↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この人生、採点中  作者: 夜凪 灯
第一章 『あなたは、あなたを何点にしますか』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
53/123

Review53 今日は、今日だった

 翌朝。


 午前七時四十一分。


 高瀬は。


 昇降口で。


 立ち止まっていた。


「……」


 スマートフォン。


 Review0。



『今日の自分を、


自分でどう思う?』



「朝から?」


 高瀬。


 小さく。


 呟く。


 昨日までは。


 夜。


 一日。


 終わってから。


 聞かれていた。


 でも。


 今日は。


 違う。


 その下。



『答えは、


今日が終わってから。』



「……」


 さらに。



『その前に。』



 一行。



『今日は、


何したい?』



「……」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「予定表?」


 入力欄。


 ある。


 考える。


 授業。


 会議。


 採点。


 結良。


 ナオ。


 桐谷。


 二人。


 沙耶。


 No.18。


 SYSTEM。


 頭の中。


 いくらでも。


 ある。


「……」


 でも。


 No.18。


 言っていた。



『今日何食べたとか。』


『誰と喋ったとか。』


『何に腹が立ったとか。』


『何が嬉しかったとか。』



 高瀬。


 少し。


 考えて。



『昼飯を、


ちゃんと食べる。』



 入力。


 送信。


 数秒。



『いいね。』



「……」


 高瀬。


「そこ?」


 思わず。


 笑う。



『もっと』


『世界を救うとか』


『ない?』



 送る。



『ない。』



 即答。



「……」


 高瀬。


 吹き出す。



『今日は、


お昼ごはんを


ちゃんと食べてください。』



「了解」


 小さく。


 呟いた。



◇



 午前八時十二分。


 職員室。


「高瀬先生」


「何」


 藤原。


「今日」


「昼」


「会議」


「あります」


「……」


 高瀬。


 顔。


 上げる。


「何時」


「十二時四十五分」


「昼休み」


「はい」


「……」


 高瀬。


 スマートフォン。


 見る。


『昼飯を、ちゃんと食べる。』


「藤原」


「はい」


「会議」


「何分」


「予定」


「三十分」


「昼飯」


「……」


「食べてから」


「行ってください」


「え」


「何で」


「今」


「驚いたんですか」


「いや」


「普通」


「会議優先かなって」


「何で」


「教師だから?」


「……」


 高瀬。


 止まる。


 藤原。


 少し。


 眉を上げる。


「高瀬先生」


「はい」


「また」


「教師だから」


「全部」


「後回しにする?」


「……」


「いや」


 一度。


 椅子。


 座り直す。


「今日は」


「食う」


「はい」


「絶対」


「……」


 高瀬。


 考える。


「努力する」


「そこ」


「弱い」


「でも」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「昨日より」


「言えるように」


「なっただろ」


「何が」


「絶対って」


「無理に」


「言わない」


「……」


 藤原。


 少し。


 笑う。


「それは」


「そうですね」


「褒めた?」


「全部」


「よし」


「でも」


「何」


「昼飯食べただけで」


「成長扱いは」


「しません」


「厳しい!」



◇



 午前十時二十六分。


 二時間目。


 社会。


 三年四組。


「じゃあ」


 高瀬。


 黒板。


 指す。


「ここ」


「何で」


「この政策」


「うまくいかなかったと思う?」


 生徒。


 一人。


 手。


 上がる。


「はい」


「お金」


「足りなかったから」


「なるほど」


「他」


「……」


 別。


「人が」


「反対した」


「うん」


「他」


 静か。


 高瀬。


 少し。


 待つ。


 前なら。


 すぐ。


「じゃあヒント」


 言っていた。


 でも。


 今日は。


 待つ。


 五秒。


 七秒。


 十秒。


「……」


 後ろ。


 篠宮結良。


 手。


 上がる。


「はい」


「そもそも」


「やろうとした側が」


「正しいって」


「決めすぎてた」


「……」


 高瀬。


 一瞬。


 止まる。


「どういうこと」


「反対する人を」


「分かってない人」


「みたいに」


「扱ってたんじゃない?」


「……」


 教室。


 少し。


 静か。


 高瀬。


 黒板。


 政策。


 見る。


「なるほど」


 一度。


 結良を見る。


「じゃあ」


「正しいこと」


「やってても」


「……」


「やり方で」


「失敗する?」


「うん」


「……」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「耳」


「痛い」


 教室。


 笑い。


「先生」


 結良。


「授業中」


「自分の話」


「しないで」


「してない!」


「顔」


「めっちゃ」


「自分のこと」


「考えてる」


「授業!」


 また。


 笑い。


 でも。


 高瀬。


 少し。


 嬉しかった。


 昨日までなら。


 この答えを。


 SYSTEM。


 Review。


 高瀬自身。


 すぐ。


 結び付けていた。


 でも。


 今は。


 授業。


 生徒の。


 答え。


 それで。


 いい。



◇



 授業後。


 廊下。


「先生」


 結良。


「何」


「今日」


「ちょっと」


「授業」


「よかった」


「ちょっと?」


「七十二点」


「結構高い!」


「調子乗らない」


「はい」


 結良。


 少し。


 笑う。


 でも。


 そのまま。


 行かない。


「何」


 高瀬。


「……」


「Review0」


「うん」


「朝」


「来た?」


「来た」


「何したいって?」


「うん」


「何書いた」


「昼飯」


「……」


 結良。


 高瀬。


 じっと。


 見る。


「何」


「先生」


「何」


「普通」


「うん」


「めっちゃ」


「普通」


「悪い?」


「いや」


 少し。


 笑う。


「いい」


「……」


「篠宮は」


「私」


「ピアノ」


「弾く」


「今日も?」


「うん」


「でも」


「記憶」


「戻すためじゃなく」


「……」


 高瀬。


 少し。


 表情。


 変わる。


「弾きたいから?」


「うん」


「……」


「それ」


「いいな」


「でしょ」


「何弾く」


