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この人生、採点中  作者: 夜凪 灯
第一章 『あなたは、あなたを何点にしますか』

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44/119

Review44 七人

 午後四時五十八分。


「……」


 空き教室。


 机。


 七つ。


「改めて見ると」


 高瀬。


「多いな」


「高瀬先生」


 藤原。


「集めた本人が言わない」


「いや」


「だって」


 指。


 一人ずつ。


「俺」


「藤原」


「真壁」


「佐伯先生」


「ナオ」


「白石」


「篠宮」


「……七人」


 白石。


「先生」


「何」


「俺」


「まだ」


「半分くらい」


「何が起きてるか」


「分かってないです」


「……」


 高瀬。


 少し。


 目を逸らす。


「ですよね」


「何で敬語」


「説明」


「長くなる」


「そこは」


 真壁。


「ちゃんとやって」


「はい」


 結良。


「先生」


「何」


「私も」


「昨日まで」


「ただ先生の顔見て」


「遊んでただけなんだけど」


「遊ばれてたの俺!?」


「今」


「世界観」


「急に重い」


「それな」


 白石。


「俺も」


「昨日友達戻ってきたと思ったら」


「今日」


「SYSTEMとか」


「001とか」


「言われて」


「……」


「正直」


「意味分かんないです」


「安心しろ」


 高瀬。


「俺らも」


「全部は分からん」


 白石。


「安心できない!」


 ナオ。


「悠真」


「何」


「僕」


「その状態で」


「結構長くいました」


「じゃあ」


「慣れる?」


「慣れません」


「終わった!」


 少し。


 笑い。


 でも。


 ナオのスマートフォン。


 机。


 画面。



━━━━━━━━━━━━


自己固定強度


71%


━━━━━━━━━━━━


低下中。


━━━━━━━━━━━━



 笑い。


 少し。


 止まる。


◇


「じゃあ」


 真壁。


 ホワイトボード。


「まず」


「現状整理」


「お」


 高瀬。


「先生っぽい」


「教師なので」


「最近」


「人間っぽくなってきたから」


「忘れてた」


「高瀬先生」


「はい」


「一回黙って」


「はい」


 真壁。


 ペン。


 書く。



『高瀬』


『評価不能/自己固定形成率高』



「俺」


「まだ」


「自己固定」


「完成してない?」


「はい」


「次」


 真壁。



『真壁』


『No.004識別率50%/外部固定2』



「二」


 結良。


「高瀬先生と藤原先生?」


「多分」


「多分なの?」


「SYSTEM」


「そこまで」


「親切じゃない」


「なるほど」


「次」



『佐伯真由』


『元002/帰還維持率51%/一時識別解除』



 佐伯。


「元002」


 一度。


 その文字を見る。


「……」


 真壁。


「消します?」


「え」


「嫌なら」


「……」


 佐伯。


 少しだけ。


 笑う。


「残して」


「いいです」


「……」


「今は」


「過去として」


「見られるので」


 真壁。


 頷く。


「分かりました」


 次。



『水城尚』


『元001/自己固定型帰還成功/自己固定強度71%・低下中』



「元001」


 ナオ。


 少し。


 笑う。


「僕も」


「過去です」


「うん」


 高瀬。


「今」


「ナオ」


「水城尚」


「はい」


 次。



『篠宮結良』


『001再割当候補→除外』



「……」


 結良。


 文字。


 じっと見る。


「私」


「これ」


「一日で」


「人生濃くない?」


