↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法異端見聞録  作者: 叢雲 朔
第1章学園篇前半

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/87

第33話

「またやろうぜ!」


「次は負けません」


「おう!」


模擬戦を終えたアギトとファウラ。

周囲の生徒たちも少しずつ引き上げ始める。


「お前、結構やるな!」


「ファウラ君の方こそ」


「ははっ!」


「楽しかった!」


汗だくなのに、ファウラは満面の笑みだった。


「腹減った!」


「そればっかりですね」


「運動した後は飯!」


「人生の基本!」


「そんな基本初めて聞きました」


「教えてやる!」


肩を組んでくる。


「ちょっ」


「飯だ!」


「近いです!」


「細かいこと気にすんな!」


⸻


昼休み。

学園食堂。


「でっか……」


アギトは思わず呟いた。

広い。

人も多い。

そして何より。


「うまそう……」


「だろ!」


ファウラは得意げだ。


「俺のお勧めは肉!」


「野菜も食べてください」


「肉!」


「聞いてください!」


そんなやり取りをしていると。


「うわっ」


ドン。


誰かとぶつかってしまった。


「あっ」


小さな声。

水色の長い髪。

優しそうな瞳。

少し小柄な少女だった。


「あ、ごめんなさい!」


アギトは慌てて頭を下げる。


「いえ!」


「こちらこそ!」


少女も慌てて頭を下げる。


「怪我してませんか?」


「大丈夫です」


「良かった……」


ほっとしたように胸を撫で下ろす少女。

その時。


「うおっ!」


ファウラが驚いた。


「アクアじゃん!」


「ファウラ君?」


少女が目を丸くする。


「久しぶり!」


「昨日も会ったよ?」


「そうだった!」


「覚えて!」


アクアはくすっと笑った。


「相変わらずだね」


「褒めるな褒めるな!」


「褒めてないよ?」


「え?」


「え?」


アギトは少し笑ってしまう。


「初めまして」


「アクアです」


「一年A組」


「水属性を使います」


「アギトです」


「一年B組です」


「よろしくお願いします」


「うん!」


アクアは柔らかく微笑んだ。


「よろしくね」


どこか。

安心する笑顔だった。


「お!」


ファウラが閃く。


「一緒に飯食おうぜ!」


「え?」


「迷惑じゃないかな……」


「ならない!」


「決定!」


「強引ですね」


「細かいこと気にすんな!」


「その台詞好きですね」


「よく言われる!」


「褒めてません」


「え?」


まただ。

アクアは思わず笑った。


「ふふっ」


「仲良しなんだね」


「さっき知り合ったばっかりです」


「運命だ!」


「重いです」


「ひどい!」


三人の笑い声が食堂に響く。


⸻


少し離れた席。


「へぇ」


一人の少年が本を閉じる。

緑がかった黒髪。

整った顔

静かな瞳。


「騒がしいな」


呟いて、再び本を開く。

その視線は。

一瞬だけ。

アギトに向いていた。


「……業火属性」


「珍しい」


そして。

何事もなかったかのように。

ページをめくった。


⸻


一方。

魔王城の屋上。


「二人目か」


グリフォンは風に吹かれながら笑う。


「友達ってのはいいもんだ」


「なぁ」


「お前もそう思うだろ?」


誰もいない空へ。

五百年前の親友へ。

優しく問いかける。

しかし。

返事はない。


「……そうだよな」


「返事できるわけねぇか」


赤い瞳に。

ほんの少しだけ。

寂しさが宿った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。