Review34「先生は、何点でしたか」
午前八時十二分。
あと三分。
高瀬は。
教室の前に立っていた。
扉の向こう。
生徒たちの声。
笑い声。
椅子を引く音。
誰かが走って。
誰かに怒られている。
いつもの朝だった。
スマートフォン。
【評価開始まで
残り三分】
評価対象。
高瀬悠介。
評価項目。
教師としての人生。
満点。
100点。
合格点。
未設定。
「……勝手に」
高瀬は。
画面を消した。
「十三年まとめんなよ」
扉を。
開ける。
「おはようございます」
「先生遅い!」
「まだチャイム鳴ってない」
「あと二分!」
「間に合ってるじゃん」
「ギリギリ!」
「人生も大体ギリギリだから大丈夫」
「教師が言うな!」
笑い。
高瀬も。
笑った。
教卓へ。
向かう。
いつもの景色。
三十六人。
――いや。
一瞬。
三十七。
「……」
高瀬が。
止まる。
後ろ。
窓側。
一番端。
誰かが。
座っていた。
男子生徒。
見覚えが。
ある。
第1話。
昼休み。
『先生って、明日死ぬって分かったらどうします?』
あの。
名前を思い出せなかった。
少年。
瞬きをする。
いない。
三十六人。
「先生?」
「……何でもない」
高瀬は。
出席簿を開いた。
名前を呼ぶ。
一人。
また一人。
返事。
「はい」
「はい」
「はい」
三十六人。
全員。
いる。
なのに。
何かが。
足りない。
八時十四分。
あと一分。
教室の後ろ。
藤原が。
立っていた。
その隣。
真壁。
「何してんの」
高瀬が聞く。
「見学です」
藤原。
「何を」
「高瀬先生の人生」
「重いな」
真壁。
「一人にするなって言ったの、お前だろ」
「……そうだった」
高瀬は。
少し笑う。
「じゃあ」
一度。
教室を見る。
「始めるか」
◇
午前八時十五分。
チャイム。
同時に。
――ブッ。
高瀬の。
スマートフォンが。
震えた。
━━━━━━━━━━━━
【Review】
評価を開始します。
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
対象
高瀬悠介
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
評価項目
教師としての人生
━━━━━━━━━━━━
そして。
━━━━━━━━━━━━
第一問。
━━━━━━━━━━━━
高瀬が。
眉を寄せる。
「テスト形式?」
生徒。
「何が?」
「いや、こっちの話」
画面。
━━━━━━━━━━━━
あなたは、
良い教師でしたか?
━━━━━━━━━━━━
YES。
NO。
高瀬は。
見つめる。
良い教師。
十三年。
分からない。
授業を。
失敗した。
生徒を。
泣かせたこともある。
言い過ぎた。
気付けなかった。
保護者と。
ぶつかった。
同僚と。
揉めた。
家に帰って。
何もしたくない日もあった。
辞めたい日も。
あった。
それでも。
良い教師だったか。
「……知らん」
押さない。
━━━━━━━━━━━━
回答してください。
━━━━━━━━━━━━
「本人に聞くなよ」
生徒が。
「先生?」
「独り言」
一人の生徒が。
笑う。
「先生、独り言多くない?」
「三十六歳だから」
「年齢関係ある?」
「多分ない」
教室。
笑い。
――ブッ。
━━━━━━━━━━━━
回答時間を
終了します。
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
未回答。
0点。
━━━━━━━━━━━━
「……いきなり零点」
高瀬は。
笑った。
不思議と。
怖くなかった。
◇
第二問。
━━━━━━━━━━━━
あなたは、
全ての生徒を
救いましたか?
