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魔法異端見聞録  作者: トミー
第1章学園篇後半
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第58話

森に静寂が戻る。

先程までの激戦が嘘だったかのように。

風が吹く。

木々が揺れる。

虫達の鳴き声。

いつもと変わらない夜。


だが。

アギト達にとって。


もう。


この夜は。

決して忘れられないものになっていた。


「終わった……のか?」


ファウラが呟く。


「多分」


ウェントスも未だ信じられない様子だった。


「空が裂けたり」


「喋る魔物が出たり」


「先生が五百年前の英雄扱いされたり」


「情報量多すぎるだろ……」


「そこ!?」


思わずアクアが突っ込む。


「いや気になるだろ!」


「普通!」


「先生!」


「五百年前って何ですか!?」


「……」


クルデーリスは目を逸らした。


「昔話だ」


「雑!」


「雑すぎます!」


珍しくテラまで声を上げる。


「そうだぞ先生!」


ファウラも頷く。


「説明しろ!」


「そうだそうだ!」


「……」


銀髪の教師はため息をついた。


「君達は」


「疲れている」


「今日は休め」


「それが一番だ」


「誤魔化した!」


「誤魔化しました!」


「誤魔化したな!」


「誤魔化しましたね!」


四人の声が揃う。


「アギト!」


「お前も何か言え!」


「え?」


突然振られたアギトは。


少し考えて。


「先生が話したくなったら」


「話してくれればいいんじゃないかな」


「「甘い!」」


ファウラとウェントスの声が揃った。


「ははっ」


アクアが笑う。


「アギト君らしいね」


「うん」


テラも微笑む。

そんな五人を見て。

クルデーリスは。

ほんの少しだけ。

笑っていた。


「全く」


「賑やかな生徒達だ」


【クルデーリス視点】


夜空。

紅い月。

既に門は閉じている。


だが。


嫌な予感だけは消えない。


「……デーモンキング」


五百年前。

倒しきれなかった災厄。


「まだ動くつもりか」


その時。


「難しい顔してんな」


グリフォンが隣に立った。


「君か」


「なんだよ」


「俺が来ちゃ悪いか?」


「いや」


「助かった」


「だろ?」


グリフォンはニヤリと笑う。


「ま、俺様がいなきゃ始まらねぇからな」


「そうかもしれないな」


「……おい」


「何だ」


「否定しろよ」


珍しく。

クルデーリスは小さく笑った。


「事実だろう?」


「はっ」


「調子狂うな」


そして。

グリフォンの表情が変わる。


「○○」


「……」


「いや」


「クルデーリス」


「来るんだろ?」


「ああ」


「間違いなくな」


「また戦争だ」


静寂。

長い。

長い沈黙。

やがて。

グリフォンは笑った。


「上等」


「五百年前に止められなかったなら」


「今度こそ止めるだけだ」


「そうだな」


「今度こそ」


「終わらせよう」


二人の視線の先。

そこには。

楽しそうに笑う五人の姿があった。

守りたいもの。

五百年前には守りきれなかったもの。

だからこそ。

今度こそ。

失いたくない。

そう。

強く。

願っていた。

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