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『二人とも。また来ました。』
送信。
数秒後。
高瀬。
『電話する』
真壁。
『俺も入ります』
「……」
藤原は。
知らない番号から届いたSMSを。
もう一度見た。
『今回は、
ちゃんと共有できた。』
胸の奥が。
冷たくなる。
褒められた。
そんな文章なのに。
全然。
嬉しくない。
「……見てたの?」
誰もいない部屋で。
小さく呟いた。
直後。
通話。
高瀬。
真壁。
接続。
◇
『藤原』
「はい」
『大丈夫?』
「……」
『藤原?』
「その質問」
『何』
「今ちょっと嫌です」
『え』
「相手も」
「全部見てるかもしれないから」
高瀬が。
黙った。
真壁も。
数秒。
何も言わなかった。
『……確かに』
真壁。
『俺らが今』
『電話してるのも』
「知ってる?」
『可能性』
『高い』
高瀬。
『じゃあ』
一度。
声が低くなる。
『今も聞いてる?』
「高瀬先生」
『何』
「怖いこと言わないで」
『ごめん』
『また』
真壁。
『今のは謝っていいだろ!』
藤原は。
思わず。
少しだけ笑った。
「……」
笑えた。
ほんの少しだけ。
それで。
呼吸が戻った。
「送ります」
『何を』
「スクショ」
三人のグループ。
画像。
送信。
高瀬。
真壁。
確認。
『桐谷じゃない』
高瀬。
「本人はそう言ってます」
『001でもない』
真壁。
「はい」
『じゃあ誰』
高瀬。
『それを今から考える』
真壁。
『冷静』
『高瀬先生も少し見習って』
『今日当たり強くない!?』
「いつもです」
『藤原まで!』
少しだけ。
いつもの三人。
戻る。
◇
『まず』
真壁。
『相手が知ってること』
「はい」
藤原は。
ノートを開いた。
『一回目の嘘』
「はい」
『二回目の嘘があること』
「はい」
『俺らが』
『今回』
『情報共有したこと』
「はい」
『それと』
高瀬。
『桐谷』
「何?」
『桐谷じゃないって』
『自分から否定した』
「はい」
『001も』
「はい」
『つまり』
高瀬が。
少し考える。
『少なくとも』
『俺らが』
『桐谷と001を』
『疑ってることも』
『知ってる』
「……」
藤原のペンが。
止まる。
『そうですね』
真壁。
『情報量が多すぎる』
「学校の記録を」
「見られる人?」
『可能性』
高瀬。
『教師?』
『決めつけない』
真壁。
『はいはい』
『その返事』
『最近雑』
『成長した結果』
『違うと思う』
「二人とも」
「進みません」
『はい』
二人同時。
藤原が。
少し笑う。
◇
「試しません?」
藤原が言った。
『何を』
高瀬。
「この人が」
「本当に」
「今の私たちを見てるのか」
『どうやって』
「嘘の情報を」
『藤原先生』
真壁の声が。
少し強くなる。
「分かってます」
『何を』
「一年前と」
「同じことしようとしてる」
高瀬が。
黙る。
一年前。
藤原は。
高瀬へ。
『桐谷先生は普通に帰りました』
と。
嘘を送った。
高瀬を。
学校から。
遠ざけるために。
「でも」
「今回は」
『うん』
「二人に」
「先に言う」
『……』
「三人で」
「嘘を決める」
『……』
真壁。
『それなら』
一度。
言葉を止める。
『一人で判断した嘘とは』
『違う』
「はい」
高瀬。
『藤原』
「何ですか」
『それ』
『今のお前が』
『一年前と違うって』
『証明になるかもな』
「……」
「急に」
『何』
「いいこと言う」
『俺だって言うわ!』
真壁。
『たまに』
『真壁!』
藤原が。
笑った。
◇
作戦。
単純。
三人のグループチャットに。
わざと。
嘘を書く。
ただし。
学校にも。
他の人間にも。
影響しない内容。
『明日の放課後。
三人で星形キーホルダーを
元の教室へ戻す。』
実際には。
返さない。
持ち出さない。
藤原の家からも。
動かさない。
「送ります」
『待って』
真壁。
「何」
『スクショ』
「もう?」
『送信前から記録』
「さすが」
『褒めないで』
『そこまで嫌?』
高瀬。
『嫌』
「撮りました」
『俺も』
『俺も』
「じゃあ」
藤原。
送信。
『明日の放課後。
三人で星形キーホルダーを
元の教室へ戻します。』
既読。
三人だけ。
「……」
『待つ』
真壁。
『どのくらい』
高瀬。
『来るまで』
『それ永遠に来なかったら?』
『寝て』
『雑』
