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SLUGGERS!!  作者: ヒラコー
第5章
24/25

4:『外食』

 車で走ること10分くらい、いつものファミレス『Liquortion』の駐車場についた。

 車を降りてデイブが一言。

「……あれ?そういやマイクどこ行った?」

「今更か?帰ったぞ」

 そういえば言ってなかったが、マイクは「ケネスと一緒にルークの見舞いに行く。あいつの好物のフライドチキンでも持ってってやろうと思って」って言って、トレイシーが掃除始める直前くらいに帰った。

「ふーん、そっか」

 それで会話は終了し、俺たちはファミレスへと入った。


 さて、毎度お馴染み日本式の接客を受け、俺たち4人は席に座る。こちら側に俺とショーン、向かい側にデイブとトレイシーが座った。

「好きなもん頼んでいいぞ」

「えっ、いいの?お金あるの?」

 トレイシーは驚いてデイブの方を見る。驚くのはいいとして、二言目は余計だ。

「金くらいあるわ」

 デイブがトレイシーに不服そうな眼を向ける。

「ごめんごめん……。でもギャングって儲かるの?」

 まぁ、そういう疑問も生まれて当然か。その疑問には俺が答えるとしよう。

「今のところちゃんと儲かってるぜ。まぁ、それに関してドンパチは付き物って感じになってるけど」

「ドンパチ?花火か何か?」

「銃撃戦だよ、銃撃戦」

「えぇ……っ!?じゃあ、ピストルで撃ち合いするの……?」

「ピストルだけで済めば苦労しねぇんだけどな…………」

 俺は思ったことを口に出しながら頭の後ろで手を組んで、天井を見上げた。

「……あれ、そういや、俺自己紹介してなかったな」

 と、ショーンが思い出したように口に出した。今更かよ。

「俺はショーン。ショーン・リスナーだよ。何ヶ月か前に、グレンたちの仲間になったんだ。自己紹介が遅れてごめん」

「いいわよ謝らなくたって。よろしくね、ショーンさん」

「よろしく」

 ショーンたちの自己紹介が終わった所でデイブが口を開いた。

「……んで、メニューは決まったか?」

「あっ、ちょっと待って」

 まだメニューを見てなかったトレイシーが大慌てでメニュー表のページをめくっていく。

「じゃあ私はこれでいい」

 トレイシーはメニューの中のチーズハンバーグセットを指さした。

「OK。お前らは?」

 デイブがこっちを見る。

「俺はオニオンソースリブステーキセットで」

「俺も同じのでいいや」

 デイブはそれを聞いてから店員を呼ぶボタンを押した。


「……そういえば、ギャングのグループ名とか決まってるの?」

 トレイシーが口の中のハンバーグを飲みこんでから口を開いた。

「あぁ、俺らのグループ名は『スラッガーズ』ってんだ。んで、マイク、ルーク、ケネスの3人のグループは『タッパーズ』だったな」

「え?マイクくんは仲間じゃないの?」

 トレイシーはキョトンとした顔で俺を見る。

「あいつら3人で別のグループなんだよ。まぁ、俺らとつるんでるから、仲間も同然なんだけどな。いわゆる『ブラザー』ってとこか?」

「へぇー……って、ルークくんとケネスくんもギャングやってるの!?」

「なんだ、あの二人も知り合いか?」

「マイクくんと一緒にいること多かったからね。『俺のダチ』って言ってたわ」

「ふーん、そっか」

 そう言って俺はステーキを一口頬張った。

「そういえば、『ピストルだけで済めば苦労しない』って言ってたけど、どんな感じなの?」

 デイブは口の中のカレードリアを飲み込んでトレイシーの方を見た。

「……それ聞いてどうすんだ?」

「いや、気になっただけだけど…………ダメだった?」

「いや、別にいいんだけどさ。まず俺らが使ってるのは、ピストル、ショットガン、マシンガン、サブマシンガン、アサルトライフル、ボルトアクションライフル……ってとこか」

「ま、マシンガン!?そんなものまで使うの!?……あとショットガンとピストル以外は……良くわかんなかったけど」

「まぁ、だろうな……」

 デイブは頭の後ろで腕を組んだ。

「ま、そんだけいっぱい銃使ってるってこった」

「そうなんだ…………」

 そのあとは他愛も無い話をしながら完食し、会計を済ませて店を後にした。


 店を出てから帰りの車の中にて。

「ねぇねぇデイブ」

 トレイシーが助手席から運転席のデイブの方を見る。

「ん?なんだ?」

「…………今日隠れ家に泊まっていい?」

「「「…………はぁ!?」」」

 3人口を揃えて驚いてしまった。とりあえず気を取り直して俺がトレイシーに言う。

「トレイシー、お前何言ってんの!?ちゃんと帰れよ!」

「だって気づいたら家の門限過ぎちゃってたし、もう『友達の家に泊まってく』ってパパにメールしちゃった」

「えぇ……」

 ショーンが困惑したような声を漏らす。

 車のカーステレオの時計を見ると、8時27分。トレイシーいわく、門限は8時らしい。

「はぁ……お前なぁ……」

 デイブがハンドルを握りながら呆れたため息をついた。

「お願い!この通りだから!」

 トレイシーは顔の前で両手を合わせて懇願している。

「…………泊めてやろうよ」

 ショーンが俺とデイブに向かって言う。赤信号で車を止め、その数秒後にデイブがため息をついた。

「……しゃーねぇなぁ」

「わーい!やったぁ!ありがとー!!」

 トレイシーはよほど嬉しかったのかデイブに抱きついた。

(…………あっ)

 今確実にデイブの身体がこわばった。その直後に信号が青になる。


ガクンッ!


「あ」

 エンストした。デイブがエンストさせるって相当動揺してるなこりゃ…………。

「大丈夫?」

 抱きついたままデイブの顔を覗き込むトレイシー。

「だっ、だだ大丈夫だから早く離れろ!運転できないだろ!」

「あっ、ごめん」

 トレイシーはデイブから離れて助手席に座り直した。それを確認すると、デイブは一つ大きなため息のようなものを吐いて、エンジンをかけ直す。

 背後から後続車両のクラクションを受けつつ、俺たちの乗るワゴン車はゆっくりと隠れ家に向けて再発進した。

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