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この人生、採点中  作者: 夜凪 灯
第一章 『あなたは、あなたを何点にしますか』

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48/117

Review48 知らない自分

 午後六時四十四分。


 空き教室。


 人数。


 多い。


 高瀬。


 藤原。


 真壁。


 佐伯。


 ナオ。


 白石。


 結良。


 桐谷玲司。


 そして。


 もう一人の。


 桐谷玲司。


「……」


 高瀬。


 二人を見る。


「やっぱ」


「慣れん」


 現実側桐谷。


「何が」


 戻った玲司。


「失礼だな」


「それ!」


 二人。


「何が」


「何が」


「だから!」


 結良。


 笑う。


「先生」


「もう」


「諦めたら」


「何を」


「二人いること」


「そんな」


「簡単に?」


 白石。


「俺」


「昨日」


「ナオ一人」


「戻っただけでも」


「キャパ」


「ギリだったんですけど」


 ナオ。


「悠真」


「何」


「今日」


「桐谷先生」


「二人」


「増えた」


「数え方怖い!」


 少し。


 笑う。


 でも。


 高瀬。


 スマートフォン。


 画面。



『Review69まで残り22』



 そこだけは。


 笑えない。


◇


「まず」


 真壁。


 ホワイトボード。


「整理」


「また会議?」


 高瀬。


「嫌なら」


「高瀬先生」


「進行します?」


「……」


「真壁」


「お願いします」


「即」


 結良。


「弱」


「会議だけは」


「勝てん!」


 真壁。


 書く。



『廃棄世界線 残存対象18』



「接触可能」


『17』



「接触不可」


『No.18』



「No.18」


「Review69内部」


「高瀬先生を待ってる」


「……」


 高瀬。


「圧」


「強いな」


「何が」


 藤原。


「知らん人に」


「待たれてる」


「……」


 少し。


 止まる。


「いや」


「知らん人」


「じゃないかも」


「……」


 佐伯。


「高瀬先生が」


「忘れている」


「可能性」


「はい」


「じゃあ」


 白石。


「何で」


「69まで」


「会えないんですか」


「そこ」


 真壁。


「不明」


「SYSTEMでも」


「観測不能」


「……」


 結良。


「じゃあ」


「17人から」


「聞けば?」


 全員。


 結良を見る。


「何」


「廃棄世界線の」


「人たち」


「高瀬先生」


「知ってるかも」


「……」


 高瀬。


 少し。


 眉。


 上げる。


「それ」


「シンプル」


「先生」


「今」


「ちょっと」


「悔しそう」


「何で」


「自分で」


「思いつかなかったから」


「出てる?」


「顔」


「もう!」


◇


「ただ」


 現実側桐谷。


「一個」


「注意」


「何」


 高瀬。


「17人」


「全員」


「俺の世界から」


「残った」


「でも」


「同じ理由で」


「残ったとは」


「限らない」


「……」


「それぞれ」


「何か」


「置いていけなかった」


「……」


「その人たちを」


「情報源として」


「見るな」


「……」


 高瀬。


 少し。


 止まる。


「耳痛い」


「お前」


「すぐ」


「そうなる」


「……」


 戻った玲司。


「同意」


「二人で」


「俺を教育するな!」


「必要」


 二人。


「同時に言うな!」


◇


 SYSTEM。


 通知。



━━━━━━━━━━━━


廃棄世界線


接触可能対象


17


━━━━━━━━━━━━


初回接触対象を


選択しますか?


