シーズン2 4
翌日、学校から帰宅して、課題を片づけた後、ゲームの世界へとダイブした。
昨日まで行われていた六対六の盟主戦の結果を見てみると、僅差で私たちが敗北していた。これで、私個人としては一勝三敗の黒星先行である。
(今回も勝てなかったなぁ。どうすれば勝てるんだろう?次の同盟戦はわからないなぁ・・・)
そう考えながら、盟主戦の報酬を受け取る。チケットクジ五枚に一万バーシル。
そして、個人の順位を確認すると、1520位と2位上がっていた。
その後、昨日援軍を送ってもらっていた三人にお礼のメッセージを改めて送った。
今日は、昨日までと同じで、汎用スキルの【移動速度上昇】をまだ憶えさせていない英雄に憶えさせる。今日は、クラスAのスブタイとジュチにクラスBの徳川家康の三人だ。一度に研修できるのは三人までで、内政官を増やしても、研修の時間が短くなるだけで枠は増えない。仕様とはいえ、一度に三人までしか研修できないのがもどかしい。スキルのレベルアップも、研修が終わらないとできない。
だが、始めたばかりの頃は、ランカーの人だって同じはず。そう、自分に言い聞かせ、もどかしさを我慢する。
そういえば、他の施設のレベルはどうだっただろう。ほぼ、同時進行で行っているのでだいたい同じくらいのはずと思いつつも確認する。
資材の倉庫があふれてそうだったので、慌てて、レベルを上げる。とはいっても、次のレベルに上がるには、約二時間後。その時間にまた資材があふれてしまうので、他に上げれる施設はないかと見てみると、軍事系施設の武具工房がまだレベル9の一桁だ。資材も十分に足りているし、そこを上げよう。さらに、他にはないかと画面とにらめっこ。
施設を順にみてゆくと、二個目の駐屯地が建てた時のままだったことに気づいた。レベルアップの予約として、三回を入れる。これで資材のだぶつきが無くなったはず。
翌日、運営からある企画が発表された。
それは、来月の最後の週の土日に行われる盟主戦についてだった。
いつの間にか日本に定着してしまった西洋のお盆に当たる、ハロウィン。それに引っ掛けた特別な盟主戦だという。その盟主戦で使用できる英雄は、神話と欧州史、アメリカ史の三つの枠の英雄だけという。そして、この二週間の間は、課金であるルゴードクジからは、この五枠の英雄が出現率がアップするそうだ。そして、この対戦の報酬として、参加者全員に、シーズン1と2の盟主英雄を除いた、クラスCのこの五枠の好きな英雄を一枚をプレゼントだそうだ。
とりあえず、手元にある神話枠はずっとお世話になっているアマテラス、ヘラ、メデューサの三名(柱?)。欧州史はルイ十三世一人。アメリカ史の枠はまだ誰も手にしていない。たった四人で、一戦、戦い抜けるとは思えないのだが、課金で集めるほどでもないかと思ったが、通常のバーシルクジでこの三枠の英雄が出るとは限らない。
(課金してみるかなぁ・・・)
とも思ったが、とりあえずバーシルクジであれば十回引けるので、とりあえず、一回引いてみることにした。
登場した英雄は全員、これまでのバーシルクジで引き当てた人物ばかりで、その上、クラスは最初のEばかり。
(あーあ、ガッカリ。でも、そんな時もあるよね)
と気持ちを切り替え、英雄のレベル上げはもちろん、汎用スキルの習得など、次のハロウィン特別戦に向けての準備を始めた。
そして、迎えた五度目の盟主戦。相手は、源頼朝領だ。個人的には今度こそ勝ちたいし、リチャード一世領に籍を置く他のプレイヤーだって同じだろう。プレイヤーの数はほとんど変わりがなく、最初の時のように戦力差もあまり無いはず。なぜ、そう言えるのかと言えば、汚いと思う人もいるかもしれないが、前回の同盟戦の時に、各領の主だったプレイヤーの戦況報告をみて、誰がどんな人物を持っているのかをチェックしておいたのだ。
けれども、主力で使う軍と対人戦専用に鍛え上げた二軍体制でプレイしている人がいれば無駄になる可能性もあるのだが、そういうところがこの手のゲームの面白さでもあるので、得た情報は鵜呑みにしない。本音を言えば、私も、早くそういう二軍体制にしたいのだが、まだ、アルバイトもできない高校生の身。クラスアップなどの必要最小限の範囲での課金しかできない。しかも、来年は受験なので、このゲームにインすること自体が減るだろう。とりあえず今は、受験の間に、ゲームがサービス終了にならないことを祈ろう。
こうして始まった、源頼朝領との盟主戦。結果を言えば、我らリチャード一世領はやっとの初勝利となった。だが、私としては手放しでは喜べない勝利だ。なぜなら、相手方の強豪プレイヤーが、今回の特別戦の使用英雄の特殊ルールを嫌ったのか、今回の盟主戦は参加賞や特別褒賞がもらえる最低ラインの100ポイントを獲って引き上げていた。そういうこともあり私は、本当に勝った気がしないのだ。