五分。
何もない。
十分。
何もない。
『外れ?』
高瀬。
『早い』
真壁。
「十五分」
藤原。
「まだです」
二十分。
通知。
「……来た」
知らない番号。
三人。
同時に。
息を止める。
藤原が。
開いた。
『返す場所は、
そこじゃない。』
「……」
高瀬。
『反応した』
真壁。
『しかも』
「はい」
『元の教室へ戻す』
『って内容に』
「……」
藤原の指が。
少し震える。
「見てる」
『少なくとも』
真壁。
『チャットの内容か』
『藤原先生の端末か』
『何か』
「待って」
高瀬。
『何』
「今の文章」
『うん』
「返す場所」
「そこじゃない」
『……』
「こいつ」
「正しい返却場所」
「知ってる?」
三人。
黙った。
◇
藤原。
返信。
『では、
どこへ返せばいいですか?』
送信。
数秒。
『答えられない。』
『なぜ?』
『今の高瀬が行けば、
意味がない。』
「……俺?」
高瀬の声。
『また』
真壁。
『高瀬先生』
「……」
『相手』
『高瀬先生をかなり知ってる』
「うん」
藤原。
次。
『あなたは、
高瀬先生を知っているんですか?』
返信。
『知っている。』
『いつから?』
少し。
間。
『本人より前から。』
「……は?」
高瀬。
『意味分からない』
真壁。
『高瀬先生本人より』
『前から高瀬先生を知ってる?』
「そんなこと」
藤原。
「できる?」
『普通は』
真壁。
『できない』
『普通じゃないの』
『いっぱいあるけど』
高瀬。
『それはそう』
◇
『聞いていい?』
高瀬が。
急に言った。
「何を?」
『俺から』
「……」
『一個だけ』
藤原。
少し考える。
「分かりました」
『高瀬先生』
真壁。
『感情で突っ込まない』
『分かってる』
「質問は?」
少し。
沈黙。
高瀬が。
ゆっくり言った。
『一年前』
『俺は』
『二回目の藤原の嘘を』
『知った?』
藤原の。
表情が変わる。
「高瀬先生」
『聞きたい』
「……」
『藤原』
「はい」
『嫌なら』
「聞いてください」
『……いい?』
「はい」
藤原が。
打つ。
『一年前、
高瀬先生は
藤原美咲の二回目の嘘を
知りましたか?』
送信。
今までより。
長い。
一分。
二分。
三分。
『答えない』
高瀬。
『待つ』
真壁。
『お前ほんと待てるようになったな』
『高瀬先生が待てなさすぎ』
『はいはい』
四分。
通知。
『知った。』
「……」
藤原の。
喉が。
鳴る。
『何の嘘』
高瀬。
藤原が送る。
返信。
『それを教えれば、
同じ嘘にならない。』
「……?」
真壁。
『どういう意味』
「二回目の嘘」
藤原。
「今回も」
「必要?」
『……』
高瀬。
『一年前と』
『同じ嘘を』
『またつく必要がある?』
藤原が。
文字にする。
『藤原美咲は、
今回も
同じ嘘をつく必要がありますか?』
返信。
『いいえ。』
「……」
藤原。
息を吐く。
少し。
安心した。
でも。
次の文章。
『今回は、
違う人が
嘘をつく。』
「……」
三人。
一斉に。
止まる。
『誰』
高瀬。
真壁。
『待って』
『でも聞くだろ』
『聞く』
「送ります」
藤原。
『誰ですか?』
返信。
なし。
一分。
二分。
そして。
『まだ言えない。』
「……」
『またそれ』
高瀬。
『じゃあ』
真壁。
『質問変える』
「何を?」
『俺?』
高瀬と。
藤原。
黙る。
『何』
真壁。
『その反応』
「いや」
高瀬。
『No.004』
「はい」
『制止者』
「はい」
『俺だけ』
『役割が出てる』
「……」
『だから』
真壁が。
少しだけ。
声を落とす。
『今回』
『嘘をつくの』
『俺?』
藤原。
「聞きます?」
『……』
真壁。
数秒。
『聞く』
藤原が。
送る。
『次に嘘をつくのは、
真壁透ですか?』
既読。
返信。
『違う。』
『藤原美咲?』
『違う。』
三人。
黙る。
残る。
一人。
「……」
高瀬。
『じゃあ』
『俺?』
藤原は。
すぐには。
送らなかった。
「高瀬先生」
『何』
「聞いて」
「大丈夫?」
『……分からん』
「じゃあ」
『でも』
「……」
『聞く』
藤原が。
ゆっくり。
打つ。
『次に嘘をつくのは、
高瀬ですか?』
送信。
返事。
すぐ。
『違う。』
「……え?」
高瀬。
『三人とも違う?』
真壁。
『じゃあ誰』
藤原。
「他の人」
『桐谷?』
『001?』
「でも」
「この人」
「違うって」
高瀬が。
