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この人生、採点中  作者: 夜凪 灯
第一章 『あなたは、あなたを何点にしますか』

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42/118

Review42 ただいま、学校

 午前七時三十二分。


「……」


 高瀬は。


 校門の前に立っていた。


「高瀬先生」


「何」


 藤原。


「何で」


「校門にいるんですか」


「迎え」


「誰を」


「ナオ」


「……」


「高瀬先生」


「はい」


「それ」


「保護者です」


「違うわ!」


 隣。


 真壁。


「でも」


「何」


「俺も」


「ちょっと分かる」


「だろ?」


「昨日」


「帰還したばかり」


「今日」


「普通に登校」


「うん」


「心配」


「うん」


「ただ」


 一度。


 高瀬を見る。


「校門待機は」


「重い」


「お前まで!」


 藤原が笑う。


「じゃあ」


「職員室戻ります?」


「……」


 高瀬。


 校門。


 見る。


「あと五分」


「高瀬先生」


「三分」


「交渉するな」


 その時。


 坂。


 一人。


 男子生徒。


 制服。


 鞄。


 歩いてくる。


「……」


 高瀬。


 表情。


 変わる。


「来た」


 ナオ。


 水城尚。


 こちら。


 見つける。


 一瞬。


 足。


 止まる。


「……」


 そして。


 少し。


 笑う。


「先生」


「おう」


「何してるんですか」


「迎え」


「……」


 ナオ。


 真壁を見る。


「止めなかったんですか」


「止めました」


「藤原先生」


「止めました」


「二対一で負けた」


「民主主義」


「お前ら便利に使うな!」


 ナオ。


 吹き出す。


「先生」


「何」


「朝から」


「うるさいですね」


「確認できた?」


「はい」


「昨日言ってたもんな」


「毎日うるさいか」


「……」


 ナオ。


 少し。


 笑う。


「一日目」


「合格」


「何の!」


◇


 校門。


 中。


 ナオ。


 一歩。


 入る。


「……」


 足。


 止まる。


「ナオ?」


 高瀬。


「……」


「どうした」


「いや」


 一度。


 地面を見る。


「普通に」


「入れた」


「……」


 三人。


 少し。


 静かになる。


 昨日まで。


 触れられなかった。


 席も。


 記録も。


 なかった。


 今。


 校門。


 通れる。


「……」


 ナオ。


 少し。


 笑う。


「変ですね」


「何が」


「学校」


「嫌いだった日も」


「結構あったのに」


「……」


「今」


「入れるだけで」


「ちょっと」


「嬉しい」


 高瀬。


 すぐには。


 何も言わない。


「じゃあ」


 一度。


 少し笑う。


「今日は」


「いっぱい」


「嫌いになれ」


「何それ」


「授業」


「宿題」


「提出物」


「先生」


「最後いらない」


 藤原。


「高瀬先生」


「はい」


「朝から台無し」


「いい感じだったのに!」


 ナオ。


 笑う。


 そして。


 もう一歩。


 校内へ。


◇


 職員室。


「で」


 ナオ。


「僕」


「どうなるんですか」


「……」


 三人。


 黙る。


「何ですか」


「その顔」


 高瀬。


「そこなんよ」


「何が」


「現実」


「……」


 真壁。


 書類。


 机。


「在籍記録」


「今朝」


「復帰してる」


「え」


 ナオ。


「本当に?」


「はい」


「水城尚」


「三年四組」


「……」


 ナオ。


 顔。


 止まる。


「三年?」


「はい」


「僕」


「二年」


「でしたよね」


「一年前は」


「……」


「じゃあ」


「勝手に」


「進級?」


「記録上」


「はい」


「授業」


「受けてないのに?」


「はい」


「テスト」


「受けてない」


「はい」


「成績」


「……」


 真壁。


 少し。


 画面。


 見る。


「全部」


「未評価」


「……」


 高瀬。


 吹き出す。


「お前」


「俺らの世界でも」


「評価不能じゃん!」


「笑い事!?」


 藤原。


 笑いながら。


「でも」


「進級は」


「してる」


「どういう判定」


「SYSTEMより」


「学校の方が雑かも」


 ナオ。


「先生」


「何」


「昨日も思いましたけど」


