3章33話
ヒルコスがこちらを見たのでおっ、私から聞くのかと身構えると直ぐにスライアの方を向き直して
「お前はこの国のやつじゃねぇんだろう。お前は何処の国のなんなんだ。キテオンに小銭を貰ったから見逃そうとも思ったが殺人未遂の重要な証人オメーがなっちまいそうだからな。俺としては面倒だが後ろ暗いことのあるやつだとこっちは困るんだよ。答えによっちゃーオメーもラトランと同じ部屋にぶちこまなきゃならんのだが……まあ少なくとも斥候や逃亡者にしちゃあ表に出すぎだろうがな。」
とまずスライアにターゲットを定め素性を改めて問いただした。
うわー賄賂を認めてるよこのおっさんと私が思っているとスライアは一つはぁ、と大きくため息をつくと
「俺はプリラシア公国第9師団副兵士長のスライアだ。斥候ではないしかといって罪を犯して国から追われてこの国に逃亡したわけでもないが……」
とあっさりと身分を明かしてる。
ヒルコスは
「プリラシアっていやあ海を隔てた隣国じゃねえか斥候でも犯罪者でもないならなんなんだ。誤魔化さずはっきり言いやがれ。」
と続きを促す。
「言ってもいいがどうせ信じないだろ。」
とスライアが言い淀むと
「んなもん言わねーと信じるも信じないもねーだろうがよーいいからさっさと吐きやがれ。」
とヒルコスは再度促すがスライアは口を閉ざした。
その様子に
「テメーいい加減にしやがれ。テメーもぶちこまれたくなけりゃ喋るかこの場で俺を殺してこの町から逃げるしかねぇんだぜ。」
とイライラした口調で捲し立てると
「……に……された。」
とスライアのほぼ聞こえないくらいの音量に
「はぁ?聞こえねぇよ。」
とヒルコスが聞き返すと
「魔方陣で何者かに飛ばされた。」
とスライアが今度ははっきり喋るとヒルコスは目を見開くと
「はぁ?今時魔方陣で飛ばされただぁそんな魔方陣は随分昔に禁術になったはずだぜ。真面目に答えろや。」
と否定したヒルコスだがスライアの目をじっと見つめ嘘を見抜こうとすること数秒……
「あー嘘だろ俺の手に負えそうもねぇ次元の話じゃねぇかったくよ。上に報告するのも面倒だ。俺はその話は聞かなかったことにするからな。わかったな?あれだ奴隷として裏の奴隷商に売り飛ばされて他国に運ばれた所で逃げ出した、もうこれでいいな。」
とヒルコスは真実から目を背けると適当に話を作り保身に回ることにしたらしい。
次に私の方を見て
「お嬢ちゃんは?」
とヒルコスが聞くので
「迷子です。」
と答えると
「嘘つけー。だいたい何処からの迷子なんだ。人種自体が違うだろ。」
と思いっきり突っ込まれた。
まあ確かにこの辺りの人は砂漠地帯だからか少し黒いかなとは思ったがやっぱり誤魔化されなかったか。




