀬。


 止まる。


「何を」


「助けてほしいか」


「……」


「それ」


「今」


「めちゃくちゃ」


「刺さる」


「そうですか」


「はい」


◇


「例えば」


 佐伯。


 椅子。


 少し。


 引く。


「私が」


「三年前」


「未登録領域に」


「いた時」


「はい」


「高瀬先生」


「もし」


「今の知識」


「持ったまま」


「そこへ」


「行けたら」


「……」


「絶対」


「連れて帰ろうと」


「しますよね」


「します」


「即答」


「だって」


「危ない」


「はい」


「消えるかもしれない」


「はい」


「じゃあ」


「連れて帰る」


「……」


 佐伯。


 少し。


 笑う。


「でも」


「私が」


「帰りたくない」


「って」


「言ったら?」


「……」


 高瀬。


 言葉。


 止まる。


「何で」


「帰りたくないの」


「ほら」


「……」


「今」


「もう」


「理由」


「聞いてる」


「……」


 高瀬。


 眉。


 寄せる。


「だって」


「聞くだろ」


「はい」


「でも」


「もし」


「私が」


「理由」


「言いたくない」


「……」


「それでも」


「帰らないって」


「言ったら」


「……」


 高瀬。


 少し。


 長く。


 黙る。


「……」


「困る」


「何で」


「俺」


「帰ってほしいから」


「……」


「それ」


 佐伯。


 静かに。


「高瀬先生の」


「希望」


「……」


 高瀬。


 胸。


 少し。


 詰まる。


「相手の」


「希望じゃない」


「……」


「うん」


 佐伯。


「助けるって」


「多分」


「難しいです」


「……」


「正しいこと」


「してるつもりでも」


「相手の」


「選択」


「奪うこと」


「ある」


「……」


 高瀬。


 昨夜。


 No.18。


『誰も助けない回。』


 頭。


 戻る。


「じゃあ」


「助けない方が」


「いい時」


「ある?」


「あると思います」


「……」


「でも」


「放っておく」


「とは」


「違う」


「……」


 高瀬。


 少し。


 顔。


 上げる。


「じゃあ」


「何」


 佐伯。


「そばに」


「いる」


「……」


「待つ」


「……」


「聞く」


「……」


「相手が」


「決めるまで」


「……」


「支える」


「……」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「それ」


「めっちゃ」


「教師っぽい」


「高瀬先生」


「何」


「今」


「教師に」


「戻してます」


「……」


「あ」


「最近」


「それ」


「気をつけてたのに」


「はい」


「でも」


 佐伯。


 少し。


 笑う。


「教師っぽくても」


「いいじゃないですか」


「……」


「教師だけ」


「じゃなければ」


「……」


 高瀬。


「なるほど」


「そこ」


「使う?」


「使います」


「便利」


「言い方!」


◇


 午前十時十二分。


 図書室。


 ナオ。


 青いノート。


 今日は。


 開いてる。


 昨日。


 何も。


 書けなかった。


 今日。


 最初の一行。


 ある。



『少年は、扉の前に立っていた。』



「……」


 白石。


 横。


 本。


 読む。


「悠真」


「何」


「一行」


「書けた」


「お」


「……」


「それだけ?」


「すごい」


「……」


 ナオ。


 少し。


 白石を見る。


「今」


「棒読み」


「いや」


「本読んでた」


「……」


「もう一回」


「すごい」


「……」


「やっぱり」


「棒読み」


「じゃあ」


「何て言えば」


「……」


 ナオ。


 少し.


 考える.


「分かんない」


「じゃあ」


「それでいい」


「……」


 少し。


 笑う。


◇


 ナオ。


 また。


 ノート。


 見る。


 次。


 書けない。


 一分。


 二分。


「……」


 白石。


 本。


 ページ。


 めくる。


 ナオ。


 ちら。


 見る。


「悠真」


「何」


「何で」


「何も」


「言わない」


「……」


 白石。


 本。


 少し.


 下げる.


「何か」


「言ってほしい?」


「……」


 ナオ.


 口.


 開く.


 閉じる.


「分かんない」


「じゃあ」


「言わない」


「……」


 ナオ.


 少し.


 眉.


 寄る.


「前」


「もっと」


「頑張れ」


「って」


「言ってた」


「うん」


「今」


「言わない」


「うん」


「……」


「何で」


 白石.


 少し.


 考える.


