第62話
「勝手に殺すな」
苦笑する老人。
しかし。
その瞳には衰えなど感じられない。
「……アルバート」
クルデーリスは目を細める。
「久しぶりだな」
「五百年ぶりか?」
「そんなところだ」
「長いようで短かったな」
「どの口が言う」
二人は小さく笑った。
すると。
「先生ー!」
「?」
廊下の向こうからファウラ達がやって来る。
「お?」
白髪の老人が首を傾げた。
「お前の生徒か?」
「ああ」
「問題児ばかりだ」
「誰が問題児ですか!」
「誰のことだ!」
「お前達だ」
「酷い!」
「酷いな!」
また声が揃う。
「息ぴったりだな」
アルバートが笑う。
「……」
「……」
「何だ」
「いや」
「気持ち悪いほど揃ってるなと」
「失礼な!」
「失礼だな!」
「本当に気持ち悪いな」
「酷くない!?」
アクアとテラは思わず吹き出した。
「ふふっ」
「仲良しですね」
「どこが!」
「どこがだ!」
「やっぱり息ぴったりです」
「だから!」
「だからだ!」
「……」
「……」
「最悪」
「最悪だ」
「また揃った!」
アギトは思わず笑った。
その様子を見て。
アルバートは優しく目を細める。
「良い子達だな」
「そうだな」
クルデーリスも静かに答えた。
「昔のお前みたいだ」
「やめろ」
「何だ」
「恥ずかしい」
「ははは!」
豪快に笑うアルバート。
「先生の昔?」
「気になる!」
「教えてください!」
「断る」
「即答!?」
「つまらん男だ」
アルバートは肩をすくめた。
「儂の話の方が面白いぞ?」
「本当ですか!?」
「本当だとも」
「五百年前──」
「やめろ」
「む?」
「話すな」
「照れるな照れるな」
「照れてない」
「いや照れてる」
「照れてない」
珍しく。
クルデーリスがムキになっていた。
「……先生って」
「意外と可愛いところあるんだな」
ウェントスが呟く。
「うむ」
アルバートは頷く。
「昔から素直じゃない」
「黙れ」
「はっはっは!」
その時。
コンコン。
扉がノックされる。
「失礼します」
入ってきたのは。
眼鏡をかけた女性。
「サテラ・ルードスです」
「陛下がお呼びです」
その瞬間。
アルバートの表情が変わった。
「……もうか」
クルデーリスも僅かに目を細める。
「随分早いな」
「嫌な予感しかしない」
老人は小さくため息をついた。
そして。
「行くぞ」
「お前達もだ」
「え?」
「王様!?」
「会えるの!?」
「すげぇ!」
「ちょっと待て!」
「心の準備が!」
慌てる五人。
しかし。
誰も知らなかった。
この謁見が。
彼らの運命を大きく変えることになることを。