YES


NO


━━━━━━━━━━━━



「選択?」


 藤原。


「誰」


 次。



━━━━━━━━━━━━


対象情報は


接触後にのみ


開示されます。

━━━━━━━━━━━━



「ガチャ」


 白石。


「言い方!」


「でも」


 結良。


「ちょっと」


「分かる」


「怖いガチャ」


「やめろ!」


 高瀬。


「誰が」


「押す」


 真壁。


「本人」


「誰の」


「高瀬先生」


「俺?」


「Review69」


「待たれてる」


「中心」


「……」


 高瀬。


 少し。


 嫌そうな顔。


「何」


 藤原。


「いや」


「こういう時」


「中心って」


「言われると」


「嫌」


「珍しい」


「最近」


「中心になると」


「誰か」


「巻き込むから」


「……」


 藤原。


 少し。


 高瀬を見る。


「じゃあ」


「一人で」


「押さない」


「……」


「七人で?」


 結良。


「九人」


 白石。


「桐谷先生」


「二人いる」


「数えるな!」


 二人。


 また。


 同時。


「怖!」


 白石。


◇


「じゃあ」


 高瀬。


「押す前」


「一個」


「全員」


「聞く」


「何」


「初回接触」


「する?」


「……」


 藤原。


「します」


 真壁。


「はい」


 佐伯。


「怖いです」


「でも」


「します」


 ナオ。


「僕も」


 白石。


「やります」


 結良。


「はい」


 現実側桐谷。


「俺は」


「やる」


 戻った玲司。


「俺も」


「……」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「じゃあ」


「押す」


 YES。


◇


 画面。


 白。


 数秒。


 長い。



━━━━━━━━━━━━


接触対象


No.07

━━━━━━━━━━━━



「七」


 高瀬。


「……」


 結良。


「先生」


「何」


「ちょっと」


「嬉しそう」


「数字として」


「縁起いい」


「今」


「それ言う?」


「いや」


「七って」


「好き」


「知ってます」


「何で」


「前から」


「言ってる」


「俺」


「そんな?」


 藤原。


「結構」


「数字」


「気にします」


「……」


「俺」


「キャラ」


「単純?」


 真壁。


「半分」


「また!」


 SYSTEM。


 次.