「昨日まで」


 高瀬。


「俺の顔」


「採点してたのにな」


「今」


「世界に」


「採点されかけました」


「上手いこと言うな!」


 藤原。


「笑えないけど」


「ちょっと」


「上手いです」


「褒められた」


「そこ喜ぶ?」


 次。



『白石悠真』


『水城尚の外部固定』



「……」


 白石。


「俺」


「これだけ?」


「何」


 高瀬。


「地味」


「お前」


「ナオ帰ってきた理由の」


「かなり大事な一人だぞ」


「……」


 白石。


 少し。


 黙る。


「じゃあ」


「結構すごい?」


「調子乗るな」


「ナオ!」


「半分」


「誰に影響された!?」


 真壁。


「最後」


 藤原。



『藤原』


「……」


 ペン。


 止まる。


「何」


 高瀬。


「藤原」


「SYSTEM上」


「役割」


「まだ」


「明確に出てない」


「……」


 藤原。


 少し。


 眉を寄せる。


「私だけ?」


「はい」


「番号も」


「今のところ」


「ない」


「……」


 高瀬。


「普通?」


「この状況で」


「普通って」


「逆に怖いですね」


「……」


 真壁。


「それ」


「俺も思った」


「何で」


 藤原。


「みんな」


「怖い方向に」


「持っていくんですか」


「実績」


 高瀬。


「それ俺らの嫌な口癖!」


◇


「で」


 真壁。


「問題」


 ナオ。


 画面。



71%。



「自己固定」


「低下」


「帰還時」


「ナオの自己固定は」


『未完了作品の完成』


「はい」


 藤原。


「でも」


「帰還後」


「何を書きたかったか」


「分からなくなってきてる」


「……」


 佐伯。


「私の」


「帰還維持と」


「似てる」


「何が」


 白石。


「戻ったあと」


「少しずつ」


「自分が」


「薄くなる感じ」


「……」


 白石。


 ナオを見る。


「お前」


「また」


「消える?」


「分からない」


「……」


「それ」


「やめろ」


「何が」


「分からないって」


「……」


「いや」


 白石。


 一度。


 顔を伏せる。


「ごめん」


「……」


「でも」


「昨日」


「やっと」


「戻ったのに」


「……」


「また」


「いなくなるかもって」


「普通に」


「嫌」


 ナオ。


 何も。


 言わない。


「悠真」


「何」


「僕も」


「嫌」


「……」


「じゃあ」


 白石。


 ナオを見る。


「何とかしよう」


「……」


「何を」


「知らん」


「……」


「でも」


「先生ら」


「七人も」


「いるんでしょ」


「……」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「お前」


「さっき」


「地味って」


「言ってたのにな」


「撤回」


「早」


◇


「仮説」


 藤原。


「自己固定って」


「一個じゃ」


「ダメなのかも」


「……」


 真壁。


「説明」


「ナオは」


「小説を書く」


「それを」


「自分の存在理由にした」


「はい」


「でも」


「一つだけだと」


「その一つが」


「揺れたら」


「全部」


「揺れる」


「……」


 佐伯。


 静かに。


「私と」


「同じ」


「……」


「私は」


「一人だけを」


「固定点にして」


「帰った」


「その人を」


「忘れたら」


「全部」


「不安定になった」


「……」


 高瀬。


「じゃあ」


「一個に」


「人生」


「乗せすぎ?」


「言い方は雑ですけど」


 藤原。


「多分」


「そう」


「……」


 結良。


 手。


 上げる。


「先生」


「何」


「普通の人も」


「そうじゃない?」