「現実」


「設定穴多くないですか」


「作者に言え!」


 三人。


 止まる。


「……」


 ナオ。


「作者?」


「……」


 高瀬。


「いや」


「何でもない」


 真壁。


「高瀬先生」


「最近」


「変な言葉」


「出ますよね」


「疲れてる!」


 藤原。


「寝てください」


「はい」


◇


「席」


 ナオ。


「あります?」


「今」


 真壁。


「三年四組」


「確認」


 座席表。


 表示。


「……」


 高瀬。


「ある」


「どこ」


「後ろ」


「窓側」


「……」


 三人。


 一瞬。


 止まる。


 ナオ。


「また?」


「前と」


「同じ場所」


「はい」


「嫌?」


 高瀬。


「いや」


 ナオ。


 少し。


 考える。


「今回は」


「ちゃんと」


「触れるので」


「……」


「なら」


「いい」


◇


 三年四組。


 朝。


 白石。


 自分の席。


 スマートフォン。


 見ている。


「悠真」


 後ろ。


「……」


 白石。


 固まる。


 ゆっくり。


 振り返る。


「……」


 ナオ。


 立っている。


 昨日。


 見た。


 でも。


 教室に。


 普通に。


 制服で。


 鞄。


 持って。


 立っている。


「……」


「おはよう」


 ナオ。


 白石。


 何も。


 言わない。


「悠真?」


「……」


「お前」


「うん」


「来たの?」


「うん」


「本当に?」


「多分」


「多分って何だよ!」


 白石。


 立つ。


「昨日」


「明日来いって」


「言われたから」


「……」


「来た」


「……」


 白石。


 口。


 少し。


 震える。


「何」


 ナオ。


「いや」


「……」


「普通に」


「腹立つ」


「何で」


「こういうの」


「もっと」


「感動的に来いよ」


「どうやって」


「知らん!」


 ナオ。


 笑う。


 白石。


 笑う。


 でも。


 目。


 少し。


 赤い。


「席」


 ナオ。


「どこ」


「後ろ」


「窓側」


「……」


 白石。


 見る。


「昨日まで」


「なかった」


「うん」


「今日」


「ある」


「うん」


「……」


「怖」


「僕も」


 ナオ。


 机へ。


 手。


 置く。


 ちゃんと。


 触れる。


 椅子。


 引く。


 座る。


「……」


 白石。


 じっと。


 見てる。


「何」


「いや」


「普通」


「うん」


「めっちゃ」


「普通」


「うん」


「……」


 白石。


 少し。


 笑う。


「それ」


「何か」


「嬉しい」


 ナオ。


 少しだけ。


 目を伏せる。


「僕も」


◇


 朝の会。


 担任。


 教室。


「えー」


「今日から」


「……」


 先生。


 少し。


 困ってる。


「水城」


「戻りました」


「……」


 教室。


 静か。


「戻った?」


 一人。


「どこから?」


「……」


 担任。


 止まる。


「家庭の事情」


 高瀬。


 廊下。


 小声。


「便利!」


 藤原。


「静かに」


「はい」


 教室。


「水城」


 担任。


「一言」


「……」


 ナオ。


 立つ。


 全員。


 見る。


 知らない。


 いや。


 知っているような。


 知らないような。


 視線。


「……水城尚です」


 一度。


 息。


「色々」


「事情があって」


「ずっと」


「学校来てませんでした」


「……」


「僕も」


「まだ」


「よく分かってないこと」


「いっぱいあります」


「……」


「でも」


 白石。


 見る。


「今日から」


「また」


「来たいと思ってます」


「……」


 一度。


 少し。


 笑う。


「よろしくお願いします」


 静か。


 そして。


 一人。


 生徒。


「よろしく」


 次。


「よろしくー」


「水城って」


「前いた?」


「俺」


「何か」


「見たことある気する」


「私も」


「……」


 少しずつ。


 教室。


 ざわつく。


 ナオ。


 座る。


 心臓。


 速い。


「大丈夫?」


 白石。


 小声.


「三十八点」


「上がってるじゃん」


「うん」


「今日は」


「何点まで」


「分かんない」


「じゃあ」


 白石。


 少し.


 笑う.


「帰る時」


「また聞く」


「……」


 ナオ.