「決めてない」


「それも」


「いい」


「先生」


「何」


「今日」


「肯定多い」


「……」


 高瀬。


 一瞬。


 考える。


「じゃあ」


「一個」


「否定する」


「何」


「授業」


「七十二点」


「低い」


「七十」


「下がった!」


「欲張ったから」


「理不尽!」



◇



 昼。


 十二時三十三分。


 高瀬。


 弁当。


 机。


 前。


「……」


 時計。


 十二時三十三。


 会議。


 十二時四十五。


 十二分。


「いける」


 蓋。


 開ける。


 その瞬間。


「高瀬先生」


「はい」


 別の教師。


「ちょっといいですか」


「……」


 高瀬。


 箸。


 止まる。


「五分だけ」


「……」


 いつもの。


 自分。


『はい』


 そう。


 言いそうになる。


「……」


「すみません」


 一度。


 弁当。


 見る。


「十二時四十五から」


「会議で」


「今」


「昼食べてるので」


「……」


「会議後でも」


「いいですか」


「え?」


 相手。


 少し。


 驚く。


「……あ」


「全然」


「いいですよ」


「急ぎじゃないので」


「ありがとうございます」


 教師。


 去る。


「……」


 高瀬。


 箸。


 持ったまま。


 少し。


 固まる。


「高瀬先生」


 藤原。


 向こうから。


 見てる。


「何」


「今」


「昼飯」


「優先した?」


「……」


「した」


「……」


「俺」


「大丈夫?」


「何が」


「何か」


「罪悪感」


「ある」


「重症」


「そんな!?」


 藤原。


 少し。


 笑う。


「でも」


「相手」


「怒ってなかった」


「うん」


「普通に」


「後で」


「いいって」


「……」


 高瀬。


 弁当。


 一口。


「うま」


「何」


「今日」


「大げさ」


「昼飯」


「久しぶりに」


「ちゃんと」


「食ってる感」


「……」


 藤原。


「いつも」


「食べてください」


「はい」



◇



 十二時四十四分。


「……」


 高瀬。


 弁当。


 空。


「間に合った」


 藤原。


「何が」


「昼飯」


「会議も」


「一分前」


「……」


「先生」


「何」


「普通に」


「できてる」


「今日」


「それ」


「よく言われる」


「いいじゃないですか」


「普通」


「……」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「うん」


「最近」


「結構」


「好きかも」


「普通」


 藤原。


 少し。


 高瀬を見る。


「それ」


「忘れないでください」


「……」


「何」


「急に」


「SYSTEM」


「関係なく」


「普通の日」


「あるので」


「……」


 高瀬。


「うん」


 会議室。


 扉。


 開ける。



◇



 午後三時五十二分。


 図書室。


 ナオ。


 青いノート。


 前。


「……」


 ペン。


 持っている。


 でも。


 書かない。


 白石。


 向かい。


 本。


 読んでる。


 十分。


 十五分。


「悠真」


「何」


「書けない」


「……」


 白石。


 本。


 閉じない。


「そっか」


「……」


 ナオ。


 少し。


 眉。


 寄る。


「それだけ?」


「何て」


「言ってほしい」


「……」


「頑張れ」


「言う?」


「嫌」


「じゃあ」


「それだけ」


「……」


 ナオ。


 少し。


 笑う。


「今日」


「何も」


「浮かばない」


「うん」


「昨日」


「自己固定」


「上がったのに」


「うん」


「……」


「また」


「下がるかな」


 白石。


 そこで。


 本。


 閉じる。


「ナオ」


「何」


「今」


「小説」


「書けない自分」


「嫌?」


「……」


 ナオ。


 少し。


 考える。


「嫌」


「何で」


「前は」


「書けた」


「……」


「戻ってきたのに」


「書けない」


「……」


「じゃあ」


 白石。


「今日は」


「書けない日」


「……」


「それで」


「いい?」


「俺に」


「聞くなよ」


「……」


「お前が」


「決めろ」


「……」


 ナオ。


 ノート。


 見る。


 真っ白。


 少し。


 腹立つ。


 悲しい。


 怖い。


 でも。


「……今日は」


「書けない」


「うん」


「嫌」


「うん」


「……」


「でも」


「図書室」


「来た」


「うん」


「悠真」


「いる」


「いる」


「……」


 ナオ。


 少し。


 笑う。


「じゃあ」


「今日は」


「それで」


「終わる」


「おう」


 青いノート。


 閉じる。


 その瞬間。


 Review0。


 ナオ。



『今日は、


何したい?』



「……」


 ナオ。


「今?」


 白石。


「何」


「Review0」


「何聞かれた」


「今日」


「何したい」


「……」


 ナオ。


 入力。



『小説を書きたかった。』



 止まる。



『でも、


書けなかった。』



 送信。


 白石。


「それ」


「答え?」


「うん」


「“したい”の」


「質問なのに」


「できなかったって」


「書いた」


「……」


「怒られる?」


「誰に」


「Review0」


「……」


 二人。


 画面。


 見る。


 返事。



『そっか。』



「……」


 それだけ。


 ナオ。


 目。


 少し。


 大きくなる。


「終わり?」


 白石。


「うん」


「何か」


「アドバイス」


「ない?」


「ない」


「点数」


「ない」


「ない」


「……」


 ナオ。


 少し。


 笑う。


「楽」


「何が」


「失敗しても」


「続き」


「ない」


「……」


 白石。


「今日」


「書けなかった」


「以上」


「うん」


「それ」


「よくない?」


「……」


 ナオ。


 もう一度。


 画面。


 見る。


「うん」


「いい」



◇



 午後四時二十九分。


 音楽室。


 結良。


 ピアノ。


 弾く。


 今日は。


 あのフレーズ。


 じゃない。


 好きな曲。


 覚えている。


 普通の。


 曲。


「……」


 間違える。


「あ」


 止まる。


 最初。


 戻る。


 また。


 間違える。


「……」


 眉。


 寄る。


「何」


「今日」


「下手」


 もう一回。


 また。


 少し。


 ずれる。


「……」


 結良。


 指。


 鍵盤から。


 離す。


 昨日までなら。


 記憶のせい?


 SYSTEM?


 Review0?