「……」


「どういう意味」


「私」


「昨日」


「自分が」


「何したいか」


「分からないって」


「言ったじゃん」


「うん」


「で」


「進路決まってないから」


「自分が」


「空っぽみたいに」


「思ってた」


「……」


「でも」


 一度。


 指折り。


「ピアノ好き」


「カフェ好き」


「音楽好き」


「佐伯先生の保健室」


「結構好き」


「先生の顔」


「いじるの好き」


「最後いらん!」


「ある」


「……」


 結良。


 少し。


 笑う。


「一個」


「決まってなくても」


「私」


「別に」


「空っぽじゃない」


「……」


 高瀬。


 黙る。


 真壁。


 ホワイトボード。


 新しく。


 書く。



『自己固定=一つの目的?』



 その横。



『本当に?』



「お」


 高瀬。


「真壁が」


「疑った」


「何」


「正解を」


「珍しく」


「高瀬先生」


「はい」


「俺」


「結構前から」


「疑ってる」


「成長」


「それ禁止!」


◇


「ナオ」


 佐伯。


「はい」


「小説」


「書きたい以外」


「何したい?」


「……」


 ナオ。


 考える。


「悠真と」


「図書室」


「行く」


「はい」


「学校」


「通う」


「はい」


「本」


「読む」


「はい」


「先生の」


「授業」


「寝る」


「待て」


「まだ受けてない」


「未来予測」


「SYSTEMより精度高い!」


 少し。


 笑う。


「他」


 藤原。


「好きな食べ物」


「……」


「今それ」


「重要?」


 白石。


「重要だろ」


「何好きだった」


「……」


 ナオ。


 考える。


「カレー」


「普通!」


 高瀬。


「何で」


「もっと」


「謎キャラらしいの」


「期待してた?」


「どんな」


「黒いパンとか」


「何それ」


 結良。


「高瀬先生」


「ナオくんを」


「何だと思ってたの」


「001」


「……」


 高瀬。


 口。


 止まる。


 自分で。


 言って。


 気付く。


「……ごめん」


 ナオ。


 少し。


 高瀬を見る。


「先生」


「何」


「今の」


「ちょっと」


「前みたい」


「……」


「番号で」


「僕を」


「見てた」


「……」


 高瀬。


 胸。


 痛む。


「うん」


「……」


「ごめん」


「はい」


「でも」


 ナオ。


 少し。


 笑う。


「今」


「気付いたから」


「……」


「次」


「カレー」


「覚えてください」


「……」


 高瀬。


 笑う。


「覚えた」


「甘口?」


「中辛」


「重要?」


「かなり」


「分かった!」


◇


 真壁。


 ホワイトボード。


 書く。



『水城尚』


『小説』


『白石』


『図書室』


『本』


『学校』


『カレー中辛』



「最後」


「急に弱い」


 白石。


「いや」


 結良。


「こういうの」


「大事じゃない?」


「何で」


「だって」


「人って」


「そんな」


「壮大な理由だけで」


「生きてなくない?」


「……」


 教室。


 少し。


 静かになる。


「今日」


「カレー食べたい」


「とか」


「明日」


「新曲出る」


「とか」


「来週」


「友達と」


「遊ぶ」


「とか」


「……」


「それでも」


「明日まで」


「行こうって」


「思う時」


「あるじゃん」


「……」


 佐伯。


 少し。


 笑う。


「篠宮さん」


「何」


「いいこと言いますね」


「今日」


「二回目」


「調子乗るな」


 高瀬。


「俺が言う!」


「先生は」


「乗りすぎるから」


「ひどい!」


 藤原。


