Review47 もう一つの一年
二人の。
桐谷玲司。
同じ部屋。
同じ顔。
違う服。
違う一年。
「……」
高瀬。
二人を。
交互に見る。
「何だよ」
二人。
同時。
「……」
高瀬。
「やめて」
「何が」
「何が」
「それ!」
結良。
吹き出す。
「完全に」
「双子」
「違う」
二人。
同時。
「だから!」
白石。
肩。
震える。
「無理」
「面白すぎる」
「笑うな」
二人。
また。
同時。
「……」
ナオ。
小さく。
「先生」
「どっち」
「……」
空気。
少し。
止まる。
「ごめん」
ナオ。
「悪い意味じゃ」
「分かってる」
未登録領域から。
戻った。
桐谷。
SYSTEM上。
『玲司』
彼が。
少し。
笑う。
「俺も」
「今」
「どっちって」
「聞かれたら」
「困る」
「……」
現実側。
桐谷。
「俺は」
「困らない」
「……」
「俺は」
「桐谷玲司」
「……」
玲司。
少し。
目を細める。
「俺も」
「桐谷玲司」
「……」
また。
空気。
張る。
高瀬。
「じゃあ」
「桐谷A」
「桐谷B」
二人。
「嫌だ」
「嫌だ」
「ですよね!」
◇
佐伯が。
椅子を。
並べる。
「とりあえず」
「座りません?」
「……」
全員。
見る。
「今」
「ずっと」
「立ったまま」
「世界線の話」
「してます」
「確かに」
藤原。
「疲れた」
「先生」
結良。
「そこ?」
「そこ大事」
高瀬。
「じゃあ」
「会議」
「みたいにする?」
「それ」
真壁。
「一番」
「嫌です」
「何で!」
「教師が」
「九人集まって」
「会議始めたら」
「長い」
「……」
高瀬。
「反論」
「できない」
現実側の桐谷。
「高瀬」
「お前」
「会議」
「嫌いだっただろ」
「……」
高瀬。
見る。
「知ってる?」
「毎回」
「開始十分で」
「時計見てた」
「……」
玲司。
「それ」
「俺も知ってる」
「……」
「十五分超えると」
「資料の端に」
「落書き」
「してた」
「待って」
高瀬。
「何で」
「二人とも」
「俺の恥ずかしい情報」
「持ってるの?」
藤原。
「高瀬先生」
「落書き」
「してたんですか?」
「違う」
「何が」
「考え事」
「何描いてた?」
玲司。
「ラーメン」
「……」
全員。
高瀬を見る。
「違う!」
現実側桐谷。
「ラーメンだった」
「二票!」
◇
少し。
笑い。
緊張。
ほどける。
高瀬。
椅子。
座る。
「じゃあ」
「聞こう」
「……」
現実側。
桐谷を見る。
「お前が」
「生きてきた」
「一年」
「……」
「俺らと」
「何が違う?」
桐谷。
少し。
黙る。
「何から」
「話せばいい」
「一年前」
真壁。
「分岐した」
「その日から」
「……」
桐谷。
真壁を見る。
「お前」
「覚えてない?」
「俺たちの世界では」
「かなり」
「欠けてます」
「……」
「そっか」
桐谷。
一度。
息を吐く。
「じゃあ」
「俺が」
「覚えてる方」
「話す」
◇
一年前。
旧視聴覚室。
桐谷の世界。
「高瀬が」
「ここに」
「入った」
「……」
高瀬。
「俺が」
「うん」
「俺と」
「真壁も」
「いた」
「……」
「佐伯先生は」
「いなかった」
佐伯。
「はい」
「私は」
「三年前」
「……」
「ナオも」
「いなかった」
ナオ。
頷く。
「俺たち三人」
「高瀬」
「俺」
「真壁」
「……」
「SYSTEMを」
「止めようとしてた」
「どうやって」
「分からない」
「……」
「そこだけ」
「記憶が」
「穴」
「……」
桐谷。
こめかみ。
押さえる。
「でも」
「結果は」
「覚えてる」
「……」
「高瀬が」
「戻った」
「俺も」
「戻った」
「真壁も」
「戻った」
「……」
高瀬。
顔。
変わる。
「三人とも?」
「うん」
「……」
玲司。
静か。
聞いている。
「俺の方は」
「違う」
「……」
全員。