 そう。


 考えたかも。


 でも。


「今日」


「普通に」


「下手だ」


 自分で。


 言う。


 少し。


 笑う。


 その時。


 扉。


「篠宮」


「うわっ!」


「ごめん!」


 高瀬。


「ノック!」


「した!」


「聞こえなかった!」


「ピアノ!」


「そうだった!」


 結良。


 胸。


 押さえる。


「先生」


「何」


「今」


「八点」


「低すぎ!」


「心臓」


「止まるかと思った」


「ごめん!」


「そこは」


「謝って」


「はい」


◇


 高瀬。


 音楽室。


 入る。


「何弾いてた」


「普通の曲」


「普通」


「いいじゃん」


「今日」


「下手」


「……」


「珍しい?」


「うん」


「……」


「腹立つ?」


「ちょっと」


「なら」


「もう一回」


「……」


 結良。


 高瀬を見る。


「先生」


「何」


「やる?」


「何を」


「今」


「もう一回」


「頑張れって」


「言おうとした?」


「……」


 高瀬。


 止まる。


「少し」


「……」


「やめた?」


「うん」


「何で」


「篠宮が」


「弾きたいか」


「分からんから」


「……」


 結良。


 少し。


 高瀬を見る。


「今日は」


「もう」


「やめる」


「そっか」


「……」


「それだけ?」


「それだけ」


「先生」


「何」


「昨日から」


「白石くんみたい」


「……」


「褒めてる?」


「半分」


「もう!」


 結良。


 少し。


 笑う。


「先生」


「何」


「今日」


「何した」


「昼飯」


「食った」


「……」


 結良。


 吹き出す。


「それだけ?」


「ちゃんと」


「食った!」


「何」


「その」


「達成感」


「大事!」


「何食べた」


「弁当」


「中身」


「唐揚げ」


「お」


「卵焼き」


「お」


「ブロッコリー」


「……」


「何」


「そこ」


「テンション」


「下がった」


「ブロッコリーに」


「謝れ!」


◇


 音楽室。


 二人。


 しばらく。


 くだらない話。


 する。


 No.18。


 一度も。


 話題に。


 出ない。


 Review69。


 出ない。


 SYSTEM。


 出ない。


 ただ。


 今日の。


 話。


「先生」


「何」


「こういうの」


「何」


「No.18が」


「言ってた」


「今を増やす」


「って」


「……」


 高瀬。


 少し。


 結良を見る。


「これ?」


「多分」


「……」


 結良。


 鍵盤。


 一音。


 鳴らす。


「私」


「今日」


「ピアノ」


「下手だった」


「うん」


「先生」


「昼飯」


「食べた」


「うん」


「……」


「めっちゃ」


「どうでもいい」


「……」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「でも」


「明日になったら」


「昨日のこと」


「になる」


「……」


「一週間後」


「一週間前」


「……」


「一年後」


「覚えてないかも」


「……」


「それでも」


 結良。


 少し。


 笑う。


「今日」


「だった」


「……」


 高瀬。


 胸。


 少し。


 温かい。


「うん」


「今日は」


「今日だった」


◇


 その瞬間。


 二人。


 スマートフォン。


 同時。


 震える。


「……」


 結良。


 顔。


 変わる。


「SYSTEM?」


「いや」


 高瀬。


「Review0」


 画面。



━━━━━━━━━━━━


本日の自己記録


蓄積数


━━━━━━━━━━━━



 数字。


 増える。


 高瀬。


 結良。


 ナオ。


 藤原。


 真壁。


 佐伯。


 白石。


 二人の桐谷。


 沙耶。


 それぞれ。


 回答。


「みんな」


 結良。


「使ってる?」


「みたい」


 次。



━━━━━━━━━━━━


共通回答


なし

━━━━━━━━━━━━



 高瀬。


「正常」


 少し。


 笑う。


 でも。


 直後。


 もう一度。


 震える。


 今度は。


 現行SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


【SYSTEM】


未整理回答を


検出。

━━━━━━━━━━━━



「……」


 高瀬。


 笑顔。


 止まる。


「未整理?」


 次.



━━━━━━━━━━━━


旧式Review回答を


現行評価形式へ


変換します。

━━━━━━━━━━━━



「待って」


 結良。


 画面。


 見る。


「変換?」


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


例


『昼飯をちゃんと食べた』


↓


自己管理


評価


B

━━━━━━━━━━━━



「……」


 高瀬。


 顔。


 引きつる。


「いや」


「要らん」


 次.



━━━━━━━━━━━━


『小説を書けなかった』


↓


目標達成


評価


D

━━━━━━━━━━━━



「……」


 高瀬。


「ナオ」


 すぐ。


 電話。


 かけようと。


 する。


「待って」


 結良。


「……」


「続き」


 画面。



━━━━━━━━━━━━


『ピアノが下手だった』


↓


技能維持


評価


C

━━━━━━━━━━━━



「……」


 結良。


 顔。


 変わる。


「何これ」


 声。


 低い。


「私」


「そんなこと」


「聞いてない」


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


回答内容の


客観評価です。

━━━━━━━━━━━━



「客観?」


 結良。


 眉。


 寄せる。


「私が」


「今日」


「下手だったって」


「思った」


「それだけ」


「……」


「何で」


「Cに」


「されるの」


 高瀬。


 隣。


 黙る。


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


評価により


回答情報の


有用性が


向上します。

━━━━━━━━━━━━



「有用性」


 高瀬。


 小さく。


 繰り返す。


 次.