 少し.


 笑う.


「うん」


◇


 一時間目.


 授業.


「水城」


「はい」


「ここ」


「答え」


「……」


 ナオ.


 黒板.


 見る.


「分かりません」


「即答」


 教室.


 笑い.


「一年分」


「抜けてるので」


「それは」


 先生.


「……そうだな」


「先生」


「何」


「配慮雑じゃない?」


 白石.


「お前が言うな」


 笑い.


 ナオ.


 少し.


 笑う.


 普通.


 授業.


 分からない.


 当てられる.


 恥ずかしい.


 誰か.


 笑う.


 でも.


 嫌じゃない.


「……」


 ナオ.


 ノート.


 文字.


 書く.


 ペン.


 ちゃんと.


 紙.


 擦る.


「……」


 その感触.


 妙に.


 嬉しい.


◇


 二時間目.


 休み時間.


 高瀬.


 廊下.


 ナオ.


「どう」


「何が」


「学校」


「……」


 ナオ.


 少し考える.


「めんどくさい」


「最高」


「何で」


「普通っぽい」


「……」


 ナオ.


 少し笑う.


「先生」


「何」


「僕」


「授業」


「全然」


「分かりません」


「そりゃ一年飛んでるからな」


「どうします?」


「勉強」


「……」


 高瀬.


 少し.


 考える.


「真壁」


「何で」


 後ろ.


 真壁.


「呼ばれた?」


「お前」


「教えろ」


「嫌です」


「即答!」


「担当違う」


「正論!」


 ナオ.


 笑う.


「先生」


「何」


「一人で」


「何とかしないんですね」


「……」


 高瀬.


 一瞬.


 止まる.


「しない」


「うん」


「できる人」


「頼る」


「……」


「それ」


「いいですね」


「だろ?」


「でも」


「何」


「真壁先生」


「嫌って」


「言ってます」


「そこは」


「説得」


「それ一人で何とかしようとしてる」


「……」


「ナオ」


「何ですか」


「帰還初日に」


「鋭くない?」


◇


 昼休み.


 図書室.


 ナオ.


 白石.


 二人.


 座る.


「これ」


 白石.


 青いノート.


「……」


 ナオ.


 目.


 少し.


 大きくなる.


「持ってきた」


「うん」


「読んだ?」


「ちょっと」


「返して」


「嫌」


「悠真」


「面白い」


「返して!」


「先生」


「すぐ死ぬ」


「そこ読むな!」


 白石.


 笑う.


「でも」


「何」


「続き」


「書くんだろ」


「……」


 ナオ.


 ノート.


 見る.


「うん」


「今日?」


「……」


「無理」


「何で」


「一日目」


「疲れた」


「早!」


「学校」


「体力使う」


「前から」


「こんなだった?」


「お前」


「昼休み」


「本読んで」


「ほぼ喋らなかった」


「……」


「僕」


「そうだった?」


「うん」


「……」


 ナオ.


 少し.


 笑う.


「じゃあ」


「今日は」


「喋りすぎ」


「めっちゃ」


「……」


「でも」


 白石.


 少し.


 目.


 細くなる.


「今の方が」


「いい」


「何で」


「帰ってきた感じする」


「……」


 ナオ.


 何も.


 言わない.


 少し.


 嬉しい.


◇


 同じ頃.


 高瀬.


 職員室.


「平和」


「フラグ」


 真壁.


「言うなって!」


 藤原.


「今日」


「ナオ」


「かなり普通」


「はい」


「だから」


 高瀬.


「怖い」


「……」


「何もないと」


「怖くなる病」


 真壁.


「もう」


「治らないかも」


「嫌だ!」


 藤原.


 少し笑う.


「でも」


「今日は」


「ナオの普通を」


「普通に喜びましょう」


「……」


 高瀬.


 少し.


 頷く.


「うん」


 その時.


「先生」


 いつもの.


 女子生徒.


「何」


「今日」


「何点」


「俺?」


「うん」


「……」


 高瀬.


 少し考える.


「七十八」


「高」


「ナオ」


 言いかけ.


 止まる.


「何」


「いや」


「今日」


「ちょっと」


「いいことあった」


「……」


 女子生徒.


 少し.


 笑う.