 少し。


 考える。


「もしかして」


「自己固定」


「自分を」


「一つの何かに」


「固定することじゃない?」


「……」


 真壁。


「むしろ」


「逆?」


「何者か」


「一個に」


「決めない」


「……」


「色んな」


「好き」


「嫌い」


「やりたい」


「やりたくない」


「関係」


「過去」


「未来」


「全部」


「自分」


「……」


 高瀬。


 少し。


 目を細める。


「それ」


「SYSTEM」


「一番」


「嫌いそう」


「……」


「分類」


 佐伯。


「できない」


「はい」


 真壁。


「教師」


「だけでもない」


「友達」


「だけでもない」


「001」


「でもない」


「……」


 ナオ。


 自分を見る。


「僕」


「水城尚」


「でも」


「それだけじゃない」


「……」


「本好き」


「カレー中辛」


「小説」


「途中」


「悠真」


「友達」


「学校」


「面倒」


「……」


 白石。


「俺への説明」


「友達だけ?」


「十分」


「もっと」


「親友とか」


「……」


 ナオ。


 少し。


 間。


「考えとく」


「そこ保留!?」


 笑い。


 その瞬間。


 ナオの。


 スマートフォン。


 震える。


「……」


 全員。


 止まる。


 画面。



━━━━━━━━━━━━


自己固定強度


71%


 ↓


━━━━━━━━━━━━



「……」


 数字。



74%



「上がった」


 藤原。


「三」


 高瀬。


 次。



━━━━━━━━━━━━


自己定義情報


増加


━━━━━━━━━━━━



「自己定義」


 真壁。


 さらに。



━━━━━━━━━━━━


単一定義


失敗。


━━━━━━━━━━━━



「……」


 結良。


 少し。


 笑う。


「SYSTEM」


「ナオくんを」


「一個に」


「決められなくなってる?」


「多分」


 高瀬。


「それ」


「いいこと?」


 真壁。


「数字じゃなく」


「ナオ」


「どう」


「……」


 ナオ。


 少し。


 考える。


「楽」


「……」


「小説」


「書けなくても」


「僕」


「終わりじゃないって」


「今」


「ちょっと」


「思えた」


「……」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「じゃあ」


「いい」


◇


「先生」


 白石。


「俺」


「今」


「思ったんですけど」


「何」


「SYSTEM」


「人を」


「一個の役割に」


「したがるんですよね」


「うん」


「じゃあ」


「先生」


「……」


「何」


「高瀬先生って」


「今」


「何なんですか」


「……」


 高瀬。


 完全に。


 止まる。


 結良。


「教師」


「はい」


 藤原。


「同僚」


「はい」


 真壁。


「面倒な人」


「おい!」


 ナオ。


「小説の」


「元主人公」


「元!?」


 佐伯。


「三年前から」


「しつこい人」


「佐伯先生まで!」


 白石。


「じゃあ」


「結構」


「色々ある」


「……」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「何これ」


「悪口多くない?」


「でも」


 藤原。


 少し。


 笑う。


「高瀬先生」


「教師だけじゃ」


「ないですね」


「……」


 高瀬。


 止まる。


 一年前。


 自分。


 教師。


 評価。


 採点。


 正解。


 役割。


「……」


 もし。


 自分も。


 一つに。


 されていた?


『教師』


 それが。


 高瀬の。


 固定?


