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魔法異端見聞録  作者: トミー
第1章学園篇前半
34/65

第33話

「またやろうぜ!」


「次は負けません」


「おう!」


模擬戦を終えたアギトとファウラ。

周囲の生徒たちも少しずつ引き上げ始める。


「お前、結構やるな!」


「ファウラ君の方こそ」


「ははっ!」


「楽しかった!」


汗だくなのに、ファウラは満面の笑みだった。


「腹減った!」


「そればっかりですね」


「運動した後は飯!」


「人生の基本!」


「そんな基本初めて聞きました」


「教えてやる!」


肩を組んでくる。


「ちょっ」


「飯だ!」


「近いです!」


「細かいこと気にすんな!」



昼休み。

学園食堂。


「でっか……」


アギトは思わず呟いた。

広い。

人も多い。

そして何より。


「うまそう……」


「だろ!」


ファウラは得意げだ。


「俺のお勧めは肉!」


「野菜も食べてください」


「肉!」


「聞いてください!」


そんなやり取りをしていると。


「うわっ」


ドン。


誰かとぶつかってしまった。


「あっ」


小さな声。

水色の長い髪。

優しそうな瞳。

少し小柄な少女だった。


「あ、ごめんなさい!」


アギトは慌てて頭を下げる。


「いえ!」


「こちらこそ!」


少女も慌てて頭を下げる。


「怪我してませんか?」


「大丈夫です」


「良かった……」


ほっとしたように胸を撫で下ろす少女。

その時。


「うおっ!」


ファウラが驚いた。


「アクアじゃん!」


「ファウラ君?」


少女が目を丸くする。


「久しぶり!」


「昨日も会ったよ?」


「そうだった!」


「覚えて!」


アクアはくすっと笑った。


「相変わらずだね」


「褒めるな褒めるな!」


「褒めてないよ?」


「え?」


「え?」


アギトは少し笑ってしまう。


「初めまして」


「アクアです」


「一年A組」


「水属性を使います」


「アギトです」


「一年B組です」


「よろしくお願いします」


「うん!」


アクアは柔らかく微笑んだ。


「よろしくね」


どこか。

安心する笑顔だった。


「お!」


ファウラが閃く。


「一緒に飯食おうぜ!」


「え?」


「迷惑じゃないかな……」


「ならない!」


「決定!」


「強引ですね」


「細かいこと気にすんな!」


「その台詞好きですね」


「よく言われる!」


「褒めてません」


「え?」


まただ。

アクアは思わず笑った。


「ふふっ」


「仲良しなんだね」


「さっき知り合ったばっかりです」


「運命だ!」


「重いです」


「ひどい!」


三人の笑い声が食堂に響く。



少し離れた席。


「へぇ」


一人の少年が本を閉じる。

緑がかった黒髪。

整った顔

静かな瞳。


「騒がしいな」


呟いて、再び本を開く。

その視線は。

一瞬だけ。

アギトに向いていた。


「……業火属性」


「珍しい」


そして。

何事もなかったかのように。

ページをめくった。



一方。

魔王城の屋上。


「二人目か」


グリフォンは風に吹かれながら笑う。


「友達ってのはいいもんだ」


「なぁ」


「お前もそう思うだろ?」


誰もいない空へ。

五百年前の親友へ。

優しく問いかける。

しかし。

返事はない。


「……そうだよな」


「返事できるわけねぇか」


赤い瞳に。

ほんの少しだけ。

寂しさが宿った。

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