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魔法異端見聞録  作者: 叢雲 朔
第1章学園篇前半
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第24話

燃えていた。

空が。

街が。

人々の悲鳴が。

すべてが紫色の炎に包まれていた。


「逃げろ!」


「化け物だ!」


「やめてくれ!」


誰かが泣き叫ぶ。

誰かが憎悪を向ける。

しかし。

その中心に立つ男は、ただ悲しそうな顔をしていた。


「……違う」


「俺は」


「こんなことをしたかったわけじゃない」


紫炎が揺らぐ。

そして。

その男はこちらを見た。


『また会ったな』


「……え?」


『俺の後継者』


優しそうな笑み。

不思議だった。

初めて会うはずなのに。

どこか懐かしい。


「あなたは……」


『まだ早い』


男は首を横に振った。


『今のお前じゃ、全部を知るには弱すぎる』


「待ってください!」


『だが』


男は笑った。


『仲間を大切にしろ』


『一人で抱えるな』


『それだけは忘れるな』


「!」


どこか。

グレイさんの言葉と似ていた。


「どういうことなんですか!」


『俺みたいになるな』


その瞬間。

男の顔に影が落ちる。


『……あいつの言葉を』


『信じるな』


「あいつ?」


『グリ――』


バチッ!!


世界に亀裂が入った。

男の姿が歪む。


『チッ』


『もう来たか』


「え?」


次の瞬間。

紫炎の向こうから、何かが歩いてくる。

赤い瞳。

獣のような耳。

そして。

不気味な笑み。


『久しぶりだな』


「!」


『お前の代も、随分と可愛い顔してるじゃねぇか』


男の顔から笑みが消えた。


『グリフォン』


『夢の中にまで来るか』


「グリフォン……?」


『初めましてだな』


獣人の男はニヤリと笑った。


『アギト君』


『君に会える日を、500年待ってたよ』


ゾクリ。


全身に悪寒が走る。


「誰なんだ!」


『友達さ』


「嘘だ!」


『あはは』


『酷いなぁ』


『俺と前の紫炎使いは、最高のライバルだったんだぜ?』


前の紫炎使い。

その言葉に。

隣の男の表情が僅かに曇る。


『……ライバル、か』


『最後まで分かり合えなかったけどな』


『だから今度こそだ』


グリフォンが笑う。


『今度こそ最高傑作を作る』


その目に宿るのは。

期待。

愛情。

そして。

狂気。


『アギト』


『俺がお前を最強にしてやる』


『世界なんて、全部ひっくり返そうぜ』


「断る」


『お?』


「会ったばかりの人を信じるほど、俺は馬鹿じゃない」


一瞬。

グリフォンが目を丸くした。

そして。

大笑いした。


『ははははは!!』


『いい!』


『やっぱり似てる!』


『最高だ!』


『ますます気に入った!!』


その笑い声が響く。


『待ってるぜ、アギト』


『お前が絶望する日を』


『その時』


『俺が手を差し伸べてやる』


バチッ!!


視界が白く染まる。



「っ!?」


目を覚ます。


「夢……?」


朝日が差し込んでいた。

だが。

心臓の鼓動は速い。

嫌な汗が流れている。


「……何だったんだ」


そう呟いた時。

上のベッドから。


「アギト君」


アウラの声。


「うわぁ!?」


思わず飛び上がる。

アウラは珍しく真剣な顔をしていた。


「今」


「うなされてたよ」


そして。


「……誰?」


「グリフォンって」


アギトの心臓が止まりそうになった。

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