━━━━━━━━━━━━


今後の成長予測に


利用可能。

━━━━━━━━━━━━



「……」


 結良。


 少し。


 笑う。


 でも。


 その笑顔。


 完全に。


 怒っている。


「先生」


「何」


「私」


「今」


「これ」


「めちゃくちゃ」


「嫌い」


「……」


「うん」


「俺も」


◇


 SYSTEM。


 変換。


 続く。



━━━━━━━━━━━━


『今日は何もできなかった』


↓


生産性


E

━━━━━━━━━━━━



━━━━━━━━━━━━


『友達と話せた』


↓


社会性


A

━━━━━━━━━━━━



━━━━━━━━━━━━


『腹が立った』


↓


感情制御


D

━━━━━━━━━━━━



━━━━━━━━━━━━


『楽しかった』


↓


精神状態


A

━━━━━━━━━━━━



「……」


 高瀬。


 見ている。


 胸。


 嫌な。


 感じ。


 何が。


 嫌なのか。


 分かる。


「全部」


「答えを」


「評価に」


「変えてる」


「うん」


 結良。


「楽しかった」


「だけで」


「いいのに」


「……」


「腹立った」


「だけで」


「いいのに」


「……」


「何も」


「できなかった日」


「Eに」


「されるの」


「嫌」


「……」


 高瀬。


 ナオ。


『小説を書けなかった』


D。


 頭。


 浮かぶ。


「篠宮」


「何」


「みんな」


「集める」


「うん」


◇


 午後五時十一分。


 空き教室。


 また。


 集まる。


「……」


 白石。


「今日」


「二回目?」


「会議」


 高瀬。


「会議じゃ」


「ない」


 真壁。


「じゃあ」


「何」


「……」


 高瀬。


 少し。


 考える。


「文句言う会」


「SYSTEMに?」


「うん」


「参加します」


 結良。


「即答」


 ナオ。


 スマートフォン。


 見ている。


 表情。


 硬い。


「ナオ」


「……」


「D」


「見た?」


「はい」


「どう」


「……」


 ナオ。


 少し。


 笑う。


「腹立ちました」


「……」


「今日」


「書けなかった」


「それだけだったのに」


「……」


「D」


「って」


「言われた瞬間」


「失敗した」


「気がした」


「……」


 白石。


「でも」


「お前」


「さっき」


「終わるって」


「言ってたじゃん」


「うん」


「じゃあ」


「終わりで」


「よくない?」


「……」


 ナオ。


 白石を見る。


「うん」


 SYSTEM。


 画面。


 まだ。



『目標達成 D』



 ナオ。


 指。


 その文字。


 長押し。


「消せる?」


 削除。


 出ない。


「……」


「消えない」


「なら」


 白石。


「見なきゃいい」


「……」


 ナオ。


 少し。


 笑う。


「悠真」


「何」


「お前」


「最近」


「一番」


「強くない?」


「何が」


「SYSTEM」


「普通に」


「無視する」


「だって」


「俺」


「SYSTEM」


「よく分からんし」


「……」


 高瀬。


「それ」


「最強かも」


◇


 沙耶。


 画面。


 見る。


「これ」


「三年前」


「最初に」


「起きたこと」


「……」


 全員。


 沙耶を見る。


「本当に?」


「似てる」


「……」


「回答を」


「整理する機能」


「便利にしようとした」


「……」


「共通点」


「分類」


「その次」


「……」


「良い」


「悪い」


「……」


「評価」


 真壁。


「はい」


「……」


 沙耶。


 少し。


 顔。


 険しくなる。


「私たち」


「止めようとした」


「でも」


「遅かった」


「……」


 結良。


「No.18は」


「止めようと」


「した?」


「一番」


「……」


「だから」


「消えた?」


 沙耶。


「多分」


◇


「じゃあ」


 高瀬。


「今回」


「同じ?」


「……」


 藤原。


「違う」


「何が」


「三年前」


「高瀬先生たち」


「少人数」


「……」


「今」


 一度。


 全員。


 見る。


「こんなに」


「いる」


「……」


 白石。


「こんなに」


「って」


「雑じゃない?」


「褒めてる」


「本当に?」


 少し。


 笑い。


 藤原。


 続ける。


「それに」


「今」


「変だって」


「全員」


「分かる」


「……」


「三年前」


「便利って」


「思ってしまった」


「でも」


「今は」


「何で評価するの」


「って」


「最初から」


「思える」