「昨日」


「お前」


「書けない日」


「だった」


「うん」


「でも」


「俺」


「別に」


「何もしなかった」


「……」


「なのに」


「今日」


「一行」


「書いた」


「……」


「じゃあ」


「俺」


「いらなくない?」


「……」


 ナオ.


 顔.


 少し.


 変わる.


「それ」


「嫌」


「何が」


「悠真」


「いらない」


「……」


 白石.


 少し.


 笑う.


「じゃあ」


「いる」


「……」


「それで」


「いいんじゃない」


「……」


 ナオ.


 目.


 少し.


 細くなる.


「何も」


「しなくても?」


「うん」


「……」


「一緒に」


「いるだけ?」


「うん」


「……」


 ナオ.


 少し.


 笑う.


「それ」


「昨日より」


「好き」


「何が」


「悠真」


「お」


「調子乗るな」


「早!」


◇


 午後十二時五十二分。


 昼。


 高瀬。


 今日は。


 普通に。


 昼飯。


 食べている。


「……」


 藤原.


 向かい.


「今日」


「何も」


「言わないんですね」


「何が」


「昼飯」


「……」


 高瀬.


 箸.


 止まる.


「褒めて」


「嫌です」


「何で!」


「昨日」


「食べたからって」


「今日も」


「褒める?」


「……」


「確かに」


「普通に」


「食べてください」


「はい」


 少し.


 笑う.


「藤原」


「はい」


「助けるって」


「何」


 藤原.


 一瞬.


 箸.


 止める.


「急ですね」


「佐伯先生と」


「話して」


「……」


「助けると」


「支える」


「違うかもって」


「……」


 藤原.


 少し.


 考える.


「違うと思います」


「どう」


「助けるは」


「何か」


「動かす感じ」


「……」


「支えるは」


「動かないことも」


「できる」


「……」


 高瀬.


「動かない?」


「はい」


「……」


「高瀬先生」


「動かないの」


「苦手」


「……」


「めちゃくちゃ」


「苦手」


「知ってます」


「何で」


「みんな」


「知ってる」


「見てるから」


「……」


 高瀬.


 少し.


 笑う.


「じゃあ」


「69」


「俺」


「動かない?」


「分かりません」


「……」


「でも」


 藤原.


「誰も助けない」


「って」


「何もしない」


「じゃない気がする」


「……」


「むしろ」


「相手に」


「選ばせるために」


「自分が」


「手を出さない」


「……」


 高瀬.


 少し.


 目.


 細くなる.


「それ」


「怖いな」


「何が」


「目の前で」


「誰か」


「苦しんでるのに」


「待つ」


「……」


「俺」


「できるかな」


「……」


 藤原.


 少し.


 高瀬を見る.


「今」


「できるように」


「なろうとしてるんじゃ」


「ないですか」


「……」


 高瀬.


「今日」


「みんな」


「俺に」


「刺してくる」


「いいことです」


「痛い!」


◇


 午後三時十八分。


 保健室。


 佐伯。


 記録。


 書いている。


 扉.


 ノック.


「どうぞ」


 結良.


 入る.


「寝に来た?」


「今日は」


「違う」


「珍しい」


「先生」


「何」


「それ」


「失礼」


「事実です」


「……」


 結良.


 少し.


 笑う.


「聞きたいこと」


「はい」


「三年前」


「沙耶さんに」


「助けてもらった」


「って」


「言ってたよね」


「……」


 佐伯.


 表情.


 少し.


 変わる.


「はい」


「どうやって」


「……」


 佐伯.


 ペン.


 置く.


「名前」


「呼んでくれた」


「うん」


「それだけ?」


「……」


 一度.


 考える.


「それだけ」


「……」


「でも」


「それだけじゃ」


「なかった」


「どっち」


 結良.


 少し.


 眉.


 寄せる.


 佐伯.


 少し.


 笑う.


「呼んで」


「くれた」


「……」


「帰れ」


「とは」


「言わなかった」


「……」


「出ろ」


「とも」


「……」


「助ける」


「とも」


「……」


「ただ」


『真由ちゃん』


『あなたは佐伯真由』


「……」


「それ」


「何回も」


「……」


「私が」


「自分で」


「帰るって」


「言うまで」


「ずっと」


「……」


 結良.


 少し.


 目.


 細くなる.


「それ」


「支えてた?」


「多分」


「……」


「じゃあ」


「沙耶さん」


「すごい」


「はい」


「……」


「でも」


 佐伯.


 少し.


 表情.


 曇る.