━━━━━━━━━━━━
高瀬は。
今度は。
迷わなかった。
NO。
押す。
━━━━━━━━━━━━
回答
NO
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
0点。
━━━━━━━━━━━━
「そりゃそうだ」
救えなかった。
何人も。
もっと。
話せばよかった。
もっと。
早く気付けばよかった。
もっと。
違う言葉を。
選べばよかった。
十三年あれば。
後悔なんて。
いくらでも。
増える。
画面。
第三問。
━━━━━━━━━━━━
あなたは、
生徒を傷つけたことが
ありますか?
━━━━━━━━━━━━
YES。
高瀬は。
押す。
━━━━━━━━━━━━
0点。
━━━━━━━━━━━━
第四問。
━━━━━━━━━━━━
間違った指導を
したことがありますか?
━━━━━━━━━━━━
YES。
━━━━━━━━━━━━
0点。
━━━━━━━━━━━━
第五問。
━━━━━━━━━━━━
教師を辞めたいと
思ったことがありますか?
━━━━━━━━━━━━
高瀬は。
少し。
笑った。
YES。
━━━━━━━━━━━━
0点。
━━━━━━━━━━━━
「厳しすぎだろ」
藤原が。
後ろで。
「何点ですか」
「ずっと零点」
「採点基準がおかしいですね」
「だよな」
真壁。
「今さら気付いたか」
高瀬は。
黒板を見る。
Review。
人生を。
採点している。
でも。
この採点方法なら。
多分。
誰も。
教師になれない。
◇
質問は。
続いた。
━━━━━━━━━━━━
授業に失敗したことがありますか?
YES
0点。
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
生徒に謝ったことがありますか?
YES
0点。
━━━━━━━━━━━━
「謝ったら零点?」
高瀬が。
思わず。
声を出す。
生徒が。
「何の話?」
「謝る先生って駄目かなって」
「急にどうしたの」
「いや」
高瀬は。
教室を見る。
「先生が間違えた時」
「謝ったら駄目?」
一人。
男子生徒。
「謝ればいいじゃん」
別の生徒。
「先生も人間でしょ」
女子生徒。
「謝らない方が嫌」
「……だよな」
高瀬は。
スマートフォンを見る。
「聞いた?」
Reviewは。
答えない。
次。
━━━━━━━━━━━━
生徒の前で、
答えが分からないと
言ったことがありますか?
━━━━━━━━━━━━
YES。
━━━━━━━━━━━━
0点。
━━━━━━━━━━━━
高瀬は。
もう。
笑っていた。
「全部零点じゃん」
でも。
その時。
あの女子生徒が。
手を上げた。
「先生」
「ん?」
「今日、何点?」
高瀬が。
止まる。
以前。
五十点。
そのあと。
三十五点。
生きて。
学校へ来たら。
三十点。
合格。
「今日は」
高瀬は。
少し考えた。
スマートフォン。
現在。
0点。
「零点らしい」
「え」
教室が。
少し。
ざわつく。
「先生、零点なの?」
「らしい」
「何したの?」
「色々」
「犯罪?」
「してない」
「じゃあいいじゃん」
笑い。
女子生徒が。
高瀬を見る。
「でも」
「ん?」
「先生」
一拍。
「今日も来たじゃん」
高瀬の。
表情が。
止まった。
「……うん」
「じゃあ三十点でしょ」
教室。
何人かが。
「何それ?」
女子生徒が。
説明する。
「生きて学校来たら三十点なんだって」
「基準低っ!」
「先生が決めた」
「先生、自分に甘すぎ!」
「人生くらい甘くていいんだよ」
高瀬が。
言う。
教室に。
笑いが。
広がる。
――ブッ。
スマートフォン。
━━━━━━━━━━━━
現在評価
0点
━━━━━━━━━━━━
高瀬は。
それを見る。
そして。
初めて。
心の底から。
どうでもいいと。
思った。
◇
第十二問。
━━━━━━━━━━━━
あなたの指導によって、
人生が変わった生徒は
いますか?