「高瀬先生」


 結良。


「何」


「今」


「また」


「一人で」


「深いところ」


「行った」


「……」


「戻ってきて」


「はい」


「続き」


「後で」


「はい」


 白石。


「篠宮」


「扱い慣れてない?」


「毎日」


「話してるから」


「それ」


「固定点?」


「やめろ」


 高瀬。


「急に」


「全部」


「SYSTEMに」


「結び付けるな!」


 全員。


 笑う。


◇


 午後五時四十分。


 会議。


 開始から。


 四十二分。


「まとめ」


 真壁。


 ホワイトボード。



『仮説』


『自己固定=単一の存在理由ではない』


『複数の自己定義を本人が持つことで分類に抵抗?』



「検証」


 藤原。


「ナオ」


「自己固定強度」


「71→74」


「はい」


「じゃあ」


「もっと」


「増やす?」


 高瀬。


「ナオ」


「好きな女性のタイプ」


「何でそこ!?」


 ナオ。


「先生」


「会議」


「終わりにします?」


「ごめん!」


 結良。


「高瀬先生」


「恋バナしたいだけ」


「違う!」


 白石。


「俺は」


「ちょっと知りたい」


「悠真!」


「ほら!」


 佐伯。


 笑う。


「普通の話」


「大事かもしれませんよ」


「佐伯先生!?」


 真壁。


「でも」


「好きなタイプを」


「SYSTEM対策として」


「聞いた瞬間」


「違う」


「……」


 高瀬。


「そうだった」


 藤原。


「自然に」


「知っていけばいい」


「はい」


「明日も」


「明後日も」


「……」


「時間」


「必要」


 ナオ。


 少し。


 表情。


 柔らかくなる。


「明日」


「あるんですね」


「……」


 高瀬。


 ナオを見る。


「ある」


 一度。


 言って。


 止まる。


「……と」


「俺は」


「思ってる」


「……」


 ナオ。


 少し笑う。


「今の方が」


「好きです」


「大丈夫って」


「言い切る先生より」


「……」


 高瀬。


「褒められた?」


「半分」


「また!」


◇


 その瞬間。


 教室。


 蛍光灯。


 ――消える。


「……」


 全員。


 止まる。


「停電?」


 白石。


「廊下」


 藤原。


「点いてる」


「ここだけ?」


 真壁。


 ナオ。


 スマートフォン。


 画面。


 突然。


 ノイズ。


「先生」


「何」


「SYSTEM」


 全員。


 スマートフォン。


 同時。


 震える。



━━━━━━━━━━━━


【SYSTEM】


予測不能集団


検出。


━━━━━━━━━━━━



「……」


 高瀬。


 一瞬。


 笑う。


「俺ら?」


 結良。


「呼び方」


「ちょっと」


「カッコいい」


「篠宮」


「そこ?」


 次。



━━━━━━━━━━━━


構成人数


7


━━━━━━━━━━━━



「七」


 佐伯。


「本当に」


「俺ら」


 高瀬。


 次。



━━━━━━━━━━━━


共通分類


失敗。


━━━━━━━━━━━━



「共通分類」


 真壁。


「七人を」


「一つの集団として」


「分類できない?」


「……」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「そりゃ」


「無理だろ」


「全員」


「バラバラ」


「高瀬先生が」


「特に」


 藤原。


「何で!」


 次。



━━━━━━━━━━━━


個別予測


再計算中


━━━━━━━━━━━━



 その瞬間。


 ナオの。


 自己固定。



74%


↓


77%



「また」


 ナオ。


 目。


 少し。


 大きくなる。


「何した?」


 高瀬。


「何も」


「いや」


 結良。


「今」


「七人で」


「一緒にいた」


「……」


 佐伯。


「自己固定って」


「本人だけじゃなく」


「他人との関係の中で」


「増える?」


「……」


 真壁。


「でも」


「外部固定と」


「同じではない」


「うん」


 藤原。


「誰かに」


「こういう人だって」


「決めてもらうんじゃなく」


「……」


「色んな人と」


「違う関わり方を」


「持つ」


「……」


 高瀬。


「一人の前では」


「教師」


「一人の前では」


「友達」


「一人の前では」


「うるさい人」


「最後」


「俺固定されてない?」


「かなり」


 結良。


「おい!」


 笑い。


 ナオ。


 笑う。


 77%。


 そのまま。


 止まる。


◇


 そして。


 突然。


 高瀬の。


 スマートフォン。


 着信。


「……」


 知らない番号。


 ではない。


 表示。


『非通知』


「誰」


