第66話
王都二日目。
「今日はどこ行く?」
「食べ歩き」
「却下」
「なんで!?」
ファウラが叫ぶ。
「昨日も食ってただろ」
「だから何!?」
「だから何じゃねぇ!」
朝から騒がしい。
「平和ですね」
テラが笑う。
「そうですね」
アクアも頷いた。
しかし。
「……」
アギトだけは周囲を見ていた。
昨日から感じる違和感。
視線。
気配。
誰かに見られているような感覚。
「アギト?」
「ん?」
「どうした?」
ウェントスが尋ねる。
「いや」
「気のせいかもしれない」
そう答えた。
だが。
気のせいではなかった。
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建物の屋上。
黒いローブの男。
その手には望遠鏡。
「対象確認」
男が呟く。
「アギト」
「ファウラ」
「アクア」
「ウェントス」
「テラ」
紙に印を付ける。
そして。
「報告」
通信魔法が起動する。
『どうだ』
「問題ありません」
『監視を続けろ』
「了解」
通信が切れる。
男は不気味に笑った。
「平和そうだな」
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昼。
中央広場。
露店。
大道芸人。
人混み。
王都は今日も賑やかだった。
「おおー!」
ファウラが走る。
「待て!」
ウェントスが追う。
「毎回こうだな」
アギトは苦笑した。
その時。
ドン。
誰かと肩がぶつかる。
「すみません」
ローブ姿の男だった。
「こちらこそ」
アギトは謝る。
男は去っていく。
何でもない。
ただの通行人。
そう思った。
しかし。
男は曲がり角の向こうで。
ニヤリと笑った。
「印は付けた」
地下室。
複数の男達。
「いつでも追跡可能だ」
「良い」
仮面の男が立ち上がる。
「準備を進めろ」
「王都滞在中に終わらせる」
「事故としてな」
部屋に笑い声が響いた。
⸻
夕方。
魔法省。
「……」
クルデーリスは窓の外を見ていた。
「どうした」
アルバートが現れる。
「嫌な予感がする」
「またか」
「まただ」
アルバートはため息をついた。
「今回は?」
「分からん」
「だが」
銀髪の教師は目を細める。
「近い」
「何かが近い」
⸻
その夜。
王都の闇の中。
複数の影が静かに動き出した。
そして。
誰も知らない。
翌日。
アギト達が。
最初の事件に巻き込まれることを。