━━━━━━━━━━━━
YES。
NO。
高瀬の。
指が。
止まる。
これは。
答えられない。
変えた。
そう思うのは。
傲慢な気がした。
教師が。
誰かの人生を。
変えた。
そんなこと。
本人にしか。
分からない。
「……知らない」
未回答。
0点。
第十三問。
━━━━━━━━━━━━
あなたが教師でなければ、
救われた人間は
減りましたか?
━━━━━━━━━━━━
高瀬は。
画面を見る。
分からない。
自分じゃなくても。
誰かが。
助けたかもしれない。
自分がいたせいで。
傷ついた人も。
いるかもしれない。
未回答。
0点。
第十四問。
━━━━━━━━━━━━
あなたは、
教師になって
正解でしたか?
━━━━━━━━━━━━
高瀬の。
動きが。
止まった。
教室。
声が。
遠くなる。
十三年前。
初めて。
教壇に立った日。
緊張した。
名前を。
噛んだ。
生徒に。
笑われた。
初めて。
「先生」と。
呼ばれた。
嬉しかった。
でも。
十三年間。
楽しいことだけでは。
なかった。
辞めたい。
何度も。
思った。
もっと。
評価される仕事が。
したい。
自由が。
欲しい。
時間が。
欲しい。
違う人生が。
あるんじゃないか。
そう思った。
それでも。
ここまで。
来た。
「……正解」
高瀬が。
呟く。
YES。
NO。
どちらにも。
触れない。
「そんなの」
一度。
息を吸う。
「死ぬ時まで分からんだろ」
未回答。
0点。
現在。
0点。
藤原が。
高瀬を見る。
でも。
何も。
言わなかった。
◇
最後。
━━━━━━━━━━━━
最終問題。
━━━━━━━━━━━━
教室が。
静かになる。
なぜか。
高瀬にも。
最後だと。
分かった。
画面。
━━━━━━━━━━━━
あなたは、
もう一度人生を選べるなら、
教師になりますか?
━━━━━━━━━━━━
YES。
NO。
高瀬は。
動かなかった。
これは。
ずるい。
十三年間。
楽しかった。
苦しかった。
誇らしかった。
嫌だった。
生徒が。
好きだった。
仕事が。
嫌いな日もあった。
教師である自分が。
好きな日。
嫌いな日。
どちらも。
あった。
「先生?」
女子生徒。
高瀬は。
顔を上げる。
三十六人。
自分を。
見ている。
「何でもない」
笑う。
スマートフォン。
YES。
NO。
もし。
人生を。
やり直せるなら。
同じ道を。
選ぶのか。
高瀬は。
長い間。
画面を。
見ていた。
そして。
スマートフォンを。
机へ置いた。
「選ばない」
藤原が。
少し。
目を見開く。
真壁も。
高瀬を見る。
画面。
━━━━━━━━━━━━
回答してください。
━━━━━━━━━━━━
「だって」
高瀬は。
教室を見る。
「もう一回やってみないと」
一拍。
「分からんだろ」
人生。
やり直して。
教師になるかもしれない。
全然違う仕事を。
するかもしれない。
結婚しているかもしれない。
一人かもしれない。
どこか。
知らない街に。
いるかもしれない。
それを。
今の自分が。
正解。
不正解。
決めることなんて。
できない。
「でも」
高瀬は。
続けた。
「今の人生を」
少し。
笑う。
「無かったことにはしたくないかな」
藤原が。
静かに。
笑った。
真壁は。
窓の外を見る。
生徒たちは。
意味が分からない顔をしている。
それで。
いい。
――ブッ。
━━━━━━━━━━━━
回答時間終了。
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
最終得点
0点。
━━━━━━━━━━━━
高瀬は。
吹き出した。
「マジかよ」
十三年間。
0点。
「先生?」
「俺の人生、零点だって」
「やば」
「留年?」
「人生留年って何」
教室に。
笑いが。
起きる。
高瀬も。
笑った。
「まあ」
黒板へ。
向き直る。
「授業するか」
その時。
一人。
男子生徒が。
言った。
「先生」
「ん?」
「俺は」
少し。
恥ずかしそうに。
「先生でよかったけど」
高瀬が。
止まった。
教室。
一瞬。
静かになる。
「何急に」
別の生徒。
「いや、零点って言うから」
「何の話か知らんけど」
別の女子。
「私も別に先生でいいよ」
「『で』って何」
高瀬。
「先生がいい、ではない」