玲司を見る。
「高瀬だけ」
「戻した」
「俺は」
「残った」
「真壁は」
「途中で」
「外へ」
「……」
真壁。
「だから」
「分岐点」
「そこ」
「かもしれない」
「……」
現実側桐谷。
「俺たち三人が」
「帰った世界」
「……」
玲司。
「高瀬だけが」
「帰った世界」
「……」
高瀬。
「二つに」
「分かれた」
◇
「その後」
藤原。
「どうなりました?」
現実側桐谷。
「普通」
「……」
「普通?」
「学校」
「戻って」
「仕事して」
「高瀬が」
「毎日」
「文句言って」
「……」
「それ」
結良。
「今と」
「あんまり」
「変わらない」
「俺」
「そんな」
「文句言ってる?」
全員。
「言ってる」
「ひど!」
桐谷。
少し。
笑う。
「本当に」
「普通だった」
「……」
「少なくとも」
「最初は」
「……」
高瀬。
「最初は?」
「三か月くらい」
「経った頃」
「……」
桐谷。
笑顔。
消える。
「一人」
「いなくなった」
「……」
部屋。
静か。
「誰」
高瀬。
「生徒」
「……」
白石。
顔。
少し。
強張る。
「誰ですか」
「……」
桐谷。
ナオを見る。
「水城尚」
「……」
ナオ。
止まる。
「僕」
「……」
「うん」
桐谷。
「お前」
「いなくなった」
「……」
「いつ」
「六月」
「……」
「突然?」
「いや」
「……」
桐谷。
少し。
言葉。
選ぶ。
「お前」
「一週間くらい」
「変だった」
「……」
ナオ。
「どう」
「誰とも」
「話さなくなった」
「……」
「図書室にも」
「行かなくなった」
「……」
白石。
「俺は?」
「お前」
「ずっと」
「探してた」
「……」
白石。
拳。
少し。
握る。
「見つかった?」
「……」
桐谷。
首。
横。
「見つからなかった」
「……」
ナオ。
目。
伏せる。
「僕」
「その世界でも」
「消えた」
「……」
玲司。
「こっちでも」
「一度」
「消えた」
「……」
桐谷。
玲司を見る。
「戻った?」
「うん」
「……」
桐谷。
ナオを見る。
少し。
笑う。
「そっか」
「……」
「よかった」
その一言。
ナオ。
目。
少し。
潤む。
「はい」
◇
「次」
真壁。
「他に」
「違うこと」
「……」
桐谷。
「佐伯先生」
「はい」
「辞めた」
「……」
高瀬。
「学校?」
「うん」
「いつ」
「夏休み前」
「……」
佐伯。
顔。
固まる。
「理由」
「分からない」
「……」
「突然」
「退職」
「……」
「俺も」
「高瀬も」
「聞こうとした」
「でも」
「佐伯先生」
「何も」
「言わなかった」
「……」
佐伯。
自分の。
手を見る。
「私」
「その世界では」
「SYSTEMに」
「関わってない?」
「少なくとも」
「俺は」
「知らない」
「……」
高瀬。
「その後」
「佐伯先生」
「どうなった」
「分からない」
「連絡」
「取れなくなった」
「……」
佐伯。
小さく。
「そう」
◇
「藤原は?」
高瀬。
「……」
現実側桐谷。
藤原を見る。
「いた」
「……」
藤原。
「普通に?」
「普通に」
「高瀬と」
「よく」
「言い合ってた」
「……」
藤原。
「今もです」
「言い合ってない!」
「言い合ってます」
「ほら」
桐谷。
「それ」
「……」
高瀬。
「何か」
「俺だけ」
「世界変わっても」
「扱い」
「同じじゃない?」
結良。
「安定してる」
「嬉しくない!」
「でも」
桐谷。
少し。
表情。
曇る。
「藤原も」
「途中から」
「変わった」
「……」
藤原。
「私?」
「九月」
「……」
「高瀬に」
「関わらなくなった」
「……」
高瀬。
眉。
寄せる。
「喧嘩?」
「違う」
「……」
「お前」
桐谷。
高瀬を見る。
「藤原に」
『俺に近づくな』
「って」
「言った」
「……」
藤原。
高瀬を見る。
「高瀬先生が?」
