↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この人生、採点中  作者: 夜凪 灯
第一章 『あなたは、あなたを何点にしますか』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
29/117

Review29 空白

 午前零時十一分。


 高瀬は、ベッドの上でスマートフォンを握っていた。


 画面には。


 知らない番号から届いた、最後の文章。



『ここから先は、


本当に初めてです。』



「……初めて」


 何度読み返しても。


 妙な感じがした。


 怖い。


 当然、怖い。


 けれど。


 それだけでもなかった。


 一年前の自分。


 SYSTEM。


 Review。


 桐谷。


 No.001。


 ずっと誰かが。


『前はこうだった』


『次はこうなる』


 そう言っているような気がしていた。


 自分の人生なのに。


 すでに一度読まれた本を。


 もう一度なぞっているような。


 そんな気持ち悪さ。


 それが。


 たった一つ。


 最初の質問を変えただけで。


 消えた。


「……」


 高瀬は返信欄を開いた。



『じゃあ、明日何が起きる?』



 打つ。


 指が止まる。


「……いや」


 消した。


 少しだけ笑う。


「また答え聞こうとしてるじゃん」


 自分で選ぶ。


 そう言ったばかりなのに。


 未来が分からなくなった途端。


 答えを欲しがっている。


「人間、簡単には変わらんな」


 スマートフォンを伏せようとした。


 ――ブッ。


「……?」


 向こうから。


 新しいSMS。



『聞かないんですか?』



「……」


 高瀬の眉が寄る。


 まるで。


 今、自分が文章を打って。


 消したことまで。


 見えているみたいだった。


 高瀬は、ゆっくり返信する。



『何を』



 すぐ。



『明日、


何が起きるのか。』



「……」


 図星。


 気持ち悪い。


 でも。


 高瀬は少し考えて。



『聞かない』



 送った。


 今度は。


 返信が遅かった。


 三十秒。


 一分。


 やがて。



『なぜ?』



「……何で俺が面接されてんだよ」


 小さく笑う。


 それでも。


 打つ。



『分からないなら、


分からないままでいいから。』



 送信。


 数秒。



『怖くない?』



 高瀬の指が止まった。


 朝。


 No.001に。


 自分が聞いた言葉。


『お前、怖い?』


 今度は。


 自分が聞かれている。


「……」


 高瀬は、少し長く考えた。



『怖い。』



 一度送る。


 さらに。



『普通にめちゃくちゃ怖い。』



 もう一通。



『でも、


前もって答えを全部知る方が、


今はちょっと嫌だ。』



 送った。


 返事。


 来ない。


「……」


 五分。


 十分。


 来ない。


「寝た?」


 誰に言っているのか分からない。


 高瀬はスマートフォンを置いた。


 電気を消す。


 暗闇。


 目を閉じる。


 その直前。


 ――ブッ。


「……」


 画面。


 一通。



『それは、


記録にない答えです。』



 高瀬は。


 少しだけ笑った。


「だろうな」


 今度こそ。


 スマートフォンを伏せた。



◇



 翌朝。


「というわけで」


「何が『というわけで』なんですか」


 真壁が眉を寄せた。


 職員室。


 始業前。


 高瀬、藤原、真壁。


 三人。


「昨日のSMS」


 高瀬はスマートフォンを机の中央へ置いた。


 藤原が画面を読む。


 真壁も覗き込む。


「……」


 最後。



『それは、


記録にない答えです。』



 真壁が顔を上げた。


「これ」


「うん」


「相手も」


「先を知らない?」


「俺もそう思った」


 藤原が少し考える。


「でも、本当に?」


「どういう意味?」


「知らないふりをしてる可能性」


「ある」


 真壁がすぐ頷く。


