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3章30話

キテオンが首から血が流れ手で傷を押さえながら


「あががぁがぁ。」


と言う声を発して膝から崩れ落ちそのまま床に倒れこんだ。

ラトランは


「あははは、やっぱり死ぬ運命じゃないか。」


と高笑いしラトランを羽交い締めにしているスライアは驚愕の顔で固まってしまった。

ヒルコスもメイヤの突然の行動に一瞬固まったがメイヤ駆け寄り手に持つ短刀を叩き落とし腕を捻ると


「テメー何しやがるんだ。そんなことをしてもラトランの罪がなくなる訳じゃねぇんだぞ。くそ、このままじゃあキテオンが死んじまうじゃねえか。」


と痛がるメイヤを無視しヒルコスの声に焦りが浮かんでいる。

その声に我に返ったスライアが私の方を見て


「頼む。」


と短く言ったのに軽く頷くとラトランとメイヤはあれ誰?という目で私を見ている。

その視線を受けてつい出来心でちょっとカッコつけてこう言ってしまった。


「人はなんという愚かな生き物なんでしょうね。己の欲のために命をゴミのように扱うんですからね。」


無表情でそう言ってキテオンに近づき心の中で


『そこそこナオーレ』


とキテオンの切りつけられた首に唱えるとそこそこだからだろうか光もどことなく控えめな感じに降り注いだ。

うっすらと傷がわかるかなー?っていう程度になりキテオンの呼吸も穏やかになり気を失ったままだ。

ぎりぎり気を失わず尚且つ傷もそこそこ塞がりよし、内心決まったなとスライア達の方を見るとヒルコス、ラトラン、メイヤは目を思いっきり見開き驚いている。

その中でもラトランがひとつ頷き何もかも諦めたような表情になり


「最初っから俺に勝ち目はなかったんだな。だって天の使いが現れるんだもんな。いくら罪を隠しても天の使いの下では無意味なことだな。」


と勝手に天使と勘違いし


「ヒルコスさん、私がやりました。さあ屯所に連行してください。天の使い様私が悪かったです。どうかどうか穏便にすませてください。」


と先程の高笑いはどこに潜んだのやら神妙にお縄につくようだが私は一言も天使と名乗ってはいないんだけどな。

そんなことを思っていると


「天の使い様、お許しを、お許しを。」


と今度はメイヤが必死に懇願してくる。

あー何か面倒くさくなってきたなと思っていると


「ヒルコスさんとにかくこの二人を屯所に連れて行ってとりあえず牢にぶちこんでこよう。話はそれからだ。」


とスライアが驚きで最後まで思考停止しているヒルコスに話し掛けると


「お、おう……よし、オメーらごちゃごちゃ喋ってないでいくぞ。」


とヒルコスはなんとか回復した脳を動かしラトランとメイヤを促すと


「直ぐに戻って来ますんでキテオンを頼みます。スライアそのままラトランを屯所まで頼む。」


と言い残しヒルコスとスライアは二人を引きずるように家から出ていった。

私は気を失ったままのキテオンとちょっとお留守番することになったのだがヒルコスも明らかに天使と勘違いしているのはどうなの?


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