リチャード一世領の他のプレイヤーたちは、素直に喜んでいるようだが、私には違和感がありなんとなく喜べなかった。この対戦には、勝敗に関係なく通常の報酬とは別のご褒美があるので、欧州史枠のマゼランを申請した。
そんな感じで、初勝利の喜びに酔えない私は、最初のチュートリアルの時、内政官として田畑に置きっぱなしになっている、加藤清正のことを思い出した。
カードランクはEではあるが、レベルがマックスの50になっている二人目の清正と交代させる。
いま交代させた方の清正を大将にして、いつも狩猟に出かけていた森の一つとなりの森に平将門や梁紅玉などを連れて、まずは狩猟に行かせ清正のレベルを二けたにする。その後から、同じ場所へ兵士を連れて、軍事訓練に行かせる。そんな感じで狩猟と軍事訓練をうまく組み合わせていけば、英雄レベルの底上げにもなる。
(それにしても、内政官が足りない・・・)
現在、主に内政官として置いている英雄は、病院のヒポクラテス。学問所の吉田松陰、藤原定家。市場の玉麒麟盧俊義。武具工房のミケランジェロ、エジソン。内政監督署の魯粛、田沼意次。軍師監督署の周瑜。田畑に加藤清正。
いまの手持ちの英雄で、内政官に向きそうなのは、エカテリーナ二世、諸葛謹、諸葛亮、久坂玄瑞、大黒天、狩野永徳。そのうち、久坂玄瑞と諸葛亮がダブっているので、この二人のレベルを上げていくことにしよう。
(諸葛亮はどっちが正解なんだろう…。内政監督署?武具工房?)
このゲームは、割と史実での偉業や事績を反映していることが多いので、二つの事柄にわたっている英雄は、候補が二つある場合、どちらが正解なのか解らなくなる。
そうやって英雄たちの様子を見ていた時に気づいたのだが、以前、手にしたジャンヌ・ダルクの枠が[大軍人]ではなく[欧州史]の枠だったことに今更ながら気が付いた。
(この前のハロウィンの時、バーシルクジを引く必要なかったじゃん。でも、冷静に考えれば、軍人じゃないから、欧州史になるはずだよね。史実のイメージに惑わされてたなぁ・・・。)
と先日行われた、ハロウィンの盟主戦でのことを思い出した。
そうして、英雄たちの底上げをしながら、気がつけば、次の盟主戦になっていた。
六戦目の相手はエリザベス一世領だ。盟主順位は、私たちリチャード一世のひとつ上。ポイント差を見れば、この戦いに勝った場合、順位が入れ替わる可能性がある。
それに気づいていた人が多かったのか、今回は、私も含めて、リチャード一世領のほとんどのプレイヤーが参戦し、相手を圧倒した。だが、それは相手も同じだったようで、自分たちの順位を死守するため、籍を置くプレイヤーのほとんどが参戦し、初めての大激戦となった。私もNPC戦である次元の歪みは今回までと覚悟を決め、初めて、相手方の領地に拠点を築いたのだが、私が次元の歪みをやっている間に、自領の他のプレイヤーに、相手方の盟主拠点のほとんどが破壊されていた。
(初めての対人戦をできるかなと思ってたけど、次回以降に持ち越しだね)
私は初日である土曜日が終わった時にそう思ったのだが、二日目の日曜日は、相手方の各プレイヤーが次々に、自領拠点を復活させ、私たちを蹂躙した。
(昨日は様子見だったのかな・・・)
と昨日の相手方の戦況を確認すると、昨日の防衛メンバーと今日の攻撃メンバーが全く違う人がかなりいて、驚いたことに、シーズン1と2の盟主で固めているというわけでは無く、クラスAやSの英雄に防衛や攻撃とそれぞれの系統の汎用スキルを習得させているというかなり練度の高い軍で戦っていたことが判明。いつの間にか、相手領内に作っていた私の拠点も破壊され、出撃出来なくなっていた。
(仲間が攻められた時の戦況を見てて、弱いとは思わなかったけど、防衛と攻撃の二軍体
制どころか、攻撃か防衛の軍をさらに一軍作って三軍体制でやってる感じだなぁ・・・)
(この勝負、面白い)
と私は三軍体制でプレイできる羨ましさを感じつつも、この激戦を楽しいと思った。
翌日、学校から帰宅して、ゲームを始め、昨日までの盟主戦の結果を確認すると、領主拠点や拠点の破壊、攻撃によるポイントは私たちが勝っていたのだが、順位は、相手方の防衛で加算されたポイントの差で、入れ替わっていなかった。
(攻防一体で戦われたら、入れ替わりはないか・・・)
そう、甘くはなかったと少しがっかりした。
でも、これで、ひとつの目標が定まったような気がする。内政の充実とできれば三軍体制を目指すという。
(でも、来年は受験なんだよなぁ・・・。ゲームをするため、進路を就職にを変えるのもおかしな話だし、かえってゲームの時間が無くなりそう)
と年が明けてのことを考えると憂鬱になった。