 藤原。


「分からん」


 出る。


「もしもし」


 ノイズ。


 ザッ。


『……高瀬』


「……」


 高瀬。


 顔。


 変わる。


「桐谷?」


 全員。


 静かになる。


『聞こえるか』


「聞こえる」


「どうした」


『今』


 ノイズ。


『旧視聴覚室』


「……」


「何」


『来い』


「……」


 高瀬。


「三人で?」


『全員』


「……」


 七人。


 顔。


 見合わせる。


「七人?」


『そう』


「桐谷」


 高瀬。


 少し。


 声。


 低くなる。


「お前」


「前」


「三人で来るなって」


「言ったよな」


『言った』


「今」


「七人?」


『状況が変わった』


「何が」


 ノイズ。


 強い。


『SYSTEMが』


 一度。


 音。


 途切れる。


「桐谷?」


『……俺を』


「何」


『003として』


「……」


 ナオ。


 顔。


 変わる。


『固定し始めた』


「……」


 真壁。


「識別率?」


 高瀬。


「桐谷!」


『聞こえてる』


「何%」


 長い。


 ノイズ。



『……100』



「……」


 全員。


 完全に。


 止まる。


「100?」


 藤原。


「じゃあ」


 真壁。


「もう」


「完全識別?」


『違う』


「何が」


 桐谷。


 声。


 息。


 少し。


 荒い。



『俺の意思が』


『消え始めてる』



「……」


 高瀬。


 立ち上がる。


「今行く」


『待て』


「何!」


『高瀬』


「……」


『今から』


 一度。


 ノイズ。



『旧視聴覚室を』



『開けろ』



「……」


 高瀬。


 完全に。


 動きを。


 止めた。


 今まで。


 何度。


 止められた。


 開けるな。


 来るな。


 入るな。


 その桐谷が。


 初めて。



「開けて」


「いいんだな」



『違う』



「……?」



『開けていいんじゃない』



 桐谷。


 声。


 震えている。



『開けないと』



『俺が』



 一度。



 呼吸。



『桐谷じゃなくなる』



「……」


 高瀬。


 胸。


 強く。


 鳴る。


「分かった」


 真壁。


「高瀬先生」


「うん」


「一人で」


「行かない」


「分かってる」


 藤原。


「七人で?」


 高瀬。


 全員。


 見る。


「……」


 白石。


「俺」


「行っていいんですか」


「怖い?」


「普通に」


「でも」


 一度。


 ナオを見る。


「こいつ」


「行くんでしょ」


「行きます」


「じゃあ」


「行く」


 結良。


「私も」


「篠宮」


「何」


「無理すんな」


「先生」


「何」


「私」


「昨日」


「勝手に」


「選ばれた」


「……」


「今度は」


 一度。


 息を吸う。


「自分で」


「行く」


「……」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「分かった」


 佐伯。


「私も」


「佐伯先生」


「一度」


「あっち側」


「行ってます」


「……」


「だから」


「役に立てる」


 真壁。


「俺も」


 藤原。


「もちろん」


 高瀬。


 一度。


 七人。


 見る。


「じゃあ」


 息。


 吸う。



「行こう」



「桐谷を」



 止まる。



「助けに」



 言いかけ。



 少し。



 考える。



「……いや」



 藤原。


「何」


 高瀬。


 少し。


 笑う。



「桐谷が」



「桐谷のまま」



「帰ってこられる方法」



「探しに行く」



 真壁。


 少し。


 笑う。


「そっちの方が」


「いい」


 七人。


 教室。


 出る。


◇


 午後五時五十六分。


 三階。


 旧視聴覚室。


 扉。


 七人。


 並ぶ。


「……」


 高瀬。


「多いな」


「また言った」


 藤原。


「いや」


「廊下」


「狭い!」


 白石。


「こういう時に」


「それ言う?」


「緊張してる」


「先生も?」


「めちゃくちゃ!」


 結良。


「何か」


「安心した」


「なぜ!」


 ナオ。


 扉。


 見る。


「桐谷先生」


「……」


「返事」


 ない。


「先生?」


 高瀬。


「桐谷!」


 ……。


「真壁」


「鍵」


「持ってきました」


 旧視聴覚室。


『109』


 刻印。


 高瀬。


 一瞬。


 その数字を見る。


 69。


 109。


 でも。


 今は。


 追わない。


「開ける」


 高瀬。


「待って」


 藤原。


「……」


「何」


「全員」


 一度。


 七人を見る。