「……」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「じゃあ」


「やり直せる?」


「それ」


 結良。


「言い方」


「嫌」


「何で」


「三年前」


「失敗」


「したみたい」


「……」


 高瀬。


 止まる。


「確かに」


「三年前は」


「三年前」


「……」


「今は」


「今」


「……」


「じゃあ」


 高瀬。


「今回は」


「違う選び方」


「する」


「うん」


◇


 真壁。


「問題」


「どうやって」


「現行SYSTEMの」


「変換」


「止める」


「……」


 全員。


 少し。


 黙る。


「篠宮」


 高瀬。


「何」


「Review0」


「作成者」


「今」


「お前」


「……」


 結良。


「命令」


「できる?」


「分かんない」


「でも」


「試す」


 スマートフォン。


 Review0。


 設定。


 探す。


「……」


「これ」


「何」


 画面。



━━━━━━━━━━━━


回答権限


本人


━━━━━━━━━━━━


閲覧権限


本人


━━━━━━━━━━━━


外部利用


許可しない

━━━━━━━━━━━━



「……」


 真壁。


「最初から」


「ある」


「外部利用」


「許可しない」


「……」


 結良。


「じゃあ」


「SYSTEM」


「勝手に」


「見てる?」


「そうなる」


「……」


 結良。


 顔。


 変わる。


「それ」


「もっと」


「嫌」


◇


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


旧式Review回答は


共有データです。

━━━━━━━━━━━━



 結良。


「違う」


 即答。



━━━━━━━━━━━━


記録領域上


共有されています。

━━━━━━━━━━━━



「知らない」


「……」


「書いた人が」


「共有していいって」


「言ってない」


「……」


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


データ利用に


本人同意は


不要です。

━━━━━━━━━━━━



「……」


 教室。


 静か。


 高瀬。


 何か。


 言おうと。


 する。


 でも。


 結良。


 一歩。


 前。


「必要」


「……」


 SYSTEM。


 反応。


 なし。


「必要です」


「……」


「今日」


「何したい」


「って」


「聞いた」


「……」


「みんな」


「自分で」


「答えた」


「……」


「それ」


「誰かに」


「Aとか」


「Dとか」


「言わせるためじゃない」


 指。


 少し。


 震える。


 でも。


 声。


 震えない。


「Review0を」


「作ったの」


「私」


「……」


「全部」


「覚えてない」


「……」


「でも」


「これは」


「分かる」


 一度。


 胸。


 手。


「人の答えを」


「勝手に」


「採点しないで」


「……」


 高瀬。


 結良の。


 横顔。


 見る。


 三年前。


 中学生。


 だった。


 結良。


 今。


 自分の言葉で。


 言っている。


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


要求を


拒否します。

━━━━━━━━━━━━



「……」


 結良。


 目。


 少し。


 細くなる。


「じゃあ」


「Review0」


「SYSTEMから」


「切る」


「……」


 沙耶。


「結良」


「できる?」


「分かんない」


「でも」


 一度。


 高瀬を見る。


「一人で」


「やらない」


「……」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「うん」


「みんなで」


「やろう」


◇


 その時。


 Review0。


 通知。


 全員。



『待って。』



「……」


 高瀬。


「No.18?」


 次。



『切らないで。』



 結良。


 眉。


 寄せる。



『何で』



 入力。


 返事。



『今切ったら』



『SYSTEMは』



『Review0の中に』



『入れなくなる。』



「……」


 真壁。


「それ」


「いいことでは?」


 次。



『でも』



『私たちも』



『SYSTEMの中を』



『見られなくなる。』



「……」


 高瀬。


 顔。


 変わる。


「繋がってるから」


「互いに」


「見える?」


 No.18。



『うん。』



『今は』



『向こうも私たちを見てる。』



『私たちも向こうを見られる。』