「自分のこと」


「後回しにしてた」


「……」


「沙耶さんも?」


「はい」


「……」


「だから」


「高瀬先生と」


「似てる」


「……」


 結良.


 小さく.


「みんな」


「似てるじゃん」


「誰に」


「先生に」


「……」


 二人.


 少し.


 笑う.


◇


「結良さん」


「何」


「No.18」


「……」


 結良.


 少し.


 顔.


 変わる.


「あの人も」


「似てると思います」


「……」


「何で」


「自分を」


「みんなの記憶から」


「消した」


「……」


「Reviewを」


「守るため」


「私たちを」


「守るため」


「……」


「それ」


「結局」


「自分を」


「一番」


「後回し」


「……」


 結良.


 唇.


 少し.


 噛む.


「じゃあ」


「69で」


「先生が」


「誰も助けないって」


「……」


 佐伯.


「もしかしたら」


「No.18に」


「自分で」


「選ばせる」


「……」


「助けるか」


「助けないか」


「じゃなく」


「……」


「戻るか」


「戻らないか」


「……」


 結良.


 胸.


 少し.


 重い.


「もし」


「戻らないって」


「言ったら」


「……」


 佐伯.


 すぐ.


 答えない.


「それでも」


「その選択」


「尊重できるか」


「……」


 結良.


 顔.


 少し.


 青くなる.


「私」


「無理かも」


「……」


「大事な人」


「消えそうなのに」


「じゃあ」


「帰らなくていいよ」


「って」


「……」


「言えない」


「……」


 佐伯.


 静か.


「私も」


「……」


「でも」


「だから」


「今」


「考える」


「……」


「69で」


「初めて」


「考えるんじゃなく」


「……」


 結良.


「今から」


「うん」


◇


 午後五時二分。


 空き教室.


 全員.


 集まっている.


「……」


 白石.


「また」


「会議?」


「今日は」


 高瀬.


「相談」


「違い」


「分からん」


「分からんよな」


「先生が」


「言うな」


 少し.


 笑い.


 高瀬.


 一度.


 全員.


 見る.


「昨日」


「No.18に」


「69は」


「誰も助けない回」


「って」


「言われた」


「……」


 全員.


 静か.


「で」


「今日」


「それ」


「ずっと」


「考えた」


「……」


「助けないって」


「放置」


「じゃない」


「多分」


「……」


「相手が」


「自分で」


「決めるのを」


「待つ」


「……」


「それが」


「必要な時」


「ある」


 真壁.


 少し.


 頷く.


「高瀬先生に」


「できる?」


「……」


 高瀬.


 苦笑.


「それ」


「一番」


「問題」


「……」


 ナオ.


「僕」


「一回」


「高瀬先生に」


「助けてもらった」


「……」


 高瀬.


 ナオを見る.


「でも」


「今」


「思う」


「……」


「先生」


「僕を」


「戻した」


「だけじゃない」


「……」


「最後」


「僕に」


「戻るか」


「聞いた」


「……」


 高瀬.


 少し.


 記憶.


 戻る.


「うん」


「……」


「あれ」


「僕」


「嬉しかった」


「……」


「何で」


「自分で」


「帰るって」


「言えたから」


「……」


 高瀬.


 胸.


 少し.


 熱くなる.


「そっか」


「はい」


◇


 白石.


「じゃあ」


「助けるって」


「何」


「……」


 高瀬.


 少し.


 笑う.


「今日」


「みんな」


「それ」


「聞くな」


「答え」


「出た?」


「……」


「出てない」


「じゃあ」


「何で」


「集めた」


「一人で」


「考えないため」


「……」


 結良.


 少し.


 笑う.


「先生」


「何」


「今日」


「いいじゃん」


「今日!?」


「そこ」


「変わらない」


◇


 藤原.


「私」


「一つ」


「思う」


「何」


「助ける」


「って」


「相手を」


「自分の思う」


「正しい場所へ」


「動かすこと」


「じゃない」


「……」


「相手が」


「選んだ時」


「そこへ行けるように」


「力」


「貸すこと」


「……」


 佐伯.


「うん」


 真壁.


「それなら」


「未来を」


「教えることも」


「助けにならない時」


「ある」


「……」


 高瀬.


「真壁」


「はい」


「最近」


「未来」


「見えても」


「言わない」


「はい」


「怖い?」


「めちゃくちゃ」


「……」


「何で」


「言いたい」


「……」


「でも」


「俺が」


「未来を言ったら」


「みんな」


「それに」


「引っ張られる」


「……」


「だから」


「言わない」


「……」


 高瀬.


