ゲームを始めよう2
「さて、まずは資材を貯めるために一時間当たりの生産量を上げるか・・・」
私は、こういうゲームの基本である資材を貯めるため、まずは、生産施設のレベルを上げることにした。
とりあえず、製材所、精錬所、工芸工房、牧場と建築した順にレベルを上げていくことにする。田畑に関しては、内政官として加藤清正を置いているので、他の施設よりも一時間当たりの増加量が他と比べるとわずかに多いので、他の資材の余裕が出てくるまでは放置しておくことにする。
牧場のレベルを上げようとした時、木材が不足していたので領主拠点のすぐ隣の森まで資材を得るため、狩猟に出かけてみることにした。
ゲーム内のヘルプによると、狩猟は、各英雄たち一人一人が行う探索のようなもので、軍事訓練と違い、必ずしも兵士たちを連れていなければならないというわけではないので、とりあえず、ほとんどの陣形と相性の良いクラスSとAの英雄が持つ発展陣形の鉤行の陣を持つアマテラスを大将にして、大将を含め最大で十人までの軍にできるので、田畑に司令官として配置した加藤清正を除いたメンバーのうち比較的弱点の少ない、初期陣形の衝軛の陣を持っているエカテリーナ二世にお留守番をお願いして、残りのメンバーを得意位置に従い配置していく。片道二分で往復、四分。
画面を見つめながら、とりあえずこの一週間でやっておくべきことを考えていると、アマテラスの軍が狩猟から帰還したようだ。
帰還した軍を見ると、大将であるアマテラスが1、副将にしていた徳川家康が1とそれぞれレベルが上がっていた。三軍目以降の英雄が上がっていなかったので、ゲームのヘルプを読んでみると、狩猟でレベルが上がるのは大将と副将の英雄だけで、三軍以下に配置した英雄は上がらないとなっていた。
(それなら、少ない人数で仕立てて、複数の軍を同時に送る方が効率的かな?)
私はそんなことを考えながら、改めて、英雄のレベル上げについてヘルプを読んでみると、このゲームには経験値というシステムが存在せず、狩猟の場合は大将と副将だけのレベルが上がり、軍事訓練の場合は、派遣した場所での戦闘に勝利すれば、一軍全員のレベルが1上がり、陣形の相性が悪かったり、攻撃力が足りずその場所を制圧できずに負けてしまった場合は大将だけが1レベル上がるということだった。そして、うまくいけば今度の土曜日にデビューできるはずの盟主戦では、NPC戦である次元の歪みの城塞の戦闘を勝利して破壊すれば大将と副将は3レベル、三軍以下は2レベル上がるようになっている。
だから今の時点ではアマテラスと徳川家康が各一レベルずつ上がっただけである。
なので、狩猟でレベル上げをする場合は、二名一組という感じで行う方が効率が良いようだ。だが、このゲームの忘れてはならない要素の一つである陣形相性がある。相性が良い場合は、兵士の多寡に関わらず勝てる場合が多いのだが、相性が悪かった場合は最悪、英雄が怪我をすることを考えておかなければならない。そして、この陣形と言うのは、前衛、中衛、後衛の三列からなり、さらにそれぞれが縦に三列ずつ並ぶ。
ちなみに、たった今、狩猟に出かけた森の陣形は、鋒矢の陣である。
鋒矢の陣とは、名前通り、矢じりをかたどった陣形で、最少人数の五名の場合、大将と副将は中衛、前衛は三角形を描くように三人目、四人目、五人目が大将の後ろにつく陣形。これが英雄のクラスが上がるごとに、一人ずつ追加されていき、鋒矢の陣を持つ英雄がクラスAになれば、これが発展した錐形の陣あるいは集密の陣のどちらかに切り替わる。これについては、どちらになるかは、鋒矢の陣を持つ英雄にあらかじめ設定されているようなので、プレイヤーが選ぶことはできないようだ。
そして、盟主英雄でもあるアマテラスが持つ鉤行の陣は最大人数である十人で仕立てることができ、アルファベットのTの字のような陣形で、大将は中衛でT字の一画目の横棒に前衛四人と中衛として両サイドに一軍ずつ付き、大将の後ろに七軍、八軍とつき、九軍、十軍は後衛として縦に並ぶ。
それから、盟主英雄は始めから、発展陣形だけを持っていて、先に挙げた、錐形の陣や集密の陣を合わせて全部で十種類ある。
この鉤行の陣が歴史上どんな軍学の本に記されているのか気になったので調べてみると、三国志演義の物語で有名な諸葛亮孔明が編み出した陣形で、ゲームのヘルプでこの陣形の弱点になる陣形を調べてみたら、横木などの基本陣形は鋒矢の陣だけが弱点で、それ以外の陣形には強く、その基本陣形を発展させた発展陣形は、竜渦の陣が弱点となっていて、ほぼ、弱点の無い陣形だ。
(まぁ、陣形ってだいたい中国だよねぇ・・・)
と私は思った。
こうして、資材を獲得し、各生産施設が1レベルずつ上がった。
(さて、次は何をしようかな・・・?)