「傷つくわ」
笑い。
そして。
あの女子生徒。
「私は」
高瀬を見る。
「先生がいいです」
「……」
「だって」
少し。
笑う。
「大丈夫じゃない時に」
一拍。
「大丈夫って言わなくなったから」
高瀬は。
言葉を。
失った。
第2話。
あの日。
『大丈夫じゃない時に「大丈夫」って言うの、結構バレますよ』
あれから。
自分は。
少しずつ。
変わった。
救ったつもりで。
いた。
でも。
違う。
自分も。
生徒に。
変えられていた。
「……そっか」
高瀬が。
小さく。
笑う。
「ありがとう」
――ブッ。
スマートフォン。
画面。
━━━━━━━━━━━━
最終得点
0点
━━━━━━━━━━━━
数字が。
消える。
そして。
━━━━━━━━━━━━
外部評価を
検出しました。
━━━━━━━━━━━━
「……外部評価?」
次。
━━━━━━━━━━━━
評価者
36名
━━━━━━━━━━━━
高瀬が。
教室を見る。
三十六人。
画面。
━━━━━━━━━━━━
評価を
集計します。
━━━━━━━━━━━━
「やめろ」
高瀬が。
すぐに言う。
━━━━━━━━━━━━
集計中
━━━━━━━━━━━━
「やめろって」
生徒たちを。
点数に。
するな。
自分への。
気持ちを。
数字に。
するな。
「それは」
高瀬が。
スマートフォンを。
握る。
「採点するもんじゃない」
――ブッ。
画面。
停止。
━━━━━━━━━━━━
集計を
中止しました。
━━━━━━━━━━━━
高瀬が。
息を吐く。
その次。
━━━━━━━━━━━━
評価不能。
━━━━━━━━━━━━
理由。
━━━━━━━━━━━━
評価内容に、
数値化不能な回答が
含まれています。
━━━━━━━━━━━━
「……」
高瀬は。
笑った。
「だろ?」
★★★★★。
そんなものでは。
足りない。
100点。
そんなものでも。
足りない。
良かった。
嫌だった。
救われた。
傷ついた。
好きだった。
腹が立った。
ありがとう。
忘れない。
全部。
同時に。
存在できる。
それが。
人間だった。
◇
放課後。
藤原と。
真壁。
三人。
教室。
「0点でしたね」
藤原。
「言うなよ」
「十三年間」
「強調すんな」
真壁。
「妥当」
「お前だけは許さん」
笑う。
高瀬は。
朝のReviewを見る。
評価不能。
初めて。
その文字が。
嬉しかった。
「採点できない」
高瀬が。
呟く。
「人生なんて」
藤原。
「そうかもしれませんね」
真壁が。
窓際。
一番後ろの席を見る。
「高瀬」
「ん?」
「今朝」
一拍。
「あそこ見てたよな」
高瀬の。
表情が。
止まる。
「……何で」
「俺も見えた」
藤原が。
真壁を見る。
「何がですか?」
「生徒」
高瀬が。
立ち上がる。
「男?」
「多分」
「座ってた?」
「一瞬だけ」
高瀬の。
心臓が。
速くなる。
「顔は?」
「見えなかった」
真壁が。
眉を寄せる。
「でも」
「何」
「あいつ」
一拍。
「お前を見てた」
高瀬は。
第1話の。
少年を。
思い出す。
名前がない。
記録にいない。
なのに。
自分と。
話した。
『先生って、明日死ぬって分かったらどうします?』
「Review000」
高瀬が。
呟く。
その瞬間。
スマートフォン。
――ブッ。
━━━━━━━━━━━━
【Review】
教師としての人生
評価終了。
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
結果
評価不能。
━━━━━━━━━━━━
そして。
━━━━━━━━━━━━
追加回答を
1件確認しました。
━━━━━━━━━━━━
「追加?」
誰も。
答えていない。
画面。
━━━━━━━━━━━━
評価者
37名
━━━━━━━━━━━━
「……三十七」
三十六人。
クラスは。
三十六人。
ずっと。
そうだった。
でも。
第6話。
座席表の端。
消された鉛筆。
37。
高瀬が。
息を止める。
次。
━━━━━━━━━━━━
追加評価者
No.001
━━━━━━━━━━━━
「……」
Review000。
対象。
No.001。
最初から。
そこにいた。
高瀬の。
手が。
震える。
━━━━━━━━━━━━
回答内容を
確認しますか?