「それ」


「何もしてない」


「じゃないな」


「……」


「はい」


「かなり」


「してます」


「我慢」


「してる」


 少し.


 笑い.


◇


 その時.


 Review0.


 全員.


 通知.



『その話』



『懐かしい。』



「……」


 高瀬.


「No.18」


 次.



『三年前も』



『同じことで』



『喧嘩した。』



「……」


 結良.


『誰と誰』



 返事.


 少し.


 遅い.



『私と』



『高瀬先生。』



「……」


 高瀬.


 眉.


 寄る.



『何で』



 返事.



『先生が』



『私を助けるって』



『言ったから。』



「……」


 胸.


 強く.


 鳴る.



『何が悪い』



 送る.


 既読.


 少し.


 そして.



『私が』



『助けてって』



『言ってないから。』



「……」


 教室.


 完全に.


 静か.


 高瀬.


 指.


 止まる.


 次.



『先生は』



『私のためって』



『言った。』



『でも』



『私の話』



『聞かなかった。』



「……」


 高瀬.


 胸.


 痛い.


 記憶.


 ない.


 でも.


 想像.


 できる.


 自分.


 やりそう.


◇


『俺』



『何した』



 送る.


 長い.


 返事.



『私を』



『Reviewから』



『外そうとした。』



「……」


 沙耶.


 顔.


 変わる.


「それ」


「三年前」


「……」


 No.18.



『私が』



『残るって』



『言ったのに。』



「……」


 高瀬.


 息.


 浅く.


『何で残る』



 返事.



『必要だったから。』



『何に』



 少し.



『Review0に。』



「……」


 結良.


 目.


 少し.


 大きく.



『私がいなくなったら』



『あれは』



『SYSTEMに全部取られる。』



「……」


 真壁.


「だから」


「残った」


 次.



『うん。』



『でも先生は』



『そんなの関係ないって言った。』



「……」


 高瀬.


 顔.


 少し.


 歪む.


「俺」


「言いそう」


 藤原.


「かなり」


「今」


「否定して」


「無理です」


◇


 No.18.



『あの時』



『私』



『先生に言った。』



 少し.



『助けるなら』



『私が何をしたいか』



『先に聞いて。』



「……」


 高瀬.


 目.


 閉じる.


 胸.


 痛い.


 でも.


 逃げない.


『俺は』



『何て言った』



 返事.



『そんな時間ない。』



「……」


 高瀬.


 顔.


 下げる.


「最悪」


 小さく.


 声.


 出る.


 結良.


 すぐ.


「先生」


「何」


「今」


「自分」


「採点した?」


「……」


 高瀬.


 止まる.


「した」


「……」


「最悪って」


「言った」


「うん」


「でも」


 結良.


 少し.


 真っ直ぐ.


「その時の先生」


「それだけ?」


「……」


 高瀬.


 少し.


 目.


 上げる.


「違う」


「……」


「焦ってた」


「多分」


「怖かった」


「……」


「失いたくなかった」


「……」


「でも」


「やり方」


「間違えた」


「……」


 結良.


 少し.


 頷く.


「それで」


「いいんじゃない」


「……」


 高瀬.


 少し.


 息.


 吐く.


◇


 No.18.


 続き.



『先生。』



『何』



『今なら』



『聞いてくれる?』



「……」


 高瀬.


 指.


 止まる.


 すぐ.


 打たない.


 一度.


 画面.


 置く.


 全員.


 見る.


「俺」


「これ」


「一人で」


「答えたくない」


「……」


 藤原.


「じゃあ」


「みんなで」


「考える?」


「いや」


「……」


「答えるのは」


「俺」


「……」


「でも」


「今」


「聞いてほしい」


「……」


 佐伯.


 少し.


 笑う.


「どうぞ」


◇


 高瀬.


「俺」


「No.18に」


「今なら」


「聞いてくれる?」


「って」


「言われた」


「……」


 真壁.


「答え」


「決まってる?」


「うん」


「……」


 高瀬.


 スマートフォン.


 取る.


 入力.



『聞く。』



 送信.



 すぐ.


 返事.



『じゃあ』



 一度.



『69で』



『私が帰らないって言ったら』



「……」


 高瀬.


 身体.


 固まる.



『そのまま』



『行かせて。』



「……」


 誰も.


 声.


 出ない.


 結良.


 顔.


 青い.


 沙耶.


 唇.


 噛む.


 高瀬.


 指.


 震える.


「……」


 帰らない.