「それと、別の意味での『記録にない』かもしれない」


「別の意味?」


「高瀬先生の答えだけが記録にない。でも、このあと起きる出来事そのものは知ってる、とか」


「……」


 高瀬が口を尖らせる。


「お前ら」


「何ですか」


「朝から俺の希望を潰すなよ」


「希望で捜査しない」


「正論!」


 藤原が少し笑う。


「でも」


「ん?」


「昨日、未来を聞かなかったのは」


 一度、高瀬を見る。


「よかったと思います」


「お」


「珍しく」


「その一言いります?」


「半分褒めてます」


「残り半分」


「驚き」


「褒めてない!」


 真壁が小さく息を吐いた。


「問題は」


「何」


「ここから」


 ノート。


 昨日の記録。


『質問残数 1』


「……」


 三人の視線が。


 そこへ集まった。


「最後の一問」


 藤原。


「はい」


「どうします?」


 高瀬は。


 すぐには答えなかった。


「使わない」


 真壁が先に言った。


「今は?」


「今は」


「理由」


「情報が足りない」


「真壁らしい」


「褒めてないですよね」


「半分」


「やめてください」


 藤原が笑う。


「私も」


「うん」


「今は残すに一票」


「じゃあ」


 二人。


 高瀬を見る。


「……何その目」


「高瀬先生」


「多数決」


「まだ俺投票してない!」


「どうせ使いたいでしょ」


「……」


「図星」


「いや!」


 高瀬は少し考える。


「使いたい」


「ほら」


「でも」


 二人が。


 少しだけ表情を変えた。


「使わない」


「……」


 真壁が。


 高瀬を見る。


「何で」


「昨日」


「うん」


「最初の質問」


『お前、怖い?』


「あれ」


「はい」


「俺」


 高瀬は言葉を探した。


「質問を」


「答えを取るためのものだと思ってた」


「……」


「でも」


「昨日」


「No.001が」


「あれで初めて」


「ちょっと」


 一度、笑う。


「人間に見えた」


 藤原が。


 静かに聞いている。


「だから」


「最後の一問」


「Reviewの正体とか」


「SYSTEMの攻略法とか」


「そういうのに使うの」


「なんか」


 高瀬は頭を掻いた。


「もったいない気がしてきた」


「……もったいない?」


 真壁。


「うん」


「一問しかないなら」


「本当に」


「聞かなきゃいけない時まで」


「残しとく」


 数秒。


 真壁が。


 何も言わない。


「何」


「いや」


「褒める?」


「やめときます」


「褒めろよ!」


 藤原が吹き出す。


「でも」


 真壁も少しだけ笑った。


「賛成です」


「三対ゼロ」


 藤原。


「決定」


「よし」


 高瀬がノートへ。



『最終質問――保留』



 と書いた。


「……」


 書き終わって。


 少しだけ。


 変な気持ちになる。


 答えを取れる権利がある。


 なのに。


 使わない。


 一年前の自分なら。


 考えられなかったのかもしれない。



◇



 一時間目。


「先生」


「何」


「ここ分かんない」


「どこ」


「全部」


「帰れ」


「先生!」


 教室に笑い声が起きた。


「嘘です。ここ」


「最初からそう言え」


 高瀬は生徒の机へ近付いた。


 ノート。


 一問。


「これ?」


「はい」


「どこまで分かった」


「何も」


「じゃあまず読め」


「冷たい」


「答え教えてほしい?」


「ほしい」


「嫌」


「今日の先生嫌い」


「昨日まで好きだった?」


「普通」


「一番傷付くやつ!」


 また笑い。


 高瀬も笑った。


「でもさ」


 生徒。


「先生」


「何」


「答え知ってるんでしょ」


「一応」


「じゃあ教えてよ」


「……」


 高瀬は。


 一瞬だけ。


 朝の話を思い出した。


 最後の一問。


 答え。


「知ってる人が」


「すぐ答え教えると」


「うん」


「お前」


「次も聞くじゃん」


