3 転職のシビアな現実
筆者:
世間ではキャリアアップをして転職して給料を増やす。つまり「転職=給料アップ」みたいな図式がありますけど、なかなか難しいという事について話していこうと思います。
勿論、世の中給料以外で仕事を選ぶ側面は非常に多いと思うのですが、ここではお金についてのお話なので給料一本に絞って話していこうと思います。
質問者:
筆者:
全年齢で言えば10%以上アップが29%、5%アップが11.2%、ほぼ変わらずが28%、下がったのが39%と言う感じで、上がった方と下がった方が実は同じぐらいなんです。
https://career.nikkei.com/feature-job/income/003573/
もっとも、20代では上がった割合が5割で下がった割合は17%と大きな差があるので、やはり若い方であればあるほど「売り手市場」と言う状況だと思います。
ちなみに、副業で収入を増やしたい方も含めているので全貌は分かりませんが、転職者が330万人に対して「転職希望者」は1000万人を超えており、「現状の収入に不満がある方」と言うのが非常に多いことが分かります。
https://lassic.co.jp/media/person/job-change-hopefuls/
質問者:
という事は年齢が上がれば上がるほど、転職をしても給料が上がりにくくなるという事ですよね?
人生長いので同じところばかりで勤めるのも大変だと思うんですけど……どうして年齢が上がってスキルが上がっていると思うのに転職には不利になるんですか?
筆者:
実を言うと、会社が求めているのが必ずしもスキルや経験では無いというところが1点目として挙げられます。
日本の大企業には依然として終身雇用の「名残り」みたいなものがありまして、昭和型の教育システムがまだ残っているところもあります。
そんな中で、必要とされることは「会社への忠誠心」であったり同期との横のつながりや部署間の調整が出来る人みたいなのが重宝されることがあります。
しかし、こうした忠誠心や繋がりと言うのは他社ではあまり使えるものではありません。せいぜい、人間関係を円滑に構築する能力ぐらいなものでしょう。
ですがその能力は定量化されることは難しいです。会社で求められていることが必ずしも転職で有利に働くわけでは無いというミスマッチが起きてしまっているんですね。
※勿論、若い方であったとしても最低限の社会人としての能力やマナーは求められます。
質問者:
な、なるほど……そうなると若い方を積極的に採用するというのはどちらかと言うと、「何ものにも染まっていないから」という事なんですかね?
筆者:
その通りです。若ければ柔軟であり、上のいう事を素直に聞いてくれるという側面もあるでしょうね。「社会をあまり知らない」ことを逆に企業はメリットに感じているという事です。
会社としては有能な技師では無く「歯車」が欲しいのが本音なのです。
それも、「他の会社に染められていない歯車」です。そのために若くて経験がない人の方が転職して給料が上がる可能性があるんです。
勿論、技術的な優位性が無ければ商品開発が出来ず立ち行かなくなるので「歯車」みたいな人ばかりではないと思います。
しかし、会社として必要としている人の多くは正社員だとしても「歯車」なのが現実なのだと思いますね。
質問者:
「その会社にとって最適化された歯車」の場合だと転職しても給料が上がらないという事なんですね……。
筆者:
そういうことです。大企業から転職される方の場合であったとしても「自分は大企業勤めだから需要がある」と思い込むのではなく、他社で通用するスキルを持っているかどうか? を考えた方が良いと思います。
年齢が高い方で転職に成功する場合は管理職などの経験を積んだ方に限られると思います。中途採用の転職の場合は「即戦力」が求められます。
大企業の方でも良いところに転職できないのは「即戦力」として評価されていないためだと思われます。
正直言って管理職なんて残業代もつかないことが多く、上と下との板挟みで理不尽でダルイことばかりな気もしますが、転職にとっては有利に働くことが多いみたいですね。
質問者:
上のいう事を聞いているだけなのはある意味責任が無くて楽な立場ではありますけど、将来性は薄いという事ですか。
今のラクさを取るか、将来の実を取るのかと言う感じがしますね……。
よく、転職の際に「リスキリング」が大事だという話もあるんですけど、今後どのようなスキルが就職に有利になるんでしょうか?
