ゲームを始めよう 1
昨年、九月から十一月まで投稿していました小説のリメイクです。
投稿していくうちに、いろいろとおかしなところを多々、見つけたので、それを改めての再投稿です。
なにとぞ、よろしくお願いします。
私がそのゲームに出会ったのは、たまに買う歴史雑誌の記事からだ。
そのゲームの名前は『ドリーム・ヒーローズ・ヒストリー』。インターネット上でプレイするいわゆる、プラウザタイプのネットゲームだ。
雑誌の記事によると、いまの時点ですでにサービスが始まっていて、もう最初のシーズンの終わりが近いようだ。のようだ。古今東西の歴史上の英雄、美女果ては神話の神々や敵役である怪物たちとそのゲーム内の歴史を破壊しようとする正体不明の敵と戦っていくという戦略シュミレーションゲームだ。
まず、プレイヤーの立ち位置は、豪族と呼ばれる小さな領主であり、すべての英雄の代表者である十二人の盟主の中から仕える英雄を一人選び、その盟主英雄のもとでほかの盟主英雄の配下である豪族と週に一度行われる盟主戦を戦い、自分の仕える盟主を大盟主に押し上げるというのがこのゲームのスタイルのようだ。その押し上げた盟主英雄と正体不明の敵との最終決戦のような大きな戦いが準備されているのかは、その記事には書かれていなかった。
内容に興味を覚えた私は、さっそく、プレイヤー登録するために、ゲームのホームページへとアクセスした。
アクセスすると、ゲームのタイトルとともに、現在の盟主英雄たちのイラストが描かれたスタートページが登場した。
私は初めて登録するので、新規登録をクリックし、まず登場したゲームの利用規約などを読む。そして、自分のメールアドレスや住所、氏名などの個人情報を登録する。そして、ゲーム内で使用する名前を登録するのだが、その時、次のような但し書きが現れた。
『このゲームでは、様々な演算プログラムの関係で、一度お決めになられた名前はゲームのデータを削除されるまでお使いいただくことになりますので、十分に考えた上でお決め下さい』
と。
ネットゲームでは、途中で名前の変更ができるものが多いのだが、このゲームはそうではないらしい。だから、下品な言葉や意味の名前など絶対に登録できない。もっとも、使う本人が気に入っているのなら別なのだが・・・。
次は、自身の領地の館のデザインを選ぶようだ。
日本の城郭や寺社のような純和風のものから、ヨーロッパの城塞都市や教会、神殿をイメージしたもの、東南アジアの寺院や民家風のものもあり、果ては、エジプトのピラミッド風の物まである。そんな中で、ひときわ異彩を放つのは、現代的な高層ビルやどこかのショッピングモールをイメージしたかのようなものまで盟主の館のデザインも古典的なものから現代的なものまで各種用意されているようだ。
(昔の人が、今の建築を見ると『城?!』なんて思っちゃうかもしれないなぁ・・・。さて、どれを選ぼうかな・・・)
オーソドックスだけど和風の城郭もいいし、ヨーロッパの城郭も眺めていて楽しそうだ。でも、あえて、このゲームのコンセプトを楽しむ意味で現代風の高層ビルも楽しいかしれない。
(いきなり、いろいろと迷わせるなんて、面白いゲームだなぁ・・・)
そんなことを考えながら、結局、私は、和風の城郭を選び、次の選択に移った。
次は、仕える盟主を選ぶようだ。
上下二段に分かれ、金色の額縁に入った肖像画のようなイメージの絵が現れた。
額縁にカーソルを合わせると、そこに描かれている各盟主英雄が全身イラストとなり、英雄のエピソードや所持する特技というべきスキルとその説明を伝えるメッセージが表示される。