「聞く」


「即答すんな」


「楽だから」


「正直だな」


「じゃあ」


 生徒が少し笑う。


「先生も」


「分からない時」


「誰かに答え聞かないんですか」


「……」


 高瀬の手が。


 止まる。


「聞くよ」


「ほら」


「でも」


「最近」


 一度、考える。


「答えじゃなくて」


「一緒に考えてって」


「言えるようになってきた」


「……」


 生徒が。


 少しだけ。


 怪訝な顔をする。


「何か深い話?」


「俺も今気付いた」


「先生自分の授業で成長してる?」


「授業料払え」


「学校から給料もらってるでしょ」


「正論!」


 笑い。


 高瀬は。


 そのまま。


 答えを教えなかった。


 隣で。


 一緒に。


 考えた。



◇



 昼休み。


「高瀬先生」


 藤原が。


 弁当を持ったまま。


 向かいの椅子へ座った。


「何」


「今日」


「うん」


「普通ですね」


「また?」


「いい意味です」


「最近普通が褒め言葉になってきたな」


「昨日まで」


「毎日何か起きてたので」


「それな」


 高瀬が一口食べる。


「平和」


「フラグ」


 横から。


 真壁。


「言うな!」


「高瀬先生が言った」


「そうだけど!」


 真壁も。


 コンビニのおにぎりを持って座る。


「お前」


「何」


「昼それだけ?」


「あと味噌汁」


「少な」


「高瀬先生」


「何」


「人の昼飯より」


「自分の野菜量気にして」


「……」


 高瀬。


 自分の弁当を見る。


「茶色」


 藤原。


「茶色ですね」


「二人で見るな」


 少し。


 笑う。


 何でもない。


 昼休み。


 高瀬は。


 ふと。


 その光景を見た。


 藤原。


 真壁。


 机。


 弁当。


 味噌汁。


 笑い。


「……」


「何ですか」


 藤原。


「いや」


「また変な顔」


 真壁。


「俺」


「うん」


「今」


 少しだけ。


 笑う。


「結構好きかも」


「何を」


「こういうの」


「……」


 二人。


 数秒。


 黙る。


「急に」


 真壁が顔を逸らす。


「そういうこと言わないで」


「何で!」


「重い」


「昼飯の感想だぞ!」


「昼飯じゃないでしょ」


 藤原が笑う。


「でも」


「うん」


「私も」


 少しだけ。


 弁当を見る。


「悪くないです」


「……」


「真壁は?」


「巻き込まないで」


「三人なんだから!」


「そういう時だけ三人使うな」


 高瀬は笑った。


 大きく。


 普通に。


 笑った。



◇



 午後三時十六分。


 何も。


 起きなかった。


 午後四時二十二分。


 何も。


 起きない。


 放課後。


 高瀬は。


 少しだけ。


 拍子抜けしていた。


「……本当に平和」


 職員室。


 パソコン。


 提出物。


 生徒からの質問。


 電話。


 いつもの仕事。


 怖いくらい。


 普通だった。


「高瀬先生」


「何」


 真壁。


「さっきから時計見すぎ」


「見てない」


「見てる」


「……」


「何か起きると思ってる?」


「ちょっと」


「昨日」


「未来聞かなかったから?」


「……うん」


 真壁が。


 少しだけ椅子を回す。


「怖い?」


「怖い」


「でも」


「うん」


「何も起きないのも」


「怖い」


「面倒ですね」


「自分でも思う」


 真壁は。


 少し考えて。


「じゃあ」


「何」


「今日は」


 一度。


 机を見る。


「何も起きなかった日って」


「記録すればいい」


「……」


「それも」


「情報でしょ」


 高瀬は。


 数秒。


 真壁を見る。


「お前」


「何」


「いいこと言うな」


「今日は言っていいです」


「珍し!」


「★★★★★なんで」


「自虐できるようになった!?」


 真壁が。


 少し笑った。


 高瀬も笑う。


「じゃあ書くか」