━━━━━━━━━━━━


接触地点


校内


━━━━━━━━━━━━


現在地


一階


旧資料室

━━━━━━━━━━━━



「近い」


 白石。


「また」


「校内」


「何で」


 佐伯。


「廃棄世界線の人」


「学校に」


「集中してる?」


 真壁。


「学校が」


「分岐点だから」


「可能性」


「……」


 高瀬。


「行く?」


「全員?」


 藤原。


「いや」


 真壁。


「人数」


「多すぎる」


「今」


「九人」


「廊下」


「歩いたら」


「普通に」


「目立つ」


 結良。


「先生」


「修学旅行の」


「引率みたい」


「生徒」


「二人しかいない!」


◇


「じゃあ」


 藤原。


「三人」


「誰」


「高瀬先生」


「また俺?」


「中心」


「嫌って」


「言った!」


「でも」


「No.18との」


「関係」


「探すなら」


「必要」


「……」


「はい」


「あと」


 現実側桐谷。


「俺」


「……」


「何で」


「廃棄世界線」


「俺の」


「知ってる人」


「可能性」


「……」


「確かに」


「最後」


 真壁。


「俺」


「え」


 高瀬。


「観測」


「大丈夫?」


「見るため」


「じゃない」


「記録」


「整理」


「……」


「あと」


 一度。


 高瀬を見る。


「高瀬先生」


「暴走」


「止める」


「そこ本音!」


「重要」


 藤原。


「賛成」


「俺」


「信用」


「どこ行った!?」


 結良。


「半分」


「うるさい!」


◇


 一階。


 旧資料室。


 廊下。


 高瀬。


 現実側桐谷。


 真壁。


 三人。


「……」


 高瀬。


「何か」


「変な組み合わせ」


「何が」


 桐谷。


「俺」


「俺」


「真壁」


「……」


「一年前」


「お前の世界」


「この三人」


「一緒だった?」


「かなり」


「……」


 真壁。


 少し。


 表情。


 変わる。


「俺」


「覚えてない」


「……」


 桐谷。


「お前」


「一年前」


「もっと」


「笑わなかった」


「……」


 真壁。


「今より?」


「うん」


「かなり」


「……」


「高瀬と」


「喋る時も」


「事務的」


「……」


 高瀬。


「俺」


「真壁と」


「仲悪かった?」


「悪くは」


「ない」


「ただ」


「距離」


「遠かった」


「……」


 真壁。


 少し。


 考える。


「今」


「近い?」


 桐谷。


「かなり」


「……」


「嫌?」


 高瀬。


「何で」


「いや」


「急に」


「不安」


「……」


 真壁。


 少し。


 笑う。


「今くらい」


「で」


「いいです」


「……」


 高瀬。


「全部?」


「半分」


「おい!」


 桐谷。


 少し。


 笑う。


「今の方が」


「いいな」


「……」


 真壁。


 少しだけ。


 目を逸らす。


◇


 旧資料室。


 扉。


 閉まっている。


「開ける?」


 高瀬。


「待って」


 真壁。


「SYSTEM」


 画面。



━━━━━━━━━━━━


接触対象


No.07


状態


安定


━━━━━━━━━━━━


危険度


不明

━━━━━━━━━━━━



「不明」


 高瀬。


「また」


 桐谷。


「当たり前だろ」


「何で」


「相手」


「人だぞ」


「……」


「危険度」


「数字で」


「決める方が」


「おかしい」


「……」


 高瀬。


 一瞬。


 止まる。


「今日」


「二人目」


「誰」


「俺を」


「説教するやつ」


「一人目」


「誰」


「もう一人のお前」


「……」


 桐谷。


「それ」


「俺じゃない」


「分かってる!」


◇


 ノック。


「失礼します」


 返事。


 なし。


「入る」


 扉。


 開く。


 古い。


 資料。


 棚。


 箱。


 埃。


 窓。


 小さい。


 夕方。


 その奥。


 一人。


 座っている。


 女性。


「……」


 三人。


 止まる。


 年齢。


 三十代?