「……」


 結良。


「じゃあ」


「切らずに」


「勝手に」


「使えないようにする?」


 少し。


 間。



『それができたら』



『最高。』



「できる?」


 結良。


 送る。



『三年前は』



『できなかった。』



「……」


 高瀬。


 胸。


 少し。


 重くなる。


 次.



『でも』



『今は』



 一度。



『三年前より』



『人が多い。』



「……」


 藤原。


 少し。


 笑う。


「さっき」


「私が」


「言った」


 No.18。



『知ってる。』



「……」


 藤原。


「見てるんですね」


 次.



『ごめん。』



 白石。


「また」


「謝った」


「この人」


「意外と」


「謝る」


「悠真」


「そこ?」


 少し。


 笑う。


◇


 No.18。



『一つだけ』



『試してほしいことがある。』



「何」


 結良。


 次.



『全員』



『今日の回答を』



『もう一度見て。』



 それぞれ。


 Review0。


 開く。


 高瀬。



『昼飯をちゃんと食べる。』



 ナオ。



『小説を書きたかった。


でも書けなかった。』



 結良。



『ピアノを弾く。』



 その後。


『今日は下手だった。』



 藤原。


 佐伯。


 真壁。


 白石。


 二人の桐谷。


 沙耶。


 全部。


 違う。


 No.18。



『それを』



『評価される前の言葉で』



『声に出して。』



「……」


 高瀬。


「全員?」


『うん。』



◇


「じゃあ」


 高瀬。


「俺」


 一度。


 少し。


 恥ずかしい。


「昼飯」


「ちゃんと」


「食べた」


「……」


 白石。


「本当に」


「普通」


「うるさい!」


 少し。


 笑い。


 ナオ。


「僕」


「今日」


「小説」


「書きたかった」


「……」


「でも」


「書けなかった」


 一度。


 止まる。


「それで」


「今日は」


「終わり」


 白石。


「うん」


 結良。


「私」


「ピアノ」


「弾いた」


「……」


「下手だった」


「腹立った」


「……」


「でも」


「先生と」


「唐揚げの話」


「した」


「そこ?」


「今日の話!」


 高瀬。


「大事!」


 少し。


 笑い。


 藤原。


「今日」


「高瀬先生が」


「昼ごはん」


「ちゃんと食べました」


「俺の話!?」


「私は」


「それを見て」


「ちょっと」


「安心しました」


「……」


 高瀬。


 少し。


 黙る。


「ありがとう」


「はい」


 真壁。


「俺は」


「……」


 少し。


 止まる。


「未来」


「一回」


「見えました」


 空気。


 少し。


 変わる。


「でも」


「言わなかった」


「……」


 高瀬。


 真壁を見る。


「怖かった?」


「はい」


「……」


「でも」


「言わないって」


「自分で」


「決めた」


「……」


 高瀬。


「うん」


「ありがとう」


 佐伯。


「今日は」


「保健室で」


「生徒が」


「一人」


「四十分」


「寝てました」


 結良。


「私?」


「違います」


「違うんだ」


「……」


 佐伯。


 少し.


 笑う.


「起きたあと」


「ありがとう」


「って」


「言われました」


「……」


「嬉しかったです」


 白石.


「俺は」


「ナオと」


「図書室」


「いた」


「……」


「特に」


「何もしてない」


 ナオ.


「いました」


「うん」


「……」


 白石.


「じゃあ」


「それ」


 二人の.


 桐谷.


「俺は」


「授業」


「普通に」


「やった」


「俺は」


 玲司.


「職員室で」


「自分と」


「同じ顔のやつが」


「普通に仕事してるの見て」


「まだ」


「気持ち悪い」


 桐谷.


「俺も」


「……」


 二人.


 少し.


 笑う.


 沙耶.


「私は」


「悠平が」


「昼飯を」


「ちゃんと食べたって」


「聞いて」


「……」


 高瀬.


「そこ」


「みんな」


「注目しすぎ」


「昔から」


「食べないから」


「……」


「俺」


「昔から?」


「昔から」


「……」


 高瀬.


「明日も」


「食います」


「それがいい」


◇


 全員.


 言い終わる.


 Review0.


 画面.


 何も.


 変わらない.


「……」


 高瀬.


「何が」


「起きる?」


 SYSTEM.


 突然.



━━━━━━━━━━━━


評価変換


再実行。

━━━━━━━━━━━━



 高瀬.


 顔.


 険しくなる.


 でも.


