3章27話
あと十数歩足らずで家というところでキテオンが立ち止まり
「はぁ、きっとラトランもおどろくのでしょうね。」
とキテオンくぐもった声でまたお化け扱いされるだろうことに少し落ち込んでいる。
「まあしゃーねーわな。こればっかりはな。」
とヒルコスが慰めていると後ろから私達4人を黒い服を着ている女性が追い越してそのままキテオンの家に入っていった。
「あれ?あの女確か香包屋のメイヤじゃねえか。ああそういえばラトランと良い仲と噂があったんだったな。」
とヒルコスが言うと
「え?そうなんですか?知りませんでした。親戚の子と結婚して跡継ぎにと考えていたんですがね。」
と布越しでも凄く落ち込んでいるキテオンにヒルコスが
「結婚はいくら主人だとしても強制はいけねーな。とはいえまあ恋と結婚は違うからな。まだ機会はあるさ。」
と正論を吐いているとキテオンの家から次々と人が出てきている。
その人達は口々に
「ご主人様の冥福を祈るために一人にしてくれだとよ。」
「従者が守れないせいなのに帰れとよく言えるもんだ。」
と文句を垂れながらバラバラに帰っていった。
その様子を見て私は
「ちょうど良かったですね。人が多いとその分すごい騒ぎになりますからね。」
とキテオンに話し掛けると
「そうだないつまでもこんなところに突っ立ってないでほら行くぞ。」
とヒルコスに促され私達はあと十数歩の距離を歩きキテオンの家の玄関までやって来た。
キテオンが玄関のドアノブに手をかけ開けようとしたとき中から男の声で
「ふう、みんなやっと帰ったか。しかしまあ計画通りうまくいったな。メイヤが効果のない魔物避けの香を用意してくれなかったら成功しなかったよ。これでこの店も俺のもんになるぜ。」
と聞き捨てならない内容のことを話す声が聞こえる。
え?と4人で固まっていると
「よくそんなことキテオンさんの親族は信じたわね。」
と女の声が
「まあなこのご主人様の指輪があるから信じたのさ。この血塗れの指輪を親族達に見せて『ご主人様がこの指輪と店を託して亡くなりました。』と後は号泣しながら『ご主人様の後を継ぎます。』と宣言するだけ。計画的に魔物に殺されたとも知らずに信じたのさ。ハハハ。」
と自分の犯罪を得意気に女に話して笑いやがっている。
それをドア越しに聞いた私達は呆気に取られてしまった。
キテオンはぷるぷると震えてきている。
どおりで色々と引っ掛かったことがあると思ったよ。
さてさてこの場合どう始末をつけるべきなのかな。
さあみんなで考えようか。