 教師では。


 ない。


 私服。


 髪。


 肩まで。


 こちら。


 見る。


「……」


 女性。


 少し。


 笑う。



「遅かったね」



「……」


 高瀬。


 胸。


 強く。


 鳴る。


「俺ら」


「知ってる?」


「……」


 女性。


 高瀬を見る。


「うん」


 桐谷を見る。


「玲司も」


「……」


 真壁。


「俺は」


「……」


 女性。


 少し。


 目を細める。


「真壁くん」


「……」


 真壁。


 顔。


 変わる。


「くん?」


「前」


「そう呼んでた」


「……」


「俺」


「あなた」


「知らない」


「うん」


 女性。


 少し。


 笑う。


「今の真壁くんは」


「知らない」


「……」


 高瀬。


「名前」


「聞いていい?」


「……」


 女性。


 少し。


 考える。


「今」


「名前」


「必要?」


「……」


 高瀬。


 止まる。


「知りたい」


「何で」


「あなたを」


「誰か」


「知りたい」


「……」


「番号じゃなく」


「……」


 女性。


 少し。


 表情。


 柔らかくなる。


「じゃあ」


 一度。


 息。


「橘」


「……」


「橘沙耶」


「……」


 桐谷。


 目。


 少し。


 大きくなる。


「沙耶」


「……」


「知ってる?」


 高瀬。


「……」


 桐谷。


 頭。


 探る。


「学校」


「職員じゃない」


「うん」


「でも」


「何度か」


「来てた」


「……」


「誰」


 桐谷。


 一度。


 顔。


 強張る。


「高瀬」


「何」


「お前の」


「……」


「姉」


「……」


 高瀬。


 完全に。


 動きを。


 止める。


「は?」


◇


「待って」


 高瀬。


「俺」


「姉」


「……」


 頭。


 探す。


「いない」


「……」


 橘沙耶。


 少し。


 悲しそうに。


 笑う。


「そう」


「今の世界では」


「……」


「どういう」


「こと」


 真壁。


 SYSTEM。


 確認。



━━━━━━━━━━━━


対象


橘沙耶


廃棄世界線


残存者


━━━━━━━━━━━━


現行世界線


該当人物


不存在

━━━━━━━━━━━━



「……」


 高瀬。


 胸。


 冷える。


「存在」


「してない?」


「うん」


 沙耶。


「だから」


「私」


「残った」


「……」


「世界」


「移ったら」


「私」


「誰にも」


「ならないから」


「……」


 桐谷。


「じゃあ」


「高瀬の姉だったのは」


「廃棄世界線だけ?」


「……」


 沙耶。


 高瀬を見る。


「違う」


「……」


「もっと」


「前」


「……」


「何」


「世界が」


「分かれる前」


「……」


 真壁。


 表情。


 変わる。


「分岐前から」


「いた?」


「うん」


「じゃあ」


「現行世界線から」


「消された?」


「……」


 沙耶。


 少し。


 笑う。


「正確には」


「高瀬から」


「消された」


「……」


 高瀬。


「俺から?」


「記憶」


「だけ」


「……」


「存在そのものは?」


「消えた」


「……」


「何で」


 沙耶。


 すぐには。


 答えない。


「それ」


「今」


「聞く?」


「聞きたい」


「……」


「めちゃくちゃ」


「……」


 沙耶。


 高瀬を見る。


「じゃあ」


「一個ずつ」


「……」


「昔から」


「そうだったね」


「何が」


「一気に」


「全部」


「聞こうとする」


「……」


 高瀬。


 少し。


 息。


 止まる。


「本当に」


「俺のこと」


「知ってる?」


「うん」


「……」


「子どもの頃」


「カレー」


「甘口しか」


「食べられなかった」


「……」


 桐谷。


「今」


「味噌ラーメン」


「関係ない」


「黙って!」


 沙耶。


 少し。


 笑う。


「小学生の時」


「運動会」


「前日」


「緊張で」


「熱出した」


「……」


「中学」


「二年」


「告白」


「断られて」


「三日」


「めちゃくちゃ」


「機嫌悪かった」


「待て!」


「それ」


「今」


「必要!?」


 真壁。


 少し。


 笑う。


「高瀬先生」


「中二」


「失恋」


「覚えました」


「忘れろ!」


「あと」


 沙耶。


「高校」


「文化祭」


「……」


「待って」


 高瀬。


「まだある!?」


「いっぱい」


「……」


 少し。


 笑う。


「弟なので」


「……」


 高瀬。


 何も。


 言えなくなる。


 知らない。


 でも。


 言われるほど。


 胸。


 変な。


 感じ。


 記憶。


 ではない。


 感覚。


 懐かしい。


◇


「高瀬」


 桐谷。


「何」


「俺」


「沙耶さん」


「覚えてる」


「……」


「どんな」


「お前が」


「教員になった頃」


「学校」


「来た」


「何で」


「差し入れ」


「……」


「お前」


「めちゃくちゃ」


「嫌がってた」


「……」


「何で」


「姉が」


「職場来るの」


「恥ずかしいって」


「……」


 沙耶。


「そう」


「しかも」


「プリン」


「持ってった」


「……」