 画面.



━━━━━━━━━━━━


変換対象


検出できません。

━━━━━━━━━━━━



「……」


 真壁.


「何で」


 SYSTEM.



━━━━━━━━━━━━


回答データに


不整合。

━━━━━━━━━━━━



「不整合?」


 次.



━━━━━━━━━━━━


同一回答に


複数の意味を


検出。

━━━━━━━━━━━━



 高瀬.


 胸.


 鳴る.


「昼飯」


「食った」


「自己管理」


「だけじゃない」


 藤原.


「私にとっては」


「安心」


「……」


 ナオ.


「小説」


「書けなかった」


「失敗」


「だけじゃない」


 白石.


「俺と」


「図書室」


「いた」


「……」


 結良.


「ピアノ」


「下手だった」


「技能」


「だけじゃない」


「先生と」


「話した」


「腹立った」


「笑った」


「……」


 真壁.


「一つの出来事に」


「一個の評価を」


「付けられない」


「……」


 高瀬.


 少し.


 笑う.


「人間」


「めんどくさい」


 結良.


「最高に?」


「SYSTEMには」


「最高に」


◇


 SYSTEM.



━━━━━━━━━━━━


再分類を


試行。

━━━━━━━━━━━━



 数秒.



━━━━━━━━━━━━


失敗。

━━━━━━━━━━━━



 もう一度.



━━━━━━━━━━━━


再試行。

━━━━━━━━━━━━



 失敗.



━━━━━━━━━━━━


再試行。

━━━━━━━━━━━━



 失敗.



 白石.


「何か」


「かわいそう」


「SYSTEMが?」


「うん」


「めっちゃ」


「頑張ってる」


「同情するな!」


 ナオ.


 少し.


 笑う.


 そして.


 Review0.



『それでいい。』



「……」


 No.18.



『一人の一日は』



『一個の意味じゃない。』



 高瀬.


 画面.


 見る.



『だから』



『採点できない。』



「……」


 胸.


 少し.


 熱い.


 今まで.


 評価不能.


 高瀬.


 特殊.


 そう.


 思っていた.


 でも.


 本当は.


 人間.


 誰だって.


 一つの数字に.


 できない.



◇


 その瞬間.


 SYSTEM.


 大きく.


 揺れる.



━━━━━━━━━━━━


既存予測モデル


崩壊率


58%


━━━━━━━━━━━━



 数字.


 点滅.



59%



60%



61%



「……」


 高瀬.


「待って」


 真壁.


「上がりすぎ」


 62.


 63.


 結良.


「止まる?」


 64.


 65.


 66.


「……」


 全員.


 息.


 止まる.


 67.


 高瀬.


「69」


 藤原.


「追わない」


「分かってる」


 68.


 止まる.


「……」


 教室.


 静か.


 誰も.


 動かない.



━━━━━━━━━━━━


既存予測モデル


崩壊率


68%

━━━━━━━━━━━━



「あと一」


 白石.


 小さく.


「……」


 高瀬.


 胸.


 強く.


 鳴る.


 Review69.


 条件.


 69%.


 でも.


 No.18.


 まだ.


 来るな.


 と言った.


「全員」


 高瀬.


「今」


「何もしない」


「……」


 結良.


「うん」


 真壁.


「はい」


 誰も.


 押さない.


 誰も.


 探さない.


 誰も.


 最後の一%を.


 取りに行かない.



◇


 一分.


 二分.


 変化.


 ない.


「……」


 高瀬.


 少し.


 息.


 吐く.


「止まった」


 藤原.


「はい」


 その時.


 Review0.


 No.18.



『えらい。』



「……」


 高瀬.


 少し.


 笑う.



『子ども扱い?』



 送る.



『昔よりは』



『大人になった。』



「……」



『昔も大人だわ』



『年齢だけね。』



「……」


 高瀬.


「腹立つ」


 結良.


「何」


「No.18」


「何か」


「言った?」


「年齢だけ大人だったって」


「……」


 結良.


 吹き出す.


「知ってる人」


「全員」


「先生への」


「評価」


「同じじゃない?」


「今」


「評価って」


「言うな!」


 笑い.


 広がる.


 68%.


 そのまま.



◇


 夜.


 午後十一時四十六分.


 高瀬.


 ベッド.


 Review0.



『今日の自分を、


自分でどう思う?』



「……」


 入力.



『昼飯を食べた。』



 一度.


 笑う.



『授業が


ちょっと楽しかった。』



『篠宮と


ブロッコリーの話をした。』



『SYSTEMに


腹が立った。』



『69まで


あと1%だったけど、


止まった。』



 そこで.


 指.


 止まる.



『止まれた。』



 少し.


 考える.



『今日は、


結構よかった。』



 送信.


 何秒か.


 して.



『うん。』



 No.18.



『私は?』



 高瀬.


 少し.


 目.


 見開く.


 初めて.


 向こうが.


 自分について.


 聞いてきた.



『今日の自分?』



『うん。』



 長い.


 返事.



