4:グレン&ケネス編『似たもの同士?』
ルークたちを救出してから2週間。ラゴスのヤツらの動きは特に無い。新聞には大きく一面で『製材所で大虐殺!?ギャング集団「ラゴス」の死体の山』と書かれたが、俺達のことは一切出てこなかった。
ルークたちは俺たちの隠れ家(ショーンの家)で怪我の治療をして、だいたい治ったので1週間程ここを拠点に思い思いの事をすることになった。
「そういや、マイクとショーンはどこに行ったんだ?」
俺はシリアルを食べながらふと思ったことを口にしてみる。
「あぁ、あいつらなら射撃場に行った」
ケネスがテーブルの向かい側で同じようにシリアルを食べながら答える。ちなみにデイブとルークは買い物に行った。
「射撃場?」
「マイクの家にあるスナイパーライフルの使い方を教えてもらうんだってさ」
「へぇー……」
「俺たちも何かする?」
「んー……そうだ、お前ん家ショットガンがあるんだっけ?」
「うん。あるよ」
「射撃って得意か?」
「……んー……どちらかと言うと……苦手かなぁ……。どちらかと言うとケンカの方が得意だったり。まぁ、この前は不意を突かれちまったけど」
ケネスはあはは、と誤魔化し笑いをする。お、こんな所に似たようなヤツが居たぞ。
「実は俺も射撃はあんまり得意じゃなくてよ、ケンカの方が得意なんだ。いっつもデイブに『拳銃の扱いもっとしっかりしろよ』って言われてさぁ」
「え、マジで!?俺もルークから、『射撃の練習しろ』って言われるんだよな……」
ケネスはトホホ、というような顔をする。
「そうだ、お前喧嘩の時とか武器使うか?俺はバット使うんだけど」
「あぁ、この前助けに来てくれた時に見てたよ。見事なバット捌きだった。で、俺はナックルダスターを使ってる。コレなんだけど」
ケネスはポケットから銀色のナックルダスターを取り出してテーブルの上に置く。
「ほほぉー……なかなかいい得物だ」
「どーも」
「……あ、そうだ。後でちょっと手合わせしてみるか?」
「えぇー!?そんな、先輩に勝てるわけねぇし!ていうか怪我治ったばっかりなのに、また怪我しちまうよ」
ははは、とケネスは笑う。
「……まぁ、そうだよなぁ……」
「……でも、何する?」
そう、一番の問題はそこだった。何するか決めないと暇でしょうがない。
「……とりあえず散歩でも行くか」
「……そうだな」
というわけで俺たちは隠れ家を出た。
とりあえず歩いて公園へと向かう。歩くこと20分、近所の公園へと辿り着いた。アイス売りの屋台があったので、アイスを買って食べる。ケネスの分は今回は俺の奢りだ。
「やったぜ。ありがとう」
俺とケネスはアイスを食べながらベンチに座った。
ベンチで他愛ない会話をしながら30分が経過した頃、俺たちの目線の先には、たまにいるチンピラが5人ほどいた。どうやら通りすがりの女を無理やりナンパしているらしい。
「なぁー、イイじゃんよー?俺らと遊ぼうぜぇ?」
「い、嫌っ!放してよっ!」
女の方は明らかに嫌がっている。
「……どうする?助けてやるか?」
「そりゃあ助けるでしょ」
「よく言った。うっしゃ行くぞぉ」
俺たちはベンチから立ち上がり、チンピラ共の元へと向かう。
「なぁイイだろー?」
「嫌だってば!」
「チッ……強情なオンナだなぁ……」
俺は女の袖を掴んでいたチンピラの1人に話しかける。
「なぁ、お前らやめてやれよ。嫌がってんじゃねぇか」
「あぁ?うっせぇよ。誰だテメェら、俺らにケンカ売ってんのか?」
「別にやめてやれって言ってるだけだろーが、このタコ。なんだ、やるか?あ?」
「んだとテメェ!?」
チンピラは俺に右手で殴りかかって来る。俺は左手で左に拳を受け流し、そのまま間を詰めて腹に肘打ちを打ち込む。
「うぐぉ……っ!?」
俺は肘打ちをくらって怯んだチンピラを逃がさずに腕を掴む。
「ケネスコイツ頼んだ」
そしてケネスの方へと押し飛ばした。
「あい……よっ!」
ケネスの一撃がチンピラの顔面に入る。思いっきり吹っ飛ぶチンピラ。殴られたチンピラは鼻から血を流して地面を転がり、気絶している。
「おぉ……いい威力してんじゃん」
「伊達に鍛えてねぇし」
そう言ってケネスはにっと笑う。
「て……テメェら、ふ、ふざけんじゃねーぞぉ!」
ほかの4人は明らかにビビっている。
「まだやるか?え?」
「……クソッ!テメェら俺たちにケンカ売ったことを後悔すんじゃねぇぞ!俺たちのバックにはあのギャング『マグナム・クラックス』が付いてんだからなぁ!」
一瞬の沈黙の後、俺は思わず吹き出してしまった。
「何がおかしいんだコラァ!?」
「あっはっはっはっ……いやー、すまんすまん。お前ら最近マグナム・クラックスの奴らに会ったのか?そりゃあスゲェ」
「なんだ、怖気付いたか?あ?」
「いやさぁ、マグナム・クラックスの奴ら、この前俺らがぶっ潰したから、最近会ったってスゲェなと思って。だってあの世じゃんか。はっはっはっ……」
「……は、え……?」
チンピラ共は絶句している。
「う、嘘垂れてんじゃねぇぞテメェ!」
「別に嘘じゃねぇぞ?なんならテメェらも始末してやろうか?あ?」
「ヒッ……」
「嫌だったらさっさとどっか行け!」
「ヒ、ヒィィ……お、お前ら、行くぞ!」
チンピラ共は気絶した仲間を連れて逃げていった。
「ふぅ……大丈夫?怪我とかはないか?」
絡まれていた女は逃げるにも逃げられなかったのか、まだ後ろに突っ立っていたので、とりあえず声をかけてみた。
「え、えぇ。ありがとうございました。これ、助けてくれたお礼に、よかったらどうぞ」
女は50ドルを俺に手渡してきた。
「おっ、いいのか?それじゃあ、有り難く貰っちゃおうかな。それじゃ、また絡まれないよう気をつけてな」
「ありがとうございました」
女はケネスの方にも一礼して去っていった。
「にしても、『マグナム・クラックス』潰したのって、グレンたちだったんだな……」
ケネスがさっきの話の内容を思い出して独りごちる。
「ちょっと前にな。縄張りを横取りしようとされたから、ぶっ潰した」
「へぇー……」
「それより、この金山分けな。うい、25ドル」
俺はケネスに25ドル差し出す。
「おっ、やったぜ。サンキュー」
ケネスは25ドル受け取り、財布にしまった。
「……んじゃ、帰るか」
「そうだな」
俺たちは隠れ家へと向けて歩き出した。