「俺?」
「うん」
「何で」
「分からない」
「……」
「その日から」
「高瀬」
「少し」
「変わった」
「……」
高瀬。
胸。
ざわつく。
「どう」
「一人で」
「動くようになった」
「……」
藤原。
顔。
硬くなる。
「今の」
「高瀬先生が」
「一番」
「やりそうな」
「……」
「藤原」
「何」
「否定して」
「無理です」
「即答!」
◇
「真壁は?」
玲司。
現実側の。
自分に。
聞く。
「……」
桐谷。
真壁を見る。
「真壁は」
「ずっと」
「高瀬の近くにいた」
「……」
「でも」
「十一月」
「突然」
「学校に」
「来なくなった」
「……」
真壁。
目。
細くなる。
「俺も?」
「うん」
「消えた?」
「違う」
「……」
「入院」
「……」
高瀬。
「何で」
「事故」
「……」
「どんな」
「階段から」
「落ちた」
「……」
真壁。
顔。
止まる。
「階段」
「どこ」
桐谷。
「北棟」
「……」
真壁。
「何階」
「三階」
「……」
全員。
少し。
静かになる。
ここ。
三階。
北棟。
「旧視聴覚室の」
真壁。
「近く?」
「……」
桐谷。
頷く。
「そう」
「……」
真壁。
自分の。
スマートフォン。
見る。
『観測者』
「俺」
「事故じゃ」
「ないかも」
「……」
高瀬。
「何で」
「分からない」
「でも」
「今」
「そう思った」
◇
「結良は?」
高瀬。
「……」
桐谷。
篠宮結良を見る。
「……」
長い。
沈黙。
「何」
結良。
少し。
笑う。
「私だけ」
「そんな」
「溜める?」
「……」
桐谷。
表情。
硬い。
「篠宮」
「うん」
「お前」
「俺の世界には」
「……」
言葉。
止まる。
「いなかった」
「……」
結良。
笑顔。
止まる。
「学校に?」
「違う」
「……」
「名簿に」
「最初から」
「いなかった」
「……」
空気。
変わる。
「待って」
高瀬。
「転校とか」
「そういう」
「話じゃない?」
「違う」
「篠宮結良」
「って」
「生徒」
「存在してない」
「……」
結良。
何も。
言わない。
「でも」
桐谷。
「俺」
「お前を」
「知ってる」
「……」
全員。
桐谷を見る。
「今」
結良。
「矛盾してない?」
「してる」
「……」
「俺の」
「学校の記憶には」
「お前はいない」
「……」
「なのに」
「さっき」
「廊下で」
「お前見た瞬間」
「篠宮って」
「分かった」
「……」
結良。
顔。
少し。
青くなる。
「文化祭の」
「ピアノも」
「知ってた」
「うん」
「……」
真壁。
「それ」
「この世界の記憶」
「混ざってる?」
「可能性」
「ある」
佐伯。
「並列存在で」
「接触した時に」
「……」
「でも」
桐谷。
首。
横。
「違う気がする」
「……」
「何で」
「篠宮のこと」
「知ってる感覚」
「もっと」
「古い」
「……」
結良。
「古い?」
「一年前より」
「前」
「……」
高瀬。
胸。
強く。
鳴る。
「お前」
「結良と」
「どこかで」
「会ってた?」
「分からない」
◇
SYSTEM。
突然。
起動。
━━━━━━━━━━━━
廃棄世界線
履歴照合中。
━━━━━━━━━━━━
「……」
真壁。
「今?」
次。
━━━━━━━━━━━━
対象
篠宮結良
━━━━━━━━━━━━
結良。
「私?」
次。
━━━━━━━━━━━━
該当履歴
0
━━━━━━━━━━━━
「……」
結良。
少し。
笑う。
「ほら」
「やっぱ」
「いない」
でも。
次.
━━━━━━━━━━━━
例外履歴
1
━━━━━━━━━━━━
「……」
高瀬。
「例外?」
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
記録日
3年前
━━━━━━━━━━━━
佐伯。
顔。
変わる。
「三年前」
次.