「今」


「帰りたい?」


「え」


「ここ」


「怖い人」


「怖い」


 白石。


「私も」


 結良。


「俺も」


 真壁。


「私も」


 佐伯。


「僕も」


 ナオ。


「私も」


 藤原。


 高瀬。


「全員じゃん」


「先生も?」


「当然」


「……」


 藤原。


「じゃあ」


「怖いまま」


「入る」


「……」


「誰か」


「怖くなくなったふり」


「しない」


「……」


 真壁。


「いいと思います」


 佐伯。


「はい」


 高瀬。


 鍵。


 差す。


 カチャ。


 回る。


 初めて。


 自分の意思で。


 そして。


 みんなの意思を。


 確認した上で。


 扉。


 開く。


「……」


 暗い。


 旧視聴覚室。


 普通の。


 倉庫。


 でも。


 奥。


 黒い。


 縦。


 一筋。


「……」


 ナオ。


「入口」


「未登録領域?」


「はい」


 佐伯。


 顔。


 少し。


 強張る。


「これ」


「私の時より」


「大きい」


「……」


 高瀬。


 一歩。


 中。


 入る。


 振り返る。


「来る?」


 六人。


 誰も。


 すぐには。


 動かない。


 でも。


 ナオ。


 一歩。


「行きます」


 白石。


「俺も」


 結良。


「行く」


 佐伯。


「はい」


 真壁。


「行きます」


 藤原。


「もちろん」


「……」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「じゃあ」


 黒い。


 裂け目。


 前。


 七人。


 立つ。


 SYSTEM。


 同時。



━━━━━━━━━━━━


【警告】


未登録領域


接続人数


7


━━━━━━━━━━━━



 次。



━━━━━━━━━━━━


前例なし


━━━━━━━━━━━━



「また」


 高瀬。


「前例なし」


 真壁。


「最近」


「そればっか」


 結良。


「先生たち」


「前例」


「壊しすぎでは」


「俺らのせい!?」


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


予測不能。


━━━━━━━━━━━━



 高瀬。


 少し。


 笑う。


「それ」


「今日」


「二回目」


 次。



━━━━━━━━━━━━


接続を


拒否します。


━━━━━━━━━━━━



「……」


 笑顔。


 消える。


 黒い裂け目。


 閉じ始める。


「待て!」


 高瀬。


 前。


 出る。


 ナオ。


「先生!」


「桐谷!」


 裂け目。


 細く。


 なる。


 その向こう。


 一瞬。


 人影。


 桐谷。


「桐谷!」


 手。


 こちら。


 伸びる。


 でも。


 手。


 黒い。


 数字。



『003』



 腕全体へ。


 広がっている。


「……!」


 桐谷。


 口。


 動く。


 声。


 聞こえない。


「何」


「何て言ってる!」


 結良。


「……」


 じっと。


 見る。


「高瀬先生」


「何」


「桐谷先生」


「……」


「笑ってる」


「え」


 桐谷。


 確かに。


 少し。


 笑う。


 そして。


 口。



『七人なら』



「……」


 高瀬。


「何」


 次。



『壊せる』



「……」


 裂け目。


 閉じる。


「桐谷!」


 完全に。


 消える。


 静か。


 旧視聴覚室。


 七人。


 立ち尽くす。


 その時。


 高瀬の。


 スマートフォン。


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


接続拒否理由


━━━━━━━━━━━━



「……」


 次。



━━━━━━━━━━━━


規定接続上限


3


━━━━━━━━━━━━



 真壁。


「三人」


「だから」


「昔」


「三人で来るな?」


 ナオ。


「違う」


「今回」


「七人」


 佐伯。


「多すぎる」


「……」


 結良。


「じゃあ」


「分かれれば」


 全員。


 結良を見る。


「何」


「上限三人なら」


「三人で」


「入ればいい」


「……」


 高瀬。


「でも」


「桐谷」


「七人なら壊せるって」


「言った」


「……」


 藤原。


「七人全員」


「同時に」


「入る必要はない?」


「……」


 真壁。


 目。


 細くなる。


「接続人数」


「三」


「でも」


「外部固定」


「外から」


「四人」


「……」


 高瀬。


 胸。


 鳴る。


「中」


「三人」


「外」


「四人」


「七人」


「……」


 佐伯。


「二つの領域を」