まずは一人ずつ見ていこう。始めに登場したのは戦国時代の甲斐の国を統治した武将、武田信玄。次はライバルの讒言で、政治の中心から、筑紫の国、太宰府に左遷され、死後は学問の神へと神格化した菅原道真。紀元前のエジプト第4王朝の王の一人で、ギザの大ピラミッドの建造で知られるクフ王。群雄割拠の戦国の世の中国を初めて統一し秦王朝を建てた始皇帝。漢王室の末裔で皇叔と呼ばれ三国鼎立の時代には蜀を建国した劉備。万能の天才と呼ばれ、たくさんの発明品や名画を遺したレオナルド・ダ・ヴィンチ。シカゴに拠点を置きアメリカの裏社会を仕切ったアル・カポネ。千年に渡り読み継がれてきた、世界最古の恋愛小説の主人公、光源氏。軍事の天才であり、革命後のフランス皇帝、ナポレオン。日本神話の最高神にして太陽をつかさどる女神、アマテラス。豊臣秀吉の側室で、息子・秀頼を産んだ淀殿。マリー・アントワネットの母で民衆から女帝と呼ばれ、オーストリアの基盤を作った、マリア・テレジアの十二人。いずれも、古代から近世まで世界各地の英雄をそろえ、ゲームの開幕にふさわしい選抜だと思う。
(ふむ。誰にしよう・・・。)
一人一人をじっくりと見ていく。
今年の四月からこのサービスが始まっていて、半年ごとに、勝敗を決する。そう、私が読んだ雑誌にはそう書いてあった。今が九月の十二日なので、仮に、いま登録をするとこのシーズンの残り時間は、二週間ほど。
(もう少し待てば、新しいシーズンのスタートからできるんだよね。
でも、シュミレーショということは、いろいろ施設を建てたりとかがあるんだろうし、そういう時間を 省くという意味では、いま始めるのがいいのかもしれない)
私は、各盟主のイラストを見ながら、そんなことも考えた。
そして、
(短いお付き合いかもしれないけど、せっかくだから、日本の最高神を選ぼう)
と私はアマテラスに仕えることにした。カーソルをアマテラスに合わせクリックすると、肖像画から、赤い上着に白のスカートをはいて、腕に光を放つ鏡を持つ全身イラストに変わる。
『私に仕えるはそなたか。共にこの世界に巣食う歪な者どもを降伏させようぞ』
というメッセージが表示された。
次は、領地の場所だ。東西南北そして、中央の五か所に分かれている。
(真ん中は、すでに強い人がいっぱい、いるだろうから、うん。ここは、北でいこう)
私はそういう後ろ向きな気分で『北』を選んだ。
すると、シーズン末期に近い、こんな時期に登録したからなのか、北も北の僻地といってもいい場所に領地を与えられてしまった。盟主館を中心に東西南北30マスの範囲も北側が0と本当に世界の果てのようだ。とんでもない場所に配置された。配置された場所の周りを見てみると、館の南側六マスは川になっていて、その上、森や山岳に囲まれた場所で、ご近所の豪族も50マス程とかなり遠い。残り二回の盟主戦で、攻め込まれにくい場所であると同時に、こちらから攻めていくのも大変という場所だ。シーズンが変わり、領地の場所も選び直しができるといいなぁなどと考えてはいるが、それはないかなぁとも考えたりしている。
(うーん、登録する時期、間違ったかなぁ・・・。もうすぐシーズン1も終わるし、それを待って登録した方が良かったかも・・・)
とも考えたが、プレイしてみたい気持ちを抑えることができなかったので仕方がない。
さあ、今度はゲームの遊び方をおぼえるいわゆる、チュートリアルだ。
ここでは、内政の進め方や盟主戦や通常戦の戦闘について解説される。
まずは盟主から、木材、金属、工芸品、食料が各5,000ずつ配られる。そして、ゲーム内通貨のバーシルが1,000も渡された。
ここからは、プレイの仕方を憶えるためのチュートリアルである。
内政は、まず、先ほど話題にした学問所などの兵士を育成する戦闘関係の建物や、食料や建物を建てる時に必要になる資材所を建てていく。
『好きな場所に、各施設を建設してください』
と出た。