━━━━━━━━━━━━
記録場所
未登録領域
━━━━━━━━━━━━
「……」
結良。
息。
止まる。
「私」
「三年前」
「そこに」
「いた?」
佐伯。
ゆっくり。
結良を見る。
「私が」
「最初に」
「落ちた時」
「……」
高瀬。
「佐伯先生」
「結良」
「見た?」
「……」
佐伯。
目。
閉じる。
三年前。
暗い。
廊下。
声。
誰か。
「……」
頭。
押さえる。
「待って」
「佐伯先生?」
「私」
「一人じゃ」
「……」
呼吸。
少し。
乱れる。
「一人じゃ」
「なかった?」
「……」
結良。
「私が」
「いた?」
「分からない」
「……」
「でも」
佐伯。
結良を見る。
「女の子」
「……」
「いた」
◇
部屋。
完全に。
静か。
「何歳」
高瀬。
「子ども」
「……」
「中学生くらい」
「……」
結良。
「私」
「三年前」
「中学生」
「……」
佐伯。
「髪」
「長かった」
結良。
自分の。
髪。
触る。
「その頃」
「長かった」
「……」
「でも」
「顔」
「覚えてない」
「……」
「名前は?」
「……」
佐伯。
目。
閉じる。
「呼んだ」
「……」
「何て」
「思い出せない」
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
記憶保護
作動中。
━━━━━━━━━━━━
「保護?」
高瀬。
「削除じゃない?」
真壁。
「違う」
「……」
「守ってる」
「何から」
答え。
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
Review69
━━━━━━━━━━━━
「……」
全員。
止まる。
「また」
ナオ。
「69」
◇
結良。
自分の。
スマートフォン。
見る。
「私」
「何なんだろ」
「……」
声。
小さい。
高瀬。
見る。
「結良」
「何」
「それ」
「今」
「決めなくていい」
「……」
「でも」
「私」
「この世界には」
「いる」
「うん」
「向こうには」
「いない」
「うん」
「三年前」
「未登録領域には」
「いたかもしれない」
「うん」
「……」
「普通に」
「怖い」
「うん」
「否定しないんだ」
「怖いもんは」
「怖いだろ」
「……」
結良。
少し。
笑う。
「でも」
高瀬。
「今」
「ここにいる」
「……」
「藤原と」
「喋って」
「真壁に」
「ツッコんで」
「白石と」
「くだらん話して」
「ナオとも」
「話して」
「佐伯先生に」
「保健室」
「行くって」
「言って」
「……」
「俺にも」
「失礼なこと」
「いっぱい」
「言ってる」
「最後」
「いらない」
「大事」
「いらない」
「……」
高瀬。
少し。
笑う。
「それ」
「全部」
「今の結良」
「……」
「昔」
「何だったか」
「分かっても」
「今」
「消えるわけじゃない」
「……」
結良。
目。
少し。
潤む。
「先生」
「何」
「今日」
「ちょっと」
「いいこと言う」
「今日!?」
藤原。
「そこ」
「怒るんですね」
「毎日」
「言ってる!」
空気。
少し。
戻る。
◇
「話」
現実側桐谷。
「続ける?」
「……」
高瀬。
「まだ」
「ある?」
「ある」
「……」
表情。
変わる。
「十二月」
「……」
「高瀬が」
「いなくなった」
「……」
藤原。
「今度は」
「高瀬先生?」
「うん」
「……」
高瀬。
「俺」
「消えた?」
「違う」
「……」
「学校」
「辞めた」
「……」
「何で」
「知らない」
「……」
「ある日」
「俺に」
「言った」
『もう、ここにはいられない』
「……」
高瀬。
胸。
ざわつく。
「そのあと」
「辞めた」
「……」
「連絡」
「取れた?」
「最初は」
「……」
「一月」
「連絡」
「取れなくなった」
「……」
「二月」
「家」
「行った」
「……」
「いなかった」
「……」
「三月」
「……」
桐谷。
言葉。
止まる。
「何」
玲司。
静かに。
聞く。
「三月」
「高瀬から」
「メール」
「来た」
「……」
高瀬。
「何て」
桐谷。
高瀬を見る。
「一行」
「……」
「何」
桐谷。
ゆっくり。
口を開く。
『次は、俺が残る。』
「……」
高瀬。
身体。
固まる。
「次?」
真壁。
「何の」
「……」
桐谷。
「分からない」
「……」
「返信」
「した?」
「した」
「何て」
『どこにいる』
「……」
「返事は」
「なかった」
「……」
高瀬。
自分の。
手を見る。
次は。
俺が残る。
「俺」
「その世界でも」
「未登録領域」
「思い出した?」
「多分」
「……」
玲司。
「俺の代わりに」
「今度は」
「高瀬が」
「残ろうとした?」
「……」
誰も。
答えられない。
◇
SYSTEM。
通知。
━━━━━━━━━━━━
廃棄世界線
残存対象
18
━━━━━━━━━━━━
「……」
高瀬。
「この十八人」
「その世界から」
「消えた人?」
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
一部一致。
━━━━━━━━━━━━
「一部」
藤原。
「じゃあ」
「全員じゃない」
次.