 ノート。



『Review29』


『特記事項――なし』



「……」


 高瀬が。


 少しだけ笑う。


「最高じゃん」


「何が」


「特記事項なし」


 そこへ。


 藤原。


「何してるんですか」


「今日」


「何もなかったって記録」


「いいですね」


「だろ?」


「はい」


「じゃあ帰る?」


 高瀬。


「まだ仕事あります」


 藤原。


「現実!」


「平和ってそういうことです」


「……」


 高瀬。


 少しだけ。


 笑った。


「確かに」



◇



 午後五時四十四分。


 職員室。


 高瀬の手が。


 止まった。


「……」


 時計。


 17:44。


 一年前。


 校内放送。


『高瀬』


『評価を終了します』


 あの時間。


「高瀬先生」


 藤原が。


 気付く。


「時間?」


「……うん」


 真壁も。


 時計を見る。


「17時44分」


「……」


 三人。


 自然に。


 少し。


 身構えた。


 一秒。


 二秒。


 三秒。


 校内。


 静か。


 放送。


 ない。


「……」


 十秒。


 二十秒。


「何も」


 高瀬。


「ない」


 藤原。


「……」


 真壁。


「一年前と」


「違う」


「……」


 高瀬の胸が。


 少し。


 強く鳴る。


 17時45分。


 過ぎた。


「……終わった?」


「何が」


 藤原。


「分からん」


「じゃあ終わってない」


 真壁。


「夢ないな!」


「でも」


 真壁が。


 少しだけ。


 笑う。


「一年前の17時44分は」


「もう」


「再現されなかった」


「……」


 高瀬。


 その言葉を。


 ゆっくり。


 受け取る。


「そっか」


「はい」


「……そっか」


 一年前。


 同じ地点。


 21%。


 なのに。


 放送は。


 来なかった。


「変わった?」


 藤原。


「未来」


 高瀬。


 少しだけ。


 笑う。


「多分」


「……」


「いや」


 一度。


 言い直す。


「変えた」


 真壁が。


 少しだけ。


 高瀬を見る。


「珍しく」


「言い切った」


「今日はいいだろ」


「はい」


 三人。


 ほんの少し。


 笑った。


 その瞬間。


 ――ブッ。


 三人の。


 スマートフォン。


 同時。


「……」


 高瀬。


「フラグ回収早すぎない?」


 真壁。


「俺のせいじゃない」


 藤原。


「見ます?」


「……見る」


 三人。


 画面。



━━━━━━━━━━━━


【SYSTEM】


17:44


既定イベント


未発生。


━━━━━━━━━━━━



「……未発生」


 藤原。


 次。



━━━━━━━━━━━━


LOOP 1との


一致率


━━━━━━━━━━━━



 数字。



━━━━━━━━━━━━


38%


━━━━━━━━━━━━



「……」


 高瀬。


「下がった?」


 真壁。


「前の数値」


「出てない」


「じゃあ分からん」


「でも」


 藤原。


「一致してない部分」


「増えてる」


「可能性」


「はい」


 高瀬。


 少し笑う。


「保留」


「成長」


「それ禁止!」


 その時。


 SYSTEM。


 新しい表示。



━━━━━━━━━━━━


警告。


予測モデルを


更新できません。


━━━━━━━━━━━━



 三人。


 止まる。


「予測」


 真壁。


「モデル?」


 次。



━━━━━━━━━━━━


現在地点以降


参照可能な


未来記録


0


━━━━━━━━━━━━



「……ゼロ」


 高瀬。


 そして。



━━━━━━━━━━━━


以降の事象は


採点対象外です。


━━━━━━━━━━━━



「……採点対象外?」


 藤原。


 高瀬の胸。


 強く。


 鳴る。


 採点。


 されない?