私はそんなことを考えながら、メインの画面のメニューに『クエスト』と書かれているところを見つけたので、そこを見てみると、一日ごとに達成していく、いわゆるデイリークエストと一週間をかけて達成するウィークリークエスト、一ヶ月以内で達成するマンスリークエストの三つのページがあった。
まず、今日こなすことのできるデイリークエストを見てみる。そこには全部で五つの指示が出ていた。
・兵士を十人募集しよう(兵種は問わない)
・施設のレベルを上げよう
・軍を編成し、狩猟あるいは軍事訓練に出てみよう
・武具工房で武具を作ってみよう
・英雄のレベルを上げよう
どのクエストも一時間もあれば達成できそうだ。
とりあえず、施設のレベル上げと『軍を編成して~』そして、英雄のレベル上げの三つの項目は達成しているので、その項目をクリックすると、まず、施設のレベル上げでは、報酬として、木材、金属、工芸品、食料が各300をもらうことができた。次の『軍を編成して~』では、狩猟の報酬、軽歩兵、軽弓兵、軽騎兵を各200人をもらうことができた。次に、英雄のレベル上げの報酬は、木材、金属、工芸品、食料が各200だ。
(割とまとまった数の兵士がもらえたなぁ・・・。次は、兵士の募集かな・・・。
その前に、倉庫や駐屯地のレベルも上げないと・・・)
次は兵士の募集だが、割とまとまった量の資源や兵士が手に入ったので、溢れてしまわないように、先に倉庫と駐屯地のレベルを上げてから、兵士の募集を始める。
練兵所をクリックし、軽歩兵を10名募集する。八分後、兵士の募集が終わり、メインメニュー
のクエストから報酬、木材、金属、工芸品、食料が各100をもらうことができた。
最後に武具工房で武具を作ることにする。赤い屋根に、剣と盾の看板のついた武具工房をクリックする。すると、武器と防具どちらを作るか聞いてきたので、とりあえず武器の方をクリックする。そして、木材、金属、工芸品、食料の各資源のイラストが描かれたものが出てきて、そこに、それぞれ数字を入れていくようだ。まだ、資源そのものが心もとないので、10ずつ入れていく。すると仕上がりまでの時間だろうか、二時間二十分という数字が出てきた。
(えー、完成まで、二時間以上かかるの・・・)
このゲームで表示される時間は、どんな時でもリアルタイムなので、完成まで二時間以上。
「二時間、何するかな・・・」
とつぶやくように言った私は、とりあえず、パソコンの電源を落とし、しばらく勉強をすることにした。
武具の完成までの二時間少しのつもりで、教科書を読んだり、ノートを見返したりしていて気が付いたら、三時間も経っていた。勉強は新しい知識が増えるので嫌いではないので、こんな感じで三時間近くやっているということもある。教科書やノートを片付けて、パソコンの電源を入れ、今日から始めたゲームの世界へアクセスする。
自領の現状を見ると、三時間で、各資源が少し増えていた。
肝心の武具はどうなっているかと言うと、杖系の武器、メイスができていた。
(各資材が十ずつだったから、基本的なものしかできてないや・・・)
と考えるのだが、司令官を配置すれば何か変わるかもしれないので、私は再び、バーシルくじを引いた。もちろん、十回連続の方で。今回は、すべての珠が白かった。すなわち、英雄のランクはすべてランクEだ。それでも、とりあえず頭数をそろえたかったので、ランクには目をつむる。
登場した英雄は、ミケランジェロ、周瑜、明智光秀、大谷吉継、木村重成、ヘンゼル、若紫、久坂玄瑞、吉田松陰、田沼意次、ボルテだ。
史実の業績を考えて、司令官にできそうなのは、ミケランジェロ、周瑜、吉田松陰、田沼意次だろう。とりあえず、合っているかはわからないが、ミケランジェロは武具工房に、吉田松陰と田沼意次は内政監督署に、周瑜は軍事監督署へと配置してみた。すると、
『内政施設の製造量が10%アップしました』
『内政施設の建設スピードが10%アップしました』
と出たので、合っていたようだ。次に軍事監督署に周瑜を配置した時、
『兵士の訓練速度が5%アップしました』
と出た。ここも合っていたようだが、周瑜は、軍人としても育ててみたいので、二人目が手に入ればいいなと思っている。これは、現状、田畑に配置している加藤清正も同じだ。
(そういえば、登録時にもらった、英雄たちの事ちゃんとみてないや)
そう考えて、改めて、手元の英雄たちを精査する。
(藤原定家を学問所に入れてみるといいかも?あと、吉田松陰を監督署から学問所に配置換えしてみるのはどうだろう?)
そう思った私は、吉田松陰を監督署から外し、定家とともに、学問所に配置してみた。すると、
『吉田松陰を任命したことによりボーナス8パーセントが付加されます』
『藤原定家を任命したことによりボーナス8パーセントが付加されます』
というメッセージが続けて出てきた。どうやら間違っていなかったようだ。
まだまだ、英雄が足りない。でも、今の時点でこれ以上増えたら、英雄を強くするレベル上げがおろそかになる。
そう考えた私は、しばらく英雄のレベル上げに専念することにした。