急に。
黙る。
『……』
「高瀬先生?」
『待って』
声が。
変わった。
『三人じゃない』
「何が」
『俺ら』
『今』
『三人で考えてる』
「はい」
『でも』
『この話』
『最初から』
一度。
息を止める。
『三人だけじゃない』
「……」
真壁。
『桐谷』
「001」
『それと』
「……」
高瀬の。
頭。
何かが。
引っ掛かる。
最初。
もっと。
最初。
Reviewが。
始まる前。
「……先生?」
あの声。
『人って、
いつ死ぬと思います?』
「……」
高瀬の。
顔から。
血の気が引いた。
「高瀬先生?」
藤原。
『何』
真壁。
「俺」
一度。
息を吸う。
「忘れてた」
『何を』
「最初の」
「……」
「男子生徒」
沈黙。
藤原。
「名前の」
「分からない?」
「うん」
『名簿にいなかった』
真壁。
「……」
「そいつ」
高瀬。
「全部」
「そこから始まってる」
「……」
『高瀬先生』
真壁。
『その生徒』
『何て言った?』
高瀬は。
目を閉じた。
声。
今でも。
覚えている。
『先生』
『明日死ぬって分かったら』
『どうします?』
「……」
「死ぬって」
「聞かれた」
「その夜」
「Reviewが来た」
「……」
藤原。
「じゃあ」
「その子」
『探す』
高瀬。
「……」
『明日』
『もう一回』
『名簿』
『写真』
『生徒にも』
『聞く』
真壁。
『待って』
「何」
『今夜は』
『それ以上やらない』
「……」
『高瀬先生』
「はい」
『顔見えないけど』
『今』
『絶対走る顔してる』
「何で分かるんだよ」
『性格』
「……」
藤原が。
少しだけ。
笑う。
「今日は」
「ここまで」
「はい」
「高瀬先生」
「はい」
「寝る」
「はい」
「真壁先生」
『はい』
「仕事しない」
『……』
「真壁先生」
『はい』
三人。
少し。
笑った。
通話。
終わる。
◇
午前七時四十三分。
翌朝。
高瀬は。
学校へ。
いつもより。
少し早く着いた。
昨日。
走らなかった。
ちゃんと。
一晩。
待った。
「……成長」
自分で。
小さく言う。
「それ自分で言うんですか?」
「うわっ!」
声。
後ろ。
高瀬が。
振り返る。
一人の。
男子生徒。
「……」
知らない。
いや。
違う。
知っている。
制服。
髪。
声。
でも。
名前が。
出ない。
「先生?」
「……お前」
男子生徒が。
少し笑った。
「何ですか」
「……」
心臓。
大きく。
鳴る。
「前」
「俺と」
「話したよな?」
男子生徒。
首を傾げる。
「いつ?」
「……」
「昼休み」
「何の話?」
「死ぬ」
男子生徒の。
笑顔が。
ほんの一瞬。
消えた。
「……」
高瀬は。
見逃さなかった。
「お前」
「名前」
聞こうとした。
その瞬間。
男子生徒の。
スマートフォンが。
震えた。
「……」
男子生徒が。
画面を見る。
そして。
高瀬へ。
顔を上げる。
「先生」
「何」
声。
同じ。
最初の日と。
全く。
同じ。
「明日死ぬって分かったら、
先生どうします?」
「……」
高瀬の。
身体が。
動かなくなった。
そして。
ポケットの中。
自分のスマートフォンも。
震えた。
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【Review】
再接触を確認。
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「……再接触」
次。
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対象
No.001
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高瀬が。
ゆっくり。
男子生徒を見る。
「……お前が」
男子生徒は。
何も。
答えない。
ただ。
少しだけ。
寂しそうに。
笑った。
━━━━━━━━━━━━
接触回数
2
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そして。
最後。
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質問権限
解放。
━━━━━━━━━━━━
高瀬は。
ようやく。
一話目から。
ずっと。
目の前にいた謎へ。
もう一度。
辿り着いた。