画面の中央に領主の館が建ち、その正面と左右に15マスずつの空き地がありそこに各施設を建てていくようだ。私は画面を見つめながら、
(場所の指定とかは無いわけだね。・・・ということは、施設の系統別に分けて建てるほうが後々わかりやすいだろうね)
まずは、施設を作ってくための施設である製材所、精錬所、工芸工房、市場、田畑、牧場、倉庫の七つをひとつずつ建てていく。
こういう街づくり的な部分は、たいていのゲームでは、場所の指定とかがあったりするものだが、このゲームにはないらしい。
(うーん、施設の数が内政系と軍事系でアンバランス。向かって左側と右側を生産施設で埋めよう。領主館の前は軍事関係で・・・)
私はそんなことを考えながら、一番奥のマスは製材所を建て、手前に向けて精錬所、工芸工房、田畑、牧場の順で建設の予約を入れていく。
一つの建物が建ちあがるまで、リアルタイムで、ひとつにつき、一分半。合計十分半。これを長いと感じるか、短いと感じるかは本当に一人一人、さまざまだと思う。どちらかと言えば、私は、短いと感じる派。
製材所などの施設の建設が終わったら次は、田畑、牧場、市場を一つずつ。そして、倉庫をとりあえず二つ建てる。
各施設が立ち上がったら次は、
『内政監督署を建てよう』
と出た。
指示に従い、私は空いているマスを見ながら、建てる場所を決める。
(内政施設だけど、領主館の正面に建てよう)
私はそう考えながら、領主館の真正面のマスをクリックして建築予約を入れた。
時間は二分ちょうど。
建ち上がる間、画面を見つめ残りの施設の建築の計画を練る。
内政監督署が建つと次の指示が現れた。
『軍事関連の施設を建てよう』
と出た。
軍事関連の施設は、軍事監督署、兵科研究所、練兵所、武具製作所、駐屯地、学問所の六つだ。内政施設に比べると数は少ないが、どれもこういったタイプのゲームには欠かせない施設だ。
いま内政施設が建ち上がるまでのあいだに考えていた通りに、各施設を配置する。
内政監督署の隣のマスに軍事監督署、兵科研究所、練兵所、武具製作所、学問所と五つの施設を建てる。
(内政監督署の隣に軍事監督署。うん。いい感じ)
そして、その隣のマスに兵科研究所と武具製作所、練兵所、学問所を建て、いま建てた三つの軍事施設の下側になるマスに兵士たちを留めておく駐屯地を建てた。
軍事施設を建てている間に私は、内政、軍事の各施設の最大レベルやそこまでの時間とかが知りたかったので、もう一つプラウザを開いて、ゲームのサービスが始まって既に半年が経とうとしているので、恐らく存在するであろう、このゲームの攻略のまとめのようなものがないか検索してみた。
すると、データのまとめや個人の攻略ブログがいくつかヒットした。
まずは、データのまとめの方を読んでみるとそこには、田畑、牧場といった資材生産施設系の最大レベルは50で病院、リゾートホテルはレベル10、倉庫はレベル30、内政監督署はレベル10となっていた。軍事施設の方は、駐屯地を除く各施設がレベル10であり、駐屯地は倉庫と同じレベル30となっていた。
軍事監督署が建ち、次の指示が出てきた。
『練兵所で兵士を10名募集しよう』
(ふむふむ、次は兵士を募集するのね)
私はそんなことを考えながら、練兵所をクリックし、いま募集できる兵士を表示させると、そこには以下の三つの兵科が書かれていた。
・軽歩兵
・軽騎兵
・軽弓兵
一緒に一名当たりの必要な資材が書かれていたので、今の資材の残り数を見ながら考える。
(うーん。とりあえず、軽歩兵を10名にしよう)
軽歩兵をテンキーで『10』と数字を入れる。すると、募集終了までの時間が『8:00』表示された。
(八分かぁ・・・。まだレベル1だし、しかたないか)
おとなしく終わるのを待つ。
八分を待つ間に、どんな偉人が実装されているのか知りたかったので、メニューの「クジ」の項目の排出英雄をクリックした。