━━━━━━━━━━━━
今度。
YESも。
NOも。
なかった。
勝手に。
表示される。
━━━━━━━━━━━━
質問
「高瀬悠介は、
良い教師でしたか?」
━━━━━━━━━━━━
高瀬が。
動けない。
そして。
No.001の。
回答。
━━━━━━━━━━━━
「知りません」
━━━━━━━━━━━━
一拍。
━━━━━━━━━━━━
「でも」
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
「僕は、
先生に会えてよかったです」
━━━━━━━━━━━━
高瀬の。
目が。
見開く。
声が。
蘇る。
昼休み。
パン。
笑い声。
『先生って、明日死ぬって分かったらどうします?』
名前。
名前。
思い出せ。
高瀬の。
頭の奥。
何かが。
割れる。
「……あ」
藤原が。
高瀬を見る。
「高瀬先生?」
「名前」
「え?」
「思い出した」
高瀬の。
目から。
涙が。
落ちた。
理由も。
分からないまま。
「最初の」
声が。
震える。
「あいつの名前」
画面。
━━━━━━━━━━━━
記憶復元率
69% → 99%
━━━━━━━━━━━━
「……99」
あと。
1%。
そして。
━━━━━━━━━━━━
残存記憶
1件
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
復元条件を
満たしました。
━━━━━━━━━━━━
高瀬が。
画面を見る。
━━━━━━━━━━━━
最終記憶
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
日時
物語開始
3日前
━━━━━━━━━━━━
「……物語開始?」
藤原が。
呟く。
高瀬は。
動けない。
物語。
開始。
それは。
Reviewが。
始まった日ではない。
その。
三日前。
画面。
最後。
━━━━━━━━━━━━
記憶名
━━━━━━━━━━━━
数秒。
そして。
━━━━━━━━━━━━
「高瀬悠介が、
高瀬悠介になる前」
━━━━━━━━━━━━
「……は?」
その瞬間。
教室の。
時計が。
止まった。
藤原も。
真壁も。
動かない。
風も。
音も。
全部。
止まる。
高瀬だけ。
動ける。
黒板。
白い。
文字が。
勝手に。
浮かび上がる。
━━━━━━━━━━━━
最終Reviewを
開始します。
━━━━━━━━━━━━
その下。
━━━━━━━━━━━━
Review109
━━━━━━━━━━━━
高瀬の。
呼吸が。
止まる。
そして。
教室の。
一番後ろ。
誰もいなかった。
37番目の席。
そこに。
少年が。
座っていた。
今度は。
消えない。
高瀬は。
その顔を。
知っている。
名前も。
知っている。
少年が。
笑った。
第1話と。
まったく同じ。
笑い方で。
「先生」
一年。
いや。
もっと長い間。
忘れていた声。
「やっと」
一拍。
「僕のこと」
笑う。
「思い出しました?」
高瀬は。
その名前を。
呼んだ。
そして。
世界が。
暗転した。
【End】