 Review。


 SYSTEM。


 ずっと。


 人生を。


 点数へ。


 変えてきたもの。



━━━━━━━━━━━━


次回評価


未定


━━━━━━━━━━━━



「……」


 高瀬は。


 しばらく。


 画面を見つめた。


 そして。


 少しだけ。


 笑った。


「何」


 真壁。


「いや」


「嬉しい?」


 藤原。


「ちょっと」


「何で」


「だって」


 高瀬は。


 スマートフォンを。


 机へ置く。


「採点されないんだろ」


「……」


「じゃあ」


 少し。


 笑みが大きくなる。


「好きにできるじゃん」


「高瀬先生」


 真壁。


「何」


「その言い方」


「嫌な予感する」


「信用しろよ!」


「そこは信用してない」


「おい!」


 藤原が。


 吹き出した。


 三人。


 笑った。


 でも。


 SYSTEMは。


 まだ。


 終わっていなかった。



━━━━━━━━━━━━


例外。


━━━━━━━━━━━━



「……」


 三人。


 笑顔。


 消える。



━━━━━━━━━━━━


一件のみ


未来記録を確認。


━━━━━━━━━━━━



「……一件?」


 高瀬。



━━━━━━━━━━━━


記録番号


Review69


━━━━━━━━━━━━



 三人。


 動かない。



「……69」


 高瀬。


 以前。


 一瞬だけ。


 表示された数字。



自己選択率。


上限。


69%。



「何で」


 藤原。


「そこだけ?」


 真壁。


「内容」


「見れる?」


 高瀬が。


 画面へ触れる。


━━━━━━━━━━━━


ACCESS DENIED


━━━━━━━━━━━━



「……また」


 次。



━━━━━━━━━━━━


開示条件


自己選択率


69%


━━━━━━━━━━━━



「……」


 高瀬の。


 指が。


 止まる。


 そして。


 最後。



━━━━━━━━━━━━


Review69


最終記録


対象


高瀬


━━━━━━━━━━━━



 数秒。



━━━━━━━━━━━━


評価結果


――――――


━━━━━━━━━━━━



 空白。



「……結果が」


 藤原。


「ない?」


 真壁。


「消えてる?」


 高瀬は。


 画面を。


 見つめた。



 未来の記録は。



 もう。



 ない。



 なのに。



 69だけが。



 残っている。



 誰かが。



 そこだけ。



 消さなかったのか。



 それとも。



 まだ。



 決まっていないから。



 書かれていないのか。



 高瀬には。



 分からない。



 ただ。



 一つ。



 妙に。



 胸が高鳴った。



「……69」



 真壁。


「何笑ってるんですか」


「いや」


「何」


 高瀬は。


 少しだけ。


 笑った。



「そこまで行けば」


「うん」


「何か」


 一度。



 画面を閉じる。



「分かる気がする」



 藤原が。



 すぐに。



 高瀬を見る。



「高瀬先生」


「何」


「数字を上げるために」


「生きない」


「……」



 高瀬の。



 笑顔が。



 少し止まった。



「それ」


「忘れないでください」



 真壁も。



 静かに。



 頷く。



「69%にするために選び始めたら」


「また」


「採点されてるのと同じです」



「……」



 高瀬は。



 二人を。



 見た。



 そして。



 ゆっくり。



 笑った。



「分かってる」



 一度。



 間。



「69は」



「目標じゃない」



「俺が」



「自分で選んで生きた結果」



「たまたま」



「そこに来たら」



「見る」



 藤原。



 少しだけ。



 笑う。



「はい」



 真壁。



「それなら」



 一度。



 目を逸らす。



「俺も」



「見たいです」



「……」



 高瀬。



 ニヤッとする。



「今」



「仲間っぽかったぞ」



「帰ります」



「待てって!」



 藤原が。



 笑った。



 17時52分。



 一年前。



 真壁が。



 学校を出た時刻。



 でも。



 今。



 三人は。



 まだ。



 同じ場所にいた。



 一年前とは。



 違う。



 同じ数字。



 同じ時間。



 同じ学校。



 それでも。



 違う。



 だから。



 この先は。



 もう。



 誰の記録にもない。



 三人で。



 初めて。



 作るしかない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。