「じゃあ」


「八十」


「勝手に上げるな」


「あと二点」


「何すれば」


「私に」


「ジュース」


「賄賂!」


 笑い.


 高瀬.


 少し.


 安心する.


 いつも通り.


「先生」


「何」


「今日」


「私」


「変じゃない?」


「……」


 高瀬.


 笑顔.


 少し.


 止まる.


「何で」


「分かんない」


「朝から」


「なんか」


「……」


 一度.


 胸.


 押さえる.


「自分じゃない感じ」


「……」


 高瀬.


 身体.


 少し.


 固くなる.


「どういう」


「うーん」


「何て言えば」


「……」


「誰かに」


「見られてる感じ?」


「……」


 高瀬.


 真壁.


 藤原.


 三人.


 表情.


 変わる.


「いつから」


 高瀬.


 声.


 少し.


 低くなる.


「今朝」


「何か」


「スマホ」


「変なの来た?」


「……」


 女子生徒.


 首.


 傾げる.


「何で分かるんですか」


「見せて」


「先生」


「ごめん」


「……」


 高瀬.


 一度.


 止まる.


「見せてもらって」


「いい?」


「……」


 女子生徒.


 少し.


 高瀬を見る.


「怖」


「ごめん!」


「いや」


「いいですけど」


 スマートフォン.


 画面.


 通知.


 知らないアプリ.


「これ」


「何」


 女子生徒.


「朝」


「勝手に」


「入ってた」


「……」


 アイコン.


 星.


 三人.


 息.


 止まる.


「開いた?」


 真壁.


「はい」


「何出た」


「……」


 女子生徒.


 画面.


 開く.


 そこ.


━━━━━━━━━━━━


【Review】


未登録ユーザー


━━━━━━━━━━━━



 高瀬.


 顔.


 変わる.


「何これ」


 女子生徒.


「先生」


「知ってる?」


「……」


 高瀬.


 すぐには.


 答えない.


 真壁.


 藤原.


 見る.


「知ってる」


 高瀬.


 言う.


「……」


「でも」


「今」


「全部」


「ここでは」


「話せない」


「また」


「大人の事情?」


「違う」


「……」


「今度は」


 高瀬.


 まっすぐ.


 女子生徒を見る.


「お前に」


「関係ある」


「……」


 女子生徒.


 笑顔.


 消える.


「私?」


「うん」


「何」


「怖い?」


「……」


 一度.


 少し.


 笑う.


「先生」


「何」


「その質問」


「最近」


「流行ってる?」


「……」


 高瀬.


 少し.


 笑えない.


「答えて」


「……」


 女子生徒.


 少し.


 考える.


「怖い」


「……」


「でも」


「先生たち」


「知ってるんでしょ」


「うん」


「じゃあ」


 一度.


 息.


「一人より」


「マシ」


「……」


 高瀬.


 胸.


 少し.


 痛む.


「そうだな」


「うん」


 その瞬間.


 女子生徒の.


 スマートフォン.


 震える.


「……」


 四人.


 画面.


 見る.



━━━━━━━━━━━━


識別審査


開始。


━━━━━━━━━━━━



 次.



━━━━━━━━━━━━


適合率


68%


━━━━━━━━━━━━



「……」


 高瀬.


 息.


 止まる.


「68」


 真壁.


 低く.


 言う.


 女子生徒.


「何」


「この数字」


「……」


 高瀬.


 69.


 頭.


 よぎる.


「まだ」


「分からない」


「でも」


 藤原.


 女子生徒へ.


「今」


「一人で」


「何もしないで」


「分かりました」


 真壁.


「知らない通知」


「操作しない」


「はい」


 高瀬.


「何か来たら」


「全部」


「……」


 言いかける.


 止まる.


「俺に」


「じゃなく」


「三人に」


「見せて」


 真壁.


 高瀬を見る.


 藤原.


 少しだけ.


 笑う.


「分かりました」


 女子生徒.


「でも」


「何」


「先生」


「めっちゃ」


「顔怖い」


「……」


 高瀬.


 一度.


 息を吐く.


「ごめん」


「また」


「今のは謝る!」


 女子生徒.


 少し.


 笑う.


 でも.


 その笑顔.


 すぐ.


 止まる.


 画面.



