シーズン2 6
年が明けて新年になり、日中はお雑煮やお節を食べたり、家族と初もうでに出かけたりで過ごして、夜になり、さっそく初ゲーム。
そして、今年の運試しとばかりに、一回だけバーシルクジを引いてみた。すると、虹色に輝く珠が三個、緑の珠が二個、紫の珠が一個、金色の珠が四個出てきた。虹色珠ということは、クラスSの英雄が三人も・・・。
私は驚きを通り越して、何かのバグなのかなとも思ったりしたので、連合チャットで尋ねてみると、
『お知らせ読んでなかった?一日から三日までの間は最初の一回に限り、S一つ以上確定だよ』
と教えてもらった。改めて、サーバーからログアウトして、お知らせを読んでみると、確かに、いま教えてもらったとおり、お知らせに出ていた。とんだ恥をかいたもんだ。これから『お知らせ』はちゃんと読もうと決心した。
英雄の内訳はクラスSは沙悟浄、チラウン、小野小町。クラスAは孫悟空、源義経。クラスBはクビライ。クラスCは玄奘三蔵、ヴラド・ツェペシュ、ステンノだった。初めにもらった猪八戒を合わせると西遊記のメンバーがそろってしまった。
そのことをチャットで仲間に報告すると
『ツいてたね。西遊記メンバーは一緒に使うと全員のステータスがとんでもなく上がるし、移動速度もかなり早くなるよ。あと、ランクがバラバラだったら、揃えた方がいい』
とか
『あと、牛魔王とかの戦った妖怪たちも実装されてるから、彼らとも組みにしたら、また面白いことが起きるかもしれない。もし出たら、情報ちょうだい!』
とか
『源義経。低クラスで引いたんだったら、できるだけ早くクラスAにした方がいいよ。
固有スキルが、山岳、河川無視の移動スキルで、この二つを揃って持ってて、バーシルで獲れる唯一の英雄だから』
と素晴らしいアドバイスをいただいた。
さっそく、小野小町を、学問所の内政官に登用した。すると、
『小野小町を任命したことによりボーナス50パーセントが付加されます』
これで、スキルのレベルアップや、汎用スキルを憶える研修の時間が減った。
チャットでアドバイスを受けた私は、源義経に、汎用スキルの【速度上昇】を研修させることにした。他にも、今回手にした沙悟浄にチラウンも一緒に。研修終了までの時間をみて驚いた。以前は、五時間半かかっていたのが、いまは、学問所自体のレベルも上がってはいるが、クラスSの英雄を内政官にしたからか、二時間半と大幅に短縮された。
(内政官全員、クラスSにしたら、もっと減るかな?)
と考えた。小野小町以外の内政官は、吉田松陰に藤原定家、どちらも、クラスAではあるがレベルは1のまままだ。
ゲームを始めて三ヶ月。始めに手にした英雄たちは、みな、クラスAまで育ち、発展陣形も出そろっている。
(発展陣、使えるようになってから、便利だから、そっちに頼りっぱなしなんだよねぇ・・・)
(それにしても、いま引き当てた源義経が、そんな便利なスキル持ちだなんて、ツいてたなぁ)
と思っていた。
その週末、さっそく今年最初の盟主戦が行われた。相手は、芹沢鴨領だ。
芹沢鴨領とは昨年の十二月の一週目で戦ったとき以来だ。その翌週に行われた二度目の同盟戦の時のパートナーでもあった。
芹沢鴨は、壬生浪士隊(新撰組)の初代局長だが、定められた法度を守らないなど身勝手な振る舞いで仲間に殺された人物だったはず。そんなエピソードが影響しているのか、所属しているプレイヤーも五十人と少ない。勝敗が関係しているわけではないが、この盟主戦のボーナス褒章は、神話、日本中世、戦国、幕末枠の英雄がクラスBで各一枚ずつプレゼントという大盤振る舞いだ。
前に勝っている相手だし、負けたらボーナス褒賞がもらえないというわけでもないので、今回は、次元の歪みだけでのんびり戦うことにする。そして、結果は、私たちリチャード一世領の勝利で終わった。
今回の盟主戦の次元の歪みの戦いで、先日獲得した、孫悟空や玄奘三蔵などのチーム西遊記をデビューさせてみようと思ったのだが、彼らは、玄奘三蔵を除き物語枠。使うことができないので、これまでのようにアマテラスを大将にして、徳川家康や本多忠勝などの軍で歪な者たちが立てこもる拠点へと挑む。
(そういえば、トキノさんってどうしてるんだろう)
トキノさんは、前シーズンの最終戦の時、私の領地のそばに拠点を置き、その時は、バリバリの初心者だったので、攻撃してほしくないことを伝えると、快く、了解してくれた。
今シーズンが始まって、初めての同盟戦の時に、上位プレイヤーに私の領地拠点が囲まれた時も、助けに来ようとしたりしてくれたありがたい人物だ。
でも、最近は、まったく見かけないというか、ゲームにログイン自体されていないようだ。順位もかなり下がっている。
過去の戦況で、手持ちの英雄は、盟主英雄も前シーズンと今シーズン両方の英雄がそこそこ揃っていたり、追加英雄をその月中に持っていたりと、割と課金をされているプレイヤーなので、
(多分、社会人なんだろうな。仕事が忙しいとかでインしてないだけかな?)