━━━━━━━━━━━━
残存対象は
廃棄時点で
現行世界線への
移行を拒否した対象。
━━━━━━━━━━━━
「拒否?」
佐伯。
「本人が?」
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
YES
━━━━━━━━━━━━
「……」
現実側桐谷。
「俺」
「拒否した?」
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
対象
桐谷玲司
回答
YES
━━━━━━━━━━━━
「覚えてない」
「……」
次.
━━━━━━━━━━━━
拒否理由
閲覧しますか?
━━━━━━━━━━━━
YES
NO
桐谷。
少し。
迷う。
「見る」
YES。
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
拒否理由
高瀬を置いて
移行できない。
━━━━━━━━━━━━
「……」
桐谷。
高瀬。
見る。
「俺」
「残った?」
「……」
「お前」
「いなくなってたから」
「……」
高瀬。
胸。
詰まる。
「馬鹿」
小さく。
「何だよ」
「お前」
「別世界でも」
「俺のために」
「残ってんじゃん」
「……」
桐谷。
少し。
笑う。
「お互い様」
「……」
玲司。
「それ」
「俺も」
「言いたい」
「……」
三人。
少し。
笑う。
◇
「じゃあ」
真壁。
「十八人は」
「何かを」
「置いていけなくて」
「残った?」
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
概ね
YES
━━━━━━━━━━━━
「……」
白石。
「じゃあ」
「助けられるんじゃ」
「……」
高瀬。
白石を見る。
「そうだな」
「だって」
「残りたいから」
「残ったんじゃなく」
「……」
「誰か」
「何か」
「置いてけなかった」
「ってことでしょ」
「……」
ナオ。
「僕と」
「少し」
「似てる」
「……」
高瀬。
「なら」
「十八人」
「全員」
「戻れる可能性」
「ある」
SYSTEM。
即座。
━━━━━━━━━━━━
推奨しません。
━━━━━━━━━━━━
「……」
高瀬。
「聞いてない」
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
廃棄世界線の
残存対象を
復元した場合
現行世界線の
整合性は
著しく低下します。
━━━━━━━━━━━━
「どのくらい」
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
予測不能。
━━━━━━━━━━━━
「また」
結良。
「分からんのかい」
「SYSTEMも」
白石。
「最近」
「ポンコツじゃない?」
真壁。
「違う」
「……」
「何」
「予測できない人が」
「増えてる」
「……」
高瀬。
少し。
笑う。
「いいこと?」
「SYSTEMには」
「最悪」
「じゃあ」
「いいこと」
◇
SYSTEM。
次。
━━━━━━━━━━━━
ただし
残存対象18名のうち
1名は
復元対象外。
━━━━━━━━━━━━
「69の人」
藤原。
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
YES
━━━━━━━━━━━━
「何で」
真壁。
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
対象No.18は
残存者では
ありません。
━━━━━━━━━━━━
「……」
全員。
止まる。
「さっき」
高瀬。
「残存対象って」
「言っただろ」
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
分類上
残存対象として
処理しています。
━━━━━━━━━━━━
「実際は?」
SYSTEM。
少し。
間。
━━━━━━━━━━━━
侵入者。
━━━━━━━━━━━━
「……」
佐伯。
「侵入?」
「Review69に」
ナオ。
「自分で」
「入った?」
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
YES
━━━━━━━━━━━━
真壁。
顔。
変わる。
「誰」
答え。
ない。
「何のため」
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
目的
不明。
━━━━━━━━━━━━
「SYSTEMが」
藤原。
「分からない?」
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
対象No.18は
観測不能。
━━━━━━━━━━━━
「……」
真壁。
息。
止まる。
「俺と」
「同じ?」
「観測者?」
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
NO
━━━━━━━━━━━━
「じゃあ」
「何」
高瀬。
SYSTEM。
表示。
少し。
乱れる。
━━━━━━━━━━━━
対象No.18
評価不能
観測不能
固定不能
━━━━━━━━━━━━
「全部」
白石。
「不能」
次.