━━━━━━━━━━━━


適合率


68%


 ↓


69%


━━━━━━━━━━━━



「……」


 高瀬.


 完全に.


 固まる.


 SYSTEM.



━━━━━━━━━━━━


基準値到達。


━━━━━━━━━━━━



「何」


 女子生徒.


「先生」


「何なの」


 高瀬.


 答えようと.


 する.


 でも.


 次.



━━━━━━━━━━━━


識別番号001


再割当


候補確定。


━━━━━━━━━━━━



「……」


 高瀬.


 拳.


 強く.


 握る.


「ふざけんな」


「高瀬先生」


 真壁.


「今」


「怒るのはいい」


「うん」


「でも」


「動く前」


「一緒に考える」


「……」


 高瀬.


 真壁を見る.


「分かってる」


 藤原.


 女子生徒の.


 横へ.


 立つ.


「大丈夫」


「……」


 一瞬.


 言って.


 止まる.


「じゃないですね」


「……」


 女子生徒.


 少し.


 目.


 大きくなる.


「でも」


 藤原.


 続ける.


「一緒に」


「考えます」


「……」


「それなら」


 女子生徒.


 少し.


 笑う.


「はい」


 高瀬.


 その言葉.


 聞く.


 そして.


 SYSTEM.



━━━━━━━━━━━━


候補対象


仮登録。


━━━━━━━━━━━━



 次.



━━━━━━━━━━━━


対象名


――――


━━━━━━━━━━━━



 文字.


 出ない.


「名前」


 真壁.


「登録されてない」


「……」


 高瀬.


 女子生徒を見る.


 今まで.


 何度も.


 話した.


 笑った.


 相談した.


 なのに.


「……」


 胸.


 冷える.


 高瀬.


「お前」


「……」


 女子生徒.


「何」


「名前」


「……」


「俺」


 一度.


 息.


 止まる.


「知ってるよな」


 女子生徒.


 少し.


 変な顔.


「先生?」


「何言ってるんですか」


「……」


「私」


「毎日」


「話してるじゃん」


「……」


 高瀬.


 頭.


 探す.


 名前.


 名前.


 名前.


 出てこない.


「……」


 藤原.


 高瀬を見る.


「高瀬先生」


「何」


「私も」


「……」


 真壁.


 顔.


 強張る.


「俺も」


「……」


 女子生徒.


 笑顔.


 消える.


「何」


「やめて」


「……」


「先生」


「私の」


「名前」


「分かるでしょ」


「……」


 高瀬.


 何も.


 言えない.


 女子生徒.


 自分の.


 名札.


 見る.


「……」


 そこ.


 名前.


 書いてある.


 はず.


 なのに.


 文字.


 滲んでいる.


「……何これ」


 指.


 触る.


 読めない.


「先生」


「……」


「私」


 一度.


 声.


 震える.



「誰?」



 高瀬の.



 顔から.



 血の気が.



 引く.



 SYSTEM.



 最後.



━━━━━━━━━━━━


識別番号001


再割当処理


開始。


━━━━━━━━━━━━



 その瞬間.



 校舎.



 どこか.



 図書室.



 ナオの.



 スマートフォン.



 勝手に.



 点灯.



━━━━━━━━━━━━


旧001


保護権限


一時付与。


━━━━━━━━━━━━



「……え?」



 ナオ.



 画面.



 見る.



 次.



━━━━━━━━━━━━


新001候補への


干渉を許可。


━━━━━━━━━━━━



 ナオ.



 立ち上がる.



「悠真」



「何」



「高瀬先生のところ」



「また?」



「今すぐ」



「何で」



 ナオ.



 顔.



 強張る.



「次の」



 一度.



 息.



「001が」



「選ばれる」



 白石.



 表情.



 変わる.



「誰」



 ナオ.



 画面.



 見る.



 対象名.



 空白.



「分からない」



 そして.



 次.



━━━━━━━━━━━━


再割当完了まで


残り


69分


━━━━━━━━━━━━



 ナオ.



 息.



 止まる.



「……69」



 時計.



 午後.



 残り.



 六十九分.



 名前を。



 失い始めた.



 一人の生徒.



 そして.



 高瀬たちに.



 初めて.



 時間制限が.



 突き付けられた.

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