と考えていた。
はやくも、一月も最後の週がやって来た。盟主戦の相手は、私たちリチャード一世領の最初の対戦相手であるソロモン王領だ。前回は黒星となったが、今回は、前回と違い、手持ち英雄も増え、レベルやクラスも上がり、戦略の幅も広くなった。
だから、今回は、勝ちたいと思っている。
今回は、枠の縛りもない通常戦なのでようやく、チーム西遊記をデビューさせることができる。拠点に対する破壊力とかはよく解らなかったが、移動速度が格段に上がったことは実感した。なぜなら、いつもは二万九千点台までポイントを取るには、拠点を八か所くらい破壊しないといけないのだが、その拠点同士を移動する速度が、目に見えて速く、これまで、予定ポイントまで四十分ほどの時間を使ったが、今回はその半分の二十分と少しというとんでもない速さだった。
(いつもの半分で終わっちゃった・・・)
しかし、結果は、またしても敗北を喫し、二度の同盟戦を含めてこれで、九勝八敗と勝ち星が先行しているが、順位は動かず、五位のまま。単純なプレイヤー数だけで言えば、織田信長領のほうが少しだけ多いのだが、盟主戦に参戦する人数で見ると、私たちの方が少なかったのでこういう結果になってしまったと思われる。
たかだか、ゲームに何を本気になっていると思われる人も多いだろうが、やっぱり、勝たないと、報酬も増えないし、なにより、楽しくない。
この戦いが終わった後、運営から、新たなお知らせが出た。
それは、二月の二週目の盟主戦は、バレンタイン特別戦と銘打った、いつもの特別報酬戦が行われるという。それで、今回使用できる英雄は、枠の縛りではなく、アマテラスなどの女性英雄であること。それで、そのイベント戦を見越して、二月一日からのルゴードクジは、女性英雄の出現率を上げるという。
(ゴルゴンとかメデューサは女性になるのかな・・・?)
私は運営に問い合わせてみることにした。すると、ギリシャ神話で語られるエピソードから、女性の扱いになるという回答があった。
(よし。この二人が女性の扱いなら、扱いに困ってた、若紫とかも合わせれば、ちゃんとした軍が組める)
(でも、女性は攻城兵器とか、火砲系の破壊力のでかい兵科の適性がある人、少ないんだよねぇ・・・。そこをどう補うかが今回のポイントかな)
こうして、バレンタイン特別戦が始まった。対戦相手は、三戦目の相手で、二度目の黒星だった玄宗皇帝領だ。前回は、わずかなポイント差で負けてしまったので、今回は勝ちたいと思っているが、今回は、軍を組める英雄が女性のみという特殊ルールがある。
それが、プラスとマイナスどちらに働くかは判らない。前回の対戦時を思い出せば、玄宗皇帝領のプレイヤーは、それなりに投資をしている人たちの集まりのように見えたので、あれから四カ月。戦力が大幅に変わっている人もいるだろう。
予想通り、戦力が格段に上がっている人も多かったが、特殊ルールの影響なのか、積極的に攻めてくる人も少なく、前回とは逆に私たちが、なんとかギリギリのポイント差で勝利を手にした。
それからほぼ一か月後の三月の二週目にはホワイトデー特別戦と銘打った特別報酬戦が行われたが、使用できる英雄は前回とは逆の男性のみ。
(男性なら、いろんなパターンが試せる)
と思い、年始に手に入れた源義経をデビューさせてみようと考えたていたのだが、対戦相手は、あの農民プレイヤーばかりのかぐや姫領。初めて対戦した時は、戦力を見せたくないので温存しているのではと勘繰ったが、これまでの二回の同盟戦や他の領との対戦成績をみて、本当に農民プレイヤーの集まりだったことがわかり、ある部分でガッカリした。勝敗?前回と同じで、初日で決着がつきました。