 高瀬。


「俺」


「プリン」


「好き?」


「好きだった」


「今」


「……」


「普通」


「……」


 沙耶。


 少し。


 笑顔。


 曇る。


「そこも」


「変わった」


「……」


「何が」


「私が」


「消えてから」


「……」


「好きだったもの」


「少しずつ」


「変わった」


「……」


 高瀬。


「人って」


「そんな」


「変わるだろ」


「うん」


「でも」


「全部」


「自然に」


「変わったわけじゃない」


「……」


 真壁。


「記憶削除の」


「副作用?」


「近い」


◇


「沙耶さん」


 真壁。


「一個」


「聞いていい?」


「うん」


「高瀬先生から」


「あなたが」


「消えたの」


「いつ」


「……」


 沙耶。


 少し。


 高瀬を見る。


「三年前」


「……」


 佐伯。


 三年前。


 結良。


 三年前。


 また。


「何が」


 高瀬。


「三年前」


「……」


 沙耶。


 声。


 少し。


 低くなる。


「あなた」


「初めて」


「Reviewを」


「開いた」


「……」


 高瀬。


 胸。


 止まりそうになる。


「俺」


「三年前から?」


「うん」


「……」


「でも」


「俺」


「一年前だと思って」


「思わされてた」


「……」


 桐谷。


 顔。


 変わる。


「じゃあ」


「佐伯先生」


「落ちた時」


「高瀬」


「もう」


「SYSTEMに」


「関わってた?」


「うん」


「……」


 真壁。


「三年前」


「最初に」


「何があった」


 沙耶。


 長い。


 沈黙。


「Review1」


「……」


 高瀬。


 身体。


 固まる。


「最初の」


「Review?」


「うん」


「何だった」


 沙耶。


 高瀬を見る。



「私」



「……」



「あなたが」



「最初に」



「採点したのは」



「私だった」



「……」


 高瀬。


 息。


 止まる。


「何点」


「……」


 沙耶。


 少し。


 笑う。


 でも。


 その笑顔。


 痛い。



「0点」



「……」


 部屋。


 完全に。


 静か。


「俺が」


「姉に?」


「うん」


「……」


「何で」


「それ」


「覚えてない」


「消されたから」


「誰に」


「……」


 沙耶。


「高瀬」


「……」


「自分で」


「消した」


「……」


 真壁。


 顔。


 強張る。


「高瀬先生が」


「自分で」


「姉の記憶を?」


「うん」


「何で」


 沙耶。


 少し。


 目を伏せる。



「私を」



「助けるため」



「……」



 高瀬。


「記憶消すことが」


「助ける?」


「その時は」


「そうだった」


「……」


 沙耶。


 一度。


 息を吸う。


「あなた」


「選択肢」


「出された」


「……」


「私を」


「SYSTEMから」


「切り離すか」


「……」


「自分から」


「私の存在を」


「切り離すか」


「……」


「高瀬」


 桐谷。


「お前」


「後者」


「選んだ?」


「うん」


「……」


 高瀬。


 拳。


 握る。


「馬鹿だろ」


「うん」


 沙耶。


 少し。


 笑う。


「昔から」


「かなり」


「……」


「それ」


「今の俺にも」


「刺さる」


「だから」


「多分」


「本質」


「変わってない」


「……」


◇


「じゃあ」


 高瀬。


「沙耶」


「……」


 初めて。


 名前。


 呼ぶ。


 沙耶。


 表情。


 止まる。


「……」


 高瀬。


 自分でも。


 少し。


 驚く。


「今」


「名前」


「呼べた」


「うん」


「……」


「何か」


「変?」


「……」


 沙耶。


 目。


 少し。


 潤む。


「三年ぶり」


「……」


 高瀬。


 胸。


 締め付けられる。


「ごめ」


「言わなくていい」


「でも」


「今のあなた」


「覚えてない」


「……」


「謝られても」


「困る」


「……」


「じゃあ」


「何て」


「言えば」


「普通に」


「話して」


「……」


「姉弟」


「だったから?」


「じゃなく」


 一度。


 笑う。


「今」


「高瀬と」


「話したい」


「……」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「分かった」


◇


 SYSTEM。


 突然。



━━━━━━━━━━━━


対象No.07


橘沙耶


現行世界線への


接続条件を


確認中

━━━━━━━━━━━━



「接続」


 真壁。


「戻れる?」


 沙耶。


 画面。


 見る。


「私は」


「多分」


「難しい」


「何で」


「現行世界線」


「存在記録」


「ゼロ」


「……」


 高瀬。


「じゃあ」


「作る」


「高瀬」


「何」


「また」


「すぐ」


「そう言う」


「……」


「ごめん」


「でも」


 一度。


 沙耶。


 少し。


 笑う。


「今のは」


「嫌じゃない」


「……」


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


接続条件


1


━━━━━━━━━━━━



「一個」


 真壁。


 次.