筆者:
現時点に限って言うのであればプログラミングだと思います。
2030年に最大79万人不足するという試算もあり、
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2425Y0U5A221C2000000/
将来性が高いと見られています。
ただ一方で、レベルが低いものであればAIに代替えされるのではないか? https://biz.digital-hacks.jp/column/programmer-replaced-by-ai/と言う懸念もあり、付け焼刃で勉強したところでそのレベルに達することが出来るのかは疑問があります。
AIと言う不確実性が何のスキルが今後活躍するのかが分かりにくくなっています。
意外と長期的に見て万能なのは、誰が相手でも仲良く話すことが出来たり、本質をすぐに理解出来たりできるコミュニケーション能力なのかなと思いますけどね。
質問者:
確かに、AIで人が減っても人同士のコミュニケーションは無くなりませんからね。人同士のつながりを大切にしたいですね。
◇初めての就職の際の業種の選定が極めて大事
筆者:
また、最初に就職した業種が非常に大事になります。
例えば介護やトラックの運送業は激務で厳しいものでありながらもスキルの上澄みと言うのがあまりありません。介護で急に10人一斉に世話が出来るようになったり、トラックが2台いっぺんに運転できるようにはなりませんからね。
そのために「スキルアップ」と言う概念そのものがあまりなく、給料のアップと言うのはあまり望めないのです。「最低限のレベル」で無ければむしろ、「使用期間」や減給まであるでしょう。
そしてそれらの業界は転職すれば勤続年数がリセットされて下がるまであるでしょう。
このように、労働条件やビジネスモデルが業界全体でほとんど変わらない場合は転職をしても無意味なのです。
若い方で転職をしても給料が下がっている方々はそう言った業種である可能性が極めて高いです。
質問者:
でも、そう言った業種であればあるほど人手不足な気がしますね……。
筆者:
むしろ、辛い仕事なのにずっと給料が上がらないからこそ人手が集まらないんだと思いますよ。
今は情報化社会で将来の給与形態までもがネットやSNSで可視化されていますからね。敢えて給料が上がりにくい上に激務な職業に就こうと思う方はいないでしょう。
こういう社会に必要な業種で給料が低いところにこそ国が待遇改善のための補助をしなければいけないと思いますけどね。
話は戻りますけど、そう言ったところに最初に就職してしまうと、中途採用だと「経験者」が欲しい状況に対して、スキルが身につかない低賃金労働しか知らないと転職をしても他の業種に移動できないのです。
◇「新卒カード」があまりにも強い
質問者:
つまり他の業種には「低賃金ランク」の業種にしか移動できないという事なんですか?
筆者:
結論から言うとそうなります。
もっとも、起業をすればそのラインを超えることは出来ますが余程自身が無ければ独立することは困難ですよ。
そのために「新卒カード」が効くうちに高賃金労働職種に就職するのがベストなんです。
ちなみに「新卒カード」と言われている期間は大学を卒業する期間までのことを言い、卒業してしまえば「既卒」扱いになってしまいます。
親御さんの資産に余裕がある場合は「新卒カード」のために敢えて留年される方もいるぐらいです。これを「就職留年」と言います。
現状の日本ではそれぐらい「新卒カード」は就職に有利なのです。
質問者:
筆者:
本来であればそんな慣習は無くした方が良いと思うんですけどね。
ただ、日本の企業と言うのは「新卒を育成した後の姿」に企業はかけているところが多いんです。
「会社にとって都合の良い歯車」を一番欲しいですからね。
残念ながら現状の日本では余程の突出したスキルアップや、現状が極端に過小評価されている状況でもない限り初めて入社した会社の給与帯から脱出することは困難なんです。
給料帯から抜け出せないのであれば「副業」をすれば良いのではないか? と思われるかもしれないので、次に副業について語っていこうと思います。