 それを.


 認めろ.


「無理」


 声.


 出る.


 No.18.


 返事.



『うん。』



『今は』



『そうだと思う。』



「……」


 高瀬.


『お前』



『それでいいのか』



 送る.


 返事.



『分からない。』



「……」


 意外.


 高瀬.


 目.


 少し.


 大きくなる.



『怖いよ。』



『帰りたいって』



『思うかもしれない。』



『残りたいって』



『思うかもしれない。』



「……」



『だから』



『69で』



『その時の私に』



『聞いて。』



「……」


 高瀬.


 胸.


 強く.


 鳴る.


 今.


 答えを.


 決めない.


 未来の.


 彼女に.


 未来の.


 自分に.


 選ばせる.


◇


 高瀬.


 ゆっくり.


 入力.



『分かった』



 一度.


 止まる.


 消す.


「……」


 結良.


「何で」


「分かった」


「だけだと」


「俺」


「約束」


「破りそう」


「……」


 少し.


 笑い.


 でも.


 高瀬.


 真剣.


 もう一度.



『69で』



『その時の』



『お前に聞く。』



『俺がどうしてほしいかじゃなく』



『お前がどうしたいか』



『ちゃんと聞く。』



 送信.


 長い.


 既読.


 返事.



『うん。』



 次.



『それが』



『聞きたかった。』



「……」


 高瀬.


 少し.


 目.


 閉じる.


 胸.


 痛い.


 でも.


 昨日とは.


 違う.


 69.


 誰も.


 助けない.


 少しだけ.


 意味.


 見えた.


 助けない.


 じゃない.


 相手の.


 答えを.


 奪わない.


◇


 その瞬間.


 SYSTEM.


 通知.



━━━━━━━━━━━━


既存予測モデル


崩壊率


68%

━━━━━━━━━━━━



 数字.


 揺れる.


 高瀬.


 全員.


 見る.


「……」


 69.


 行く?


 でも.


 数字.


 上がらない.


 代わり.



━━━━━━━━━━━━


新規項目


選択保持率


━━━━━━━━━━━━



「選択」


 真壁.


 次.



━━━━━━━━━━━━


高瀬


27%

━━━━━━━━━━━━



「低!」


 白石.


「言うな!」


 結良.


 少し.


 笑う.


「先生」


「まだ」


「四分の一」


「くらい」


「厳しいな!」


 でも.


 次.



━━━━━━━━━━━━


前日


4%

━━━━━━━━━━━━



「……」


 高瀬.


 止まる.


「上がってる」


 藤原.


「はい」


「一日で」


「二十三」


「……」


 高瀬.


 少し.


 笑う.


「じゃあ」


「まだ」


「間に合う?」


 真壁.


「何に」


「69」


「……」


 真壁.


 少し.


 考える.


「間に合う」


「じゃなく」


「69までに」


「もっと」


「増やす?」


「……」


 高瀬.


 頷く.


「今を」


「……」


 結良.


「選ぶ力」


「うん」


◇


 夜.


 Review0.



『今日の自分を、


自分でどう思う?』



 高瀬.


 入力.



『助けるって、


思ってたより


難しかった。』



 少し.



『多分俺は、


助けたいって思った瞬間、


相手の答えを


先に決めることがある。』



 止まる.



『今日は、


それに気付いた。』



 少し.



『気付いたから、


次は聞きたい。』



『どうしたい?って。』



 送信.


 数秒.


 No.18.



『うん。』



 次.



『三年前』



『それを』



『ずっと』



『言ってほしかった。』



「……」


 高瀬.


 胸.


 痛い.



『ごめん』



 打つ.


 止まる.


 消す.


 代わり.



『今なら聞ける。』



 送る.


 返事.



『うん。』



 少し.



『だから』



『今の先生に』



『会いたい。』



「……」


 高瀬.


 目.


 少し.


 熱い.


『俺も』



 入力.



『会いたい。』



 送信.


 そして.


 No.18.



『じゃあ』



『69で。』



「……」


 最後.


 一通.



『今度は』



『私を助けに来ないで。』



 少し.



『会いに来て。』



「……」


 高瀬.


 完全に.


 動きを.


 止める.


 助ける.


 じゃない.


 救出.


 じゃない.


 攻略.


 じゃない.


 ただ.


 会う.


 一人の.


 人間に.


 一人の.


 人間として.



 会いに行く.



 Review69.



 それは.



 少しずつ.



 戦う場所では.



 なくなり始めていた.

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