『今日は』



『みんなを見てた。』



「……」



『高瀬先生が


お昼ごはんを


食べてて。』



『結良が


ピアノを


途中でやめて。』



『尚が


小説を書けなくて。』



『真壁先生が


未来を言わなくて。』



『みんな、


前と違った。』



「……」


 高瀬.


 画面.


 見つめる.



『嬉しかった?』



 送る.


 返事.



『うん。』



 一度.



『でも』



『少し寂しかった。』



「……」


 高瀬.


 眉.


 寄せる.



『何で』



 既読.


 少し.



『私がいない今でも』



『みんなが


ちゃんと変わってるから。』



「……」


 高瀬.


 胸.


 締め付けられる.


『それは


いいことじゃない?』



 返事.



『いいことだよ。』



『だから寂しい。』



「……」


 高瀬.


 意味.


 すぐには.


 分からない.


 でも.


 何となく.


 分かる.


 大事な人が.


 自分なしでも.


 前へ.


 進んでる.


 嬉しい.


 同時に.


 少し.


 寂しい.


 その感情を.


 どちらか.


 一つに.


 する必要.


 ない.



『じゃあ』



 高瀬.


 入力.



『今日は


嬉しくて、


寂しかった日?』



 少し.


 間.



『うん。』



 返事.



『両方。』



「……」


 高瀬.


 少し.


 笑う.



『それでいいな』



『うん。』



 そして.


 No.18.



『先生。』



『何』



『今の会話』



『三年前にもしたよ。』



「……」


 高瀬.


 身体.


 止まる.



『俺と?』



『うん。』



『何の話』



 長い.


 返事.



『卒業。』



「……」


 高瀬.


 息.


 止まる.



『私が卒業するの』



『嬉しい?って聞いた。』



「……」



『先生は』



『嬉しいけど』



『寂しいって言った。』



 胸.


 強く.


 鳴る.


 映像.


 ほんの.


 一瞬.


 教室.


 夕方.


 制服.


 女の子.


 机.


 座ってる.


 窓.


 春.


「……」


 顔.


 まだ.


 見えない.


 でも.


 声.



『じゃあ私も』



『卒業したいけど』



『卒業したくない。』



『両方でいい?』



 昔の.


 高瀬.



『いいんじゃない』



『人間なんて』



『そんなもんだろ』



「……」


 現在.


 高瀬.


 目.


 開く.


「俺」


「言ってる」


 三年前の.


 自分.


 今と.


 同じこと.


 言ってた.


 全部.


 嫌な.


 過去じゃない.


 一人で.


 勝手に.


 決めた自分も.


 いた.


 でも.


 生徒に.


 ちゃんと.


「両方でいい」


 そう.


 言えた自分も.


 いた.



◇


 Review0.



『思い出した?』



 高瀬.


 入力.



『少し』



『顔は?』



『まだ』



 返事.



『そっか。』



 少し.



『よかった。』



「……」


 高瀬.


 眉.


 寄せる.



『何で』



 長い.


 少し.



『まだ』



『53だから。』



「……」


 高瀬.


 完全に.


 止まる.


「53?」


 話数.


 真壁.


 以前.


 口にした.


 69話.


 109.


 Review外情報.


 高瀬.


 指.



『今


53って


言った?』



 既読.



 返事.


 来ない.



『おい』



 既読.


 だけ.



『No.18』



 そして.


 ようやく.



『ごめん。』



「……」


 次.



『今のは』



『忘れて。』



「忘れられるか!」


 高瀬.


 ベッド.


 上.


 声.


 出る.


 Review0.



『先生。』



『何』



『69まで』



『あと16。』



「……」


 高瀬.


 息.


 止まる.


 53.


 54.


 55.


 ……


 69.


 この人.


 知っている.


 自分たちが.


 知らない.


 この物語の.


 数字を.


『お前』



『何を知ってる』



 送る.


 返事.



『いっぱい。』



『じゃあ教えて』



『まだ。』



「……」



『でも』



 次.



『一つだけ。』



 高瀬.


 画面.



『Review69は』



『私を助ける回じゃない。』



「……」


 高瀬.


 胸.


 冷える.



『じゃあ何』



 既読.


 数秒.


 そして.



『高瀬先生が』



『初めて』



『誰も助けない回。』



「……」


 高瀬.


 完全に.


 動かない.



『どういう意味』



 返事.


 来ない.


 最後.


 一通.



『それを選べたら、』



『先生は』



『やっと』



『自分を助けられる。』



「……」


 画面.


 消える.


 暗い.


 部屋.


 高瀬.


 一人.


 でも.


 今日.


 一日.


 一人では.


 なかった.


 昼飯を.


 食べた.


 授業をした.


 篠宮と.


 くだらない話をした.


 みんなと.


 SYSTEMに.


 腹を立てた.


 止まった.


 笑った.


 全部.


 一個の.


 評価には.


 できない.


 今日.



 今日は。



 今日だった。



 そして.



 Review69。



 そこでは。



 高瀬が。



 誰も。



 助けない。



 それが。



 何を意味するのか。



 まだ。



 高瀬には。



 分からなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。