━━━━━━━━━━━━
唯一確認可能な
情報
━━━━━━━━━━━━
「……」
全員。
画面。
見る。
━━━━━━━━━━━━
対象No.18は
自らの意思で
Review69を
待機状態にしている。
━━━━━━━━━━━━
「……」
高瀬。
「待機」
「つまり」
佐伯。
「69が」
「まだ始まってないのは」
「その人が」
「止めてる?」
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
YES
━━━━━━━━━━━━
「何のため」
SYSTEM。
今度は。
答える。
━━━━━━━━━━━━
高瀬を
待つため。
━━━━━━━━━━━━
「……」
高瀬。
身体。
固まる。
「俺?」
真壁。
目。
閉じる。
また。
見える。
暗い。
場所。
誰か。
一人。
座っている。
顔。
見えない。
でも。
その人。
笑っている。
『遅い』
「……っ」
真壁。
目。
開く。
「真壁?」
藤原。
「また」
「見えた」
「……」
「何」
「言ってた」
真壁。
高瀬を見る。
「遅い」
「……」
「それだけ?」
「うん」
「……」
高瀬。
胸。
ざわつく。
知らない。
でも。
知っている。
そんな。
気がする。
◇
「高瀬」
現実側桐谷。
「何」
「俺の世界で」
「お前」
「最後」
「消えた」
「……」
「うん」
「もしかして」
「……」
言葉。
止まる。
「何」
「お前」
「No.18を」
「知ってたんじゃないか」
「……」
高瀬。
顔。
強張る。
「だから」
「学校辞めて」
「一人で」
「探した?」
「……」
玲司。
「それで」
『次は、俺が残る』
「……」
高瀬。
息。
浅くなる。
「じゃあ」
「別の俺は」
「69に」
「行こうとしてた?」
「可能性」
真壁。
「ある」
「……」
高瀬。
「でも」
「行けなかった」
「……」
SYSTEM。
突然。
━━━━━━━━━━━━
訂正。
━━━━━━━━━━━━
「……」
高瀬。
「何」
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
廃棄世界線
高瀬
Review69
到達済。
━━━━━━━━━━━━
「……」
全員。
止まる。
「待って」
藤原。
「じゃあ」
「No.18って」
「……」
高瀬。
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
対象No.18と
廃棄世界線高瀬は
接触済。
━━━━━━━━━━━━
「……」
高瀬。
「俺」
「会ってる?」
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
YES
━━━━━━━━━━━━
「何を」
「した」
SYSTEM。
表示。
止まる。
数秒。
そして。
━━━━━━━━━━━━
会話。
━━━━━━━━━━━━
「内容」
SYSTEM。
━━━━━━━━━━━━
閲覧不可。
━━━━━━━━━━━━
「また!」
高瀬。
「でも」
真壁。
何か。
考えている。
「一個」
「分かった」
「何」
「No.18は」
「高瀬先生を」
「待ってる」
「……」
「別世界の高瀬先生は」
「もう」
「会った」
「……」
「なのに」
「まだ」
「待ってる」
「……」
藤原。
顔。
変わる。
「つまり」
「待ってるのは」
「別世界の」
「高瀬先生じゃない」
「……」
真壁。
今。
目の前。
高瀬を見る。
「あなた」
「……」
「今の」
「高瀬先生」
「……」
部屋。
静か。
高瀬。
何も。
言えない。
その瞬間。
スマートフォン。
一度だけ。
震える。
通知。
今までと。
違う。
SYSTEMではない。
「……?」
高瀬。
開く。
差出人。
なし。
本文。
一行。
『やっと、ここまで来たね。』
「……」
高瀬。
息。
止まる。
次。
もう一通。
『でも、まだ来ちゃダメ。』
「……」
「高瀬先生?」
藤原。
「誰から」
「分からん」
次。
『69で会おう。』
そして。
最後。
『今度は、ちゃんと覚えていてね。』
「……」
高瀬。
指。
止まる。
覚えて。
いてね。
「俺」
小さく。
「この人」
「……」
「忘れてる?」
SYSTEM。
起動。
でも。
いつもの。
無機質な文字ではない。
一瞬だけ。
画面。
乱れ。
別の文章。
━━━━━━━━━━━━
Review69まで
残り
22
━━━━━━━━━━━━
「……」
真壁。
「今」
「47」
「うん」
「あと」
「22」
「……」
69。
まだ。
遠い。
なのに。
もう。
向こう側から。
こちらを。
見ている。
高瀬。
スマートフォン。
握る。
怖い。
でも。
それ以上に。
胸の奥。
変な。
痛み。
名前も。
顔も。
思い出せない。
なのに。
なぜか。
その一文だけで。
泣きそうになった。
『今度は、ちゃんと覚えていてね。』
高瀬は。
その理由を。
まだ。
知らない。