「人で」


「繋ぐ?」


 ナオ。


「橋」


 白石。


「何それ」


「めっちゃ」


「危なくない?」


「めっちゃ」


 高瀬。


「でも」


 一度。


 全員。


 見る。


「今」


「初めて」


「方法」


「見えた」


 SYSTEM。


 その瞬間。



━━━━━━━━━━━━


警告。


━━━━━━━━━━━━



 次。



━━━━━━━━━━━━


外部固定網


形成を検出。


━━━━━━━━━━━━



「……」


 七人。


 止まる。


「もう」


 藤原。


「検出された」


「何も」


「やってない」


 真壁。


「考えただけ」


「……」


 高瀬。


 少し。


 笑う。


「違う」


「何が」


 結良。


「考えただけじゃない」


 一度。


 全員。


 見る。


「俺ら」


「今」


「七人で」


「同じこと」


「考えた」


「……」


 SYSTEM。



━━━━━━━━━━━━


外部固定網


暫定形成


7


━━━━━━━━━━━━



「七」


 ナオ。


 そして。


 最後。



━━━━━━━━━━━━


既存予測モデル


崩壊率


━━━━━━━━━━━━



 数字。



━━━━━━━━━━━━


41%


━━━━━━━━━━━━



「……41」


 高瀬。


 Review41。


 ナオが。


 帰った回。


 偶然?


 分からない。


 さらに。



━━━━━━━━━━━━


崩壊率が


69%に到達した場合


━━━━━━━━━━━━



 全員。


 息。


 止まる。



━━━━━━━━━━━━


SYSTEMは


Review69を


強制実行します。


━━━━━━━━━━━━



「……」


 高瀬。


 画面。


 見つめる。


 69。


 また。


 出た。


 でも。


 今度は。


 未来の。


 遠い数字じゃない。


 SYSTEMそのものが。


 壊れ始めると。


 69が。


 こちらへ。


 近付いてくる。


 真壁。


「高瀬先生」


「うん」


「これ」


「69話まで」


「待ってくれない?」


 全員。


 一瞬。


「……」


 高瀬。


「お前」


「今」


「何て?」


「何が」


「69話?」


「……」


 真壁。


 顔。


 変わる。


「俺」


「話って」


「言った?」


「言った」


 藤原。


「はっきり」


「……」


 真壁。


 口。


 閉じる。


「俺」


「69%って」


「言うつもりだった」


「……」


 空気。


 変わる。


「真壁」


 高瀬。


「今」


「誰の言葉」


「……」


 真壁。


 自分でも。


 分からない。


「知らない」


「……」


 その瞬間。


 真壁の。


 スマートフォン。



━━━━━━━━━━━━


No.004


識別率


50%


 ↓


49%


━━━━━━━━━━━━



「……!」


 藤原。


「真壁先生!」


 次。



━━━━━━━━━━━━


再分類処理


開始。


━━━━━━━━━━━━



「待て」


 高瀬。


 真壁。


 画面。


 見る。


 そして。



━━━━━━━━━━━━


新規分類候補


━━━━━━━━━━━━



 文字。



『観測者』



「……」


 真壁。


「観測者?」


 その下。



━━━━━━━━━━━━


Review外情報への


接触を確認。


━━━━━━━━━━━━



「……」


 高瀬。


 背中。


 冷える。


「真壁」


「お前」


「今」


「何を」


「見た?」


「……」


 真壁。


 顔。


 青い。


「分からない」


「でも」


 頭。


 押さえる。


「一瞬」


「……」


「何」


「数字」


「見えた」


「何の」


 真壁。


 高瀬を見る。



「69の」



「先」



「……」



 高瀬。



 完全に。



 止まる。



「何が」



「見えた」



 真壁。



 呼吸。



 浅い。



「109」



「……」



 高瀬。



 胸。



 強く。



 鳴る。



 旧視聴覚室の。



 鍵。



 109。



 そして。



 真壁。



 震える声。



「高瀬先生」



「何」



「俺」



 一度。



 息を吸う。



「Review109を」



「見た」



「……」



「最後まで」



「……」



 高瀬。



「何が」



「書いてあった」



 真壁。



 顔。



 上げる。



 そして。



 一言。



「高瀬先生が」



「……」



「採点を」



「終わらせてた」

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