━━━━━━━━━━━━


現行世界線に


対象を知る人物が


3名以上必要。

━━━━━━━━━━━━



「三人」


 高瀬。


「今」


「俺」


「桐谷」


「真壁」


「……」


 沙耶。


「真壁くんは」


「今の私を」


「知らない」


「……」


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


認識成立


高瀬


桐谷玲司


2

━━━━━━━━━━━━



「あと一人」


 高瀬。


「誰」


 沙耶。


 少し。


 考える。


「佐伯先生」


「……」


「知ってる?」


「多分」


「三年前」


「……」


 高瀬。


 胸。


 鳴る。


「戻る」


「みんなのとこ」


◇


 二階。


 空き教室。


 残った。


 全員。


 待っている。


 扉。


 開く。


「戻りました」


 藤原。


「どうでした」


 高瀬。


 少し。


 顔。


 固い。


「人」


「いた」


「誰」


 結良。


「……」


 高瀬。


 少し。


 迷う。


「俺の」


「姉」


「……」


 全員。


 止まる。


「先生」


 結良。


「姉」


「いたんですか」


「……」


「俺も」


「今」


「知った」


「何それ」


 白石。


「もう」


「情報」


「重い」


「分かる」


 その時。


 佐伯。


 顔。


 少し。


 変わる。


「名前」


「橘沙耶」


「……」


 佐伯。


 目。


 大きくなる。


「……」


「知ってる?」


 高瀬。


「……」


 佐伯。


 頭。


 押さえる。


「沙耶」


「……」


「さん」


「……」


「私」


「会ってる」


「……」


 全員。


 静か。


「三年前」


「未登録領域」


「……」


 佐伯。


 呼吸。


 少し。


 乱れる。


「中学生の女の子」


「だけじゃない」


「……」


「大人」


「女性」


「いた」


「……」


「私」


「その人に」


「……」


「何」


 高瀬。


「助けてもらった」


「……」


 胸。


 鳴る。


「どうやって」


「私」


「帰れなくて」


「……」


「名前」


「忘れ始めて」


「……」


「その人」


「ずっと」


「私に」


「言ってた」


「何を」


 佐伯。


 目。


 閉じる。



『真由ちゃん』



「……」



『あなたは』



『佐伯真由』



『忘れないで』



「……」


 高瀬。


 何も。


 言えない。


「沙耶」


「佐伯先生も」


「固定してた?」


「……」


 佐伯。


 涙。


 少し。


「多分」


◇


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


対象No.07


認識成立


3

━━━━━━━━━━━━



「……」


 高瀬。


 息。


 吐く。


 次.



━━━━━━━━━━━━


現行世界線


一時接続


可能。

━━━━━━━━━━━━



「来れる?」


 結良。


「一時」


 藤原。


「完全復元」


「じゃない」


「でも」


 高瀬。


「会える」


◇


 旧資料室。


 沙耶。


 一人。


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


一時接続を


実行しますか?

━━━━━━━━━━━━



YES


NO



「……」


 沙耶。


 少し。


 笑う。


「悠平」


 小さく。


 呟く。


「今度は」


「ちゃんと」


「話せるかな」


 YES。


 押す。


◇


 空き教室。


 七人。


 二人の桐谷。


 待つ。


 突然。


 空気。


 少し。


 揺れる。


「……」


 高瀬。


 立つ。


 教室。


 後ろ。


 光。


 ほんの。


 少し。


 そして。


 一人。


 女性。


「……」


 高瀬。


 止まる。


 橘沙耶。


 こちらを見る。


 佐伯。


 息。


 止まる。


「沙耶さん」


「……」


 沙耶。


 佐伯を見る。


 少し。


 笑う。


「真由ちゃん」


「……」


 佐伯。


 涙。


 落ちる。


「覚えてる」


「今」


「ちゃんと」


「……」


「うん」


「よかった」


 結良。


 沙耶を見る。


 その瞬間。


 身体。


 硬直。


「……」


「篠宮?」


 高瀬。


 結良。


 震える。


「先生」


「何」


「私」


「この人」


「……」


 沙耶。


 結良を見る。


 笑顔。


 止まる。


「……」


 二人。


 見つめ合う。


「知ってる?」


 高瀬。


 沙耶。


 何も。


 言わない。


「沙耶?」


「……」


 数秒。


 長い。


 そして。


 沙耶。



「結良」



「……」



 結良。



 顔。



 青くなる。



「何で」



「私の」



「名前」



「……」



 沙耶。



 ゆっくり。



 近付く。



「覚えてない?」



「……」



 結良。



 後ろへ。



 一歩。



「何を」



 沙耶。



 目。



 少し。



 潤む。



「三年前」



「あなた」



「私と」



「一緒に」



「いた」



「……」



 高瀬。



 胸。



 強く。



 鳴る。



 佐伯が。



 見た。



 中学生の少女。



 それは。



 やっぱり。



 篠宮結良?



「どこ」



 結良。



 声。



 震える。



 沙耶。



 一度。



 息を吸う。



「Review0」



「……」



 全員。



 完全に。



 止まる。



「ゼロ?」



 真壁。



「Review1より」



「前?」



 沙耶。



 高瀬を見る。



「そう」



「……」



「Reviewを」



「最初に」



「作ったのは」



「SYSTEMじゃない」



「……」



 高瀬。



 息。



 止まる。



「誰」



 沙耶。



 結良を見る。



 そして。



 一言。



「この子」



「……」



 結良。



 目。



 大きく。



 なる。



「篠宮結良が」



「最初のReviewを」



「作った」

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