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魔法異端見聞録  作者: トミー
第1章学園篇前半
37/64

第36話

「では明日から」


「厳しくする」


「お手柔らかに……」


「無理」


「即答!?」


教室に。

二人の笑い声が小さく響いた。



翌日。

放課後。

訓練場。


「遅い」


「すみません!」


既にウェントスは来ていた。


魔法書を片手に。


「三分」


「え?」


「遅刻」


「三分ですよ!?」


「三分だ」


「すみません……」


「別に怒ってない」


「ならその圧はなんなんですか」


「生まれつき」


「便利ですね」


「そうでもない」


ウェントスは本を閉じた。


「始めよう」


「はい!」


「まず」


「火球を作って」


「またですか?」


「基本」


「大事」


「分かりました」


アギトは魔力を流す。


ポッ。


小さな炎。


「維持して」


「はい」


「もっと小さく」


「え?」


「もっと」


「小さく」


「うぐぐ……」


炎が豆粒ほどになる。


「そう」


「次」


「もっと小さく」


「鬼ですか」


「まだ」


「えぇ……」


すると。


「おーい!」


元気な声。


「アギトー!」


「ウェントスー!」


「ファウラ君」


「ファウラ」


「邪魔」


「ひどっ!?」


赤毛の少年が走ってくる。


「特訓してんのか!」


「うん!」


「俺も混ぜろ!」


「嫌」


「即答!?」


「騒がしい」


「いいじゃん!」


「よくない」


「ケチ!」


「帰れ」


「ひどい!」


二人のやり取りにアギトが苦笑する。


すると。


「……ふふっ」


「?」


小さな笑い声。


「アクアさん?」


「ご、ごめん」


「なんか」


「いつもこんな感じだなって」


いつの間にかアクアも来ていた。


「アクア!」


「差し入れ持ってきたよ」


「おお!」


「クッキー!」


「やった!」


ファウラが歓声を上げる。


「待て」


ウェントスが止める。


「特訓中」


「えー」


「休憩は必要だよ?」


アクアが微笑む。


「……」


「……」


ウェントスは少し考え。


「五分」


「やった!」


「ウェントス優しい!」


「違う」


「効率」


「またまた」


「違う」


「照れてる!」


「違う」


「お?」


「顔赤いぞ?」


「夕日」


「まだ明るいですよ?」


「……」


「無言になった!」


ファウラが爆笑する。


「ははは!」


「お前!」


「意外と面白いな!」


「……帰る?」


「すみません!」


「謝るの早い!」


アクアも笑う。

アギトも笑う。

そして。

ウェントスも。


「……ふっ」


本当に少しだけ。

笑った。


「!」


「笑った!」


「ウェントスが笑った!」


「珍しい!」


「年一回?」


「ファウラ」


「ごめん」


「条件反射!?」


また笑い声。

四人の笑い声は。

夕暮れの訓練場に響いていた。


__


少し離れた木の上。


「四人か」


グリフォンが風に吹かれながら笑う。


「青春してるじゃねぇか」


赤い瞳が細まる。


「いいな」


「羨ましいぜ」


そして。

五百年前の親友の姿を思い出す。


「……お前も」


「こんな顔してたな」


その声は。

どこか寂しかった。

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