そこには、今の時点で英雄として実装されている偉人や神様、物語の主人公の数に驚いた。まず、日本からは三十六歌仙の歌人たちや武田二十四将、赤穂浪士といった武将や武士たちに古事記や日本書紀に登場する神々。古代ローマの哲学者たちやヨーロッパの様々な王朝の政治家や学者、ギリシャ神話の登場人物や中国の神仙や思想家など、本当に世界中のあらゆる時代や物語の登場人物たちが時代や地域を問わず登場していた。
(本当にすごい数が実装されてる・・・)
私は驚きを隠せなかった。武田信玄やレオナルド・ダ・ヴィンチのような有名どころから、クセルクセス一世やリリウ・オカラニといった知る人ぞ知る偉人まで幅広く登場していた。
ふと時計を見ると、兵士を募集していたことを思い出したので、プラウザを元に戻す。
そこには兵士の募集が終わり、次の指示が出ていた。
『支度金(1,000バーシル)を使ってバーシルクジを引こう』
(なるほど、始めの1,000バーシルはこのためなのね)
メイン画面を上側と向かって右側に逆L字型に作られているメニューバーの中の『クジ』と書かれたところをクリックするとさらに『バーシル』、『ルゴード』、『チケット』と書かれたバーが出てきた。
私は『バーシル』をクリックすると、薄暗くなった画面の中央に抽選機が登場し、それがくるくると回ると、十一個の玉が飛び出てきた。
白い珠四つに、赤い珠三つ、金色の珠三つ、そして、緑の珠一つだ。
飛び出した珠が長方形のカードに変化し、それが裏返ると今回手にした英雄たち変化した。
白い珠はクラスEで珠の色と同じく白い縁取りがされている。登場した英雄は、藤原定家、近藤勇、メデューサ、加藤清正の四枚。次のクラスDは赤い縁取りがされている。狩野永徳、猪八戒、ヘラの三枚、クラスCは金色のような感じで縁取られたカードでエカテリーナ二世、松井康之、ムカリ。そして、クラスBは緑の縁取りの徳川家康。どうやら、珠の色で獲得した英雄のクラスもわかるシステムのようだ。国際色豊かな面々だ。そして、最後に登録時に配布される盟主英雄であるアマテラスは虹色の縁取りでイラストと相まってとても神々しい。
バーシルクジを引き、十一名の英雄と初回登録時にもらえる盟主英雄の計十二名の獲得し、次の指示が現れた。
『司令官を任命しよう』
という指示が出てきた。司令官の配置、登録時に配布された手元にある英雄カードをその施設の枠に入れればいいようだ。枠は三つまであるので、ひとつの施設に最大三人まで任命できるようだ。
(とりあえず、合ってるかどうかわからないけど、加藤清正を田畑に入れてみよう)
そう考えながら、田畑をクリックして、そこの枠に加藤清正のカードを入れる。すると、こんなメッセージが現れた。
『田畑の製造量が5%がアップしました』
と。思わぬメッセージに私は驚きと喜びを隠せなかった。
(史実では、治水事業や田畑の開発で肥後の国を富ませたからなのかなぁ・・・)
と思い、現実の事績が反映されているらしい事に嬉しくなった。
『病院とリゾートホテルを建てよう』
という指示が出たてきた。
病院やリゾートホテルは、この後、説明する盟主戦や軍事訓練で傷ついた英雄たちを休ませるための施設で、病院は体力が減りすぎたり、大きなダメージをもらった時に発生する怪我や大怪我を治療するための施設で、リゾートホテルは怪我をする一歩手前の体力が減った状態の時に体力を回復させるための施設だ。もちろん、回復までにかかる時間は施設のレベルや内政官として配置している英雄次第で変わってくるようだ。
施設が建ち上がり、
『これですべての施設が建ちあがりました。盟主英雄を覇者に導くのはあなただ!』
というメッセージが表示され、どうやらチュートリアルが終わったようだ。




