第三十七話 崩壊後も続く活動
もう同好会でいるのはやめだ。
僕は部をつくる。
近いうちに爆誕する予定の、おさんぽ部。その顧問に据える先生は、あの人しかいない。
そう思って職員室の扉を叩いたのだが、姿がなかった。
担任の先生に聞いてみると、
「ああ、ギャル先生なら、やめたよ」
「え」
「なんなら校長と教頭もいなくなったから、いま忙しいんだ」
ギャル先生は、先生じゃなくなった。
何になったのか。
確証はないけれど、偶然に、ものすごく似ている人をみた。
たまたまネットのニュースサイトをみていたら、大きな会社の取締役が交代したとか、新しい医療技術の特集とかいったラインナップにまじって、アイドルグループの話題があった。
新メンバーの中に、ギャル先生にそっくりな人がいた。
「オトナっぽいって言われるんですよぉ~」
現役女子大生を名乗っていた。ギャル先生だとしたら年齢詐称だ。
同一人物かどうか確かめるためにメッセージを送ったものの、既読スルーされたので真偽はわからない。ただ一つ言えるのは、ギャル先生なら、どんな場所でもやっていけるだろうということだ。
とにかく、ギャル先生は学校からいなくなった。それは動かぬ事実だ。ならば、顧問については後回しだ。
先に、他のメンバーを集めることにしよう。
どういう関係であろうとも、たとえ、とびきり気まずくとも、強い覚悟が必要でも、新しい部に必要なメンバーを僕は集めるんだ。
誰もが認める可愛さと明るい性格から、学校中の人気を集める丘野下きらりは、ずっとそうだったかのように元気な姿で、学年問わず憧れを集め続けていた。
僕は、浅川を連れて二年生の教室に行き、彼女を勧誘した。
「きらりちゃん、おさんぽ部に入らない?」
「待ってましたよ、先輩!」
成功だ。
放課後、きらりちゃんに部室で待ってもらうことにして、僕は浅川を連れて、隣町の私立中学校に向かった。門の近くで待ち構えていると、五人組の女子集団に、ひときわ目立つ髪色をした女の子が真ん中にいるのが見えた。
茶色い髪とも違う。茶色と黒のグラデーションとも違う。金色の髪になっていた。
「また髪色変えたんだね、さやかちゃん」と僕は声をかけた。
「ま~ね。似合う~?」
そこで五人組の女の子たちの一人が、「この人たち、前もいたよね。何なの、さーや」と言った。
さやかちゃんは答える。
「部活の先輩! だから、またね~」
僕たちに合流した。
「これから始まるんですね。あたしたちの戦いが!」
「さやかちゃん、何と戦うんだよ。おさんぽ部だぞ」
「えへへ、冗談です!」
さやかちゃんは言って、きらりちゃん以上の満面の笑顔を見せつけた。
そして僕は、担任の男性教師に頼み込み、顧問になってもらう約束をとりつけた。
全ての書類も漏れなく記入した。
おさんぽ部の設立を正式に申請して、そして――
審査落ちした。
僕らは永遠の非公式の立場を得た。悪くない。




